先輩からのアドバイス vol.11
【マンガ】言葉かけの役割は?

 iPhoneアプリ「中学美術先生のためのABC」の一部コンテンツをWeb版として収録した本コーナー。指導や授業で、つまづきがちな悩みや疑問をとりあげ、ベテラン教師から読者と同じ目線で問題解決へのアドバイスを提案します。

ここがポイント


教師はどんな存在?

 多感な時代を生きる中学生にとって、教師の存在は大きな位置を占めます。彼らの一日の生活の中で最も長い時間を過ごし、最も側にいる「大人」だからです。教師は、彼らが社会に踏み出す前の「社会像のインストラクター」のように見えることがあります。そして生徒たちは、その教師像に正解を見つけようとします。しかし、正解として認知できず、疑問を感じ、反発し、答えを再び求めます。その時、教師はそれらの行動が彼らの心理的葛藤の表れであることを理解し寄り添う姿勢が大切です。

導入の言葉

 特に美術という教科は、生徒の個々のありようや深化を見つめながら寄り添う教科と言うことができます。美術教師は、全員に「導入の言葉」を投げかけます。生徒たちはそれを受け取り、それぞれ独自のイメージを持ち、友だちと意見を戦わせ、さらにイメージを深めます。教師の言葉が学習という水面で、波紋を広げていくかのようにです。そして次第に拡散したイメージは個々の心の中で、アイデアとなり、表現することで収束していきます。

評価の言葉

 教師はこの段階で、評価の言葉をかけます。それは決してジャッジする言葉ではなく、認めるべきものを認める言葉でなくてはいけません。なぜなら作品に表そうと模索を繰り返す中で、教師から何が評価できるのかを知らせることは、生徒が自らの力に気づき、生徒の自信へとつながることだからです。ただし、評価するためには教師は一人一人の生徒を観察し、洞察する力量が要求されます。社会の中で生きる力を生徒たちは、教師の言葉から見出そうとするのです。

シナリオ・監修、文:川合 克彦