「えのぐLABO」(第3学年)

1.題材名

「えのぐLABO」

2.目標

絵の具でいろいろな表し方を試しながらつくった紙を組み合わせて「研究レポート」をつくる。

【知識及び技能】
様々な用具を使ったり,色を混ぜたりしながら,形や色の感じを捉えるとともに,試しながら表し方を工夫する。

【思考力,判断力,表現力等】
思いのままに試しながらいろいろな絵の具での表し方を思い付くとともに,できた形や色の組み合わせに名前を付けたり,並べたりすることを考える。また,作品のよさや面白さを感じ取る。

【学びに向かう力,人間性等】
絵の具で表し方をいろいろ試すことを楽しみながら,主体的に考えたことをつくりだし,他者との違いを認め,よさや面白さに気付く。

3.題材設定の理由

 本校では,3年生から図画工作室で学習する。その最初の題材が「えのぐLABO」である。「やりたいことを見付ける」「試行錯誤・課題解決」「自分のしたことを振り返る」という,図画工作科での学び方を体感してほしいと考えた。
 題材においては,試行錯誤することにポジティブな印象をもってもらうために,研究というキーワードを使った。画用紙の形は4種類を用意し,「長い紙ではローラーや筆の線がのびのびと走る」「真四角の紙にはぐるぐる」「小さい紙には細かい点」というように,紙の形からもやりたいことが広がるようにした。また,つくった紙に「研究結果」として名前を付ける時間を設け,子どもたちが自分で見付けた表現方法を振り返ることができるようにした。いつか他の題材で,「あの時の技,そうだ“夕日まんじゅう”をやろう」と知識や技能を活用できるようになることを願っている。
 指導にあたっては,教師は必要最低限の用具の使い方を教え,子どもが表し方を組み合わせたり自分で技を編み出したりして,自分なりの技能を獲得することを大切にした。

4.準備(材料・用具)

画用紙(25×25,14×38,25×38,15×40cm),絵の具,歯ブラシ,網,ローラー,ビー玉,片面波段ボール,発泡スチロールなど

5.資質・能力を育成するための指導の手立て

【知識や技能に関する事項】

  • 子どもたちが試しながら表し方を工夫できるように,筆の使い方(太い/細い,点/線/面,水加減),混色(パレットの上で/紙の上で),その他の用具(モダンテクニックなど)について,導入で簡潔に説明する。
  • 知識や技能の習得につながるように,子どもたちが自由な発想で表す瞬間や用具を工夫して使っている瞬間を教師がICT機器を活用して写真に収め,まとめの時間に全体にフィードバックする。
  • つくった色紙に名前を付ける時間をもつことで,形や色の感じを捉えることができるようにする。
  • つくった色紙に名前を付ける時間をもつことで,自分の編み出した技(かき方の工夫)を振り返り,その子固有の技能として価値付けることができるようにする。

【発想や構想に関する事項】

  • 自分なりの表現を見付けられるように,筆やローラー,スポンジなど様々な用具を組み合わせることを促す。
  • 形が異なる画用紙を用意し,子どもたちがより様々な表現方法を思い付けるようにする。
  • 混色することのよさを示すことで,より一人一人の表現に違いを生み出せるようにする。
  • 子どもたち同士が対話できる場,友だちの活動が目に入るような場を設定し,発想を広げることができるようにする。
  • 「研究」というキーワードを導入で伝えることで,試しながら発想していくことを促す。

【鑑賞に関する事項】

  • 自分の研究レポートのよいところや工夫したところなどをワークシートに書かせ,作品の隣に置いておくことで,鑑賞の時間に友だちの作品の意図を理解しながら共感・賞賛し合えるようにする。
  • つくった色紙に名前を付ける時間をもつことで,形や色からイメージを広げられるようにする。

【学びに向かう力,人間性等に関する事項】

  • 初めて出合う用具を用意したり,自分自身の表現に没頭できる主題を設定したりし,主体的に学ぶことができるようにする。
  • 用具や材料,画用紙の形など,選択肢を増やすことで,主体的に学ぶことができるようにする。

6.指導計画(全6時間)

1・2時間目
めあて:「絵の具でどんなかき方ができるかな? 研究しようぜ」
活動:様々な形の画用紙に,絵の具セットを使ってどんなことができるか試す。

3・4時間目
めあて:「いろいろな用具を使って自分だけのかき方を研究しようぜ」
活動:ローラー,ビー玉など様々な用具を使って自分だけの表現をつくりだす。

5・6時間目
めあて:「研究結果をまとめようぜ」
    「みんなの研究レポートを見ていいところを見付けようぜ」
活動:できた色紙の気に入っている部分に名前を付けて,支持体に貼る。その後自他の作品を鑑賞し,いいところを感じ取る。

7.指導のポイント

●子どもの動線が交じり,対話が生まれる場の設定
ドライヤーで乾かしてから色を重ねる方法を教えると,ドライヤーを待つ列ができる。その列では,「これ見て!」「どうやってやったの?」など,作品を見せ合う会話が生まれる。スポンジや片面波段ボール,ローラーなどの用具は教室に点在させ,子どもたちがそれらの用具を取りに行くとき,友だちの活動が目に入るようにしている。自然な対話と,自然な自己決定を実現する図画工作室を目指した。

●研究というキーワード
「研究する」というキーワードで,子どもたちの活動の方向を明確にした。
「研究ってのはね,知っていること・使えるものを使って,試したり,見つめたり,友だちのやり方からひらめいたりして,よい・面白い・すてきな自分のやり方を見付けることだよ。」
こう投げかけることで,子どもたちは「試して失敗してやり直して」ということに意義をもてたのだと思う。その瞬間は失敗したと思った色紙が,次の時間には美しく見えることもある。試行錯誤を「研究」というきらびやかな行動に置き換えることで子どもの意欲を引き出した。

8.作品

forme No.316「学びのフロンティア」より
forme No.316「学びのフロンティア」より

橋田先生の「えのぐLABO」は,forme No.316「学びのフロンティア」に掲載されています。こちらからご覧ください。
https://www.nichibun-g.co.jp/data/education/forme/forme316/

「とろとろえのぐで かく」(第2学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「とろとろえのぐで かく」

2.目 標

 “とろとろえのぐ”の感触や,指や手を使って表すことを楽しみながら,思いを広げて表す。

3.準備(教材・用具)

