「アーティストと一緒にアートしよう」(第5学年)

1.題材名

アーティストと一緒にアートしよう

2.学年

第5学年

3.分野

絵に表す

4.時間数

全2時間

5.準備物

児童:なし

教師:体育館に敷き詰めた白いロール紙(幅広)、水性ペン(多色)、色鉛筆、マスキングテープ、コンテ・パステル、クレヨン

6.題材設定の理由

 本授業は、創立150周年記念事業の一環として、京王井の頭線高井戸駅周辺を舞台に、現代アート作品を駅周辺の店舗や施設に展示することで、街の文化振興を目的として発足された地域イベントである高井戸芸術祭(*1)との協働授業である。高井戸芸術祭の主催者と連携し、世界的に著名なアーティストである淺井裕介さんを招いて、小学生がアート作品を共同制作する特別な学習となった。
 アーティストの創作活動や思考に直接触れることによって、児童が「表現すること」の多様さや奥深さを体感し、既存の枠にとらわれない自由な発想で創作できることの楽しさや可能性を実感できると考えた。淺井さんの活動は、土などの身近な素材や空間を生かした独自の表現で知られており、児童が “アートは特別なものではなく、日常の中にある” ことを感じるきっかけとなる。
 また、地域の芸術祭と連動させることで、自分たちが住む街や地域に対して「自分ごと」として関心を持ち、主体的に関わる態度を育成することを目指している。自分たちの作品が地域の店舗や寺社に展示されることで、児童の自己有用感や達成感を高めるとともに、地域住民や来場者との交流を通じて、社会とのつながりを実感する機会となることを目的としている。あわせて、非日常的な体験を通して、児童がこれまでにない刺激や発見を得ることが、豊かな感性や創造性の育成につながると考えた。日常では出会えないプロのアーティストの考え方や制作過程に触れることで、児童自身の表現活動にも新たな視点や意欲が生まれることを期待した。
 以上の理由から、本題材は児童の芸術的体験と地域社会への関心を深め、今後の街づくりにも主体的に関わる力を育成するうえで大変有意義であると考え設定した。

7.題材の目標

【知識及び技能】

  • 身体全体を使って大きなロール紙にかいたり、アーティストの線画に自ら着色・装飾したりするときの感覚や行為を通して、動き、バランス、色の鮮やかさ、色や形の構成、いろいろな表現方法などを理解する。
  • 水性ペン、色鉛筆、マスキングテープ、コンテ・パステルの特性や使い方を体感的に身に付けるとともに、表し方を工夫して表している。

【思考力、判断力、表現力等】

  • アーティストの作品を手がかりに、自分なりのイメージを膨らませ、どのように色や線を加えるかを創意工夫し、仲間と協働しながら、場所やスペースを意識し、自分の表現を考える。
  • アーティストの線画に自分の表現を重ね、仲間と協力して作品を仕上げる過程で、互いの表現を認め、自分の感じたことや思い付いたことを線や色、形としての表現に発展させる。

【学びに向かう力、人間性等】

  • 大胆に身体を動かす活動や自由な表現体験を通して、表現することの楽しさや達成感を味わうとともに、大勢の仲間と一つの大きな作品を作る中で、協調性や多様性を尊重し、楽しく豊かな生活を創造しようとする。
  • アーティストと直接触れ合い、対話を重ねることで、美術や表現活動への関心・意欲を高めたり、アーティストの助言や友達のアイデアから刺激を受けたりしながら、自分なりの表現に積極的に取り組もうとする。

8.題材の評価規準

【知識・技能】

  • 身体全体を使って大きなロール紙にかいたり、アーティストの線画に自ら着色・装飾したりするときの感覚や行為を通して、動き、バランス、色の鮮やかさ、色や形の構成、いろいろな表現方法などを理解している。
  • 水性ペン、色鉛筆、マスキングテープ、コンテ・パステルの特性や使い方を体感的に身に付けるとともに、表し方を工夫して表している。

【思考・判断・表現】

  • アーティストの作品を手がかりに、自分なりのイメージを膨らませ、どのように色や線を加えるかを創意工夫し、仲間と協働しながら、場所やスペースを意識し、自分の表現を考えている。
  • アーティストの線画に自分の表現を重ね、仲間と協力して作品を仕上げる過程で、互いの表現を認め、自分の感じたことや思い付いたことを線や色、形としての表現に発展させている。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • 大胆に身体を動かす活動や自由な表現体験を通して、表現することの楽しさや達成感を味わうとともに、大勢の仲間と一つの大きな作品を作る中で、協調性や多様性を尊重し、楽しく豊かな生活を創造しようとしている。
  • アーティストと直接触れ合い、対話を重ねることで、美術や表現活動への関心・意欲を高めたり、アーティストの助言や友達のアイデアから刺激を受けたりしながら、自分なりの表現に積極的に取り組もうとしている。

9.指導計画(90分)

前半(45分):ウォーミングアップ「からだでかくアート」

◎内容

  • 淺井裕介さんによるワークショップ形式の導入(身体を大きく使う描画のデモンストレーション)
  • 児童たちが自由にロール紙上を動き回り、思う存分身体全体で線や色をかく。
  • 色鉛筆、ペンなどの画材を自由に試しながら、感性を解放し、ウォーミングアップする。

◎指導のポイント

  • 「間違い」「正解」にとらわれず、自由な発想で表現できるよう声かけする。
  • 身体と心の解放を大切にし、かくことの楽しさに気付かせる。
  • 淺井さんの自由な発想や素材へのまなざしを児童が体験できるように働きかける。
  • 一人ひとりの発想や表現を認め、肯定的なフィードバックを重ねる。
  • グループ内の対話・協働を促す声かけを行う。
後半(45分):巨大アートの共同制作

