「店ではたらく人びとの仕事」(第3学年)

1.単元名

「店ではたらく人びとの仕事」(第3学年)

2.目標

 スーパーマーケットの見学などを通して、販売の仕事の特色や商品を通じた他地域とのつながり、販売に携わる人々の工夫について考える。また、販売の工夫と消費者の願いとのかかわりについて考え、販売に関する仕事が、自分たちの日々の生活を支えていることを理解する。

3.評価規準

知識・技能
○販売に携わる人々が、消費者の願いにこたえるために、様々な工夫をしていることを理解している。
○見学したり、資料を活用したりして、販売の仕事の特色について読み取っている。

思考・判断・表現
○見学や資料の情報をもとに、販売に携わる人々の工夫や努力を、整理したり分類したりしている。
○販売の工夫と消費者の願いのかかわりについて考え、ノートに適切に表現している。

主体的に学習に取り組む態度
○スーパーマーケットの仕事について関心をもち、予想や学習計画を立てたり、学習を振り返ったり見直したりして、学習問題を追究し、解決しようとしている。
○自分たちの生活とのかかわりを考えようとしている。

4.本単元の指導にあたって

 本単元の指導にあたっては、次の三つのことを行っていく。
 一つ目は、導入として買い物調べを行わず、駐車場や売り場の工夫を取り上げ、それをもとに学習問題を作成する。買い物調べを行わない理由としては、家庭環境への配慮や、共働きの増加により、スーパーマーケットで買い物をする機会が減ってきていることなどが挙げられる。多くの車が駐車されている開店後の駐車場の様子や、混雑するレジ前、レジが十箇所以上も用意されている様子から、スーパーマーケットには多くの人が買い物に来ていることをつかませ、学習問題へとつなげる。
 二つ目は、「消費者の需要を踏まえて売り上げを高めるよう工夫していること」が理解できるよう、スーパーマーケットの様々な取り組みを取り上げる。例えば、ネットスーパーや買い物代行サービスなどの多様な購買形態の他、スマートショッピングカートやドライブスルーでの買い物など、最新の取り組みも取り上げていきたい。また、多くのスーパーマーケットではSDGsに対する取り組みを積極的に行っているため、それらにも触れていきたい。
 三つ目は、消費者の願いと販売する側の工夫を、KJ法等の思考ツールを活用することで、関連付けてまとめる。消費者の願いに対し、販売する側の工夫のどれが対応するのかを考えさせる。それによって、消費者の願いに店がこたえることで、自分たちの生活が支えられていることを理解させたい。

5.単元の指導計画

学習のねらい

子どもの活動と内容

評価規準の具体例

1
本時

来客数の多さや店内の工夫から、学習問題をつくることができる。

◆スーパーマーケットについて気付いたことを話し合おう。
○開店前の駐車場の写真を見て、気付いたことを話し合う。
!すごく広い駐車場だ。
?なんでこんなに広いのかな。
○開店後の駐車場と店内(レジ前)の写真を見て、気付いたことを話し合う。
!車がたくさんとまっている。
!たくさんのお客さんが来ているみたい。
○店内の写真(野菜売場)を見て、気付いたことを話し合う。
!同じ場所なのに売っているものが違う。
?他にも何か工夫があるのかな。
○店長さんの話から、学習問題を設定する。

学習問題
スーパーマーケットでは、たくさんの人に来てもらうために、どのような作戦を立てているのだろう。

【主体的】
スーパーマーケットに関心をもち、予想や学習計画を立てたり、学習を振り返ったり見直したりして、学習問題を追究し、解決しようとしている。
(発言・ノート)
【思・判・表】
スーパーマーケットの様子から学習問題を見出すことができている。
(ノート)

2

予想をもとに、調べる計画を立てることができる。

◆店内見取り図をもとに、学習の計画を立てよう。
○店内の全体図から予想を立てる。
○予想をもとに、調べる視点(安さ、品揃え、新鮮さ、便利さ、店外など)を整理する。

