千葉大学教育学部附属小学校 令和7年度公開研究会を追加しました。
月別アーカイブ: 2025年6月
Webマガジンまなびと:「学び!と美術」Vol.154
Webマガジン:「学び!と美術」Vol.154 “【あべ先生に聞く!図工のABC】意欲を引き出す題材名とは?” を追加しました。
【あべ先生に聞く!図工のABC】意欲を引き出す題材名とは?
今さら聞けない? 図工のキホン、あべ先生に聞いてみよう。
「図工で大切にしていることって?」「子どもの意欲を引き出すには?」などなど、図工に関する素朴な疑問やお悩みを、ABCシリーズでおなじみのあべ先生に聞いてみました。
子どもの意欲を引き出す題材名は、どのように考えればいいですか?

子どもたちの活動を観察してみましょう。どんな言葉を使い、どんなことに関心があるでしょうか。そこに子どもの心を動かす題材名のヒントが隠れています。子どもは身体性を感じる言葉がお気に入りです。「だんだん」「どんどん」などの活動の広がりを感じさせる言葉や「ぐるぐる」「ころころ」などの行為の楽しさや、動きの面白さ、「ふわふわ」「キラキラ」などの材料の質感や様態が発想を刺激します。
子どもが使っている「言葉」に注目
学びは喜びです。子どもの造形活動を観察すると、子ども同士で通じ合う「言葉」があります。決して音声として発せられたものだけではありません。まなざしやうなずき、つぶやき、ささやきなど、身体を基にした「言葉」があります。相手に伝えたい言葉もありますが、自分自身に発するような言葉の中にも、子どもの資質・能力が潜んでいます。「これ!なんか、いい!」もその一つです。題材名も、言葉を介しながら子どもの意欲に火を灯す働きがあります。「トントンギコギコ」などは、木を材料にしながら、金づちやのこぎりで、用具を用いて自分の思いを実現する様子まで浮かびます。ますます期待感がふくらみます。
子どもの心に触れる題材名に
題材名には、「トントンギコギコ」のように、おおよその授業内容がイメージできることはもちろん、つくりだす喜びを期待させる「わくわく感」が大切です。また、
「新しい学力観に立つ実践事例」(※1)には、「楽しみ色に輝く空にはしごをかけてのぼったら……、そこは想像もできなかった空の世界」などの題材名が並んでいます。また、補助的な題材名や複数の題材名を付けたりして、子どもの思いを広げたり、具体化するようなことも考えられます。ですから、決まりきった「運動会の絵」などという題材名ではなく、「(運動会での)忘れられないあの瞬間!」など、子ども一人一人の心に届く題材名が大切です。
このコーナーは、ABCシリーズからピックアップしたページを基に、再編集して掲載しています。今回は、「題材のABC」p17をピックアップ。

あべ先生による「ABCシリーズ」は、4コマ漫画で子どもや図工のことを学べる冊子で、累計30万部を発行。4コマ漫画と温かい語り口のコラムによる構成で、長年にわたって小学校の先生方に支持されています。Webサイトで全編をお読みいただけます。また、冊子でお送りすることもできます。
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※1:文部省『新しい学力観に立つ図画工作の学習指導の創造 小学校図画工作指導資料』日本文教出版 1993
1954年生まれ。元北海道教育大学岩見沢校教授。中央教育審議会 初等中等教育分科会教育課程部会 幼児教育部会委員、同芸術ワーキンググループ委員(平成29年)、文部科学省「学習指導要領等の改善に係る検討に必要な専門的作業等協力者主査(小学校図画工作)」(平成29年)などを歴任。著書に子どもや図工のことを学べる『ABCシリーズ』(日本文教出版)、『つくって楽しい 届いてうれしい 絵封筒のABC』(日本文教出版)、絵本『どこにいるの』(文芸社)など多数。
図工のみかた:「The Work of Wonder」更新
図画工作科ブログ「図工のみかた」:「The Work of Wonder みかたをかえるプログラミング」Phase046 “科学館でアート講座が必要なんです”
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語研・小学校外国語教育委員会 小学校英語研修会⑤
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第3回 夏の道徳フェスティバルIn大阪
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第65回 図工美術教育全国研究大会
