何のためのプロジェクトだったのか?

1.「生徒国際イノベーションフォーラム2020」に向けて

図1 ISN(地方創生イノベーションスクール)の研究会の様子 2019年12月、OECD日本イノベーション教育ネットワーク(ISN)に加入している各地の高校生たちが、とある高校に集まりました。定例の研究会の開催と、翌年に予定されている「生徒国際イノベーションフォーラム2020」の実行委員会を結成するためです。すでに開催地の候補も挙がっており、海外から高校生や先生方を招くための会場をこれから決めていきます。
図2 ISN研究会の討論のテーマ 2017年に開催した第1期の「フォーラム」(Vol.28 生徒国際イノベーションフォーラム① を参照)は、生徒自身による「生徒共同宣言 Our Voice in 2017」(Vol.30 生徒国際イノベーションフォーラム③ を参照)を最終目標に設定して、学びを展開しました。それに対して、第2期は、加盟高校が増えたものの、ここまでの取組で「プロジェクト学習の学校への拡大」をめざして、高校生と大人とで研究会を重ねてきましたが、何のための「プロジェクト学習」なのか、全体として何をめざすのか、拡散していました。よって成果発表の中身らしき中身が見当たらず、この「フォーラム」を組み立てながら、中身をつくっていくしかありませんでした。震災からの復興を目的とした「OECD東北スクール」、そこからの学びを全国に広げようとした「地方創生イノベーションスクール2030(第1期)」、そしてその学びをさらに学校に落とし込もうと始めた「地方創生イノベーションスクール2030(第2期)」でしたが、震災からすでに8年も経っており、プロジェクト全体が目的を見失っていたと言わざるを得ません。

2.OECD東北スクールのスピリット

 協力をいただいているOECDの教育スキル局からアナリストが来ており、その場で、大人のコアメンバーで意見交換をしました。「プロジェクトを通して、生徒がどのように成長したのかわからない」「プロジェクトとは無関係に、立派な実践をしている有名高校を集めても意味がない」「本当に必要なのは、地方の、様々な課題を抱えている当たり前の高校が参考になるような実践」「立派な実践のショーケースのようなものだったら、OECDは興味がない」、そして「東北スクールのスピリットがなくなってしまったのではないか?」と、これまで計画通りに進めてきたプロジェクトの、根底を揺さぶるような鋭い意見が出されました。確かに、知らず知らずのうちに、最終的に立派なものを並べればいいという、成果主義・形式主義に陥っていたことを痛感しました。
図3 生徒の言葉がヒントに 「どんな小さな実践でもいい、本当に困っている生徒や教師が一緒になって、課題を解決し、それによって双方が成長した、そんな実践を期待している」と言われ、教育実践の原点に返った思いがしました。私たちの代表の鈴木寬先生は、よく「大人はすぐに立派な形にしたがる、その実はみんな「板挟み」にあい「想定外」で苦労している。その苦労そのものが21世紀の学習だ」と言います。まさにその「板挟み」や「想定外」を乗り越える体験と知恵が必要だったのです。OECDラーニングコンパス(Vol.23 Education 2030と新しいコンピテンシーの定義② 参照)で言えば「変革を起こす力」の中の「対立やジレンマに対処する力(Reconciling tensions & dilemmas)」「責任ある行動をとる力(Taking responsibility)」に該当します。

