「情報を生かすわたしたち」(第5学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

「情報を生かすわたしたち」

2.目 標

 社会の情報化の進展に関心をもち,情報化した社会の様子と国民生活とのかかわりについて調査したり,資料を活用したりして調べ,情報化の進展が国民の生活に大きな影響を及ぼしていることや情報の有効な活用が大切であることについて考え,表現する。

3.評価規準

○社会的事象への関心・意欲・態度
 社会の情報化の進展に関心をもち,その利点や問題点について意欲的に調べることを通して,様々な情報に対して適切に判断し,望ましい行動をしようとしている。

○社会的な思考・判断・表現
 情報の有用性や役割,情報の適切な収集・活用,発信や伝達の仕方,情報化のもたらす様々な影響などをもとに,情報の有効な活用について思考・判断したことを,適切に表現している。

○資料活用の技能
 生活や産業の中での情報活用について,資料やインターネットを活用して調べ,ノートにわかりやすくまとめている。

○社会的事象についての知識・理解
 情報化の進展によって人々の生活の向上が図られていることや情報を有効に活用しながら生活する必要があること,情報の送り手として,発信する情報に責任をもつことが大切であることについて理解している。

4.本単元の指導にあたって

 本単元では,情報の有効活用の大切さについて考えるだけでなく,それを実現するために必要な能力や態度についても考え,身に付けられるようにしたい。そこで,「どのようにすれば情報を上手に生かすことができるのだろうか」という学習問題をつくり,追究していくように単元を組み立てた。
 単元全体の導入では,広告やコマーシャルを例にして,生活の中で,わたしたちがどのように情報とかかわり,どのように情報を活用しているかを発表する。また,広告への苦情をもとにして,情報を活用するときに気を付けなければならないことを話し合ったり,この単元で学習したいことを子ども達と考えたりしながら,学習問題をつくっていく。
 学習問題を追究するにあたっては,携帯電話の活用と利便性について,実際に使っている人への聞き取り調査を行ったり,コンビニエンスストアを例として,産業の中での情報ネットワークの活用について調べたりしながら,情報の有効活用について考えていくようにした。
 本時では,グラフの読み取りから,情報化の進展によって生じている問題に目を向けさせる。そして,「インターネットはない方がよいのではないか」と子ども達に問いかける。「あった方がいい」という反応に対しては,「なぜ」「具体的にはどのように役立つのか」とさらに問いかけていく。「ない方がいい」という反応に対しても,具体的な理由を尋ねていく。このやりとりを通して,情報ネットワークやインターネットがいかに生活に役立つものかということを引き出していく。また,発言の中からインターネットの特徴を整理して板書するようにする。さらに,ここで出てきたインターネットの特徴を踏まえて,情報を受け取る場合の注意点と,発信する場合の注意点について考えていく。
 そのためには,先ほどの問いに答えられるだけの体験を,これまでの単元で積んでおきたい。例えば,学校ホームページからの情報発信や,図書検索システムの利用が考えられる。また,医療現場での情報ネットワークの活用や,防災・防犯のための情報ネットワークの活用を調べることも考えられる。いずれにしても,この小単元に入るまでに,情報や情報ネットワークの有効活用が,いかに生活に役立つものかということを子ども達に実感させておくことが重要である。
 情報ネットワーク自体は「目に見えにくい」が,その「よさ」や「効果」なら子ども達の「目に見えたり」「実感したり」することができる。このような体験があれば,情報を有効活用する上で大切なことについて,具体的な事実をもとにして考え,話し合うことができる。言葉だけの理解に終わらないためにも,これまでの学習経験を踏まえた本時の学習を展開していきたい。

5.単元の指導計画

目標

学習活動の流れ

指導上の留意点

1

生活の中での情報活用に関心をもち,情報活用についての学習問題をつくる。

○広告やコマーシャルを例にして,生活の中で情報がどのように生かされているかを発表する。
○広告への苦情をもとに,情報を活用するときに気を付けなければならないことについて話し合い,学習問題をつくる。