【思・判・表】
学習問題に対する予想を立て、学習計画を考えることができている。
(発言・ノート)

3
4

スーパーマーケットを見学し、店内や商品の様子、仕事の様子や内容を調べる。

◆スーパーマーケットの作戦を見つけよう。
○スーパーマーケットを見学する。
!同じ野菜でも売られ方が違う。(商品の様子)
!照明の色が違う。(売り場の様子)
○店員さんにインタビューする。
?うれしいことは何ですか。
?どうして~になっているのですか。

【知・技】
見学を通して、スーパーマーケットの工夫について調べることができている。
(見学メモ)

5

見学してわかったことをもとに、スーパーマーケットで働く人々の工夫や努力を整理することができる。

◆見学でわかったスーパーマーケットの工夫をまとめよう。
○見学で気付いたことを「作戦カード」にそれぞれまとめる。
!肉や魚をお店で調理作戦。
!お掃除ピカピカ作戦。
!旬のもの売り出し作戦。

【思・判・表】
見学で集めた情報をもとに、店側の工夫や努力を整理している。
(作戦カード)

6

スーパーマーケットで働く人々の工夫や努力を、分類し、まとめることができる。

◆スーパーマーケットの作戦について、わかったことを整理しよう。
○前時にまとめたカードをもとに、作戦を分類する。
!「新鮮さ」の作戦がたくさんある。
!お客さんに来てもらうために、たくさん工夫している。

【思・判・表】
まとめた情報をもとに、店側の工夫や努力を分類している。
(発言・ノート)

7

豊富な品揃えは、国内各地や外国の商品が仕入れられることで実現していることを理解することができる。

◆チラシや店内の写真を見て、店の商品はどこから来ているのか調べよう。
○肉や魚、野菜の産地を調べ、白地図にまとめる。
!地元の野菜が売っている。
!日本全国から運ばれてきている。
!外国からも運ばれてきている。
○店長の話から、様々な産地から仕入れる意味を考える。
!たくさんの種類を売りたい。
!安く、おいしいものを売りたい。

【知・技】
国内や外国の各地から商品が仕入れられることで、豊富な品揃えになっていることを理解している。
(発言・ノート・白地図)

8

売り上げを伸ばすために様々な取り組みを行っていることを理解することができる。

◆売り上げを伸ばすために、どのような新しい取り組みを進めているのだろう。
○写真や資料から取り組みを調べる。
!多くの店がネットスーパーを展開している。
!買い物代行サービスがある。
!高齢者などのために、送迎バスを出している。
!ドライブスルーで買い物できる。

【知・技】
売り上げを伸ばしたり、高齢者等を支援したりするために、様々な取り組みをしていることを理解している。
(発言・ノート)

9

消費者の話を聞き、どのようなことを願って買い物をしているのか理解することができる。

◆消費者はどのようなことを願って買い物をしているのだろう。
○家族から聞いてきた情報を交流しよう。
!安く買えるのがうれしいみたい。
!新鮮なものがほしいみたい。
!捨てるものがないように、買う量に気をつけているみたい。

【知・技】
消費者は様々な願いをもって買い物をしていることを理解している。
(発言・ノート)

10

学習問題に対する自分の考えをまとめる。

◆お店の作戦と消費者の願いを関連付けてまとめ、学習問題に対する自分の考えをまとめよう。
○消費者の願いやスーパーマーケットの工夫をふり返る。
!新鮮なものが買えるように、旬のもの作戦や地元の野菜作戦があるよ。
!必要な量が買えるようにカット野菜作戦があるよ。

【思・判・表】
店側の工夫と消費者の願いを関連付けてまとめている。
(発言・ノート)