教師:液体粘土,画用紙,共同絵の具,プリンカップ,湯桶,スプーン,小皿,筆,へら,新聞紙
児童:クレヨン,筆記用具

4.評価規準

【造形への関心・意欲・態度】
 “とろとろえのぐ”をつくったり,指や手でかいたりすることを楽しもうとしている。

【発想や構想の能力】
 “とろとろえのぐ”のつくり方を試したり,確かめたりしながら,でき上がった色や形を基に,自分の表したいことを見付けている。

【創造的な技能】
 手や指の感覚を生かして,伸ばしたり引っかいたりするなど,自分の思いに合った表し方を工夫している。

【鑑賞の能力】
 “とろとろえのぐ”の感触や色のよさを味わったり,自分や友だちの表現のよさを見付けたりしている。

5.本題材の指導に当たって

(1)題材について
 低学年の子どもたちは,身体感覚を働かせて積極的に材料にかかわりながら思い付いたことを表す傾向がある。絵に表す活動においても,こうした低学年の子どもの特性を生かし,指や手などの身体感覚を働かせながら材料に楽しくかかわり,色や形を使って自分なりの思いを見付けていってもらいたい。液体粘土と絵の具を混ぜ合せてつくる“とろとろえのぐ”は,そのことを子どもたちが十分に味わうことのできる描画材であろう。

(2)学習環境の設定
 指導にあたっては,学習環境の設定に配慮した。特に“とろとろえのぐ”づくりは描画材を自分でつくる楽しさがあり,表現活動への意欲を高めるための大切な時間となる。
 どの子もスムーズに活動に入ることができ,準備や片付けも自分たちで考えながら活動できるよう心掛けた。
 まず“とろとろえのぐ“の素となる液体粘土を湯桶に入れておき,そこから各自が柄を長くしたスプーンで,プリンカップに取り分けるようにした。
 もう一つの“とろとろえのぐ”の基となる絵の具は,これまでの学習経験を生かし,共同絵の具を用いることにした。共同絵の具は黄・赤・オレンジ・青・緑・黄緑・黒の7色を用意した。使い方は,筆で絵の具の容器からパレット代わりの小皿に取るというものである。取った絵の具は各自の机上まで持っていき,指でプリンカップの液体粘土と混ぜ,“とろとろえのぐ”をつくることにした。
余って使わなくなった“とろとろえのぐ”は,“えのぐおきば”を設け,誰でも使ってよいものとした。また,次の時間まで取っておきたいものはラップをかけて保存するようにした。

(3)指導と評価
 本題材は,子どもたちが身体感覚を働かせて材料に楽しくかかわることが大切であるが,液体粘土に触れることや,指でかくことに抵抗感のある子どもがいることも考えられる。全ての子どもが,のびのびと“とろとろえのぐ”とかかわることができるよう,導入時に教師自身が実際にやってみせることで,“とろとろえのぐ”をつくる楽しさ,そして指や手でかく面白さなどを伝えるよう心掛けた。
 また,活動が進むにつれて子どもたちの中から出てくる様々な発想や工夫を,その都度「いいね」「面白いアイディアだね」など声掛けしながら評価するとともに,周りの子どもにも紹介していった。さらに,子どもの活動を写真におさめながら机間巡視し,写真は授業後の評価資料とした。

(4)児童の実態について
 本校の2年生は,1組25人,2組26人の2学級である。わたしは1年生の時から図工専科として指導を行っており,多くの子が図工の時間が好きであると答えてくれる。どんな題材にも興味をもって,楽しく活動することのできる子どもたちである。これまで,絵に表す活動では,1年生の時に「クレヨンですきなものをかく」「共同絵の具を使ってすきなものをかく」「思い出をかく」などの学習を経験している。2年生になってからは,「消防写生会」に続き,二つ目の絵に表す題材である。
 これまでは,どちらかというと子どもの中にある既存のイメージや,見たこと・経験したことなどを絵に表す活動が中心であったと感じていた。本題材を通じて,絵においても材料とかかわることから,形や色を使って絵をかくという,もう一つの楽しさを味わってもらいたいと願っている。

6.題材の指導計画(全4時間)

学習活動の流れ

・指導上の留意点



10分

○これまで,どんなもので絵をかいてきたか振り返る。そして今回は指や手を使って“とろとろえのぐ”で絵をかくことを知る。
○“とろとろえのぐ”のつくり方を知る。

・「   でかく」と板書し,これまでどんな画材や用具で絵をかいてきたかを発表してもらう。
・今回は“とろとろえのぐ”をつくって,指や手で絵をかくことを伝える。
・“とろとろえのぐ”をどうやってつくるのか,どんなふうに指でかけるのかを実際に教師がやってみせる。



145分

○用具を準備する。
○“とろとろえのぐ”をつくり,手や指でえがいてみる。

「みてみて,こんな色ができたよ」

「手でかくのって楽しい」

・様々な色をつくったり,指の跡や引っかいたあとの面白さに気付いたりするなど,楽しい活動を共感的に捉えるとともに,他の子どもたちにも紹介する。




10分

○でき上がった作品を鑑賞する。
○友だちのよいところを発表し合う。

・机の上の用具を一度椅子の上などに置いてから,鑑賞し発表し合う時間とする。



15分

○後片付けをする。
使わない“とろとろえのぐ”は新聞紙に包んで捨てる。

・水場にバケツを用意し,できるだけその中の水で洗うよう指示する。

7.完成作品

「ならべて,かさねて,つんでみると」(第1学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「ならべて,かさねて,つんでみると」

2.題材の価値とねらい

 アーティストが学校に出向き,子どもと一緒に授業を展開する実践例は,幾つか報告されている。しかし,これまでの実践例では,アーティストのもつ技法を模倣する程度にとどまっていた。そのため,子どもは自らつくりたいという思いをもち,それを表すための発想や構想の能力を働かせていたとは言いにくい。
 子どもがアーティストと出会い,技法を紹介する場を設定したのみでは,「へー,すごいな」で終わってしまう。アーティストを授業に参画させるのであれば,アーティストが日頃の芸術作品づくりで大切にしていることや感じていることを十分に聞き,つくる行為を間近に鑑賞する場の工夫が必要であると考える。
 本題材では,アーティストが「自分の作品に込める思いを伝える」場と「つくる行為を実演する」場,「子どもの表現に対して評価する」場,これら三つの場を設定することで,子どもが感性を働かせ,自分の思いを表していくことをねらう。

3.評価の観点

【造形への関心・意欲・態度】
 アーティストの提示した材料を,並べる・積む・重ねることの面白さに気付き,進んで身の周りから材料を集めて,楽しんで表そうとしている。