3.「未来の学校」を考える

図4 OECDのBetter Life Index 後にとても重要になる それでは、何をめざして来年の「フォーラム」を組み立てるか? 参加していた一人の生徒が「未来の学校について、みんなで意見を述べ合うというのはダメですか?」と言ってきました。OECD東北スクールの「生徒大人合同熟議」では「2030年の学校」をテーマに議論しました。また、第1期の「フォーラム」で「共同宣言」をつくりましたが、具体的なアクションにまで至っていません。「それはとても面白いんじゃないか!」ということになり、曖昧ではありますが、漠然とした方向性が見えてきました。
 未来の教育、それも行政や大人ではない、生徒自らが学校や教育のあり方を考えることがとても新鮮で、本質的です。
図5 ISNの研究会はいつも生徒と大人がフラットに議論 終わりの挨拶で次のように述べました。「これから、来年の8月に向けて生徒国際イノベーションフォーラム2020をつくっていきます。世界の学校は様々な問題を抱えており、生徒も先生も苦労しています。OECD東北スクールが大震災からの復興をめざして、生徒と大人が協力して進めたように、これから学校や教育の問題をどうしたら解決できるのか、みんなで考え、どんな小さなことでもいいから実践してみましょう。8月までに立派な実践などしなくてもいい、中途半端でも、問題解決の糸口になればそれで構いません。ここから再起動です!」

 しかしちょうど同じ頃、海の彼方中国から始まった「暗い影」が見る見るうちに世界を覆い始め、私たちのプロジェクトも大きな影響を受けることになるのです。

Webマガジンまなびと:「学び!とPBL」Vol.52

Webマガジン:「学び!とPBL」Vol.52 “何のためのプロジェクトだったのか?”を追加しました。

ユネスコの最新報告書 2050年に向けた「教育のための新たな社会契約」

これまでのユネスコの報告書

 2021年11月に国際教育科学文化機構(以下、ユネスコと表記)によって報告書“Reimagining Our Futures Together: A New Social Contract for Education”(『私たちの未来を共に再想像する:教育のための新たな社会契約』)が刊行されました。これまで、ユネスコによる報告書は約四半世紀に一度の期間で刊行されており、1972年の報告書“Learning to be”(『未来の学習』)と1996年の報告書“Learning: the treasure within”(『学習:秘められた宝』)に続く、重要な報告書として公表されました。
 “ESD for 2030”(*1)のように10年前後を想定した教育論が通例であるのに対し、より長期的な未来を見据えた内容であることや委員長としてアフリカ出身の女性が選ばれたこと、欧州中心主義から脱した脱植民地主義の価値観が反映されていることなどが報告書の興味深い特徴として挙げられます。

最新報告書『私たちの未来を共に再想像する:教育のための新たな社会契約』

 私たちの世界は、気候変動や感染症などの世界規模の諸課題によってさらに不確実性が増しています。そのような現実に直面している中で、どのように持続可能な未来を実現していく必要があるかを問い直す提案がされています。SDGs(*2)のその先の未来を視野に入れた2050年の教育について論じられており、すべての人たちが持続可能な未来を再想像するための対話の契機として位置付けられた報告書です。

図1 『私たちの未来を共に再想像する:教育のための新たな社会契約』表紙
出典:UNESCO Digital Library
https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000379381

教育のための新たな社会契約

 では、報告書の副題である「教育のための新たな社会契約」とは何でしょうか。これは、「人との関わり」「地球との関わり」「テクノロジーとの関わり」という3つの関係性を再構築することを目的としています。この社会契約を支える原理原則として、「生涯を通じて質の高い教育の権利が保障されること」及び「公共の取り組みや共通善として教育を強化すること」の2つが示されています。

報告書の構成

 報告書は、次のような9つの章と3つのパートに分かれて構成されています。

第1部 過去の約束と不確実な未来のつながり

第1章 より公正な教育の未来に向けて
第2章 ディスラプションと立ち現れる変容

第2部 教育の刷新

第3章 協力と連帯の教育学
第4章 カリキュラムと進化するナレッジ・コモンズ
第5章 教師の変容
第6章 学校を守り、学校を変容させる
第7章 異なる時空を超えた教育

第3部 教育のための新しい社会契約への触媒

第8章 研究とイノベーション
第9章 グローバルな連帯と国際協力への要請

 第1部では私たちが置かれている世界の不確実性について、第2部では第1部で示された時代背景に求められる教育の諸課題や刷新などについて、第3部ではさらなる研究や変革、国際協力への提言などが述べられています。また、第2部以降の各章末では、その章の「教育のための新たな社会契約」における原理原則についてまとめられています。
 例えば、第5章では、教師が知識の生産者及び教育と社会の変革の重要な担い手として認められるために、さらなる教育の変革が提案されています。その原理原則として次の4点が挙げられています。