11

学習問題に対する自分の考えをまとめる。

◆わかったことをもとにして、お礼の手紙を書こう。
○店長さんに、お礼の手紙を書こう。
!お客さんのことを考えて、工夫していることがわかった。

【思・判・表】
わかったことをもとにしながら、お礼の手紙にまとめている。
(手紙)

6.本時の学習(1/11時)

①目標
○スーパーマーケットの来客数の多さや店内の工夫から、学習問題をつくることができる。

②学習展開

○主な学習活動
・内容(予想される児童の反応)

◆指導の工夫と教師の支援

資料

○野菜がほしくなったとき、どこで手に入れるかを話し合い、めあてを設定する。
・八百屋 ・スーパーマーケット
・直売所 ・コンビニエンスストア

スーパーマーケットについて気付いたことを話し合い、学習問題をつくろう。

◆スーパーマーケットに限らず、コンビニエンスストアやドラッグストアなど、目的に応じて買い物場所の使い分けがされていることも知らせる。
◆多くの場合はスーパーマーケットで購入されていることを押さえ、めあてを設定する。

○開店前の駐車場の写真を見て、気付いたことを話し合う。
・すごく広い駐車場だ。
・なんでこんなに広いのかな。

◆広大な敷地が駐車場として利用されていることに気付くことができるようにする。

◎開店前の駐車場の写真

○開店後の駐車場と店内(レジ前)の写真を見て、気付いたことを話し合う。
・車がたくさんとまっている。
・たくさんのお客さんが来ているみたい。

◆多くの車が駐車場にとめられていることに気付くことができるようにする。

◎開店後の駐車場の写真
◎レジ前の混雑の様子がわかる写真

○四季による野菜売場の違いから、気付いたことを話し合う。
・同じ場所なのに季節によって売っているものが違う。
・旬のものが売られているのかな。
・他にも何か工夫があるのかな

◆陳列の工夫に気付くことができるようにする。

◎店内の写真(4枚)
(四季による違いがわかるもの)

○店長さんの話から、学習問題を設定する。

学習問題
スーパーマーケットでは、たくさんの人に来てもらうために、どのような作戦を立てているのだろう。

○学習のふり返りを書く。
・スーパーマーケットがどのような作戦を立てているのか知りたい。

◆売り場の工夫について話してもらい、なぜ旬のものを売り出しているのかなどの疑問がもてるようにする。

◎店長さんの話

7.資料

▲開店前のスーパーマーケットの駐車場況▲開店後のスーパーマーケットの駐車場

Webマガジンまなびと:「学び!とESD」Vol.25

Webマガジン:「学び!とESD」Vol.25 “ESDと気候変動教育(その8) 気候変動アクションに挑む日本の先生たち”を追加しました。

ESDと気候変動教育(その8) 気候変動アクションに挑む日本の先生たち

気候変動を教えたい、でもどうやって…?

 気候危機が深刻化するにつれ、教育への期待が世界的に高まりを見せています。日本でも2021年6月2日には文部科学省総合教育政策局長・同省書中教育局長及び環境省総合環境政策統括官の連名による「気候変動問題をはじめとした地球環境問題に関する教育の充実について」が全国の教育委員会に通知され、脱炭素社会の実現に向けて気候変動をはじめとした「地球環境問題」に学校が本格的に取り組むことが喫緊の課題として共有されるに至りました。
 しかし、地球温暖化が深刻化する中、気候変動のような地球規模課題にいかにして教師が日常で挑むかについては各国共通の課題と言えます。前号(「学び!とESD」Vol.24)でも取り上げた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)でユネスコが公表した気候変動教育の現状と課題を示した報告書『すべての学校を気候変動に備えさせる:各国はいかに気候変動問題を教育に統合しているか』(Getting Every School Climate-ready: How Countries Are Integrating Climate Change Issues in Education)によれば、95%の教師が気候変動を教えることの重要性を認めているものの、それを教えることに自信がある教師は4割に満たないこと、また約4割が気候変動を知識として教えられると考える一方で、いかにアクションを起こすべきかを説明できる教師は5分の1ほどであることが明らかになっています(UNESCO, 2021)。