◎内容

  • 淺井裕介さんが用意した巨大な線画(下地)に、児童が色鉛筆、ペンに加えてマスキングテープ、コンテ・パステルを使って、自由に色や線、模様を加える。
  • 児童一人ひとりの発想を大切にしながら、全員で一つの作品を仕上げる。
  • 体育館に配置された淺井さんの線画に、グループごとに分かれて着色・装飾する。

◎指導のポイント

  • どう仕上げたいかを話し合い、互いのアイデアを尊重する姿勢を育てる。
  • 淺井さんのアドバイスを取り入れて新たな表現に挑戦させる。
  • 児童がのびのびと活動できるよう、評価はプロセス重視とする。

10.活動の様子

①ウォーミングアップ「からだでかくアート」

 授業の冒頭、淺井裕介さんの案内のもと、体育館の床一面に広げられた大きなシートが子どもたちを迎えた。子どもたちは手や腕だけでなく、体全体を使ってペンや色鉛筆を走らせ、自由に線や模様をかき出していた。走ったり、しゃがんだり、時には寝転んだりしながら、普段の机上の制作では味わえないスケール感と解放感に包まれ、笑い声や歓声が体育館に響き、子どもたちの表情は生き生きとしていた。広い空間で体全体を使った描画体験は、子どもたちの表現意欲を大いに刺激し、手先だけでなく全身で「かく」ことの新鮮さを実感させていた。これにより、感性の解放とイメージの広がりが育まれていた。
 今回の協働作品は、体育館という広い空間で、身体全体を使いながら自由に表現することを意図し、一人ひとりのアイデアや表現が集まることで、作品がより大きく、より豊かに広がり、自分の描いた線や色が、周りの友だちの表現とつながることで、予想もしなかった新しい形や物語が生まれる瞬間に、児童たちは大きな驚きと喜びを感じていた。自分の表現が他者とつながり、より大きなものを生み出していく過程は、単なる絵を描く活動を超えて、協力することや発想を共有する楽しさを実感できる貴重な経験となり、この活動を通して、子どもたちは「もっと広がる」「つながる楽しさ」を体感し、今後の学校生活や地域との関わりにも積極的に生かしていくことが期待される。

②巨大アートの共同制作

 前半で耕された感性と解放感を引き継ぎ、後半は淺井裕介さんがかいた巨大な線図に、子どもたちがマスキングテープやコンテ・パステルなどで着色する活動へと移った。子どもたちは線図の中に自分のお気に入りの場所を見付け、思い思いに色を重ねていた。マスキングテープを使った繊細な模様づくりや、コンテ・パステルによるダイナミックな色付けなど、それぞれの個性が作品に表れていた。友だちと相談しながら色を重ねる場面も見られ、協働的な制作も進んでいた。後半の活動は「共同制作」と「素材・技法の多様な活用」が特徴的である。巨大な線図という共通のキャンバスを使い、個の表現と集団の協働が同時に進行することで、他者の表現を認め合い、刺激し合う創造的な雰囲気が生まれていた。マスキングテープやコンテ・パステルなど、普段使い慣れない素材の特性を探りながら自由に表現する姿は、素材への探究心や技法の工夫を促進していた。

③子どもたちの振り返りから

 振り返りには「普段できないかき方をすることによって、発想が広がった」「普段の図工も楽しいが、普段できない活動で新鮮だった」という発言があった。見慣れた道具や手法ではなく、アーティスト独自の手法に触れることで、児童が自分だったらどう表現するかと主体的に考える力が育まれたと捉えられる。「新鮮だった」という感想は、非日常的・実験的な活動に対する好奇心や意欲の高まりを示していると感じられる。日常の授業では体験できない手法や素材、アーティストとの直接的な交流が、児童にとって未知の刺激となり、学びに対するモチベーションが向上したことが読み取れた。振り返りの中で「普段できないこと」「新しいこと」に価値を見出している点から、児童が自ら学びの意味付けを行い、自身の成長を自覚する姿が見られた。児童の感想からは、淺井裕介さんとのコラボによる非日常的な活動が、発想の転換や表現意欲の向上につながっていることが分かった。

*1:2022年のプレイベントも含めると今年で4回目の開催となり、高井戸芸術祭2025の会期は9月27日(土)から10月11日(土)である。Instagramにて情報発信中。
https://www.instagram.com/takaido_art_festival_official/

「豆太の家」(第4学年)

1.題材名

豆太の家

2.学年

第4学年

3.分野

立体に表す

4.時間数

8~10時間

5.準備物

教師:黄ボール紙(いろいろな形に細断されたもの)、板(2センチ程の厚みのある小さいもの)、カラーペン(4~5種類)、ポスターカラーマーカー、豆(大福豆)、木工用接着剤、カッター、カッターマット

児童:はさみ、のり、セロハンテープ、筆記具

6.題材設定の理由

 本題材は、豆でつくった「豆太」が楽しく暮らせる家を想像し、黄ボール紙を切ったり、折ったり、曲げたり、貼ったり、組み合わせたりしながら、自分が表してみたい「豆太の家」を工夫して表す活動である。

(1)「家」について
 本題材で、教師側が提案するイメージは「家」である。「家」はだれにとっても身近で、一人ひとりの生活とは切っても切り離せないものである。4年生という多感で好奇心旺盛な年代の児童にとっても、より身近で、イメージしやすく、活動に入り込みやすいと思い設定した。同時に、普段児童が手にしたり目にしたりするさまざまなものが「家」という空間の中に入り込むことは、多くの児童の興味を引きつけ、充実した造形活動を引き出すと考えている。それはまるで、自分だけの小さな「ひみつ基地」づくりのようで、わくわく感をもち、夢中になって活動できると考えている。