教師という仕事をコラボレーションとチームワークによって特徴づけること
教師が知識、反省、研究を生み出すこと
教師の自立と自由に向けた支援をすること
教育の将来についての公開討論や対話に教師が参加すること

3つの「根本的な問い」

 「教育のための新たな社会契約」をみんなで練り上げるということは、未来を再想像するための重要な一歩であると報告書では強調されています。そのため、「教育のための新たな社会契約」において提言されている2050年に向けて問われるべき3つの根源的な問いを最後に共有します。

What should we continue doing?
私たちは何を継続するべきなのでしょうか。
What should we abandon?
私たちは何をやめるべきなのでしょうか。
What needs to be creatively reimagined?
何を創造的に再想像する必要があるのでしょうか。

 この3つは答えを提示するためではなく、対話を促すための問いです。まずは、何を残し、何をやめ、どのようなことを新たに創造していくのかについての対話をしてみるのはいかがでしょうか。

*1:“Education for Sustainable Development: Towards Achieving the SDGs”(「持続可能な開発のための教育:SDGs達成に向けて」)の略称。2019年12月の第47回国連総会で採択された2030年までの枠組みであり、SDGsを実現するための教育としての位置づけをこれまで以上に強調されている。
*2:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称で、2030年までに達成すべき17目標と169の指標からなり、持続可能な社会の実現を目指した世界共通の目標として位置づけられている。

【参考文献】

  • UNESCO (2021) “Reimagining our futures together: a new social contract for education”,
    https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000379381 (2022年6月29日閲覧)
  • 永田佳之, 国際理解教育学会編著 (2022) 「私たちの未来を共に再想像する:教育のための新たな社会契約」『現代国際理解教育事典 改訂新版』, 明石書店, 312-315頁.

Webマガジンまなびと:「学び!とESD」Vol.31

Webマガジン:「学び!とESD」Vol.31 “ユネスコの最新報告書 2050年に向けた「教育のための新たな社会契約」”を追加しました。

「校内案内(ピクトグラム)をデザインしよう」~デザイン思考による探究型学習とICTを活用して~(第1学年)

課題設定(整理・分析)の様子
創造(アイデア出し・試作)の様子
検証(改良)の様子

1.題材名

「校内案内(ピクトグラム)をデザインしよう」

(A表現 デザイン)
~デザイン思考による探究型学習とICTを活用して~
(1年/5時間)

2.題材設定の理由

 ピクトグラムとは、言葉による説明を用いず、伝えたい内容やイメージを視覚的に記号化したものである。「デザイン思考」を基に探究型学習を実践し、ピクトグラムデザインの形や色彩など造形要素がもたらす単純化された美しさや、感情の効果を適切な視点で捉え、分かりやすい校内案内のサインデザインを表現させたい。デザインニーズを整理する課題設定やアイデアの創造、また作品制作の場面においてGoogleのアプリケーション《Classroom、Jamboard(オンラインホワイトボード)、スライド、図形描画、Chrome Canvas》を効果的に利用し協働的・創造的活動を促したい。

3.準備(材料・用具)

教師:電子黒板、タブレット端末(Chromebook)
生徒:タブレット端末(Chromebook)、教科書、筆記用具
※使用アプリケーション(Google Classroom、Google Jamboard、Googleスライド、Google図形描画、Chrome Canvas)

4.目標

【知識及び技能】
・ピクトグラムの形や色彩などの造形要素の働きを理解し、主題に合わせて作品に取り入れる。
・ピクトグラムの目的や意図に基づいて、画材やタブレット端末等の特性を活かしながら表現方法を工夫し、計画を基に創造的に表現する。

【思考力・判断力・表現力等】
・伝達する目的や条件などを基に、伝達する相手や内容、取り巻く環境や周囲との関わりから課題を見いだし主題を生み、伝達の効果と美しさなどを考えて表現の構想を練る。
・ピクトグラムの目的や良さと美しさを感じ取り、作者の思いと表現の意図と工夫について考え伝達デザインに対する見方や感じ方を深める。