【発想や構想の能力】
 材料を置く向きを変えたり,様々な角度から鑑賞したりしながらイメージを膨らませて,表し方を思い付いている。

【創造的な技能】
 形や色,大きさなどを考えて,自分の思いを表現できる装飾材料を効果的に使い,思いに合った表し方を工夫している。

【鑑賞の能力】
 つくり途中の作品や完成した表現の鑑賞活動を通して,材料の形や大きさを生かして並べる・積む・重ねることのよさに気付いている。

4.学習の流れ

【用具・材料】
教師:
教師用教具(そろばん,算数セット,ブロック など) など
児童:筆記用具 など

(1)導入時の工夫:アーティストが「自分の作品に込める思いを伝える」場の設定
 導入時には,アーティストとの出会いの場を演出することが大切である。今回のアーティストは,秋山ブク氏(以下,秋山氏)である。秋山氏は,日本各地のギャラリー,店舗,倉庫など様々な空間で「コンポジション」のシリーズを継続しているアーティストで,制作している作品は,その場にあるものだけで構成するインスタレーションのシリーズが中心である。
 秋山氏は,亀田小の近辺にある「みずっちタンク(旧亀田浄水場)」と呼ばれる場所で制作を行い,一般市民に向けて作品の公開を行っていた。そこで,まず子どもにその作品と出会わせてから秋山氏を紹介することで,秋山氏への興味が増すと考え,子どもたちを「みずっちタンク(旧亀田浄水場)」鑑賞ツアーに連れて行き,秋山氏の芸術作品と,秋山氏本人とに出会わせた。

 子どもたちは,秋山氏の作品と秋山氏との対話を通じて,秋山氏に興味を示した。そして,今度秋山氏と亀田小で会う約束をし,鑑賞ツアーを終えた。
 後日,秋山氏が亀田小を訪問し,子どもたちの教室(1年1組)に入り,授業を行った。秋山氏は,身近な道具を使って並べたり,重ねたり,積んだりする制作過程や,別の形が形成されることの面白さを伝えた。子どもたちは,筆箱や鉛筆などを取り出し,次々に行為を始めた。

 その後,子どもたちは,校内の4カ所(体育用具室・第1音楽室・家庭科室・図書室)に設置された秋山氏の芸術作品を鑑賞した。

用具室

第1音楽室

家庭科室

図書室

 これらの作品を見てもわかるように,秋山氏の作品に込める思いとは「そこにあるものだけを使って,バランスや左右対称を意識して並べる・積む・重ねると,何かに見立てられる」であった。また,「ここをバランスよく重ねたよ」など,表現する際の視点を子どもたちに伝えた。抽出児の星山(仮名)は,「僕も色々なものを並べたい」とつぶやく様子が見られ,意欲を示していた。

(2)活動の広がり①:「つくる行為を実演する」場の設定
 表す意欲を示し始めた子どもに,普段は子どもだけでは入ることのできない資料室にある材料を使って,「気に入ったものを集めて,並べて,重ねて,積んでみよう」というテーマを提示した。つくる場所は,資料室前の廊下とした。この段階において,「秋山氏のつくる行為を実演する」手立てを設定した。具体的には,資料室の廊下前に,秋山氏のパフォーマンスコーナーを設置した。秋山氏も,そのコーナーで一緒につくることを伝えた。
 秋山氏には事前に,このコーナーでは「子どもの発想や構想が膨らむように,バランスや左右対称を意識して並べる・積む・重ねる方法を使ってパフォーマンスしてほしいこと」をお願いしておいた。
星山は,秋山氏が手にしたお花のおはじきをバランスよく並べて,重ねている様子を見た後,すぐにお花のおはじきを探してきた。そして,星山は,そのおはじきを並べ始めた。

 この姿からは,星山が秋山氏のつくる行為に感化され,「秋山さんのようなものを使ってみたい,並べてみよう」という発想・構想が膨らんだと言える。

(3)活動の広がり②:「子どもの表現に対して評価する」場の設定
 星山は,堀田と2人で活動をしていた。ある程度作品づくりが進んだ段階で,「子どもの表現に対して,秋山氏が評価する」場を設定した。
 秋山氏には,子どもの作品について思いを語る時に,事前にお願いをしておいたことがある。それは,「取り入れていない方法に気付くような働き掛けをしてほしいこと」であった。星山と堀田は,並べる行為を取り入れ,つくり進めていった。バランスよく重ねる行為のよさにも気付かせたかった秋山氏は,「何をつくっているの?」と星山に聞いた。星山は,「宇宙です」と答えた。秋山氏は,「本当の宇宙の世界みたいだね。このバケツの上に何か重ねると面白そうだね」と,重ねる視点を伝えた。星山は,バケツの上に何を載せるのかを考え始めた。そして,そろばんなどを並べ,重ね始めた。その結果,次の写真のような作品に仕上がった。

 星山と堀田の一連の姿からは,秋山氏の評価を受けて「地球儀を載せるために,その場所に他のものを重ねてみよう」という,「重ねる」ことの新たな視点のよさに気付いたことが窺える。そして,「ブロックや定規を重ねてみよう」という新たな発想や構想を膨らませることにつながったと言える。

5.評価の実際

 学習過程の児童のつぶやきや様子などを踏まえて,一人ひとりのつくりたい思いを継続させる評価を心掛ける。以下は本題材における評価規準の具体の姿である。

【造形への関心・意欲・態度】
 意欲的に材料を集めて,集めた材料を並べたり,積んだり,重ねたりすることを通じて,楽しみながら面白い形を表そうとしている。

【発想・構想の能力】
 何かを表すために,材料の置く向きを変えたり,様々な角度から鑑賞したりして,必要な装飾材料の組合せを考えている。

【創造的な技能】
 表したいものを表現するために,装飾材料を効果的に使って,思いに近付ける行為をしている。

【鑑賞の能力】
 友だちの製作途中の作品や,つくった作品を鑑賞する活動を通じて,材料の形や大きさを生かして並べる・積む・重ねることのよさに気付いている。

「切ってつなげて木の世界」(第3学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「切ってつなげて木の世界」

2.題材の価値とねらい

 3年生が始まったばかりの頃、子どもたちの中には粘土で何かをつくるときに、絵をかくように平面的な作品になっている子どもがいた。このような子どもたちに、立体作品をつくる力を付けていきたいと考えた。木という材料は、様々な大きさや形に切ることができ、木工用の接着剤や釘で接着できるよさがある。また、のこぎり、金づちなどの用具を使うことで、子どもたちの創造的な技能も高まると考えた。