【関心・意欲・態度】
【思考・判断・表現】
生活の中での情報活用に関心をもち,情報活用についての学習問題をつくっている。(発言・ノート)

2

生活や産業の中での情報活用について調べ,まとめる。

○わたしたちの生活になくてはならないものになっている携帯電話について調べる。
○産業の中での情報ネットワークの活用例としてコンビニエンスストアについて調べる。

【技能】生活や産業の中での情報活用について調べ,ノートにわかりやすくまとめている。(ノート)

3

わたしたちは生活や産業の多方面で,情報を活用し,それによって生活が便利になっていることを理解する。

○調べたことをもとに,わたしたちの生活と情報とのかかわりについてまとめる。

【知識・理解】
わたしたちは,生活や産業の多方面で情報を活用し,それによって生活が便利になっていることを理解している。(発言・ノート)

4

インターネットの特徴をもとにして,情報を発信する場合に注意することについて考え,表現する。

○情報化の進展によって生じている問題について資料から読み取る。
○情報を受け取る場合だけでなく,発信する場合の注意点について考える。

【思考・判断・表現】
インターネットの特徴をもとにして,情報を発信する場合に注意することについて考えたことを,適切に表現している。(発言・ノート)

5

学習問題について話し合い,情報を有効に活用するために自分たちにできることについて考えをまとめる。

○これまで学習してきたことを振り返り,情報を有効に活用するために自分たちにできることについて考えをまとめる。
○情報活用について考えたことを学級でまとめ,ホームページから発信する。

【関心・意欲・態度】
これまでの学習をもとに,情報を有効に活用するために自分たちにできることを,意欲的にまとめようとしている。(行動観察・ノート)

6.本時の学習(4/5)

①目 標
 インターネットの特徴をもとにして,情報を発信する場合に注意することについて考え,表現する。

②学習展開

主な学習活動

指導の工夫と教師の支援

資料・評価

○グラフ「情報機器の普及率」から読み取ったことを発表する。
・どの情報機器の普及率も上がっている。
・特に,携帯電話とパソコンの普及率が上がっている。
・携帯電話とパソコンは,メールやインターネットができることが共通している。

・途中から携帯電話とパソコンの普及率の変化だけを提示することで,二つの共通点に目を向けられるようにする。

○情報機器の普及率の変化がわかるグラフ
○インターネットが原因の犯罪件数の変化がわかるグラフ

○情報化の進展によって生じている問題について資料から読み取る。
・インターネットを使ったいじめや犯罪が増えている。
・インターネットを通して個人情報がもれた事例がある。

・グラフや資料の読み取りをもとに,インターネットを原因とする犯罪やいじめが生じていることにも気付くことができるようにする。

○インターネットが原因のいじめや割合がわかるグラフ
○情報化によって生じた問題がのっている新聞記事

○インターネットの特徴について考える。
・自分のもっている情報を世界に発信できる。
・たくさんの情報があふれていて,役に立つときもあれば,本当かどうかわからない情報に困るときもある。
・お互いの顔を直接見なくてもやりとりができる。そのことも,犯罪やいじめに関係しているのかもしれない。

・「インターネットはない方がよいのでは」と問うことで,情報ネットワークやインターネットがいかに生活に役立つものかという意見を引き出すようにする。
・発言の中から,インターネットの特徴を整理して板書する。

○インターネットの特徴をもとにして,情報を発信する場合に,注意することについて話し合う。
・自分が発信した情報できずつく人がいないかを考える。
・うその情報や不正確な情報を発信することのないように,よく確かめる。

・まずは,情報を受け取る場合の注意点について話し合う。その上で,情報を発信する場合の注意点についても考えられるようにする。
・わたしたちに必要な力として,メディアリテラシーについて知らせる。

【思考・判断・表現】
インターネットの特徴をもとにして,情報を発信する場合に注意することについて考えたことを,適切に表現している。(発言・ノート)