地球規模課題に挑む日本の先生たち

 上記のような課題に挑むべく、日本を含めた世界中の教師たちが気候変動に対して教室や学校全体でアクションを起こすことに2021年の7月から11月までチャレンジしました。以下に、現場の先生による現場の先生のためのデジタル・プラットフォームを国境を越えて形成した「気候アクションのための教育(Teaching for Climate Action)」事業について紹介します。
 これはCOP26に合わせて立ち上げた国際事業で、世界中の教師が自作のビデオ作品を国際的に共有し、気候変動教育の必要性と可能性を示した事業でした。主催団体は、OECD、UNESCO、世界最大級の教員ネットワークであるエデュケーション・インターナショナルの3組織です。
 この事業の立ち上げ時に、筆者は日本国内の先生たちを応援し、各国の動画を評価し、国際イベントで知見を共有する役割を担うようにOECD事務局から依頼され、まずは日本の教師たちに参加を呼びかけました。結果、表1の10人の先生から参加の意向が表明され、日本からは7本の動画がOECD事務局に届けられ、英語のキャプションが付されて世界に向けて公開されました。

教師

実践校

ビデオ表題

山藤旅聞、
山本崇雄

新渡戸文化中学校・高等学校

Equipping Students to Build a Stronger and Sustainable Future

鈴木陽子、
花川智子、
松本恭子

東京都目黒区立五本木小学校

Helping Students Connect with the Earth and Find Beauty in Soil

棚橋乾

東京都多摩市立連光寺小学校

Finding Innovative Climate Solutions through Experimentation

平澤香織

横浜市立東高等学校

Teaching for Climate Action beyond Classroom Walls

藤野明彦

東京都立上水高等学校、
東京都立杉並総合高等学校

Building Collaboration and Partnerships for Climate Action

前園兼作

横浜市立日枝小学校

Exploring the Local Environment to Nurture Appreciation for Nature

茂木正浩

東京都大田区立相生小学校

School Cleaning Initiative Using Traditional Methods

表1 「気候アクションのための教育」事業に挑んだ日本の教師と学校

 作品を見ると、気候変動教育とひとことで言っても、アクションの内容は実に多様です。太陽光やヤギの糞等を基にした多様な自然エネルギーを作り、駅前のイルミネーションを灯したアクション、土(アース)をテーマに美術作品を制作し地球(アース)について子どもたちと深く思考し表現したアクション、化粧品のパッケージ・デザインを高校生が考えて地元の企業と協働したアクションなど、実にさまざまでした(図1参照)。

図1 気候アクションの領域
出典:筆者作成

 具体的には、温暖化の問題解決につながるような学校活動をビデオに撮り、5分程度のビデオ作品に仕上げて共有することにより、気候変動の時代においても希望の営みを創っていくことが目指される国際事業です。参加者は母語で収録し、OECDが英語のテロップをビデオに付けてくれました。
 上記のようにアクションは多様性に富んでいますが、大半のアクションに共通しているのは、いずれも未来世代が主体であること、子どもたちが知識及び情動面で深く学んでいること、地球規模課題と自分とがつながっている実感を持てていること、地球規模課題の深刻さは認識している一方で仲間との共同作業を通して希望がもたらされていることなどが挙げられます。
 いわばCOP26の前哨戦(プレイベント)として3回にわたり、各国の優れた気候アクションをオンラインで紹介する「カンバセーション」というイベントが開かれたのですが、日本からは棚橋乾先生の多摩市立連光寺小学校での実践が選ばれ、日本発の気候アクションの知恵が世界中の先生に届けられました。さらにCOP26期間中に開かれた教育セッションでは、今回集められた秀逸な実践動画がさらに編集されて流され、多くの反響を呼んでいました。その中には横浜市立日枝小学校の前園兼作先生の作成した動画が世界中の先生方をエンパワーする作品として共有されました。
 いつの間にか希望を語りづらくなった時代と言われますが、ともすれば地球規模課題に無力感を感じてしまう教師および生徒が、自分たちのライフスタイルや衣食住に関するアクションを通して共に変容を遂げていることの意義は決して少なくないと言えましょう。