3.題材の観点別評価内容

【造形への関心・意欲・態度】
 木に親しみ、木を使って形をつくることを楽しもうとしている。

【発想や構想の能力】
 いろいろな木材を組み合わせながら、つくりたいものを考えている。

【創造的な技能】
 つくりたいものに合わせて、用具、材料の使い方を工夫している。

【鑑賞の能力】
 自分や友だちのよいところや工夫したところを見つけている。

4.学習の流れ

〈用具・材料〉
教師:
木材、のこぎり、釘抜き、木工用接着剤、釘、粘着テープ など

児童:木材、木の実(松ぼっくり、どんぐりなど)、木の枝、つまようじ、割り箸、木のボタン など

〈材料の準備〉
 活動に入る2ヶ月ほど前に、子どもたちに、「切ってつなげて木の世界」という工作をすることを伝え、木材や飾りとして使える木の実などを集めるように話した。
 また、保護者にも協力を得るため、学級便りでどのような工作をするかや、どんな材料があるとよいかを知らせた。事前に子どもたちや保護者に知らせておいたことで、十分な木材と飾りに使える木の実などを準備することができた。

〈導入時の工夫〉
 粘土で積み木をつくり、それをどんどん積んでいき、立体をつくった。粘土で積み木をつくることから始めたのは、2年生の頃から粘土を使って何かをつくることに熱中する子が多かったからである。また、木で立体をつくることへの橋渡しになると考えたからである。
 子どもたちは、粘土で正方形・長方形・台形・円柱など様々な形の積み木をつくり、どんどん付けていった。「木でもつくれそう!」「面白そう!」と子どもたちは言い始めた。

〈展開と活動の広がり〉

(1)のこぎりの使い方を知り、のこぎりで切る。
[児童の活動]

・実際に教師の切り方を見て、のこぎりの持ち方と木の押さえ方、ひき方を学んだ。
[教師の支援]
・初めて使う子どもたちが木を切りやすいように、小さめののこぎりを用意した。
・長い木切れ、短い木切れ、いろいろな大きさの木切れになるようにした。
・木を斜めに置いて切ると、斜めに切れたり、三角の形になったりすることを理解するようにした。
⇒初めて木を切る子どもが多かったが、いろいろな長さや形に切れることが楽しくなり、みんな大喜びで木を切っていた。

(2)金づちの使い方を知り、金づちでくぎを打つ。
[児童の活動]

・実際に教師の金づちの使い方を見て、金づちの持ち方、釘の押さえ方、打ち方を学んだ。
[教師の支援]
・釘が曲がらないように打つことを大切にした。
・釘は接合だけでなく、飾りにもなることを理解するようにした。
⇒始めのうちは釘を打つと曲がってしまう子どもがいたが、試しながら、まっすぐに打てるようになってきた。釘をひげやとげに使うなど、飾りとして使った子どもの作品を全体に紹介した。

(3)切った木切れでつくりたい物をつくる。
[児童の活動]

・一人ひとりが木切れをどんどんつなげて、つくりたい物をイメージしていった。
・自分の作品ができ上がった子どもたちから、「友だちと一緒につくってみてもいいですか?」という声が上がった。そこで、「ぼくらのモンスターワールドをつくろう」(日本文教出版株式会社 図画工作 教材のアイディア《立体表現編》に掲載)という実践の中の共同作品を子どもたちに紹介した。そのモンスターを見た子どもたちは、「自分たちもつくりたい!」と、ますます意欲的になった。子どもたちは、男女問わず「一緒につくろう!」と声を掛け合い、夢中になって作品をつくっていった。
・友だちと一緒に「どうやってくっつける?」「こうしよう!」「いいね!」などと喜んで知恵を出し合っていた。でき上がった作品は、1人では考えつかないようなアイデアがあり、ダイナミックなものが多かった。
[教師の支援]
・つなげるときには、接着剤や釘を使うようにした。接着剤が乾くまで、粘着テープで固定して、子どもたちがどんどん進められるようにした。
・子どもたちの発想を大事にし、個々にがんばりやよいところを褒めることに努めた。
・一人ひとりが自分の作品をまずつくり上げる。終わった子どもは、友だちと一緒に作品を作ってよいということにして、発展的な活動を取り入れた。
⇒子どもたちは、たくさんの木切れをよく見て、つなげ方を考えて夢中になり、どんどん立体作品をつくっていった。

(4)自分や友だちの作品のよさを発見する。
[児童の活動]

・友だちが一生懸命につくってきたことがわかっているので、作品を興味深く鑑賞していた。

5.完成作品

「光のさしこむ絵」(第4学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「光のさしこむ絵」

2.目 標

 光の見え方を試したり,つくり方を工夫したりしながら,光の美しさや材料の重なりのよさを味わい,自分の表したいものをつくる。

3.準備(材料・用具)

教師:色セロハン,O.H.P.シート,透明ビニルシート,トランスパレントペーパー,お花紙,カラーホイル,木工用接着剤,化学接着剤など

児童:はさみ,のり,光を受けて反射したり光ったりする身辺材料など

4.評価規準

造形への関心・意欲・態度
○材料や場から自分のイメージを膨らませ,興味をもって光の美しさを感じようとしている。

発想や構想の能力
○材料や場のよさを生かし,試したりつくり方を考えたりしながら,思いを広げて表している。

創造的な技能
○光の見え方を試したり,つくり方を考えたりしながら,表し方を工夫している。

鑑賞の能力
○光の見え方に興味をもち,美しさや面白さに気付いている。

5.本題材の指導にあたって

 光を通したり反射したりする材料を使って子どもたちに「見え方」の変化を味わわせたいと考え,本題材を設定した。
 光を通しやすい色セロハンなどの材料は,重ねる枚数や重ね方,置く場所,屋内と屋外で見たときなど,様々な条件によって「見え方」が異なり,それぞれによさや美しさがある。本題材では,子どもたちが光のいろいろな「見え方」を試し,つくり,つくり変えていく面白さを味わわせる活動にしたいと考えた。材料を加減したり,天候や場所による「見え方」を考えたりしながら子どもたちの発想を広げ,「こうしたらどうかな?」という思いが広がる活動に展開したい。

6.指導計画(全5時間)