(2)材料について
 今回の主材料は黄ボール紙である。黄ボール紙は、画用紙より強度があり、自立させ、立体的な形に組み立てやすい材料である。同時に、ハサミやカッターで切ることができ、折ったり、曲げたりすることで、椅子や机、本、棚など児童がイメージする「つくりたい形」をすぐにつくることができる。つまり、黄ボール紙は、児童が表してみたいイメージを実現する時のスピード感を支えてくれる特徴をもつ材料であると言える。また、ボンドとの相性もよく、「家」に不可欠な壁や床もつくりやすく、2階、3階の部屋やベランダ、屋上なども、自分の力でつくることができる。一番下の土台(床)の部分だけは少し厚みのある板を用いる。理由は壁を垂直に立て、「家」をより丈夫にするためである。倒れにくい構造は、児童が考えたことを形にすることを支え、一人ひとりの思いを自分自身の力で実現しやすくすると考えている。

(3)サイズ感・スケール感について
 今回の題材の主人公は、豆でつくったかわいいサイズの「豆太」である。小さな豆を使うことで、ちょっとしたスペース(空間)や小さな材料が「豆太の家」をより楽しくするものに変化する。たくさんのアイデアが詰まったものが、目の前の空間に収まり、児童は常に「家」全体を自分の視野に入れながら活動することができる。この、全体が視野に入るスケール感と、つくりたいものをすぐにつくれるスピード感が重なると、一人ひとりが充実した造形活動を送ることができる。

7.題材の目標

【知識及び技能】
 自分の感覚や活動を通して、黄ボール紙やボンド等の特徴や、感じが分かる。
 黄ボール紙やハサミ、カッター等を適切に扱うとともに、前学年までの経験を生かし、切ったり、つけたり、組み合わせたりして、手や体全体を十分に働かせ、表したいことに合わせて表し方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】
 「豆太が楽しく暮らせる家」のイメージをもちながら、黄ボール紙やボンド等の感じを基に、自分なりに感じたことや想像したことから表したいことを見付け、どのように表すかについて考える。
 自分や友だちの作品や活動から、造形的なよさや面白さ、いろいろな表し方等について感じとったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げる。

【学びに向かう力、人間性等】
 つくりだす喜びを味わうとともに、自分なりの「豆太の家」を工夫して表したり、友だちと鑑賞したりする活動に取り組む。

8.評価規準

【知識・技能】
 自分の感覚や活動を通して、黄ボール紙やボンド等の特徴や、感じが分かっている。
 黄ボール紙やハサミ、カッター等を適切に扱うとともに、前学年までの経験を生かし、切ったり、つけたり、組み合わせたりして、手や体全体を十分に働かせ、表したいことに合わせて表し方を工夫して表している。

【思考・判断・表現】
 「豆太が楽しく暮らせる家」のイメージをもちながら、黄ボール紙やボンド等の感じを基に、自分なりに感じたことや想像したことから表したいことを見付け、どのように表すかについて考えている。
 自分や友だちの作品や活動から、造形的なよさや面白さ、いろいろな表し方等について感じとったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げている。

【主体的に学習に取り組む態度】
 つくりだす喜びを味わうとともに、自分なりの「豆太の家」を工夫して表したり、友だちと鑑賞したりする活動に取り組もうとしている。

9.指導計画(全10時間)

時間

児童の活動の流れ

教師の指導の手立て

第1時~
第2時

●豆と出会い、活動を知る。
●自分が考えた「豆太」をつくる。

▼豆との出会わせ方を工夫することで、活動のキッカケになる豆に愛着をもたせる。例)目をつぶった子どもたちの手のひらに一人一粒ずつ豆を置いて、優しく握らせる。

●板と黄ボール紙を使い、家の基礎となる床と壁をつくる。

▼家が高くなったり大きくなったりしても崩れないように、板と黄ボール紙の接着の仕方を丁寧に指導する。

第3時~
第9時

●豆太が楽しく暮らせるような、ものや場所などを考えながら、いろいろな形の黄ボール紙を組み合わせ、自分が表してみたい家を工夫して表す。

▼黄ボール紙の特徴を捉えながら、表し方を工夫している児童には、具体的な部分を示しながら認めて、声かけする。
▼面白いアイデアや材料の特徴を生かしている児童の作品をクラスで共有した方がよい場合は、全体に紹介する。

●お互いの作品を見合いながら、違いやよさ、面白さなどを味わう。

▼授業の始め、身近な友だちの多様な表現に触れ、さまざまなイメージをもたせるために、クラス全員の作品を並べておき、みんなで鑑賞する。

第10時

●お互いの作品を見合いながら、違いやよさ、面白さなどを味わう。

▼自分の作品の振り返りや、友だちのいいところを見つけるために、ワークシートやタブレットのカメラなどを用いて記録させる。

10.児童の様子・作品

児童の様子

 毎年、この題材を行っているが、毎回夢中になって活動する児童が多い。また、自分が思ったことや考えたことが形になって表せることがとても楽しく、どんどんつくりたいという気持ちが湧いてくる様子が多く見られる。友だち同士の関わりも自然と生まれやすく、まるで友だちの家に遊びに行くようにお互い鑑賞している姿をよく見かける。「今日で終わり、完成させるよ」と言うと、大体「えーやだー。まだやりたーい」という声が多く上がる。

作品

「ZOO×ガチャプロジェクト」(第5・6学年)

1.題材名

ZOO×ガチャプロジェクト

2.学年

第5・6学年(57人)

3.分野

絵に表す・鑑賞する

4.時間数

6時間(+総合的な学習の時間3時間)