「日本の国土と人々のくらし」(第5学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

「日本の国土と人々のくらし」

2.目 標

 国内には位置や地形,そして気候条件から見て特色ある地域があること,人々の生活や産業は地域の自然環境と密接な関連をもっていることを具体的に調べ,自然環境に適応しながら生活している人々の工夫や,人々の生活と産業との関連について考え,表現する。

3.評価規準

○社会的事象への関心・意欲・態度
 気候条件から見て特色ある地域に関心をもち,意欲的に調べ,特色ある地域のよさを見つけようとしている。

○社会的な思考・判断・表現
 人々が国土の自然環境に適応しながら生活や産業を営んでいることやその地域の特色やよさについて思考・判断したことを,言語などで適切に表現している。

○観察・資料活用の技能
 気候条件から見て特色ある地域の人々が,地形や気候に合わせてどのような生活をしているのか,季節のこよみやインターネットなど目的に応じた方法で調べ,調べた結果やおもいをまとめている。

○社会的事象についての知識・理解
 気候条件から見て特色ある地域の様子を具体的に理解している。

4.本単元の指導にあたって

 本単元は学習指導要領において,内容(1)にそのねらいが書かれている。

(1)我が国の国土の自然などの様子について,次のことを地図や地球儀,資料などを活用して調べ,国土の環境が人々の生活や産業と密接な関連をもっていることを考えるようにする。

 小単元「さまざまな土地のくらし」の具体的なねらいは,内容(1)のイに書かれている。

イ 国土の地形や気候の概要,自然条件から見て特色ある地域の人々の生活

 ここでおさえる内容は,次の2点である。1つめは,地域による気温と降水量の違いなどの気候の概要を取り上げ,我が国には四季の変化が見られること,国土の南と北,太平洋側と日本海側では気候が異なることなど,国土全体の気候の大まかな様子や特色を調べることである。2つ目は,自然環境に適応しながら生活している人々の工夫を具体的に調べることである。
 このように,人々が国土の自然環境に適応しながら生活や産業を営んでいることを手がかりにして,国土の環境が人々の生活や産業と密接な関連をもっていることを,広い視野から考えることができるようにすることをねらいとしている。
 実際の指導にあたって,「であう・つかむ」では,北海道・京都・沖縄の雨温図や生活の様子がわかる資料をもとに,同じ2月でも地域によって気候条件に特色があることに気付くようにする。そして,日本の南北に位置する北海道と沖縄にくらす人々の生活に問題意識を向けるようにする。
 「調べる」では,沖縄を取り上げ,家のつくりや産業について調べることで,あたたかい気候条件がもたらす被害からくらしを守ったり,気候条件を利用した産業を営んでいたりする人々の努力や工夫について考えることができるようにする。
 「まとめる」では,沖縄を取り上げて分かった「人々が国土の自然環境に適応しながら生活や産業を営んでいる」ということが,北海道でも言えることを確かめる。
 さらに,日本海側と太平洋側,瀬戸内海側では,気候が異なり,それぞれの地域でくらす人々もまた同じように適応して生活していることを知ることで,「国土の環境が人々の生活や産業と密接な関連をもっていること」という社会認識をより確かなものにできるようにする。このことが,広い視野から考える目を育てることにつながると考える。

5.単元の指導計画

学習の流れ

支援・留意点

評価



○3つの雨温図は,それぞれどの都市のものかを考える。

○調べたいことや気になることから自分の学習問題をつくる。
・きびしい寒さや暑さに対してどんな対策をしているのか。
・気候のちがいによって生活には,どんなちがいがあるのだろうか。

・3つの雨温図がどこの都市のものかを考えることで,南北の位置と気温のグラフとを関連付けて気候の特色に目を向けるようにする。
・同じ2月の写真やポスターを提示することで,北海道と沖縄の気候条件の特色に関心をもつことができるようにする。
・台風と大雪の被害について知ることで,その地域でくらす人に目を向けた学習問題をつかむことができるようにする。

(関)気候の違いに関心をもち,進んで調べようとしている。
(行動観察・ノート)