学習活動の流れ

指導上の留意点



45分

〇光を通す材料と触れ合う(色セロハンをはじめ,持参した材料など)。
〇各材料を使い,1枚で透かして見たり,置いたりしたときの印象や思いを発表する。

色セロハンをいろいろな形に切って並べてみたよ。

・色セロハンなどの材料置き場を決め,予めそこから選ぶことを伝える。

「見え方」を意識させるため,材料は様々なものを用意する。







160分

〇材料を選び,光の「見え方」を試しながらつくる。
材料=色セロハン・お花紙・トランスパレントペーパー・カラーホイル・児童が用意したビーズなどの身辺材料

〇場所を変えたときの光の「見え方」の違いに気付く。

色の重なりがきれい。少しずつ違う色セロハンをずらして貼ってみたよ。

屋上で見てみよう!地面にも映るよ。

・透明なビニルシートやO.H.P.シートの上に,色セロハンなどの材料を貼っていくことを伝える。
・接着剤,セロハンテープなどは材料によって使い分けることを伝える。

・窓にかざしたり,屋上で広げたりするなど,場所を変えたときの「見え方」を意識させる。

曇っているときの光は弱い。絵の具の緑と黄色を混ぜると黄緑になるけど,色セロハンではどうかな?




20分

〇友だちの作品を鑑賞する。

色セロハンの色の違いから,海の深さを表現したよ。

〇材料や場所の違いによる「見え方」の違いや,作品の工夫したところを発表する。

・それぞれの作品から,工夫の違いによるよさに気付けるよう促す。

大きい作品は友だちと一緒に見てみよう。

「クミクミックス」(第3学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「クミクミックス」

2.目 標

 切った段ボールの形から発想して,つないだり組み合わせたりして自分の表したいものをつくる。

3.準備(材料・用具)

教師:段ボール・段ボールカッターなど

児童:はさみなど

4.評価規準

造形への関心・意欲・態度
○段ボールを切ったり,つなげたりしてつくる活動に進んで取り組もうとしている。

発想や構想の能力
○切った段ボールの形や,組み合わせた形から発想し,自分の表したい感じを思い付いている。

創造的な技能
○段ボールを切ったり,組み合わせたりしながら,切り方や組み合わせ方を工夫している。

鑑賞の能力
○段ボールを組み合わせて表現するよさを感じたり,友だちの組み合わせ方の面白さに気付いたりしている。

5.本題材の指導にあたって

 3年生の子どもたちは,これまでの授業の中で,最初につくりたいものをイメージし,そのイメージに合わせてつくる題材に多く取り組んできた。つくりたいものをつくるための材料として,段ボールはよく使用してきたものの一つである。今回は,この段ボールを切ったり組み合わせたりしてできた形の面白さから発想を働かせ,つくり,つくり変えていく活動を体験させたいと考えた。子どもたちが全身を使って活動を行う中で,発想を膨らませ,身近な段ボールから新たな発見ができるようにしたい。
 まずは段ボールとのであいの段階で,段ボールカッターを使い,大きく切ったり,いろいろな形に切ったりする活動の時間を十分にとる。子どもたちの体の大きさほどあった段ボールが,手に持って加工できる程度に小さくなったころに,切込みを入れ,組み立てる方法があることを伝える。
 段ボールをどのような形に切るか考えながら試し,切った段ボールを組み合わせたり組み変えたりしながら,自分の気に入った形を見付け,さらに思いを広げていくことができる活動を展開したい。

6.指導計画(全2時間)

学習活動の流れ

指導上の留意点



15分

〇段ボールカッターの使い方を知る。
〇板状の段ボールを大きく,真っ直ぐに切る。

・段ボールカッターの安全な使い方を実演する。
・段ボールは,箱状・板状のもの,無地のもの,大きさの異なるものなど,色々な種類を用意しておく。
・段ボールカッターに慣れさせるため,練習としてまずは板状にして,大きく切ること,真っ直ぐに切ることを促す。

最初は真っ直ぐに切ってみよう!



60分

〇段ボールを色々な形に切る。
・丸に ・三角に ・ギザギザに
〇切った段ボールに切込みを入れ,組み合わせたり,組み変えたりする。

・試しながら,色々な形に切ることを促す。
・接着剤やセロハンテープを使わず,切込みを入れることだけでしっかりと段ボールを組むことができることを説明する。

細かく切った段ボールを交互に組んでみたよ。丈夫な土台にしよう。

組み方を工夫して船をつくろう!切り込みを入れて、帯状の段ボールを通すと接合の方法が広がるよ。




15分

〇友だちの作品を鑑賞する。

・それぞれの作品から,工夫の違いによるよさに気付けるよう促す。

校内展 展示の工夫(全学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

展覧会の工夫

 展覧会は日常の造形活動を一挙に見ることができる、一つのまとまった鑑賞の場です。表し方の違いや工夫など、様々な表現に興味を持つきっかけとなることでしょう。
 また、保護者や地域の方々に、学年に応じた表現の深まりや造形的な力を鑑賞していただける良い機会です。楽しかったことや工夫したこと、そのときに考えたことなど、様々な子どもの活動の様子を読み取ることができます。
 展覧会の会場は、体育館になる場合が多いと思います。この広々とした空間での展示となりますから、大きな空間や場所の特徴を生かした展示の工夫が必要になります。会場に全学年の作品を並べるだけでなく、その作品の良さが引き立つような会場をつくりたいものです。会場づくりは、造形遊びなどを生かして、体育館の内外を非日常的な造形空間へと激変させる試みを展開してほしいと思います。
 いつもの体育をする空間が、造形的な空間に生まれ変わる過程を子どもたち自身が体感することで、子どもたちはいっそう図画工作科の楽しさを実感することでしょう。

会場をつくる(モモイロウォール)

 会場にトイレットペーパーを利用した大きな壁をつくります。
 トイレットペーパーは色水で丸ごと染めます。乾いたら,床に敷き詰めて両端をロープに固定します。ロープは,両端を予め天井の梁などを利用して通しておきます。最後に片方のロープから順に引っぱり,天井に引き上げて完成です。

 モモイロウォールは大きなインスタレーションとして、インパクトがあります。光の状態により,設置場所や一日の時間帯によっても,印象が刻一刻と変化することを楽しむことができます。単なるトイレットペーパーですが,大量に,しかも形状を変えて展示することで、非日常的な空間に生まれ変わります。