5.準備物

児童:鉛筆、色鉛筆、スケッチブック、タブレットPC など

教師:カラーペン、缶バッチキット、接着剤、防水ラッカー など

6.題材設定の理由

◎題材のねらい
 本校では、児童の自尊感情を高め、主体的に学びに向かう力を育成するための取り組み全体を「わくわくプロジェクト」と題し、推進している。その取り組みの一つが「ZOO×ガチャプロジェクト」である。本校と隣接する羽村市動物公園(ヒノトントンZOO)は、年間を通じて週に2回動物公園内を通って登校する「動物園登校」のほか、生活科や図画工作の授業の写生等でお世話になるなど、児童にとって動物公園は愛着のある場所であり、故郷のシンボルとなっている。
 「ZOO×ガチャプロジェクト」は、児童の動物スケッチをもとにした缶バッチをカプセルトイにして、羽村市動物公園の魅力を発信し、地域貢献につなげようとするアイデアから始まった。本校の「特色のある教育」の一環として、図画工作と総合的な学習の時間を横断するプロジェクトである。本題材は、図画工作で培ってきた知識や技能を用いて、取材やスケッチをもとに「推し」の動物をかき、缶バッチのデザインとして表す。児童の探究的なものの見方・考え方を働かせる場として、羽村市動物公園ならではの魅力の詰まった唯一無二のバッチをお土産物にして来園者に届けることをねらいとする。

◎題材観
 地域の動物園の魅力を広く発信し、不特定多数の人に届けるには、どんな方法があるだろうか。そこで目を付けたのが、子どもから大人までを魅了するカプセルトイ。その魅力について、実際にカプセルトイの企画を仕事にしているゲストを呼び、出前授業をしてもらった。講師は、「地産地消ガチャ」などで話題のアートディレクター、武笠太郎氏。また、動物公園の魅力については、園長とグッズ担当兼飼育員の職員さんらにお話しいただき、羽村市動物公園の動物を紹介することが明確になった。さらに調べ学習や飼育員さんへのインタビューを通じて、バッチに合わせたミニ新聞を作成することで、その魅力の発信が補強されるようにした。バッチの入ったカプセルトイのマシンは、羽村市動物公園とプリモホールゆとろぎに1台ずつ設置し、ひとつ100円で販売。売上金は羽村市観光協会を通じて、動物の餌代として動物園に寄付することにした。自分がつくったものが誰かの手に取られ、喜ばれるというカプセルトイの仕掛けが、児童の自尊感情の醸成と地域貢献になると考え、この題材を設定した。

7.題材の目標

【知識及び技能】
 動物を描画材で表すときの感覚や行為を通して、形や色などの造形的な特徴を理解する。
 前学年までの材料や用具などの経験や技能を総合的に生かし、缶バッチの加工に適した材料や用具の使い方や効果を考えながら、表し方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】
 表したいことやものを見付けたり、動物の特徴を抽出したりして、形や色などの造形的な特徴を基に自分のイメージをもちながら、どのように主題を表すかについて考える。
 形や色などの造形的な特徴を基に自分のイメージをもちながら、表現の意図や表し方について、自分や友だちの作品の造形的なよさを感じ取ったり考えたりし、見方や感じ方を深める。

【学びに向かう力、人間性等】
 主体的に絵に表したり鑑賞したりする活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.題材の評価基準

【知識・技能】
 動物を描画材で表すときの感覚や行為を通して、形や色などの造形的な特徴を理解している。
 前学年までの材料や用具などの経験や技能を総合的に生かし、缶バッチの加工に適した材料や用具の使い方や効果を考えながら、表し方を工夫している。

【思考・判断・表現】
 表したいことやものを見付けたり、動物の特徴を抽出したりして、形や色などの造形的な特徴を基に自分のイメージをもちながら、どのように主題を表すかについて考え、表している。
 形や色などの造形的な特徴を基に自分のイメージをもちながら、表現の意図や表し方について、自分や友だちの作品の造形的なよさを感じ取ったり考えたりし、見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】
 つくりだす喜びを味わい主体的に絵に表したり鑑賞したりする学習活動に取り組もうとしている。

9.指導計画 6時間程度(+総合的な学習5時間)

◎1次:【総合的な学習】(2時間)

  • 「カプセルトイの魅力」武笠太郎さん出前授業
    導入では、カプセルトイの魅力や可能性、動物園の魅力を発信する方法について、カプセルトイ専門家の話を聞いて、缶バッチデザインのイメージを膨らませる。

◎2次:【図工】(2時間)

  • 「動物公園について」羽村動物公園園長と飼育員さんの講話・動物スケッチと撮影スケッチブックにかいた過去の動物スケッチを振り返る。動物や解説パネルを見ながら、鉛筆で写生を行う。着色やミニ新聞のための資料として、タブレットPCで写真撮影を行う。職員に動物園の概要や飼育の話を聞いて、メモをとる。

◎3次:【図工】ペン入れと着色(2時間)

  • スケッチブックにかいた絵をもとに、バッチの2倍サイズで1~3種類のデザイン画を作成する。原寸に縮小したコピー用紙に、色鉛筆やカラーペンで着色する。缶バッチのサイズ大に、はさみで切り取る。

スケッチブックの縮小コピー、約300個の缶バッチの加工とミニ新聞の印刷、カプセル詰め、マシンへの補充は、基本的に図工専科教員とスクールサポートスタッフが随時行う(売り物としての質を保持するため)。自分用のバッチは、各自、通常授業の隙間時間に制作する。また、児童の中から有志を募り、休み時間や放課後に、缶バッチ作成や補充の補助を行う。

◎4次:【総合的な学習】ミニ新聞の作成(2時間)

  • 動物園取材や調べ学習を生して解説文を書き、缶バッチの絵と組み合わせて構成する。

◎5次:【図工】ポスター作成と鑑賞(2時間)

  • 「ポスターの極意」武笠太郎さん出前授業
  • 「缶バッチ鑑賞会」羽村動物公園園長と飼育員、教育委員、教職員らをゲストに招いて開催

◎6次:【総合的な学習】動物園訪問(1時間)

  • 売上金によって羽村市観光協会が用意した餌(リンゴやキャベツなど)を動物園側に手渡すセレモニーに参加。(令和7年3月に予定)

