図工美術教育授業研究会FLAT47 第10回全国行脚研究会を追加しました。
月別アーカイブ: 2025年6月
小学校 図画工作:「保護者への準備物のお知らせ例」追加
小学校 図画工作:「保護者への準備物のお知らせ例」を追加しました。
my実践事例:小学校 図画工作 No.069
my実践事例:小学校 図画工作 No.069 “「板にかく」(第6学年)”を追加しました。
「板にかく」(第6学年)
1.題材名
板にかく
2.学年
第6学年
3.分野
絵に表す
4.時間数
全8時間扱い
5.準備物
※きっかけとなる中心共通材料・用具は、ペインティングナイフ、軽量粘土。それ以外の材料、用具などについては、児童が選択して自分のテーマと重ねながら使用する。
6.題材設定の理由
日常の図工の時間。いろいろな描画材を使いながら、自分の世界を表そうとしている中で、水彩絵の具をチューブからそのまま紙に出した形が気に入ったのか、うれしそうにこっそり絵の具が紙の上で固まっていく様子を見ている子どもがいたり、指先に全神経を集中させて染料の水滴を筆で丸くポタっと紙の上に並べて見ている子どもがいたり。
図工室では、どの学年でも子どもが自分の色に対して、水をたっぷりと入れた薄い色の重なりやにじみに喜んでいたり、たっぷりとねっとりとした絵の具の質感・量感を好んで表したりする姿に出会う。その上、筆洗の中の水に混ざり合おうとする絵の具の色の変化にさえ喜びの声を上げている。また、納得いくまで表したい気持ちから体のスイッチが入り、画用紙に穴が開くまで何度も筆を動かす姿さえある。
本題材は、日頃やってはいけない、やりたくてもできないことを絵の具で実現でき、自分が納得いくまで何度も表せることにより、子どもの心が動きだし、いつも抱いている絵に表す概念からイメージが広がるのではないかと考え設定した。
本題材では、6年生が今までの経験から想定できる紙の上で表すことはせず、基底材は紙よりも堅い手ごたえがある木材とした。軽量粘土を使用することで、絵の具を薄く伸ばしたり盛り上げたりすることもできることから、自分が試しながら表し変化していく形や色を目の前で実感することができ、やってみたいことやイメージの幅が広がり、子どもの思いと重なる表現活動の幅も広がるのではないかと考えた。
本学級の児童は、ペインティングナイフで軽量粘土を扱う経験は初めてであったため、使いながら、少しずつ、どのように手を動かすとその変化が形につながるかなど気付きの上でまた手を動かす時間を取っている。今まで、共通の大テーマと材料(様々な紙・液体粘土・絵の具など)・行為の中で、自分でテーマを決めて表したり、自分の体と同じくらいの大きな作品を表したりと、作品の中に常に自分のテーマを織り込むことを指導の重点としている。高学年でもあるので、今までの思いをもつ経験や自分で考えて生み出す実感を基に、今を生きる自分の思いと程よく力を加えられる対象と表現を重ね、つくりだす喜びを感じながら、体全体の諸感覚からの心地よさを感じ、心地よく自分と向き合える時間となることを大切に確保していきたいと考えている。
7.題材の目標
絵の具を厚く立体的に表してできる形や、色の混ざる様子を見て感じたことや、自分の感覚、行為を通して感じたことを基に表したいことを見付け、自分の思いと重なるように、画面の構成の面白さや美しさなどの感じを考えながら、材料や用具などを活用して、自分の主題を楽しみながら工夫して表し、自分や友人の表したもののよさや美しさについて感じ取る。
- 知 軽量粘土の特徴を生かしながら、ペインティングナイフや筆などで板に絵の具で表すときの感覚や行為を通して、その変化していく形や色、バランスの感じなどを理解する。
- 技 自分が表したい感じに合わせてペインティングナイフや筆などを使って表し、前年度までの材料や用具の経験や技能を活用し、表現に適した方法を組み合わせて自分の表したいことに合わせて表し方を工夫して表す。
- 発 軽量粘土とペインティングナイフや筆などで変化していく表面の形やその色、その組合せ、バランスの感じを基に、自分のイメージをもつ。軽量粘土とペインティングナイフや筆などで表面の形や色を変えながら、画面の変化の痕跡を見て感じたこと、想像したこと、見たことから、表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じなどから主題をどう表すかを考える。
- 鑑 自分や友人が板に表した作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて感じ取ったり考えたりし、作品などから自分の見方や感じ方を深めたりする。