世界中の気候アクションに関するビデオが紹介されているプラットフォーム
出典:Global Teaching Insights(OECD)ホームページ

【参考文献・URL】
UNESCO(2021)Getting Every School Climate-ready: How Countries Are Integrating Climate Change Issues in Education.

令和4年度新版 高等学校教科書「高校生の美術1」:通信制向け課題レポート追加、題材の目標と評価規準(例)更新

高等学校 美術/工芸:令和4年度新版教科書「高校生の美術1」の資料ダウンロードに「通信制向け課題レポート」を追加、「題材の目標と評価規準(例)」を最新版に更新しました。

「全生徒の意見を授業に絡めるための手立て」~生徒の意志表示を明確化する工夫~(第2学年)

1 はじめに

 2019年度より教科化された特別の教科道徳。新学習指導要領の改訂後、教育現場では多様で効果的な道徳教育の指導方法を目指した改善が求められ、生徒たちが個々の良さを伸ばしながら成長を促すことができる授業の実践を行ってきている。教育基本法に定められた教育の根本精神に基づき、「主体的な判断の下に行動し、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養う」ことを目的とした授業展開、1単位時間の授業の中での即時的な評価は、心身の成長の著しい中学生にとって大変意義深いものである。
 しかし、中学1年から3年間で習熟する生徒の能力は、当然個々によって程度は異なり、道徳的価値の理解についても例外ではない。また、各学級において、様々な特性をもつ生徒が多数在籍することを考えると、指導方法や発問、生徒への声掛けも一様に凝り固まったものであると、生徒の授業参画の意識や自我関与の気持ちが薄れ理解は進まないことが考えられる。
 本実践は、自分の意志を明確に示すことで授業へ参加すること、そこを入口にして、道徳的価値の理解を深められるような授業展開を工夫した一例・提案である。多面的・多角的な視点から考えるためにも、生徒は他者の意見から学ぶことが必要であり、学級全員が意欲的に学ぶことができるよう配慮することが望ましい。

2 本実践の重点項目

 道徳科の授業における自ら学び深める学習姿勢は、中学生として望ましい姿であり、道徳的価値の理解を進めるには何より重要な要素であると考える。道徳科の授業に限ったことではないが、それが授業の終末に顕著に表れる教科である。よって、以下に示す①~③に重点を置き、授業展開を考える。

 自分の意志を的確に伝えることができる語彙力の向上(思いを言葉で伝える場面設定)

 簡易的・瞬発的に意志表示できるツールの工夫(ICTを含めた様々なツールの活用)

 他者に認められる、受け入れられる学習環境の整備(少人数での話合い活動)

 また、②・③に関連して、(1)誠実さについての事前アンケート、(2)簡易意志表示カード、(3)少人数での話合い活動を授業展開の中で取り入れ、自分から主体的に内容にかかわるための手立てや工夫を行うこととする。

アンケート結果

簡易意志表示カード(○・△・×)話合い活動時に各々の付箋を貼る用紙

3 教材について

 将棋や囲碁は、対局者の一方が自分の負けを宣言することで終局となり、対局者双方の自主性・自律性が不可欠なゲームである。この教材は、ネット将棋で負けを認められず、不誠実な行動をしてしまう主人公「僕」が、友人の言葉を聞いて、誠実に自らの行動に責任をもって行動するとはどういうことかを考え始めるという教材である。登場人物の言動をとおして、誠実の意味を考えさせたい。

4 実践例

(1)教材名
「ネット将棋」(中学道徳 あすを生きる2 日本文教出版)