【学びに向かう力、人間性等】
・グループでの協働活動を取り入れたデザイン思考による探究型学習〔現状理解(情報収集)、課題設定(整理・分析)、創造(アイデア出し・試作)、検証(改良)、発表(意見交換・振り返り)〕を通して探究・創造する態度を養い、目的や内容をピクトグラムで伝える表現活動に主体的に取り組む。
・デザインの調和のとれた美しさや良さを感じ取り、制作者の表現の意図と創造的な工夫について見方や感じ方を深める鑑賞の学習活動に主体的に取り組む。

5.評価規準

【知識・技能】
 ピクトグラムの形や色彩などの造形要素の働きを理解し、主題に合わせて作品に取り入れている。
 ピクトグラムの目的や意図に基づいて、画材やタブレット端末等の特性を活かしながら表現方法を工夫し、計画を基に創造的に表現している。

【思考・判断・表現】
 伝達する目的や条件などを基に、伝達する相手や内容、取り巻く環境や周囲との関わりから課題を見いだし主題を生み、伝達の効果と美しさなどを考えて表現の構想を練っている。
 ピクトグラムの目的や良さと美しさを感じ取り、作者の思いと表現の意図と工夫について考え伝達デザインに対する見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】
態表 グループでの協働活動を取り入れたデザイン思考による探究型学習を通して、探究・創造する態度を養い、目的や内容をピクトグラムで伝える表現活動に主体的に取り組んでいる。
態鑑 主体的にデザインの調和のとれた美しさや良さを感じ取り、制作者の表現の意図と創造的な工夫について見方や感じ方を深める鑑賞の学習活動に取り組んでいる。(B鑑賞)

……「知識・技能」の知識に関する評価規準
……「知識・技能」の技能に関する評価規準
……「思考・判断・表現」の発想や構想に関する評価規準
……「思考・判断・表現」の鑑賞に関する評価規準
態表 ……表現における「主体的に学習に取り組む態度」に関する評価規準
態鑑 ……鑑賞における「主体的に学習に取り組む態度」に関する評価規準

6.指導のポイント

(1)デザイン思考の授業を実施するにあたって
 デザイン思考による協働的活動を通して身近な生活の中にある問題解決につながるデザインの“探究型学習”ができないかと考えたことがこの授業の始まりである。美術の創造的活動における探究型学習について、東北芸術工科大学プロダクトデザイン学科教授、高大連携推進部長の柚木泰彦先生よりオンライン研修会等で様々なアドバイスをいただき、授業を実現することができた。また、秋田県の授業研修会で発表するにあたり、事前の研修会、事後の協議会等で秋田県内高校美術科の先生方よりアドバイスをたくさんいただき、授業の実施と見直しを図ることができた。全ての方々の御協力に感謝したい。

(2)タブレット端末とアプリケーションの活用について
 また、もう一つこの授業の取り組みを創造的に発展させたものとして秋田県高校教育課の「e-AKITA ICT学び推進プラン事業」で県立学校に1人1台端末が整備されICT環境が充実したことが挙げられる。端末はChromebookで、Google Workspaceのオンラインアプリケーションを活用できたことがデザイン思考の様々な過程や手順を容易にし、Google Jamboardを活用したブレーンストーミングやKJ法、現状理解のための写真や動画の撮影、試作制作(プロトタイプ制作)ではGoogle図形描画を利用して描くなど、一連の活動や造形をタブレット端末で可能にすることができた。しかし、すべてタブレット端末の活用で済ませるのではなく、試作制作の場面では紙と鉛筆でサムネイルを描かせる選択肢の準備もあった方が良かったと反省している。
 アプリケーションの活用について、普段の美術の授業でGoogle Classroom、Google Jamboard、Googleスライドなどを頻繁に活用している。今回初めてGoogle図形描画をサムネイルと作品制作で使用した。Google図形描画に詳しい生徒にティーチングアシスタントをお願いした。すると、生徒達の間で互いに協力し学び合う雰囲気がみられた。結果、グループ間でサポート体制が生まれスムーズな活用ができていた。