10.活動の様子と作品

動物園でスケッチや撮影を行う

スケッチブックやワークシート

原画のコピーに色鉛筆などで着色

缶バッチ作品

缶バッチとミニ新聞

カプセルトイマシンの宣伝POP(武笠太郎さん作成)

昼休みにカプセル詰め作業をする児童

設置場所①  羽村市動物公園エントランス

設置場所②  プリモホールゆとろぎ

11.プロジェクトを終えて

 動物園と連携する「ZOO×ガチャプロジェクト」の半年に及ぶ実践は、児童の動物園や動物への愛着をバッチや新聞というかたちにしただけでなく、人と人をつなぐツールとして手にした人の心に届くものとなった。児童自身も家族や友達と、放課後や休日に動物園を訪れてガチャを回し、友達のバッチをコレクションしていると聞く。私が園に補充へ行った際は、カプセルを手にした来園者に「とてもかわいくて何回もガチャを回してしまいました」「素晴らしい取り組みで感激しました」などと声を掛けられることもあり、周囲からも温かく受け止められていることを感じた。
 一生懸命スケッチした動物のバッチが見知らぬ人の手に渡って喜ばれ、その基金が動物たちの餌となるという連環は、学校教育が校外へ飛び出した一例として、地域を巻き込み、注目を集めることとなった。こうした教科横断型、地域連携の手法は、変化の激しい社会に対応した課題解決や自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成する場として、図画工作という教科の特性を生かした大きな学びの可能性があるだろう。

「板にかく」(第6学年)

1.題材名

板にかく

2.学年

第6学年

3.分野

絵に表す

4.時間数

全8時間扱い

5.準備物

児童:水彩絵の具一式、新聞紙、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤、定規、仕事着、ネームペン、鉛筆
教師:しなベニヤ版 450×300mm(4mm厚)、アクリル絵の具、凧染料、軽量粘土(比較的、絵の具の色を生かして使用可能なもの。美術出版サービスセンター「ペタペタフワフワ」、ジェッソ(地塗り剤)など)、ペインティングナイフ、刷毛、スポンジ、皿、細筆、竹串など

※きっかけとなる中心共通材料・用具は、ペインティングナイフ、軽量粘土。それ以外の材料、用具などについては、児童が選択して自分のテーマと重ねながら使用する。

6.題材設定の理由

(1)題材観
 日常の図工の時間。いろいろな描画材を使いながら、自分の世界を表そうとしている中で、水彩絵の具をチューブからそのまま紙に出した形が気に入ったのか、うれしそうにこっそり絵の具が紙の上で固まっていく様子を見ている子どもがいたり、指先に全神経を集中させて染料の水滴を筆で丸くポタっと紙の上に並べて見ている子どもがいたり。
 図工室では、どの学年でも子どもが自分の色に対して、水をたっぷりと入れた薄い色の重なりやにじみに喜んでいたり、たっぷりとねっとりとした絵の具の質感・量感を好んで表したりする姿に出会う。その上、筆洗の中の水に混ざり合おうとする絵の具の色の変化にさえ喜びの声を上げている。また、納得いくまで表したい気持ちから体のスイッチが入り、画用紙に穴が開くまで何度も筆を動かす姿さえある。
 本題材は、日頃やってはいけない、やりたくてもできないことを絵の具で実現でき、自分が納得いくまで何度も表せることにより、子どもの心が動きだし、いつも抱いている絵に表す概念からイメージが広がるのではないかと考え設定した。
 本題材では、6年生が今までの経験から想定できる紙の上で表すことはせず、基底材は紙よりも堅い手ごたえがある木材とした。軽量粘土を使用することで、絵の具を薄く伸ばしたり盛り上げたりすることもできることから、自分が試しながら表し変化していく形や色を目の前で実感することができ、やってみたいことやイメージの幅が広がり、子どもの思いと重なる表現活動の幅も広がるのではないかと考えた。

(2)児童観
 本学級の児童は、ペインティングナイフで軽量粘土を扱う経験は初めてであったため、使いながら、少しずつ、どのように手を動かすとその変化が形につながるかなど気付きの上でまた手を動かす時間を取っている。今まで、共通の大テーマと材料(様々な紙・液体粘土・絵の具など)・行為の中で、自分でテーマを決めて表したり、自分の体と同じくらいの大きな作品を表したりと、作品の中に常に自分のテーマを織り込むことを指導の重点としている。高学年でもあるので、今までの思いをもつ経験や自分で考えて生み出す実感を基に、今を生きる自分の思いと程よく力を加えられる対象と表現を重ね、つくりだす喜びを感じながら、体全体の諸感覚からの心地よさを感じ、心地よく自分と向き合える時間となることを大切に確保していきたいと考えている。

7.題材の目標

 絵の具を厚く立体的に表してできる形や、色の混ざる様子を見て感じたことや、自分の感覚、行為を通して感じたことを基に表したいことを見付け、自分の思いと重なるように、画面の構成の面白さや美しさなどの感じを考えながら、材料や用具などを活用して、自分の主題を楽しみながら工夫して表し、自分や友人の表したもののよさや美しさについて感じ取る。

【知識及び技能】

  •  軽量粘土の特徴を生かしながら、ペインティングナイフや筆などで板に絵の具で表すときの感覚や行為を通して、その変化していく形や色、バランスの感じなどを理解する。
  •  自分が表したい感じに合わせてペインティングナイフや筆などを使って表し、前年度までの材料や用具の経験や技能を活用し、表現に適した方法を組み合わせて自分の表したいことに合わせて表し方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】