○クラスの学習問題をつくる。

(思)気候の違いとくらしの関係について自分なりの学習問題をつかみ,学習の見通しをもって追究している。
(発言・ノート)

気候条件に特色がある地域の人々は,きびしい寒さや暑さ,大雪や台風に対して,どのような工夫をしてくらしているのだろうか。

○予想を立てる。
・台風や雪に備えて家のつくりを工夫していると思う。
・あたたかい気候で育つ果物をつくっていると思う。

○あたたかい土地に住む人々は,くらしにどのような工夫をしているのだろうか。
・家の周りを石垣で囲んだり,防風林を植えたりしている。
・風通しをよくして,高い気温や湿度に備える工夫をしている。
・沖縄県は,台風の被害が多く,台風に備えた家のつくりがされている。
・水不足に備えて,タンクをつけている。

・伝統的な家だけでなく,現在の家のつくりも気候に合わせてあることに気付くようにする。
・台風や水不足に備えて工夫されていることがつかめるようにする。

(知)沖縄の人々が,気候条件に適応して生活をしていることを考え,具体的に理解している。
(発言・ノート)

○沖縄県では,あたたかい気候をどのように産業に生かしているのだろう。
・気候に合わせたさとうきびやスイカなどの農作物づくりがさかん。
・気候を生かした花づくりがさかん。
・気候の特色を産業に生かしている。

・台風への備えや気候に合わせて作物を工夫して作っていることについて具体的に考えるようにする。
・産業に従事している人の工夫している姿に対して自分のおもいがもてるようにする。

(技)沖縄のあたたかい気候に合わせた産業の様子について調べた結果やおもいをまとめている。
(ノート)
(思)沖縄の人々が,気候条件に適応した産業に工夫して取り組んでいることを考え表現している。
(発言・ノート)

○沖縄県の文化や自然は,どのようにして守られているのだろう。
・沖縄県独特の文化がたくさんある。
・アメリカの軍用基地が多く残されている。
・文化や自然を大切に残そうとしている。

○沖縄県の人々の生活について,分かったことや考えたことをまとめる。

・あたたかい気候や本土からの距離,軍用地の存在など,沖縄の特色を考え,人々の努力や工夫について,考えるようにする。

(思)様々な資料の中から,自分のテーマにふさわしいものを取捨選択し,沖縄の歴史や伝統,現状や将来について,具体的に考え表現している。
(発言・ノート)

○北海道に住む人々は,くらしにどのような工夫をしているのだろうか。

・沖縄と同じように,寒さや雪への備えがある。
・気候に合わせた産業を行っている。
・自然を生かし,文化を大切に守っている。

○日本各地の気候区分について知り,クラスの学習問題について話し合う。

・沖縄をとり上げて調べて分かったことが,北海道やその他の地域においても言えることを確かめることで,クラスの学習問題を解決し,説明できるようにする。

(思)各地域の人々が気候条件に適応して生活していることを具体的に考え,表現している。
(発言・ノート)

気候とわたしたちのくらしや産業は深くかかわっていて,人々は気候に合わせたり,気候の特色を生かしたりしながら工夫してくらしている。

6.本時の学習

①目標
 気候の違いとくらしの関係について自分なりの学習問題をつかみ,学習の見通しをもって追究する。(思考・判断・表現)

②本時の展開

学習活動

支援・留意点 ◇資料

○3つの雨温図は,A~Fのどの都市のものかを予想する。
・ウは,気温が全体的に低いから札幌市ではないかな。
・イは,1年を通して気温が高いから,那覇市だと思う。
・アは,夏は気温が高く,冬は気温
が低いので,京都市ではないかな。

◇2月の気温のようす図
◇札幌市・那覇市・京都市の雨温図
・雨温図の縦軸,横軸が何を表しているかやグラフの見方を説明する。
・予想の根拠をグループで話し合わせることで,南北に長い日本の都市の位置と気温との関係に目を向けることができるようにする。
・予想がしづらい場合は,ヒントとして気候の特徴を伝えるようにする。