生徒によるティーチングアシスタントの様子《美術の授業におけるアプリケーションの活用例》

  • Google Classroom(課題の配信、提出)
  • Google Jamboard(アイデア出しや整理・分析、相互鑑賞、日々の授業の振り返り記録)
  • Googleスライド(教師側の教示資料、プレゼン活用、日々の授業の振り返り記録)
  • Google図形描画・Chrome Canvas(サムネイル、アイデアスケッチ、作品制作)

7.題材の指導計画

学習活動

知・技

評価方法・留意点等

0.5

①導入
・ピクトグラムについての鑑賞

出典:J-CAST会社ウォッチ
そうだったのか! 効果的な色使いでプレゼン力をアップさせる資料づくり(入澤有希子)
https://www.j-cast.com/kaisha/2020/07/02389032.html

出典:国土交通省
公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドラインP.49 案内用図記号(JIS Z 8210)
https://www.mlit.go.jp/barrierfree/public-transport-bf/guideline/guidelinesisetu.pdf

ピクトグラムの造形要素についての確認

態鑑

 ピクトグラムを鑑賞し、伝達デザインに対する見方や感じ方を深めるとともに、ピクトグラムの形や色彩などの造形要素の働きを理解している。
態鑑 主体的にデザインの調和のとれた美しさや良さを感じ取り、表現の意図と創造的な工夫について見方や感じ方を深める鑑賞の学習活動に取り組んでいる。
【活動の様子、ワークシート】

0.5

②現状理解(ニーズを探る)
・校内観察(校地内ウォッチング)を実施しデザインニーズを探る。
「ピクトグラムで学校利用が良くなりそうなことを探してみよう。」

態表

 伝達する目的や条件などを基に、伝達する相手や内容、取り巻く環境や周囲との関わりから課題を見いだしている。
 協働的な活動を通して現状理解(情報収集)をしている。
【活動の様子、Googele Jamboard、Googleスライド、ワークシート】

0.5

③課題設定(ニーズを整理する)
・アイスブレイク(Yes,And法)実施。
・観察から得られたニーズを整理する。Google Jamboardを活用し付箋紙に書き出したアイデアを基にグループで話し合いグルーピングして課題を焦点化する。(ブレーンストーミング・KJ法)

態表

 課題を見いだし主題を生成している。
協働的な活動を通して課題設定(整理・分析)をしている。
【活動の様子、Google Jamboard、ワークシート】

0.5

④創造(アイデアを出す・試作する)
・前半で焦点化した課題に基づいてピクトグラムデザインのサムネイルを描く。
「どうすれば自分達のピクトグラムで○○できるだろうか?」

態表

 ピクトグラムの形や色彩などの造形要素の働きを理解し、主題に合わせてサムネイルに取り入れている。
 伝達の効果と美しさなどを考えて表現の構想を練っている。
 協働的な活動を通して創造(アイデア出し・試作)をしている。
 ピクトグラムの目的や意図に基づいて、画材またはICTを選択し表現方法を工夫している。
【活動の様子、サムネイル、ワークシート(Google Jamboard、Google図形描画、Chrome Canvas等)】

2

⑤検証(検証する・改良する)
・実際に掲示する現場に掲示してピクトグラムデザインの効果を確認する。
・サムネイルの相互鑑賞を実施し良いところや改善点についてフィードバックを受ける。
・改良し作品制作する。

態表

態表 デザインの表現活動に主体的に取り組み、コミュニケーションデザインを意識しグループでの協働活動を通して探究・創造する態度を養っている。
 協働的な活動を通して検証活動をしている。
【活動の様子、ワークシート、サムネイル、作品】