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my実践事例:小学校 道徳 No.056
自己の生き方についての考えを深める学習の実現~自己の判断を問うことを通して~「初めてのアンカー」(第6学年)
※本実践は兵庫教育大学附属小学校に在籍されていた際の実践です。
1.はじめに
道徳科の授業では、道徳性を養うために「自己の生き方についての考えを深める学習」が重要視される。この学習は、教材の登場人物の気持ちや行動を考え、価値理解を深めるだけでなく、学んだことを自分自身と結びつけながら、より深い思考を重ねることで成立する。しかし、実際の授業では教材についての話し合いが進む一方で、それを自分の生き方と関連づける場面が少なくなることが課題として挙げられる。そのため、道徳科では教材の枠を超えた学習テーマを設定することがあるが、テーマが抽象的になることで教材の内容と乖離し、子どもたちが考えを深めにくくなる場合も少なくない。
そこで、本実践では、教材の状況の中で学習テーマを活かしながら「自己の判断を問う」発問を設定することで、抽象的なテーマについて考える前段階となる学びを意図した。これにより、教材の話し合いの中で価値理解を深めつつ、自分ならどうするかを考え、自己の生き方についての思考を深めていくことが可能になるのではないかと考えた。
具体的には、「家族の幸せは誰がどう創るのか?」というテーマのもと、「『仕事を断ってもらって運動会に来てもらうこと』と『悲しいけれどお父さんを仕事へ送り出すこと』のどちらが家族の幸せを創ることにつながるのか」という発問を設定した。この発問を通じて、子どもたちはまきや父親の気持ちを踏まえながら、自分ならどうするかを考え、家族の幸せについて主体的に判断する機会を得ることができるのではないだろうか。
本実践では、このような発問を用いることで、自己の生き方についての考えを深める学習へとつなげる手立ての一つとして提案したい。
2.主題設定の理由
家族とは、人が初めて所属する集団である。ここでいう家族とは、たとえ血のつながりがなくとも幼い頃から自分を守り育ててくれた存在も含みたい。家族は家族の幸せを願い、利害や損得がない無私の愛を注ぐ。そのような愛を受け、育つ中で人は安心を感じ、人や物事に対して主体的に関わる原動力となったり、支え合いや助け合い、思いやりの心を養っていったりする。そのため、家族の幸せを願い、自分にできることを考え家庭生活を充実させていくことは重要であろう。しかし、幼い頃から家族の愛を受け育ってきた子どもたちは、“してもらう” ことが当たり前と感じ、自分が家族の幸せを作る主体でもあることは自覚をしていないことが多い。ここで大切なことは、家族それぞれの思いや願いに目を向け、家族の幸せにとって自分にできることは何かを考えることである。家族の思いや願いは「親からの子どもに対する思い」「子どもからの親に対する思い」など方向性や意味もさまざまにある。それらを多面的・多角的に捉えることで、家族の苦労や努力が分かり、家族の幸せを求めて進んで役に立つことをしようとする実践意欲や態度を養うことにつながっていくだろう。
本学級の子どもたちは、家族が自分のことを思い、支えてくれることに喜びや感謝の気持ちを感じている子が多い。例えば授業参観の際には、恥ずかしながらもいつも以上に張り切ったり、休み時間に両親と話したりする姿がある。ここから、これまでの家庭生活でたくさんの愛を受け育ってきたことが想像できる。しかし、上述のように家族から何かを “してもらう” ことが当たり前となり、家族の幸せを願い、家族の一員として能動的に働きかけようとする態度は十分でない。この時期の子どもたちは、客観的な視点が育ち、集団における自分の立場や役割を自覚できるようになる。そのことも踏まえ、本主題を考えることに適している時期であると考えた。
3.教材について
本教材は、運動会で初めてアンカーに選ばれたまきと、漁師の父親との関わりを描いた話である。毎年、仕事で運動会を見に行くことができなかった父だが、初めてまきがアンカーに選ばれた今年は、見に行く予定であった。まきは心から喜ぶが、父は急遽、仕事に行かなければならなくなった。仕事とはいえ、まきは裏切られた気持ちになり、父にそっけない態度をとる。その後、母や祖母の発言から父の思いを考え、仕事に向かう父に思いを伝えに行く話である。父が行事に来られなくなったという設定は子ども達も想像がしやすく、まきに自我関与しやすいだろう。また、複数の立場の人物の登場により、家族のことを思うものの仕事への責任感があり、葛藤する父親の思いが想像でき、家族の一員として自分にできることについて考えやすいと考えた。