- 主体的に描画材(絵の具や材料、用具など)に関わり、形や色のもつ面白さを感じ、自分の思い付いたことを表現することや鑑賞したりする学習活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、楽しく豊かな生活を創造しようとする。
8.題材の評価規準(◎は本題材で重点をおく観点)
- 知 軽量粘土の特徴を生かしながら、ペインティングナイフや筆などで板に絵の具で表すときの感覚や行為を通して、その変化していく形や色、バランスの感じなどを理解している。
- 技 自分が表したい感じに合わせてペインティングナイフや筆などを使って表し、前年度までの材料や用具の経験や技能を活用し、表現に適した方法を組み合わせて自分の表したいことに合わせて表し方を工夫して表している。
- 発 軽量粘土とペインティングナイフや筆などで変化していく表面の形やその色、その組合せ、バランスの感じを基に、自分のイメージをもっている。軽量粘土とペインティングナイフや筆などで表面の形や色を変えながら、画面の変化の痕跡を見て感じたこと、想像したこと、見たことから、表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じなどから主題をどう表すかを考えている。
- 鑑 自分や友人が板に表した作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて感じ取ったり考えたりし、作品などから自分の見方や感じ方を深めたりしている。
- 態 つくりだす喜びを味わい、主体的に描画材(絵の具や材料、用具など)に関わり、形や色のもつ面白さを感じ、自分の思い付いたことを表現することや鑑賞したりする学習活動に取り組もうとしている。
9.題材の指導計画と評価計画(全8時間扱い)
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ねらい |
学習内容・学習活動 |
評価規準(評価方法) |
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|---|---|---|---|
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第 |
・ペインティングナイフで絵の具と混ぜた軽量粘土を実際に触り、関わりながらその特徴を知る。 |
・本題材の内容や表す時間を知る。 |
態 ◎ 知 |
|
第 |
・基底材となる板の形を決め、自分のイメージに近づくように表す。 |
・450×300mm(4mm厚)の板から、表したい形を電動糸のこぎりで切り出す。 |
知 技 発 ◎ |
|
第 |
・手の動きで表した形や絵の具などの色、自分のイメージから表したいことを見付け、構成の面白さや美しさなどの感じを考える。 |
・軽量粘土と絵の具を混ぜたものをペインティングナイフで表したり、筆で板の上に思い付いたことを表したりする。 |
発 ◎ 技 ○ |
|
第 |
・形や色などの造形的な特徴を理解し、表したいこと、表現方法に応じて、描画材料や用具などを活用し、表したいこと(主題)や表し方に応じて用具などを活用し、表したいことに合わせて工夫して表す。 |
・自分の表したいことを、言葉(題名など)で表し、明確化する。 |
技 ◎ 鑑 ◎ |
10.指導に当たって
(1)題材の手渡しは熱意をもって行い、言葉にならない感覚的な部分も伝えていくようにしていく。児童一人一人の表現の違いを認め、児童が分かりやすいように題材全体の見通しがもてるように、すぐに既成のものの写真や資料などは見せず、言葉で題材の全体像をつかめるように伝えていく。
材料や用具については、経験とともに知識や技術として児童が選んで活用できるよう伝え、題材の核がぶれないように手渡しする。児童には、いつも、必ず主題に戻って来られるよう、思考と表現が行ったり来たりできる授業を行う。見る方向を多様にすることで、児童の気付きのきっかけをつくる機会とするとともに、常に児童からの目線を意識し、授業者のねらいと児童からの目線の2方向を考え題材を設定・工夫していく。
(2)「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて、工夫・改善したことについて
ア 授業形態の工夫……児童が題材の見通しをもてるよう一斉指導を行うが、停滞している児童にはその都度個別指導を行う。一人で自分の表現に向き合える環境をつくる。
イ 指導方法の工夫……授業者が決めていることと、児童が決めることを明確に伝え、今までの既習事項に触れながら、一人一人のイメージや表現が違ってよいということに気付けるように伝えていく。
(3)「造形的な見方・考え方」を働かせる活動の実現に向けて、工夫・改善したことについて
