my実践事例:中学校 道徳 No.003 “多様な考え方を生かすためのグループ活動(「ふせん」を使った話し合い活動)の実践(第2学年)”を追加しました。
月別アーカイブ: 2020年5月
多様な考え方を生かすためのグループ活動(「ふせん」を使った話し合い活動)の実践(第2学年)
1 はじめに
新学習指導要領では,「多様な感じ方や考えに接する」中で,考えを深め,「判断」し,表現する力などを育むことができるよう「言語活動の充実」が求められています。その際,様々な価値観について「多面的・多角的な視点」から「振り返って考える機会」を設けるとともに,「多様な見方や考え方」に接しながら更に「新しい見方や考え方を生み出していくことができる」ように,言葉を生かした教育の充実が図られなければなりません。
2 言語活動の充実
道徳科の授業では,教材の内容や登場人物の言動などについての授業者の問いに,生徒は自分の体験や経験を振り返りながら自分だったらどうだろうと考えます。そしてそのことを通して,道徳的価値の理解を基に人間としての生き方についての自覚を深めていきます。主人公が置かれている状況を把握するなどの基本発問,道徳的価値に関する本時のねらいに迫るための主発問,生徒の考えを深めるための切り返し・問い返しなどの補助発問を意図的に組み合わせることで,生徒の道徳的思考を深めていきます。
生徒の道徳的思考を深めるため,教材提示の方法,構造的な板書,デジタル機器の活用などの工夫をしてきました。特に道徳的価値に係る主発問については,役割演技を用いたり,ネームプレートや心情円盤・心情メーターなどの意思表現ツールや様々な思考ツールを用いたり,生徒の実態に応じて,ペア・グループ・学級全体で表現する活動を意図的・計画的に取り入れてきました。そして,自分と同じまたは異なる他の生徒の考えに触れ,自分の考えと比較し,多面的・多角的な視点から自分の考えを深め,考えを練り上げていくことを通して自分の生き方についての考えが深められるよう指導方法の工夫をしてきました。
自分の考えや思いを明確にさせるために,ワークシートや道徳ノートなどへ書く活動を取り入れてきました。自分自身の感じ方や考え方を言語化することにより,自ら考えたり見直したりしていることを明確にすることにつながります。自分の考えや思いをうまく表現できず,すぐには書けなくても,自分はどう考えるかと思い巡らすことが大切です。その後,他の生徒の考えに触れることで,再考し,自分の考えや思いがだんだんと明確になっていきます。
3 「ふせん」を使った話し合い活動
グループでの話し合い活動を充実させるための手段として,「ふせん」を使った話し合い活動の実践を紹介します。「ふせん」は書くスペースが少なく,短文や語句を記入する活動に適しています。そのため,文章を書くことが苦手な生徒でも記入しやすくなります。さらに,「ふせん」に記入した短文や語句を基に話し合い活動を行わせることでメモを見ながら文章で説明できる力を育成することにもつながります。
話し合い活動は【話し合いの進め方】に従って進めていきます。
【話し合いの進め方】
マグネットを用い,今,自分は①~④のどの活動をすべきか視覚支援によって明確にさせます。そして,生徒の話し合いのようすを観察しながら,時間配分と活動を指示します。日頃からタイマーを活用するなど時間管理の習慣化を図っておきます。そうすることで,合図とともに活動を始め,タイマーの音で次の活動へ移るという思考の切り替えが可能になります。このとき,③④に時間をとり,話し合いをしっかりと深めさせます。
4 実践例
『「自分」ってなんだろう』(中学道徳 あすを生きる2 日本文教出版)
人それぞれよさがあり,その発見と自己受容・自己理解に努め,自分らしさを発揮しようとする実践意欲と態度を育てる。【内容項目A-(3)向上心,個性の伸長】
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学習活動(主な発問と予想される生徒の心の動き) |
指導上の留意点 |
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導 |
1 事前アンケートを発表する。 |
・自分の外にあるものが多いことに気付かせる。 |
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展 |
2 『「自分」ってなんだろう』を提示する。 |
・「自信は得るもの?」を中心教材として扱う。 |
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展 |
3 自分が「宝石になる」ために大切にしたいことを考える。 |
・まず,自分の考えを道徳ノートに書かせる。 |
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【話し合いの進め方】 |
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展 |
○発問③「自分のよさを知ることで、これからの自分がどう変わっていきそうか、考えてみよう。」 |
・道徳ノートに書かせる。 |
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終 |
4 教師の説話を聞く。 |
5 まとめ
「ふせん」を使った話し合い活動は,あくまでも手段であり,活動自体が目的にならないようにしなければなりません。そのためにも,ねらいや生徒の実態、教材や学習過程に応じて発問を工夫する必要があります。また,話し合い活動の具体的な目的を理解させておくことが大切です。
授業での生徒は,視覚的に「ふせん」を動かす活動をすることで,話し合い活動が活発になり,自分の考えや思いを伝えることだけでなく,他の生徒の考えを聞き,伝え合うようすが見られました。
令和3年度版 中学校教科書のご案内:数学「日文統計ツール『NiStaT(ニースタット)』」追加