検証の様子

1

⑥振り返り(プレゼンテーション)
・改良後の作品制作を全体に発表する。
・意見交換し活動を振り返る。

態鑑

態鑑 主体的にデザインの調和のとれた美しさや良さを感じ取り、制作者の表現の意図と創造的な工夫について見方や感じ方を深める鑑賞の学習活動に取り組んでいる。(B鑑賞)
【活動の様子、ワークシート、サムネイル、作品】

8.授業を終えて

タブレット端末での制作風景 デザイン思考による探究型学習とICTを活用して「ピクトグラムデザイン」の授業を実施した。他者と協働して課題を創造的に問題解決する「デザイン思考」のプロセスの面白さを味わわせたいと思い授業を設定した。
 美術室から離れ自分達の視点で現状把握をし、それぞれのグループで「自分ごと化」した課題設定をすると、座学で個々にアイデアを発想させて制作させる授業とは異なり、リアルな現状を踏まえたデザインアイデアがたくさん出てきたことが新鮮であった。グループで実際に現場を確認し共感理解し、課題を設定、問題解決に向けて実際に試作し発表する。生徒にとって自分が考案したアイデアが形になる過程を協働で体験することも大切な学びであると感じた。似通ったアイデアやデザインが見られる場面もあるが、生徒達自身が体験したことを基に自分達の身近な問題を形や色彩など造形要素を用いていかに美術的問題解決を図るのかを大切にし、デザイン活動の面白さや本質を探ることができていた。授業の導入時は、教師側の説明と教示が多くなってしまったが、後半の創造、検証あたりからグループ毎の活動が活発化していく様子がみられた。
 教師はファシリテーションの役割を担い全体を見渡す立場で進めたほうが良かった。“現状理解(情報収集)、課題設定(整理・分析)、創造(アイデア出し・試作)、検証(改良)、発表(意見交換・振り返り)”というプロセスの流れに当初は忠実に実践しようと気をとらわれていたが、実際には、検証までの流れのあとに生徒達の様子をみながら必要に応じ創造と検証のサイクルを繰り返すようにアドバイスをした。
 今後の反省としては、デザイン思考について一連の流れをより簡潔に説明することや、校内を観察しグループの課題を設定し、アイデア発想して有効なピクトグラムデザインを制作していく一連の活動をもっとスムーズにできるように教示内容を精選していきたい。また、話し合いを活発化させるアイスブレイクや創造的な活動を行いやすい雰囲気づくり(クリエイティブ・マインド)をより見直していきたい。
 以下、令和3年11月に行った秋田県の授業研究会でいただいた指導助言やアドバイスと授業終了後の生徒の感想を紹介する。

《指導助言とアドバイス》

  • 話し合いの際のジャムボードの雛形を事前に準備する。
  • 教師側の説明時にタブレットを閉じる指示。(授業のメリハリ)
  • ブレーンストーミングでのアイデアスケッチはデジタルだと記録が残らない。
  • 指導案の目標はもう少しシンプルで具体的にし、教師・生徒が達成でき評価できる目標設定にすべきである。

《生徒達の授業の感想》

  • グループで校内を観察したり、ブレーンストーミングで意見を出し合うことで自分ひとりでは気付けない課題に気付くことができた。
  • 実際にデザイン思考を用いたピクトグラムを制作して、机に向かって想定するだけでは効果を発揮できないことが分かった。実際の現場に行って様々なシチュエーションから掲示する場所を決めて、デザインの調節をすることがとても大切だと感じた。
  • 図書館のピクトグラムを考える際に現状理解で図書館を確認したときに、木の材質の壁とテーブルの色に対して青が目立つことに気が付いて、マークは青の指示を採用することにした。注意喚起や場所の観察から気付くことがあった。
  • こまめに窓閉めを呼びかけるピクトグラムデザインを制作して、実際に現場で検証すると教室の壁よりも窓に掲示したほうがより換気を促すことにもつながり良いことが分かった。掲示するときにラミネート加工が必要であることに気が付くことができた。
生徒のまとめ1

生徒のまとめ2

※JISでは「JIS Z 8210:2017案内用図記号“静かに”」として規定されているものがあります。