  •  軽量粘土とペインティングナイフや筆などで変化していく表面の形やその色、その組合せ、バランスの感じを基に、自分のイメージをもつ。軽量粘土とペインティングナイフや筆などで表面の形や色を変えながら、画面の変化の痕跡を見て感じたこと、想像したこと、見たことから、表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じなどから主題をどう表すかを考える。
  •  自分や友人が板に表した作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて感じ取ったり考えたりし、作品などから自分の見方や感じ方を深めたりする。

【学びに向かう力、人間性等】

  • 主体的に描画材(絵の具や材料、用具など)に関わり、形や色のもつ面白さを感じ、自分の思い付いたことを表現することや鑑賞したりする学習活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.題材の評価規準(◎は本題材で重点をおく観点)

知識・技能

  •  軽量粘土の特徴を生かしながら、ペインティングナイフや筆などで板に絵の具で表すときの感覚や行為を通して、その変化していく形や色、バランスの感じなどを理解している。
  •  自分が表したい感じに合わせてペインティングナイフや筆などを使って表し、前年度までの材料や用具の経験や技能を活用し、表現に適した方法を組み合わせて自分の表したいことに合わせて表し方を工夫して表している。

思考・判断・表現(◎)

  •  軽量粘土とペインティングナイフや筆などで変化していく表面の形やその色、その組合せ、バランスの感じを基に、自分のイメージをもっている。軽量粘土とペインティングナイフや筆などで表面の形や色を変えながら、画面の変化の痕跡を見て感じたこと、想像したこと、見たことから、表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じなどから主題をどう表すかを考えている。
  •  自分や友人が板に表した作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて感じ取ったり考えたりし、作品などから自分の見方や感じ方を深めたりしている。

主体的に学習に取り組む態度

  •  つくりだす喜びを味わい、主体的に描画材(絵の具や材料、用具など)に関わり、形や色のもつ面白さを感じ、自分の思い付いたことを表現することや鑑賞したりする学習活動に取り組もうとしている。

9.題材の指導計画と評価計画(全8時間扱い)

ねらい

学習内容・学習活動

評価規準(評価方法)


1

2

・ペインティングナイフで絵の具と混ぜた軽量粘土を実際に触り、関わりながらその特徴を知る。
・この表現の行為から発想し、表してみたい自分のイメージをもつ

・本題材の内容や表す時間を知る。
・ペインティングナイフで絵の具と混ぜた軽量粘土を扱いながら、その活動の表れの観察・変化や痕跡を見ながら、自分が表したい形の方向性を考える。
・自分の表したいことが表せる板の形を構想する。

 ◎
(活動の表れの観察・表情)


(活動の表れの観察・つぶやきを聞き取る)


3

4

・基底材となる板の形を決め、自分のイメージに近づくように表す。
・形や色などの造形的な特徴を理解し、表したいこと(主題)や表し方に応じて用具などを活用し、表したいことに合わせて工夫して表す。

・450×300mm(4mm厚)の板から、表したい形を電動糸のこぎりで切り出す。
・自分のイメージを少しずつはっきりさせる。
・板を組み合わせながら、板の色とジエッソで塗り分けたいところを決めて着色する。
・深い学びにつながるよう、友人と見合う場をつくる。(※材料・用具を取に行くときに自然と見られるようにする)

 
(活動の表れの観察・つぶやきを聞き取る)

 ◎
(活動の表れの観察・つぶやきを聞き取る)


5

6

・手の動きで表した形や絵の具などの色、自分のイメージから表したいことを見付け、構成の面白さや美しさなどの感じを考える。
・形や色などの造形的な特徴を理解し、表したいこと(主題)、表現方法に応じて、描画材料や用具などを使って、表したいことに合わせて工夫して表す。
・意図的、偶然できた形から、表したい基の形を見付け、形の面白さや美しさなどの感じを考える。

・軽量粘土と絵の具を混ぜたものをペインティングナイフで表したり、筆で板の上に思い付いたことを表したりする。
・形や色を重ねたり、描き変えたりしながら、今のイメージに重なるように表す。
・少し離れて見る、ひとりで見るなど、作品と向き合う。(・友人と作品について話す)
・深い学びにつながるよう、友人と見合う場をつくる。(※材料・用具を取に行くときに自然と見られるようにする)

 ◎
(活動の表れの観察・つぶやきを聞き取る)

 ○
(活動の表れの観察・表情)


7

8

・形や色などの造形的な特徴を理解し、表したいこと、表現方法に応じて、描画材料や用具などを活用し、表したいこと(主題)や表し方に応じて用具などを活用し、表したいことに合わせて工夫して表す。

・自分の表したいことを、言葉(題名など)で表し、明確化する。
・全体と部分を見ながら、自分の表したいことと重ねる。
・友人の作品のよさや美しさや表現について感じたことを言葉で表す。

 ◎
(活動の表れの観察・表情・作品)

 ◎
(活動の表れの観察・つぶやきを聞き取る・鑑賞カードなど)

10.指導に当たって

(1)題材の手渡しは熱意をもって行い、言葉にならない感覚的な部分も伝えていくようにしていく。児童一人一人の表現の違いを認め、児童が分かりやすいように題材全体の見通しがもてるように、すぐに既成のものの写真や資料などは見せず、言葉で題材の全体像をつかめるように伝えていく。
 材料や用具については、経験とともに知識や技術として児童が選んで活用できるよう伝え、題材の核がぶれないように手渡しする。児童には、いつも、必ず主題に戻って来られるよう、思考と表現が行ったり来たりできる授業を行う。見る方向を多様にすることで、児童の気付きのきっかけをつくる機会とするとともに、常に児童からの目線を意識し、授業者のねらいと児童からの目線の2方向を考え題材を設定・工夫していく。

(2)「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて、工夫・改善したことについて
ア 授業形態の工夫……児童が題材の見通しをもてるよう一斉指導を行うが、停滞している児童にはその都度個別指導を行う。一人で自分の表現に向き合える環境をつくる。
イ 指導方法の工夫……授業者が決めていることと、児童が決めることを明確に伝え、今までの既習事項に触れながら、一人一人のイメージや表現が違ってよいということに気付けるように伝えていく。