表現や鑑賞の活動を一体化して行い、自分のイメージを明確化させ、自分にとっての新しい意味や価値を、自分の変化として実感できる声かけをする。
11.作品
海の夕日(57×27cm)
生まれて(40×30cm)
海と風(30×45cm)
旅鳥(41×30cm)
月と夢が大きくなった日(45×30cm)
海と砂漠(30×30cm)
人が食べる生き物は人と同じ命(45×56cm)
冬の海辺(33×60cm)
※本題材は「みんなの図工ギャラリー」でも作品を掲載しています。
https://www21.nichibun-g.co.jp/zuko_gallery/5-6nen/44/
機関誌・教育情報:「ROOT(算数・中学校 数学)」 No.36
[Hello, Mathematics!]「好き」を大切に歩んだ先にはいつも「数学」が〔フリーアナウンサー/数学コミュニケーター 篠崎菜穂子〕 ほか
Webマガジンまなびと:「学び!とESD」Vol.66
Webマガジン:「学び!とESD」Vol.66 “「ユネスコ教育勧告」の誕生(その4) ユネスコ教育勧告と教員/スタッフ研修”を追加しました。
「ユネスコ教育勧告」の誕生(その4) ユネスコ教育勧告と教員/スタッフ研修
前号では、「ユネスコ教育勧告」(正式名称「平和と人権、国際理解、協力、基本的自由、グローバル・シチズンシップ、持続可能な開発のための教育に関する勧告」)のエッセンスを知り、学びを深めるためのカード型教材を紹介しました。今号では、「ユネスコ教育勧告」を活かすために欠かせない研修について記します。カード型教材を用いて行われた学校での教職員研修や、NPO職員や地域の活動家、教育委員会職員、保護者らを対象にした研修を紹介しながら、その重要性について書いてみたいと思います。
カリキュラムや教材など、多様な教育課題について言及がある「ユネスコ教育勧告」では、研修についても次のように書かれています(*1)。
加盟国は、「平和と人権、国際理解、協力、基本的自由、グローバル・シティズンシップおよび持続可能な開発のための教育に関する勧告」の目的にかなう教育活動が、さまざまな段階や種類の教育や知識、修養、学習、研修といったカリキュラムにおいて配置され、首尾一貫して統合的になされるように取り組むべきである。(第19項)
(加盟国は)本勧告に示されているスキルを教員が身につけるため、対面での研修やオンライン、遠隔、ハイブリッド方式を含め、継続的な専門的力量形成の機会を奨励し、促進すること。(第42項)
以上のように、「ユネスコ教育勧告」ではその目的、すなわち平和や持続可能な社会、さらにはこのシリーズの「その1」(Vol.51)と「その2」(Vol.52)で示したような「インクルーシブ」や「グローバル・シティズンシップ」等の理念を実現するために多様な取り組みが奨励されており、研修も重視されています。
前号で紹介したカード型教材も勧告の「目的にかなう教育活動」のためにつくられましたが、それを生かすには研修を通した「継続的な専門的力量形成の機会」が不可欠です。試験的ではありますが、カード型教材とセットで研修も継続的に実施されてきましたので、その骨子をお伝えします(*2)。
研修の概要
研修プログラムの基本的な構成は次のとおりです。
①「ユネスコ教育勧告」が改定された背景、その特徴や意義、「14の主導原則」に関する講義(20分程度)
②5人前後から成るグループごとのカードを用いたワークショップ(30〜40分程度)
③グループ内での話し合いの要点をシェアする全体会(20分程度)
④まとめとアンケート(10分程度)
上記の研修プログラムで中心となるのは②のグループごとの活動です。表紙を含めて15枚から成るカードを自由に手に取り、感想を伝え合うところから始めます。カードの中から1枚を選んで(またはファシリテーターが指定をして)、そのカードに書かれている意訳を読み上げ、3つの質問に皆で答えることを通して主導原則のエッセンスを学んでいきます。研修では一般に「えんたくん」と呼ばれる丸型の段ボールを5人ほどの研修生が膝に乗せて話し合うことが多かったのですが、机の場合もありました。いずれにせよ複数枚のカードを広げて見るスペースが必要です。
これで30分ほどかかりますが、時間のある場合は、2枚目のカードを選んで同様の学び合いの時間を持つこともできます。このほか、カードの使用についての解説はデジタル版からダウンロードできます(参考文献1.参照)。
研修の感想
次に、カードを用いた研修に参加した教職員や地域の人々の実際の声を共有したいと思います。
