月別アーカイブ: 2015年2月
[特集]実感の体温
[論説]共通教科「情報」における課題解決学習の留意事項 時任隼平 ほか
- 共通教科「情報」における課題解決学習の留意事項
…時任 隼平 - ゲーム理論 練習帳
—ゲーム理論を体感するための教材—
…大森 武 - 「ドリトル」を使用したプログラミング学習の実践
…津田 健一 - 生徒の興味関心を高め,自尊感情を養うために心がけていること
—勤務校の学校教育計画に対応した実践を通しての気づきから—
…加藤 光 - ドリトルで情報の授業にプログラミングを活用しよう
…兼宗 進 - 第7回全国高等学校情報教育研究会全国大会(埼玉大会)の報告
…春日井 優 - レゴマインドストームで宇宙を目指そう!
—第2回宇宙エレベーターロボット競技会取材報告—
…取材・記録:日本文教出版編集部 - メディアリテラシーを獲得するための情報デザイン(2)
…森棟 隆一 - 器用貧乏の美学
—情報科教員のなすべき役割とは—
奥羽行進曲
2014年12月、新作の漫画が製本されてきました。3作目になります。
私の思いは、震災後の福島の状況を風化させないことだけにあります。残念ながら、震災後の福島の出来事はもう昔のことになりつつあるような感じさえあります。
しかし、私は福島県人として、この活動を続けていく義務があると思っています。そこで、出会ったのが今回の作品です。原作者は、郡山市を拠点として活動を続けている劇団「ユニット ラビッツ」の座長を務める佐藤茂紀さんによるもので、約20分の演劇を見た時、ラストの絵が頭に浮かんできたのです。彼も志を同じく活動しており、私に漫画を描くきっかけを与えてくれた人です。これからも何度かタッグを組んで取り組んでいこうと思っています。
福島の真実!ということではなく、風化させずに、そして希望のある作品にしようと私は常に思っています。
今回の作品も、今までとは違った視点でご覧いただけるのではないかと思います。福島には、まだまだ帰宅できないところがたくさんあります。いろいろな方に福島に関心を持っていただけると助かります。
・読み物プラスVol.01「NOT YET OVER-あどけない瞳に映るもの-」
・学び!トピックス Vol.32「福島の先生が3.11後を漫画に。」
これからの美術鑑賞
先日ある人と鑑賞教育について話していました。私はおおむねこんな話をしました。
「この20年、美術鑑賞をめぐる環境はずいぶん変わりましたね。美術館との連携は特別なことではなくなり、アートゲームや対話によるギャラリートーク、○○型鑑賞、VTSなど、様々な学習方法が話題になりました。特にこの10年は『ずいぶん変化したなあ』という実感があります(※1)。現実的には、いろいろ問題もあるのですが、鑑賞教育は結果的に充実してきたと思います」
そのとき、「では先生、これからどうなるのでしょう?」と質問されました。私は、「ハイブリッドかな…」と答えました。とっさに出た言葉なのですが、本稿ではこのことについて考えてみたいと思います。
ハイブリッドとは、これまでの資源をもとに新しい方法を加えながら複合的に発展するという意味で使った言葉です。まず、これまでの資源、つまり代表的な学習は続きます。国語で考えれば分かりやすいかもしれません。国語の物語文の読解、あるいは作文などは、今も教育現場で実践や研究が続けられています。これからもなくなることはないでしょう。同じように、アートゲームや対話をもとにしたギャラリートークなどは、代表的な方法、いわゆる定番として、これからも実践や研究が行われていくでしょう。
ただ、国語では「物語文だけを読み込むだけ」「説明文だけ」という学習は少数派です。読解したことを新聞にしたり、同じ分野の本を読んだり、様々な指導法を組み合わせるのが一般的になりました。美術も同じとすれば、「一つの作品だけを読み込む」「アートカードだけ」という学習は、少数派になっていくでしょう。それぞれの特徴を生かして、複数の方法を組み合わせた学習が当たり前になってくるかもしれません。そこに、さらに新しく開発された教育方法が加えられていくのではないでしょうか。
その参考になる例を紹介しましょう。東京国立近代美術館の一條学芸員を中心としたグループは、海外の先進的な事例を調査しています(※2)。そこで経験したのは、テーマをもとに学習する方法でした。「アイデンティティ」「ジェンダー」など、テーマやトピックなどを明確にして、それに基づいて作品を選択し、その上で対話や解説、ディスカッションなどを複合させながら進行する方法です。館によっては、その中に簡単な材料を用いて何かつくったり、ゲームをしたりする活動もありました。「テーマ・ベース」「トピック・ファースト」など呼び方はいろいろでしたが、育てたい力を明確にし、テーマにそって最も効果的な手法を組み合わせる鑑賞でした。