(3)「造形的な見方・考え方」を働かせる活動の実現に向けて、工夫・改善したことについて
表現や鑑賞の活動を一体化して行い、自分のイメージを明確化させ、自分にとっての新しい意味や価値を、自分の変化として実感できる声かけをする。

11.作品

海の夕日(57×27cm)生まれて(40×30cm)

海と風(30×45cm)旅鳥(41×30cm)

月と夢が大きくなった日(45×30cm)海と砂漠(30×30cm)

人が食べる生き物は人と同じ命(45×56cm)冬の海辺(33×60cm)

※本題材は「みんなの図工ギャラリー」でも作品を掲載しています。
https://www21.nichibun-g.co.jp/zuko_gallery/5-6nen/44/

実技講習「ともに学び合おう!子どもの気持ちになって教材研究」

1.実技講習

「ともに学び合おう!子どもの気持ちになって教材研究」

2.研修のねらい

 本市の小学校教育研究協議会図画工作科部会では、夏季休業中に行う研修日を、前半は研究協議「研究主題に向かって!皆で高め合おう!」、後半は実技研修「ともに学び合おう!子どもの気持ちになって教材研究」と題して、いわき市の図画工作教育の発展のために研修に励んでいます。今回は、後半の実技研修「ともに学び合おう!子どもの気持ちになって教材研究」について説明します。
 教材研究では、教科書に新しく掲載された題材を取り上げ、低・中・高学年ブロックごとにその模擬授業を行います。
 図画工作部の理事が教員の役割を果たしながら授業を進め、その他の部員が各学年の子どもたちとして自由に発想をし、以下の題材に取り組みました。

①低学年:「スルスル ビューン」(1・2年上)
②中学年:「顔を出したら なんだかワクワク」(3・4年上)
③高学年:「けずって見つけたいい形」(5・6 年上)

3.準備物(材料・用具)

 次のようなお便りをもとに、各部員が教科書や指導書を見ながら、自校の児童の実態を踏まえながら準備物を各自で用意します。

実技講習の内容および準備物について

○低学年:「スルスル ビューン」(1・2年上)
※楽しく滑らせて遊ぶおもちゃを、何度も試しながらイメージを広げ、つくったりつくり直したりする。
準備物:空き箱、紙筒、紙皿、はさみ、のり、セロハンテープ、ペン、色画用紙、紙テープ、PEテープ、折り紙など

○中学年:「顔を出したら なんだかワクワク」(3・4年上)
※思わず顔を出したくなるパネル。どんなパネルができるかな。形や色、あなや材料の組み合わせは?
準備物:段ボールカッター、木工ボンド、はさみ、絵の具、クレヨン、ペン

○高学年:「けずって見つけたいい形」(5・6年上)
※かたまりをけずり、少しずつ形を変えながら、自分が面白い・美しいと感じる形を見つけよう。
準備物:スプーン・フォーク・バターナイフ・ピーラー・串・粘土ベラなど家庭にあって子どもたちが準備できそうな物)

※各ブロックの準備物等は、指導書等でご確認ください。

4.実践を振り返って

 毎年、各部員が、自校の児童を想定しながら製作をしたり、用意された材料や提示物、効果的な場の設定の中で製作したり、試したりしながら、「児童の困り感はどういうところだろうか?」「用意する材料や用具は、どんな物が適しているのだろうか?」「こういう場面があったら楽しいなあ~」などと思いながら活動していて、これこそが教材研究だと感じています。
 この研修では、部員一人ひとりが理事や他の部員との学び合いの中で多くのことに気づき、その題材で培われる能力や製作の中で感じる楽しさを感じ取っていると思います。自分がつくった作品以外も写真に収め、さまざまな作品のよさや工夫などにも関心をもっている様子が見られました。各部員の授業への意欲が高められていることと信じています。

①低学年:「スルスル ビューン」

吹き抜けスペースにつくった「試しの場」。角度の違うたくさんの紐を設置し、仕組み作りの際や完成した作品を滑らせることができるようにしました。導入では、教員役の理事が箱などを滑らせることの面白さに気づくような投げかけと、ひもの素材やクリップなど材料の相性などについての講義をしました。

そこから発想を得た部員は、持ってきた材料で製作を始めました。互いに見せ合いながら、自分なりの作品をつくり始めます。

つくった作品がひもを滑ることができるか、教室内に設けた試しの場で確認し、できた作品をもって吹き抜けスペースに移動します。

仕上がった作品を吹き抜けスペースに持っていき、設置されたさまざまな角度のひもの中から一つを選び、自分の好きなところで滑らせました。さまざまな工夫をした作品に、他の部員からは大きな拍手が湧き上がりました。

②中学年:「顔を出したら なんだかワクワク」

教師役の理事からは、子どもたちが行きたい場所やなりたい自分を想定しながら製作する楽しさについての説明がありました。

各部員は「どこに穴があったらいいか」「どんな絵にしようか」など、担任している子どもたちの笑顔を想像しながら楽しく製作していました。

グループで見せ合う際には、どのグループも笑顔にあふれ、最後には全員が自分の顔を穴から出しての発表です。記念撮影の際には、たくさんの笑顔と拍手にあふれました。

③高学年:「けずって見つけたいい形」

教師役の理事からは、様々なけずれる物(材料)とけずる物(用具)の紹介がありました。実物を見ながら購入先なども教えてもらったり、教材を購入しなくても身の回りにある物を使ってできるということを学びました。

石けんアドのいいにおいに包まれながら、一心不乱に削り続ける部員の皆さん。教師役の理事にアドバイスをもらいながら、独創的な作品がたくさん製作されました。

「無限に広がる形・色~プログラミングでデジタル万華鏡をつくろう~」(第5学年)