(2)主題名
誠実で責任ある言動【内容項目A-(1)自主、自律、自由と責任】

(3)本時のねらい
 誠実に行動することの大切さを理解し、自主的に行動して、その結果に責任をもとうとする態度を育む。

(4)展開例

学習活動(○主な発問 ・予想される生徒の反応)

◇指導上の留意点 ☆評価


1 自分や他者の誠実さについての考えを知る。

2 本時の課題を提示する。
[誠実で責任のある行動をするために]

◇誠実さに関するアンケートを実施し、PowerPointでグラフ化したものを提示する。


3 教材を通読する。

4 “僕”の気持ちから考える。

教材に関する発問

◇様々な特性の生徒がいることを考慮し、読みの速度に配慮する。

○「技量が上の相手には、やはり勝つことができず、おもしろくない。」という“僕”の気持ちに共感できるか。
【共感できる】
・ネットゲーム等で自分も経験した。
・勝つことが1番。
【共感できない】
・負けても何か成果はある。
・次に勝つ方法を考えることも面白い。

◇“簡易意志表示カード”を活用し、自分の意見を容易に示すことができるよう工夫し、深化を目指す。

○最後の場面で、「僕は笑えなかった。」のは、なぜだろう。
・自分が言い訳していることに気付いたから。
・「負けました」という言葉や挨拶の意味を考えたことがなかったから。
・自分のことを言っていると思ったから。

◇“僕”の心情を考えることで、次の課題に向かいやすいよう配慮する。

5 “僕”と敏和の違いから考える。

話合いにより深める発問(3~4人組の少人数)

○“僕”と“敏和”を比べたとき、2人の間にあるのはどのような気持ちや考えの違いだろう。
・素直に負けを認める気持ち
・対戦の内容全てから学ぼうとすること
・自分の行動に責任を持つ誠実さ
・自分に負けないことの大切さ

◇個人で意見を整理し、それに基づいて話合い活動をさせる。もし、机間指導中に話合いが滞っている班があれば、助言や切り返しの問いを投げかける。
◇話合い後、他者の意見から気付いたこと等を基に、もう一度自分の考えを振り返る。

6 “僕”の心情の変化を推し図り、そこで学んだことから考える。

自己内省させる発問

○よりよく生きるためには、どう“誠実”に生きていけばいいだろう。
(“僕”や“敏和”をはじめとする登場人物の言動から考える。)
・自分自身の気持ちに正直に生きること。
・状況に応じて、相手に誠意を示すこと。
・勝ちも負けも酸いも甘いも受け入れ、その時々の自分ときちんと向き合うこと。
・誠意をもって人と接し、責任を自覚した行動をすること。

◇実際に「○○をする」という行動の面での考えでも良いということを伝え、その意図が分かるよう理由も書かせる。
◇学校生活や社会の中では、自分は集団の中の個(1人)であるということも意識させたい。
☆課題解決のために、今までの自分を振り返って考えることで、今後の生活において自分の言葉や行為に責任をもち、誠実な行動をしようという気持ちをもつことができたか。


7 本時の振り返り(感想)と自己評価をする。

◇なるべくまとまった時間をとり、本時の学びを個人の中でじっくりとまとめさせる。
☆多様な価値観に触れることを通して、ものの見方や考え方を広げ深めることができたか。

(5)板書例

6 まとめ

 日頃の授業実践から、様々な生徒の特性に応じて、授業のスタイルや展開に多様性の必要性を感じている。教科化の背景にあるいじめ問題についても考えなければいけないことを考慮すると、やはり、世の中の大半の物事を自分事として捉え、他者と協働しながらよりよい選択をすることが望ましいと考える。そのためには、義務教育最後の3年間を主体的に道徳科の授業に取り組むことで得られるものを糧として、日常生活から学ぶ広い視点を養うこともまた重要である。本実践が、そのための一助となれば幸いである。