美術館自体も美術愛好者だけを対象とするだけでなく、より多層な人々の多様な活動に貢献していこうとしていました。ビジネスマン向けの有料セッションや、アルツハイマーに対するプロジェクトが行われていました。教員の研修がポイント制になっていて、美術館で学習するとそのポイントが得られるというシステムもありました。鑑賞によって子どもの問題解決能力を向上させる研究も行われていました(※3)。日本でも、スポーツ博物館、科学博物館と垣根を越えた実践が広がっていますし、私個人も美術鑑賞の方法論を生かした科学博物館の理科の研究に参加しています(※4)。鑑賞教育は、その方法も、場も、対象も、より「ハイブリッド」になっていくのでしょう。
ここまで読まれて、「あれ?以前からそうではなかったっけ?」と思われる方もいるでしょう。その通りです。美術館は、訳せばMUSEUM、それは博物館、動物園等を含み、法律的に、組織的に、幅広い概念です。昔から多様な層を相手に、様々な鑑賞方法に取り組んできました。企業や学校を対象にした研修会を実施し、ゲーム的な方法を取り入れた子ども向けの美術展が各地で行われています。学校教育でも、昔からいろいろな鑑賞教育に取り組んできました。学校における対話による鑑賞は昭和40年代からありますし(※5)、私自身、昭和50年代に「気候や風土と絵の関係」というテーマ・ベースで日本と西洋の絵を比較鑑賞しています。
おそらく、今回の文章は「何をいまさら」でしょう。でも「美術鑑賞が盛んになってきたがゆえに、本来多様であったものが固定的に見えてしまう」という危惧があるのも事実です。何かの方法だけがベスト、そういうわけではないと思うのです。もっと柔らかに考えて、肩の力を抜けば、今までも、これからも、ずっと鑑賞はハイブリットだと思います。
※1:私自身が、美術館と学校の連携、アートカードの普及、対話によるギャラリートークの推進などに関わっていたので、現場の実践が毎年変化していく様子を肌で感じていた。
※2:科学研究費助成事業基盤(B)「美術館の所蔵作品を活用した鑑賞教育プログラムの開発」(平成24~26年度、研究代表者:一條彰子(東京国立近代美術館)筆者は研究分担者として加わっている。
※3:グッゲンハイム美術館の「Learning Through Art」プログラム
※4:科学研究費助成事業挑戦的萌芽研究「ミュージアム展示を科学的思考力育成の場に変える発問群による教育実践モデルの開発」研究代表者:中山迅(宮崎大学)テート美術館「美術館活用術」の「アートへの扉」を用いた科学博物館における理科学習における発問の構築
※5:上野行一(帝京大学)の調査より
校内展 展示の工夫(全学年)
※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。
展覧会の工夫
展覧会は日常の造形活動を一挙に見ることができる、一つのまとまった鑑賞の場です。表し方の違いや工夫など、様々な表現に興味を持つきっかけとなることでしょう。
また、保護者や地域の方々に、学年に応じた表現の深まりや造形的な力を鑑賞していただける良い機会です。楽しかったことや工夫したこと、そのときに考えたことなど、様々な子どもの活動の様子を読み取ることができます。
展覧会の会場は、体育館になる場合が多いと思います。この広々とした空間での展示となりますから、大きな空間や場所の特徴を生かした展示の工夫が必要になります。会場に全学年の作品を並べるだけでなく、その作品の良さが引き立つような会場をつくりたいものです。会場づくりは、造形遊びなどを生かして、体育館の内外を非日常的な造形空間へと激変させる試みを展開してほしいと思います。
いつもの体育をする空間が、造形的な空間に生まれ変わる過程を子どもたち自身が体感することで、子どもたちはいっそう図画工作科の楽しさを実感することでしょう。
会場をつくる(モモイロウォール)
会場にトイレットペーパーを利用した大きな壁をつくります。
トイレットペーパーは色水で丸ごと染めます。乾いたら,床に敷き詰めて両端をロープに固定します。ロープは,両端を予め天井の梁などを利用して通しておきます。最後に片方のロープから順に引っぱり,天井に引き上げて完成です。
モモイロウォールは大きなインスタレーションとして、インパクトがあります。光の状態により,設置場所や一日の時間帯によっても,印象が刻一刻と変化することを楽しむことができます。単なるトイレットペーパーですが,大量に,しかも形状を変えて展示することで、非日常的な空間に生まれ変わります。
ブラック&ホワイトウォール