青い色に添めた,ブルーウォール

トイレットペーパーに紙を貼り付けたウォール

ブラック&ホワイトウォール

 白と黒の半透明ビニルシートにガムテープを使って絵をかきます。ガムテープは白と黒を準備します。はじめに隣のビニルシートをガムテープでくっつけます。絵はぶっつけ本番です。その場でグループごとに話し合って進めていきます。
 出来上ったら,予めギャラリーの上を通したロープにビニルシートの一番上を固定します。最後に,ギャラリーの左右からみんなで引っぱり立ち上げます。

展示の工夫

 作品を展示する台を自分たちでつくります。段ボールなどの加工しやすいものを利用しています。

 段ボールは何個かくっつけたり、単独でつくったりします。使い勝手がよいのは単独の方でした。会場のレイアウトが様々にできて動かしやすいと思います。

 色を付けますが,台の役割をしつつ,これだけでも存在感のある作品として仕上げます。ただ,飾る作品の邪魔にならない程度の模様や色などを考える必要があります。

 作品は展示される環境によって,印象が変わります。作品のよさが引き立つ工夫を考えました。
 モモイロウォールやブルーウォールを背景に,発泡スチールの上に展示しました。

 不定形にした発泡スチロールを台にして独立した形で展示します。

 絵と立体が一緒に展示できる発泡スチロールの展示台をつくりました。絵,半立体的な絵,立体など,様々な組合せで,レイアウトを工夫することができます。

展示会会場(体育館)へ続くアプローチ(1)

 大量のフィルムケース(今はもう手に入りませんね)を利用して外から体育館の玄関まで並べたり,積んだりしながらつなげていきます。

 体育館玄関の靴箱も造形的な遊びができる場所です。

 なんでもない体育館の玄関が,少し表情を帯びてきました。

展示会会場(体育館)へ続くアプローチ(2)

 紙は扱いやすい材料なので,加工を工夫すると様々な表情に変わります。紙を使って,天井や床,壁や靴箱など様々な場所に働きかけます。

 体育館の入口には靴箱があります。薄暗い場所ならば,LEDライトと紙などを組み合わせると光の空間もつくれます。

 ペットボトルの中にカラーセロハンと水を入れます。LEDライトの上に置くと様々な色に変化する様子を楽しめます。そのまま,太陽光を利用して楽しむこともできます。

展示会会場(体育館)へ続くアプローチ(3)

 体育館の入口付近です。靴箱のようなものがありません。そこで,天井と床を利用します。ポリ袋をはさみやカッターナイフで切ったり手で裂いたりした帯状のものを使って,天井と床をつなげます。天井からビニルを様々な方向に伸ばして床に固定します。足りなかったら結んで長くします。

空間ストライプ

 体育館の床にビニルシートを敷き詰めて,ガムテープを使って文字や絵をつくります。

 体育館と校舎の間にロープを掛けておきます。そこにビニルシートを固定して,両側から引っ張りあげます。

 空間ストライプの出来上り!!間をくぐったりして楽しめます。
 風に柔らかくなびくところも楽しめます。

 裏の方には,木のアクセントがありました。

ムスンダアート

 大量のビニルのゴミ袋を,手でしっかりと結びます。結びながら体育館のフロア全体に広げます。結び終わったら,予め天井の梁などを利用して通しておいたロープに結びつけます。そのロープをギャラリーからみんなで引っぱります。すると,フロアで結ばれたビニル袋が空間に浮き上がっていきます。巨大なゴミ袋の塊が空間に留まっている様子は,とても美しく,光によっても様々な表情を見せます。

展示会の様子

「見て、感じて、話して」~西洋の絵、日本の絵、比べて~(第5学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.基礎データ

題材・単元名

「見て、感じて、話して」~西洋の絵、日本の絵、比べて~

時間数

2時間

題材・単元の
特徴

国内外の美術作品を対話をとおして鑑賞し、主に日本の美術史や歴史の流れ、日本に住む人々のものの捉え方、感じ方に思いを馳せる授業。
【キーワード】モチーフ、表現方法、捉える、感じる

授業環境

活動環境

教室

人数

教師1名 児童30名

教材や用具

教師:みる美術、ノートパソコン、液晶プロジェクタ、スクリーン、ワークシート、児童の絵画作品、マンガやアニメのポスター
児童:筆記用具

コンピュータ
動作環境

使用デジタル教材

提示型デジタル教材『みる美術』
西洋美術 フランス国立美術館連合 編,
日本美術 名品コレクション 編

OSバージョン

Windows 7

その他

自作ワークシート

2.活用事例及び展開

①ねらい
 国内外の歴史的に重要と考えられている美術作品を対話をとおして鑑賞し、西洋と日本の美術作品を比較しながら、主に日本の美術史や歴史の流れ、日本に住む人々のものの捉え方、感じ方について考え、思いを馳せようとする。

②『みる美術』利用の意図
 『みる美術』は日本及び西洋の重要と考えられる美術作品を多く収録し、選択、比較がソフトウェアとして実装されており、容易に使用することができる。
また、比較的高精細な画像データのため、拡大しても鑑賞に堪えうるデータを収録している。

③評価について
美術への関心・意欲・態度

・作品のおもしろさに気づき、気づいたことを言葉で表そうとする

発想や構想の能力
・作品に描かれているものや色や形、友だちの発言から、見つけたり、組みあせたりして、自分なりにおもしろさを感じ取ろうとする。
・作品を比較することで、描かれていたものや描き方の違い、作者の意図などに思いを巡らせようとする。

鑑賞の能力
・作品や友だちの発言から、西洋と日本の作品の相違点を見出し、自分なりに味わおうとする。

④指導計画(総時数:2時間 本時)

学習活動の流れ

指導上の留意点,評価方法

・西洋と国内の作品を鑑賞し、似ている点、異なる点に気づき、おもしろさに気づく。

・楽しく、自由に話せる雰囲気をつくる。
・モチーフ、表現方法に留意させるような作品の提示、発問する。
・比較が容易にできるように、著名なポートレイト、静物画、風景画を選択する。
・作品や友だちの発言から、西洋と日本の作品の相違点を見出し、楽しんで自分なりに味わおうとする。
(発言、表情、ワークシート)

※次年度の社会の歴史学習へ連携させる。

3.本時の展開

①目 標
 国内外の歴史的に重要と考えられている美術作品を対話をとおして鑑賞し、西洋と日本の美術作品を比較しながら、主に日本の美術史や歴史の流れ、日本に住む人々のものの捉え方、感じ方について考え、思いを馳せようとする。

②『みる美術』を活用した授業の展開

学習活動の流れ

指導上の留意点、評価方法


1.めあてを聞き、本時の概要を知る。

◇あたたかで自由に話し合える雰囲気作りをしておく。
◇授業の概要を知らせ、ワークシートに自身のめあてを書かせる。

今日の図工で、どんなことをできたらすてきだと思いますか?