4.実践事例
(1)教材名
「初めてのアンカー」(出典:日本文教出版 令和6年度版『小学道徳 生きる力6』)
(2)主題名(内容項目)
家族の幸せを創るために C[家族愛、家庭生活の充実]
(3)本時のねらい
急遽、仕事が入り娘の運動会を見に行くことができなくなった父親と、その事実を知り葛藤するまきの姿を通して、家族それぞれの思いや願いに目を向け、家族の一員として自分にできることについて考え、家族の幸せを求めて進んで役に立つことをしようとする道徳的実践意欲と態度を養う。
(4)展開例
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学習活動 |
学習活動 |
◇指導上の留意点 |
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導 |
1 事前アンケートの集計結果を見て話し合う。 |
○幸せとは自然にできるのだろうか。 |
【アンケート内容】 ●アンケートの集計結果 |
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【学習テーマ】家族の幸せは誰がどう創るの? |
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展 |
2 教材文「初めてのアンカー」を読んで、話し合う。 |
○教材を読んでどのような感想をもちましたか。 |
○子どもたちの興味や関心から授業を展開していくために、教材を読んだ感想の交流から始める。 【教材理解で押さえておきたいポイント】 |
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◎「お父さん、待って―。」と追いかけたまきは何を考えていただろう。 |
☆運動会に行けなくなった父親の思いを想像するまきや、他の家族の気持ちを考えることを通して家族の幸せを願って自分にできることについて自己との関わりで考えることができたか。 |
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○父に仕事を断ってもらい運動会に来てもらうか、悲しいけれど仕事に送り出すかではどちらのほうが家族の幸せを創れているだろう。 |
○ “家族の幸せ” という抽象的な事柄について考えやすくするために2つの選択肢を挙げて問う。 【授業中で活用したい問い返し例】 |
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終 |
3 本時の振り返りをする。 |
○今日の授業でいちばん大切だと思ったことや、新しく気づいたことは何ですか。 |
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6.まとめ
本実践では、「自己の生き方について考えを深める学習」を展開するために、教材の状況の中で自己の判断を問い直す活動を設けた。その結果、子どもたちは、教材の状況と学習テーマ「家族の幸せは誰がどう創るの?」をつなげながら「もし、自分が同じ立場だったら、どのように考えどのような判断をするか」と自分ごととして思考を深めていたように感じる。
特に、「『仕事を断って運動会に来てもらうこと』と『悲しいけれどお父さんを仕事へ送り出すこと』のどちらが家族の幸せを創ることにつながるのか」という発問では、子どもたちはこれまでの話し合いで考えたことを適用させ、家族の幸せを創るために具体的な判断を行った。この過程で、まきの気持ちだけでなく、父親の責任感や葛藤、罪悪感といった家族の思いにも目を向け、自己中心的な視点から多面的な視点へと広げ、家族の幸せについて考える姿が見られた。
本実践では、自己の判断を問う発問を用いることで、教材の話し合いを単なる価値理解にとどめず、自己の生き方についての考えを深める学習へと展開していく手立ての一つとして提案した。今後も、道徳科の授業において教材の状況を活かしながら、自己の判断を問い直す場面を取り入れ、子どもたちが「自己の生き方」について深く考えられる学びを実現できるような授業設計を行っていきたい。
図工のみかた:「ともにかなでる図工室」更新
図画工作科ブログ「図工のみかた」:「ともにかなでる図工室」第六十回 “自然をめぐる旅”
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