(関)気候の違いに関心をもち,進んで調べようとしている。
(行動観察・ノート)

○札幌市と那覇市の写真やイベントのポスターから,どちらも2月の様子であることに気付き,気候条件に特色のある地域であることを確かめる。
・札幌市は,外でスケートができるなんて,やっぱり寒い気候なのだね。
・那覇市は,2月にお花見をしているなんて,あたたかい気候なのだね。
・日本は,南北に長いから,北と南ではこんなにも気候にちがいがあるのだな。

◇2月の札幌市と那覇市の写真
◇2月の本校のホームページ画像
◇札幌雪祭りと那覇桜祭りのポスター
・札幌市と那覇市の写真がどちらも同じ2月の様子であることや雪祭りとお花見という全く季節感の異なるイベントが同時期に行われていることから,気候条件に特色のある北海道と沖縄の人々のくらしに関心をもつことができるようにする。

○台風と大雪の被害について知り,自分の学習問題をつくる。
・台風に備えてどんな対策をしているのか。
・大雪に備えてどんな対策をしているのか。
・きびしい寒さや暑さに対してどんな対策をしているのか。
・寒さを何かに生かしているのではないか。
・あたたかい気候を何かに生かしているのではないか。
・気候のちがいによって人々の生活には,どんなちがいがあるのだろうか。

◇台風と大雪の被害の写真
・台風と大雪の被害について知ることで,その地域でくらす人に目を向けた学習問題をつかむことができるようにする。

○自分の学習問題を交流し,クラスの学習問題をつくる。

(思)気候の違いとくらしの関係について自分なりの学習問題をつかみ,学習の見通しをもって追究している。
(発言・ノート)

気候条件に特色がある地域の人々は,きびしい寒さや暑さ,大雪や台風に対して,どのような工夫をしてくらしているのだろうか。

○予想をノートに書く。
・台風や大雪でこわれないように,家のつくりを工夫していると思う。
・給食に沖縄産のパインゼリーがでるので,あたたかいところで育つ果物をつくっているのではないかな。
・雪祭りのポスターから考えたけど,イベントを行うなど,たくさんの雪を何かに利用していると思う。

・「~するために」「~だから」「~というところから」などの話型を示し,予想にも自分なりの理由や根拠を明確に書かせるようにする。

7.板書計画

豊かな情操を養うことをめざして!

「造形遊び」って何?―最も根源的な表現

 右の2枚の写真は、材料を基にした造形遊びの活動です。上は低学年で、机の上を中心に簡単にできる表現を工夫しています。下は高学年で、水の中での様々な面白さ、美しさを見付ける活動です。子どもたちは発達の段階に応じ、自由に発想し、楽しく活動を進めています。
 特に、低学年における造形遊びは、今後の造形活動の基礎になります。学習指導要領では、A表現(1)に造形遊びという言葉が明記され、具体的な活動として「並べたり、つないだり、積んだりするなど体全体を働かせてつくること」と示されています。造形遊びが求めていることは、子どもが自分の感性に従い、材料に出合い、自分に合った方法を見付けて思いを表現していくことにあります。特に、表現の結果としての作品ができることを求めている訳ではありません。例え技術的な面が不十分でも、自分の思いを表現できる最も根源的な方法なので、造形的な創造活動の基礎づくりに大きな意義があると思います。

「造形遊び」の課題と新しいアイデア

 これまで私は、いろいろな学校で実践された様々な造形遊びを見てきました。多くの活動では、子どもの発想・構想、表現などの面で題材の目標を達成して大きな成果を挙げていると思いますが、同時に、下記のような課題も挙がっています。
(1)多くの先生方は、造形遊びの意義を理論として理解していても、展覧会など発表の場を考えて、必ずしも結果としての作品を求めていない造形遊びの活動より、きちんと作品として残るA表現(2)の題材を重視している傾向があるようです。
(2)様々な要素を盛り込み、体育館や校庭で大掛かりな活動を行った場合、実際に取り組んだ先生方は、下記のような現実的で具体的な問題点を挙げています。