1

2.西洋の作品を鑑賞する。
・アルチンボルド
・ゴッホ
・デューラー
・ドガ
・レオナルド・ダ・ヴィンチ
・ドラクロア
・ルノアール
・セザンヌ
・フェルメール
・レンブラントなど

◇アルチンボルドの作品をはじめに見せ、どのようなもので絵が描かれているのか、見ること、発言することに興味が持てるような雰囲気をつくる。
◇教師自らが子どもの発話をよく聴き、大切に話をつないでいくようにする。
◇何が描かれているかだけでなく、自分の絵の描き方を想起させながら、描き方の違いに気づかせていく。

◆作品や友だちの発話から、作品のおもしろさに気づこうとし、発話しようとしているか。(表情、発言)



2

3.国内の作品を鑑賞する。
・歌川国芳
・写楽
・北斎
・雪舟
・渡辺崋山
・尾形光琳
・黒田清輝
・上村松園
・伝源頼朝像など

◇西洋の作品描き方なども想起させながら、輪郭線を使った日本の描き方と塊を面でとらえて描く西洋の描き方の違いに気づくようにさせる。
◆作品や友だちの発話から、作品のおもしろさに気づこうとし、発話しようとしているか。
(表情、発言)



4.ふりかえりをする。
・自分の気づき
・友だちがいて うれしかったこと

◇ワークシートを使って、今日気づいたこと、よかったこと、がんばれたこと、うれしかったことなど肯定的内容を言語化していく。
◆作品や友だちの発話から、作品のおもしろさに気づこうとし、発話しようとしているか。
(ワークシート)

【ワークシート】

ワークシート

③指導のポイント
・アルチンボルドや国芳の作品をはじめに観せることで、より楽しんで鑑賞をしていこうとする雰囲気づくりをした。
・『みる美術』西洋美術編と日本美術編を同時に起動させ、必要に応じて行き来し、比較させる。
・自由に気楽に話せる雰囲気をつくり、子どもたちの気づきをつないでいくことに留意する。
・今年度秋に描いた児童の絵画作品、子どもたちの好きな有名なマンガやアニメのポスターを用意することで、自分たちの描き方、自分たちの好きな現在のマンガやアニメの描き方をもとに、名画をより比較しやすくした。

④感想等
 『みる美術』は名画と言われる作品を中心に高精細の良質の鑑賞が簡単におこなうことができる。拡大や縮小が容易にできるため、見せたい部分を拡大して見せることができたことはおおきなメリットだった。
西洋編では、子どもたちにとって見たことのある作品、立体感をより感じられる作品、日本編で選択する作品に通じるテーマの作品を選んだ。子どもたちは「見たことあるー!」「きれい!」「本物みたい!」と感想を口にしていった。
 続いて日本美術編は、国芳の作品などアルチンボルドの作風に近いものから見せていき、こちらも子どもたちが見たことのありそうな作品を見せていった。
 ある程度作品一つ一つを見ていってから、「前見た外国の作品と同じところはあるかな?そして違うところあるかな?」と問いかけをした。すると、似たところには「(人、景色など)同じモチーフが描かれている」というものが多かった。
 一方、違いの方では、西洋編で示したもののすべてがヨーロッパのものであるということを伝えた。すると、ヨーロッパと日本、同じ人物や風景、動植物であっても、描かれ方が違うという話を一部の子たちがし始めていった。すると別な子が「(日本の作品の描かれ方は)マンガみたい…」とつぶやいた。するとほかの幾人かの子たちも、その子の気づきに賛同していった。
 そこで、教師が「なんでマンガと似ていると思えるのだろう?」と問いかけ直しをしていった。すると子どもたちは輪郭線に気づいていった。
 特に今回は、西洋美術編と日本美術編の2つを同時に起動させ、比較しながら鑑賞を進めた。子どもたちが意識することなく使っていた輪郭線は、西洋ではほとんど見られないことに気づき、また日本の絵画の歴史の上に、自分たちの好きなマンガやアニメ、そして自分たちの表現があることにも子どもたち自身の対話の中から気づくことができ、話が展開する実践となった。

「スポンジアニメ」(第5学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「スポンジアニメ」

2.目 標

○スポンジや針金などの材料を組み合わせ、自分だけの“スポンジくん”をつくる。
○“スポンジくん”がどのように動いたら面白いか構想し、コマ撮りの手法を使って表現する。
○上映会をし、自分や友だちの表現からよさや面白さを味わう。

3.準備(材料・用具)

教師:研磨用スポンジ、針金、デジタルカメラ(班で1台ほど)、モール、カラーペン、色画用紙など

児童:はさみ、“スポンジくん”につけたい身辺材料(ビーズやボタンなど)

環境:デジタルカメラをつなぐことができるモニターかICT機器(鑑賞時使用)