「令和3年度版 中学校教科書のご案内」特設サイト:「数学」に教師用指導書付録「日文統計ツール『NiStaT(ニースタット)』」案内ページ・体験版
を追加しました。
機関誌・教育情報:「その他の教育資料」No.42
機関誌・教育情報:「その他の教育資料」No.42 “中学社会とSDGs” を追加しました。
中学社会とSDGs
中学校 美術:「みんなの美術室」の「知ろう みんなの作品」に作品追加
中学校 美術:「みんなの美術室」の「知ろう みんなの作品」の「想像をもとにした絵や彫刻」「風景をもとにした絵や彫刻」「人物をもとにした絵や彫刻」「伝えるデザインや工芸」に作品を追加しました。「臨時休業期間における児童生徒用コンテンツの紹介」からもご覧いただけます。
小学校 生活:「生き活きうぃーくる」第67回
小学校 生活 ブログ:「子どもがかわる 授業がかわる『生き活きうぃーくる』」第67回
を追加しました。
高等学校 美術/工芸:内容解説資料「令和3年度版 内容解説資料(パンフレット)『高校生の美術シリーズ』のご紹介」「令和3年度版 内容解説資料(別冊)」追加
高等学校 美術/工芸:「高校生の美術1」、「高校生の美術2」、「高校生の美術3」の内容解説資料に「令和3年度版 内容解説資料(パンフレット)『高校生の美術シリーズ』のご紹介」を追加、すべての教科書の内容解説資料に「令和3年度版 内容解説資料(別冊)」を追加しました。
Webマガジンまなびと:「学び!と共生社会」Vol.04
Webマガジン:「学び!と共生社会」Vol.04 “カリキュラム・マネジメントとインクルーシブ教育”を追加しました。
カリキュラム・マネジメントとインクルーシブ教育
新学習指導要領には、カリキュラム・マネジメントという用語が登場しました。
新学習指導要領では、学びの主体が子どもであることを明確にした上で、「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」の3つの資質・能力をバランスよく育むことを求めています。これらを実現するためには、教育課程の編成や実施に力を注ぐだけでなく、それを評価し改善していくことが一層大切になります。これを具現化するものとして「カリキュラム・マネジメント」が必要ということになります。また、教科横断的に教育課程全体で取り組むという点からも「カリキュラム・マネジメント」は重要な意味を持っています。天笠氏は、「教科を超えて,教科と教科がつながりながら,あるいは,互いに教科と教科が連携しながら目指す資質・能力をより育てていくのだという,こういうところに願いを込めて,カリキュラム・マネジメントという言葉に託して提起されている」と述べています(*1)。
現代の学校には教科横断的に取り組んでいかなければいけない課題がたくさんあります。インクルーシブ教育システムの構築は、教科横断的な課題も含めてすべての学校教育活動に通底する課題の一つだといえます。新小学校学習指導要領解説(第3章2(1)①)には次のような記述が認められます。
「『障害者の権利に関する条約』に掲げられている教育の理念の実現に向けて,障害のある児童の就学先決定の仕組みの改正なども踏まえ,通常の学級にも,障害のある児童のみならず,教育上特別の支援を必要とする児童が在籍している可能性があることを前提に,全ての教職員が特別支援教育の目的や意義について十分に理解することが不可欠である。そこで,今回の改訂では,特別支援教育に関する教育課程編成の基本的な考え方や個に応じた指導を充実させるための教育課程実施上の留意事項などが一体的に分かるよう,学習指導要領の示し方について充実を図ることとした。」
新学習指導要領の総則「第4児童の発達の支援」に、「ア 障害のある児童〔生徒〕などについては、特別支援学校等の助言又は援助を活用しつつ、個々の児童〔生徒〕の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を組織的かつ計画的に行うものとする。」として、特別支援学校学習指導要領に示されている自立活動、個別の教育支援計画、個別の指導計画の活用なども扱われています。さらに、各教科の学習指導要領解説には、それぞれに応じた具体的な配慮の例も紹介されています(*2)。
こうした配慮は、教科毎に他とは無関係に行われたり、指導者によって対応が異なったりたりすることは望ましいことではありません。したがって、インクルーシブ教育システムの構築の推進に際しては、どの課題にも増して、カリキュラム・マネジメントの視点から組織的に取り組んでいくことが大事だということになります。
具体的には、
- 学校の教育目標を踏まえた教科横断的な視点で「インクルーシブ教育システムの構築」が含まれているか。
- 組織配列した教育内容の中に「インクルーシブ教育システム構築」の要素が含まれているか。
- 教育課程の編成、実施、評価、改善という一連のPDCAサイクルの中に「インクルーシブ教育システム」への配慮がなされているか。
- 外部の資源も含めた人的・物的資源の活用、教材・教具・施設・設備に関しても「インクルーシブ教育システムの構築」への対応が含まれているか。
こうした観点から常に教育課程の見直しを行うことにより、障害を含めて様々なニーズのある児童生徒の一人一人に対する支援の「質」の一層の充実が図られ、個人の価値を尊重する態度や自他の敬愛と協力を重んずるといった態度の育成も促進されていくことが期待されます。
*1:平成30年度国立教育政策研究所公開シンポジウム「資質・能力の育成に向けたカリキュラム・マネジメントの推進」
http://www.nier.go.jp/06_jigyou/symposium/sympo_h30/pdf/report_20190116.pdf
*2:教科等での配慮を整理したものについては、例えば国立特別支援教育研究所のサイトなどで確認することができます。
http://www.nise.go.jp/nc/wysiwyg/file/download/1/2369