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白と黒の半透明ビニルシートにガムテープを使って絵をかきます。ガムテープは白と黒を準備します。はじめに隣のビニルシートをガムテープでくっつけます。絵はぶっつけ本番です。その場でグループごとに話し合って進めていきます。 |
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展示の工夫
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作品を展示する台を自分たちでつくります。段ボールなどの加工しやすいものを利用しています。 |
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段ボールは何個かくっつけたり、単独でつくったりします。使い勝手がよいのは単独の方でした。会場のレイアウトが様々にできて動かしやすいと思います。
色を付けますが,台の役割をしつつ,これだけでも存在感のある作品として仕上げます。ただ,飾る作品の邪魔にならない程度の模様や色などを考える必要があります。
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作品は展示される環境によって,印象が変わります。作品のよさが引き立つ工夫を考えました。 |
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不定形にした発泡スチロールを台にして独立した形で展示します。 |
絵と立体が一緒に展示できる発泡スチロールの展示台をつくりました。絵,半立体的な絵,立体など,様々な組合せで,レイアウトを工夫することができます。
展示会会場(体育館)へ続くアプローチ(1)
大量のフィルムケース(今はもう手に入りませんね)を利用して外から体育館の玄関まで並べたり,積んだりしながらつなげていきます。
体育館玄関の靴箱も造形的な遊びができる場所です。
なんでもない体育館の玄関が,少し表情を帯びてきました。
展示会会場(体育館)へ続くアプローチ(2)
紙は扱いやすい材料なので,加工を工夫すると様々な表情に変わります。紙を使って,天井や床,壁や靴箱など様々な場所に働きかけます。
体育館の入口には靴箱があります。薄暗い場所ならば,LEDライトと紙などを組み合わせると光の空間もつくれます。
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ペットボトルの中にカラーセロハンと水を入れます。LEDライトの上に置くと様々な色に変化する様子を楽しめます。そのまま,太陽光を利用して楽しむこともできます。 |
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展示会会場(体育館)へ続くアプローチ(3)
体育館の入口付近です。靴箱のようなものがありません。そこで,天井と床を利用します。ポリ袋をはさみやカッターナイフで切ったり手で裂いたりした帯状のものを使って,天井と床をつなげます。天井からビニルを様々な方向に伸ばして床に固定します。足りなかったら結んで長くします。
空間ストライプ
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体育館の床にビニルシートを敷き詰めて,ガムテープを使って文字や絵をつくります。 |
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体育館と校舎の間にロープを掛けておきます。そこにビニルシートを固定して,両側から引っ張りあげます。 |
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空間ストライプの出来上り!!間をくぐったりして楽しめます。 |
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裏の方には,木のアクセントがありました。 |
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ムスンダアート
大量のビニルのゴミ袋を,手でしっかりと結びます。結びながら体育館のフロア全体に広げます。結び終わったら,予め天井の梁などを利用して通しておいたロープに結びつけます。そのロープをギャラリーからみんなで引っぱります。すると,フロアで結ばれたビニル袋が空間に浮き上がっていきます。巨大なゴミ袋の塊が空間に留まっている様子は,とても美しく,光によっても様々な表情を見せます。

























































