①子どもの安全指導などの管理面を考えた時、他の先生に支援をどのように依頼したらよいだろうか。
②グループ活動の中で個人の評価はどうしたらよいだろうか。
③片付けを考えると、活動時間を十分に確保できるだろうか。
④大量に使う材料や用具の確保、及び活動後はどのように再利用もしくは処分したらよいだろうか。

 これらの課題の解決を目指して、東京都江戸川区立平井西小学校 大道博敏主幹教諭は、学習指導要領のねらいを踏まえて、独自の『机上で簡単にできる造形遊び』を実践しています。発想の転換であり、興味深い取り組みであると考え、紹介いたします。

→「まなびとプラス vol.1」全編は、当サイトの機関誌・教育情報「まなびとプラス」にて公開中です!

「印象派を超えて ゴッホ、スーラからモンドリアンまで」

 本展覧会は、単に点で描かれた作品を紹介するのではなく、「分割主義」という理念に着目しています。スーラは、純粋色の点で描く「分割主義」という手法を考案し、色の組み合わせがもたらす視覚的効果を探求しました。こうして色彩は、何かを再現するための手段であることを超えて、独立した一つの表現へと自立していったのです。純粋色へと「色を分割する」という新たな発想には、20世紀に隆盛する抽象絵画の萌芽が秘められていました。本展は、色という観点で、スーラからゴッホ、そしてモンドリアンまでを検証するという、美術史的にも重要かつ、斬新なコンセプトに基づいています。
 今回の展覧会には、ゴッホがアルルに移った1888年以降の作品も何点か出品されています。中でも最も有名な作品が「種まく人」です。ミレーの「種まく人」にインスピレーションを受けて描かれたこの作品は、厚い絵具で丹念に塗り込められ、色彩の強烈な力にあふれています。
 印象派にせよスーラにせよ、その目的の一つは、光をいかに表現するかにありました。しかしゴッホの場合、光を目に見えるように表現するというよりは、むしろ艶やかな光を放つ絵具そのものの力が前面に押し出されています。
 「種まく人」でも、黄色に緑を散りばめて塗られた太陽と、オレンジ色と青色の絵具を力強く敷き詰めた地面の表現が、ことさら私たちの眼を惹きます。一つ一つ、ぐいぐいと力強く置かれた青とオレンジは、補色の関係にあります。その強烈な効果は、ゴッホの激しい感情のうねりをダイレクトに私たちに伝えています。「種まく人」以外の出品作においても、黄色と青、赤と緑など、補色あるいは補色に近い関係にある色彩の対比が、実に効果的に用いられています。
 ゴッホの絵画は、絵具が放つ艶やかな効果が大きな特徴であり、実物から得られる印象は圧倒的です。

(国立新美術館 主任研究員 長屋光枝)

<展覧会情報>

  • 「印象派を超えて―点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで」
  • 2013年10月4日(金)~12月23日(月・祝) 企画展示室1E

展覧会概要

  • 本展は、純粋色へと色を分割する「分割主義」という理念に着目して、スーラからゴッホ、そしてモンドリアンまでを検証するという、美術史的にも重要で斬新なコンセプトに基づいています。色の力に魅了され、その魅力を伝えようと奮闘した画家たちの作品約90点を通して、色そのものが有する豊穣な世界を追求します。

国立新美術館ico_link

  • 所在地 東京都港区六本木7-22-2
  • TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
  • 休館日 毎週火曜日(祝日又は振替休日に当たる場合は開館し、翌平日休館)/年末年始(2013年12月24日~2014年1月7日)

<次回展覧会予定>

  • 未来を担う美術家たち 16th DOMANI・明日展
  • 2013年12月14日(土)~2014年1月26日(日)
    毎週火曜日および2013年12月24日(火)~2014年1月7日(火) は年末年始メンテナンス休館

その他、詳細は国立新美術館ico_linkでご覧ください。