4.評価規準

造形への関心・意欲・態度
○アニメーションづくりを楽しみ、自分の“スポンジくん”が動く喜びを味わっている。

発想や構想の能力
○コマ撮りの手法を知り、どのような動きを表現しようか構想している。

創造的な技能
○既習の材料や用具を工夫して使い、自分の考えたように動きを表現している。

鑑賞の能力
○自分や友だちの作品から動きの工夫やそれぞれのよさを味わっている。

5.本題材の指導にあたって

●ものに命を吹き込む!
 教育現場にも視聴覚機器が充実してきた現在。デジタルカメラを使った様々な表現方法が考えられている中、今回は対象を少しずつ動かしながら撮影していく「コマ撮り」の手法を使うことで、手軽にアニメーションをつくっていく。アニメーション(animation)はラテン語のanima(命・魂)が語源とされている。自分でつくった人形が自分の手によって生きているように動きだすことはとても魅力的であり、コツコツとコマ撮りを重ねていったものを上映した時の喜びや達成感は大きい。
 児童はまずスポンジと針金などを組み合わせ、“スポンジくん”人形をつくる。スポンジは加工しやすく握っても形状が戻る素材なので、児童がどのように扱っても形が崩れず、コマ撮りに適している。“スポンジくん”につけたいリボンやビーズなどを家から持ってきてもよい。ペンでかわいい顔をかいて出来上がり。自分だけの“スポンジくん”ができたら、どのような動きをさせたいか計画を立てていく。導入時に教師がコマ撮りから上映までの過程を実演すると仕組みを理解しやすい。今回は個人での活動だが、グループになって物語を考えるのも楽しい。コマ撮りはデジタルカメラの再生機能ですぐに確認ができ、不要な部分は簡単に削除することができるので、何度でもやり直したり試したりしながら自分の気に入った表現を追求することができる。コマ撮りに慣れてくると、背景や小道具、エンドロールなどを自然とつくりだす児童も見られ、児童の手によって思いつくままにどんどん発展していくことができるのも、大きな魅力だと感じる。教室環境にICT機器やモニターがあればデジタルカメラと繋いで上映会を行うこともできる。上映後は各作品にメッセージを書いたり最優秀賞を話し合ったりするなどしてそれぞれのよさや工夫を感じ取る時間を十分に確保したい。動画作成ソフト(Adobe Premiere Proなど)があればDVDに編集し、展覧会で上映するなど発表の機会があるとさらに意欲の高まりが期待される。家庭でも気軽に行える活動なのでぜひ授業外でも取り組み、児童がつくりだす喜びを身近な体験として楽しくとらえられることを願っている。

6.題材の指導計画

学習活動

指導上の留意点



アニメーションってなんだろう?

○アニメーションの種類を発問する。
T「アニメーションにはどんな種類があるか知っていますか?」
C「夕方によく放送されています。」
C「粘土のアニメも見たことがあるよ。」
C「他にはどんなものがあるのだろう?」

○資料を提示するなどして、アニメーションには様々な種類のものがあることを押さえる。
○アニメーションは静止画を連続して再生することで動きが表現されていることを知る。

○切り紙やパラパラまんが、人などを撮影するピクシレーションなども紹介できると広がりがもてる。

“スポンジくん”でアニメーションをつくってみよう

○教師がつくった“スポンジくん”を紹介する。
○実際にコマ撮りを実演し、ICT機器などで再生して見せる。
○スポンジくんのつくり方を簡単に説明する。

自分だけの“スポンジくん”をつくろう

○概要を記したプリントを配布する。
○針金の安全な扱い方について確認する。

○材料、用具の紹介をする。



自分だけの“スポンジくん”を完成させよう

○家から持ってきた材料なども使い、“スポンジくん”づくりを進める。



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コマ撮りしてみよう

○“スポンジくん”が完成した児童から撮影に入る。

☆グループで取り組んだり、背景や小道具をつくったりしてもいいことを伝える。

○デジタルカメラの取り扱いについて掲示物などを用いて確認する。
○コマ撮りの流れも掲示しておくと活動しやすい。



上映会をしよう

○それぞれの作品をICT機器などで上映し、発表する。

☆発表内容
①作品上映
②つくった感想や工夫したところ

○友だちにメッセージをおくる。
○鑑賞カードに取り組む。

[作品例]
「魔法をかけたら…☆」

[配布プリント]

「ふしぎなたまご」(第2学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「ふしぎなたまご」

2.目 標

 たまごから生まれてくるものを想像して、たまごの模様や生まれたものを絵に表す。

3.準備(材料・用具)

教師:たまごの形が印刷された画用紙、画用紙、色画用紙、紙テープなど

児童:クレヨン・パス、はさみ、のりなど

4.評価規準

<造形への関心、意欲、態度>
○たまごから生まれてくるものを想像し、イメージを広げて楽しく活動する。

<発想や構想の能力>
○たまごから生まれてくるものを想像し、そこからイメージを広げてたまごの模様を考えたり、生まれたものをかいたりする。

<創造的な技能>
○色、形、かき方を工夫して絵や模様をかいたり、用具を正しく使って材料を切ったり貼ったりする。

<鑑賞の能力>
○自分たちの作品を鑑賞して、色や形、表し方から作品のよさを感じ取る。

5.本題材の指導にあたって

 本題材では、「たまごから生まれてくるもの」から発想を広げ、たまごの模様、生まれたものなど、イメージを膨らませて作品をつくる。
 「たまごから何が生まれてくるかな?」と問いかけると、子どもたちからは、「鳥」や「恐竜」などの生き物だけではなく、「虹」や「宝石」など、様々な答えが返ってくる。子どもたちの発想を大切にして、そのイメージを表すために色や形、かき方を工夫することで、表現する楽しさを味わわせたい。

6.題材の指導計画

学習活動の流れ

指導上の留意点、評価方法

1
本時

2

○たまごから生まれてくるものを話し合ったり考えたりして決める。

○子どもたちから思いついたものをあげさせて、発想が広がるようにする。

○たまごの線に沿って紙を切る。

○たまごの形の内側に名前を書かせ、線が印刷されていない方に色を塗るようにさせる。

○たまごから生まれてくるものを考えて、たまごの色を塗る。

○生まれてくるものを想像し、たまごの色や模様をかくようにさせる。

○たまごの割り方を考えて、はさみで切ってたまごを割る。

○縦、横など割り方を示して、生まれるものにあった割り方を考えさせる。

3

4

○たまごから生まれたものをかき、はさみで切り取る。
○たまごを画用紙に貼る。
○画用紙にたまごの向きや生まれたものの貼り方を考えて貼る。

○画用紙に大きくかくようにさせる。
○たまごの裏に、緩衝材や紙を丸めたものを貼ってから、画用紙に貼らせて立体的にさせる。
○貼る場所によって、飛び出してきた感じや顔を出している感じになるのを示し、貼る前にたまごと生まれたものを画用紙の上に置いてみるようにさせる。

5

6

○周りを色画用紙や紙テープで飾り、「生まれた」感じが出るように工夫する。

○飾りの色や形を考えて貼るようにさせる。

7.本時の学習

①目 標
○たまごから生まれてくるものを想像し、たまごの模様をかく。

②学習展開(1時間目/6時間)

太字…教師の投げかけ

主な学習活動・内容

指導の工夫や教師の支援・評価の留意点

○めあてを知る。

たまごから生まれてくるものを考えて、たまごの模様をかこう

○配布された画用紙に名前を書く。

たまごの形が印刷された画用紙を配布し、たまごの中に名前を書かせる。

○線に沿ってはさみで切る。

○たまごから生まれてくるものを考える。

○たまごから、何が生まれてきたら楽しいか、嬉しいかを考え、想像を膨らませる。

○生まれてくるものからイメージを広げて、たまごの模様をかく。

○生まれてくるものが決まったら、それが生まれてくるたまごをイメージして、模様をかくようにさせる。

○次時の活動を知る。