まず、ユネスコという国連機関の決議した勧告は難解に捉えられがちですが、抽象的なトピックも実は学校や地域の現場と関わっているということが実感できたり、研修が自身の悩みの解決の糸口となったりする効果がもたらされることがわかりました。(強調=下線は筆者)
「おそらく非常に難しい内容が英語で書かれているものをわかりやすく噛み砕いて訳して下さっていて、とても頭に入ってきやすかった。人間としてあたり前に持っているはずの道徳心を自分の言葉にして表すことは良い経験になると思いました。」(高校教員)
「ユネスコ教育勧告」は少し難しそうに感じてしまうかもしれませんが、14の課題のどれもが現場と直結する内容であると思いました。グループで選択したのは『コンヴィヴィアル』と『エシックス・オブ・テクノロジー』だったのですが、まさに常々どうしたらよいか?と考えてしまう事柄の上位を占める内容です。今日お話しできたことで困りごとの整理も少しできたのかな?と思います。」(街づくり協議会/地域活動家)
たとえユネスコスクールに認定されていても、日々の生活の中で視野を世界に広げたり、世界的に課題となっている教育のフロンティアに意識を向けることは、忙しい生活の中では決して容易ではないでしょう。しかし、次に示すように2時間ほどの研修を設けることで、世界とつながり、視野が広がることもあるようです。
「本校がユネスコスクールに認定されていることは知っていたが、ここまで詳しく勧告文を読んだことがなかった。今日の教育において重要にすべき視点を改めて認識することができた。」(高校教員)
「私は以前、国際バカロレアの調査・研究に関わり、以来、一方通行な授業への疑問、知識のみを、しかも(単語で)問うテストへの懐疑を持ってきました。そうだよね、世界はその方向にやはり進んでいる、と思いました。」(高校教員)
「世界に目を向ける機会を与えていただき、ありがとうございました。」(教育委員会職員)
また、教員にとって多忙な日々の中でも取り組む実践が、主導原則のような抽象的なキーワードを通して改めて意義づけられることは、教員人生の中でも重要な体験となると言えるでしょう。カード型教材を用いた研修はそうした機会を提供する時間でもあったようです。
「新しい取り組みをしなければならないというより、私達が行っていることがユネスコスクールの取り組みにつながっており、それを深めていくことが世界平和や人権問題の改善にもつながっていくことを認識することができた。」(中学校教員)
「教育現場だけでなく、家庭教育にも活かせそうなテーマが多かったので、自分の子供達とも話してみたいです。私がなんとなくこうかな??と思っていた事が言語化されたようで嬉しかったです。」(中学校職員)
「自分の選択はまちがっていなかったんだと思えたひとときでした。」(保護者)
これらのほか、以下のように今後への期待や課題などについても述べられています。
「PTAでもやっていけたらいいなと思いました。」(PTA会長)
「子供向けのもの(小・中・高・大とそれぞれのレベルに合わせたもの)もあっても面白いと思いました。」(中学校職員)
「学校での成績評価、入試、テスト等があるために創り出す余裕・時間が現実的にないため理想と現実のギャップを感じた。」(学年等無記載)
「教育に関わるすべての人、枠組みが協力して変わっていくことが必要だと感じた。日本で言えば、中高の教育のゴールが『大学受験』になっていることで、理想とする教育と現実との差が激しいと感じる。そもそもの受験の仕組み・意識を、もしかしたら社会全体でどうにかしていかなければならないのではないか。」(ユネスコスクール教員、学年等無記載)
以上の課題は、今後のさらなる可能性を拓くコメントとして受け止めているところです。これからは、「14の主導原則」のみならず、勧告の他の項目にも注目してその普及に努めていく必要があるでしょう。また、カード型教材は教員などの大人を学習者として想定してつくられた教材ですが、いくつかのアンケート回答に書かれていたのは、中高生、場合によっては小学生にも「ユネスコ教育勧告」を学んでほしいという声であり、子どもや若者を対象にした教材づくりも今後の課題と言えます。なお、このシリーズは、少し間を空けることになりますが、「その2」で紹介した「14の主導原則」の1つひとつについて解説をしていく予定です。その間、皆さんもカード型教材をダウンロードしたり、プリントしたりして、ぜひ試してみて下さい。
【参考文献】
*1:ここで用いる邦訳は参考文献2.の暫定訳からのものである。
*2:一連の研修は、文部科学省による「令和6年度ユネスコ活動費補助金」による「『ユネスコ教育勧告』普及のための教材開発及び教員研修モデルの構築」事業の一環として実施された。
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