1.題材名

無限に広がる形・色~プログラミングでデジタル万華鏡をつくろう~

2.学年

第5学年

3.分野

絵に表す・鑑賞する

4.時間数

2時間

5.準備物

ミラーシート、児童用端末(「ビスケット」が操作できる環境)

6.題材設定の理由

 プログラミング教育の分類B(学習指導要領に例示されてはいないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施するもの)を位置づけ、図画工作科学習の広がりや深まりのためにプログラミングを導入した。
 プログラミング環境「ビスケット」を活用し、表したいことを絵に表す。児童は「ビスケット」でつくった絵をミラーシートでつくった三角柱や四角柱を使ってのぞき込む。ミラーシートに映り込むことにより表れる形や色を見ながら、作品をつくり・つくりかえ・つくることができるようにし、自分がイメージした世界を表わせるようにする。
 本題材は万華鏡の鑑賞から始める。万華鏡とは、2枚以上の鏡を組み合わせて内部に取り付けた対象物の映像を鑑賞する筒状の多面鏡である。小さな穴をのぞき込むときらきら光る不思議な世界が広がる万華鏡は、動かし方や入っているビーズや色セロファンなどで見え方が違ってくる。どの児童も一度は目にしたことがある万華鏡をつくることにより、その模様の美しさや動きの面白さを再発見できるようにする。
 また、プログラミングを活用して「動き」を児童自身が考えられるので、どのような映像ができるのかをイメージしながら取り組むことができる。万華鏡は、「動かす」ことによって中に映る映像が変化するが、本題材で作成する万華鏡は「動き」も想定してつくることができる。デジタル機器を活用し、今までにない、新しい万華鏡をつくることによって、児童の期待感を膨らませられるようにする。

7.題材の目標

【知識及び技能】
 自分の感覚や行為を通して、形や色、動き、色の鮮やかさなどの造形的な特徴を理解する。
 「デジタル万華鏡」をつくる活動を通して、ミラーシートを加工したりプログラミングの方法を活用したりするとともに表したいことに合わせて工夫して表す。

【思考力・判断力・表現力等】
 表したいことを見付け、形や色、動きなどを生かしながら、どのように表すかについて考える。
 友人がつくった作品を鑑賞する活動を通して、表したいこと、いろいろな表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深める。

【学びに向かう力、人間性等】
 主体的にデジタル万華鏡をつくる活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色に関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.評価規準

【知識・技能】
 自分の感覚や行為を通して、形や色、動き、色の鮮やかさなどの造形的な特徴を理解している。
 「デジタル万華鏡」をつくる活動を通して、ミラーシートを加工したりプログラミングの方法を活用したりするとともに表したいことに合わせて工夫して表している。

【思考・判断・表現】
 表したいことを見付け、形や色、動きなどを生かしながら、どのように表すかについて考えている。
 友人がつくった作品を鑑賞する活動を通して、表したいこと、いろいろな表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】

① プログラミングの方法を活用したりミラーシートを加工したりすることにより、形や色や動きが変化することに興味関心をもち、デジタル万華鏡をつくることに意欲的に取り組んでいる。(表現)
② 友人がつくった作品に対して、自分がつくった作品と比べながら楽しんで鑑賞し、身近なプログラミングに対しての関心を広げている。(鑑賞)

9.指導計画

時間

児童の学習の流れ

教師の指導の手立て

5分

◇万華鏡を見て、その仕組みを理解する。

・鏡に材料が映っている。
・手で動かすことによって材料が動き、不思議な模様ができる。

○本授業で何を考えて行うか、どこを工夫するのかがわかるように板書に明記する。
○デジタルで製作する前に、従来の万華鏡を鑑賞することにより、全員がその仕組みを理解できるようにする。

万華鏡の仕組みを理解して、ビスケットとミラーシートをつかって、デジタル万華鏡を工夫してつくろう

15分

◇プログラミング環境「ビスケット」の操作方法を理解する。

○ビスケットには様々な動きをプログラムできる要素がある。本題材では、「動きの速さ」と「回転する動き」に絞った。操作習得の時間を限定し行うことで、児童が試行錯誤して取り組む場面や、作品のイメージに合わせて工夫して取り組む時間を多く確保できるようにした。

◇ミラーシートを「三角柱」「四角柱」「五角柱」などに組み立てて、そこからタブレット画面を覗きながら、どのような見え方をするのかを知る。

○ミラーシートには折り曲げるためのスジを入れておくことで、折るだけで三角柱や四角柱や五角柱ができるようにしておく。
○組み立てた形によって見え方が変わることが理解できるようにする。

40分

◇「動き」や「形」や「色」を工夫しミラーシートで画面を覗きながら、自分のイメージに合わせて工夫してつくる。

○背景の色を変えることができたり、動きの速さによって見え方が変わったりすることなどを声掛けしながら、子どもたちが自分の作品のイメージを見付けられるようにする。

10分

◇友人がつくった作品を鑑賞する活動を通して、表したいこと、いろいろな表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深める。

○覗いて確かめる鑑賞方法をとることにより、覗き込むまでどのような作品かがわからないワクワク感をもてるようにする。
○見た感想を作者に伝えるように声を掛ける。

15分

◇相互に作品の動画を撮影する。自分の作品を画面越しに見ながら、美しく撮影できているかを確認する。

5分

◇作品に題名を付けて、撮影した動画をGoogle Classroom や、Teams などで共有する。
◇ふりかえりと後片付けをする。

○作品に題名を付けることで、それぞれの作品のイメージを共有できるようにする。
○ふりかえりの視点は以下のように設定する。
・従来の万華鏡との違いやよさ
・動きからどんなイメージが広がったか
・友人の作品を見て、そこから見つけたよさや美しさ

10.児童作品

デジタル万華鏡

星空色の集まり

丸い国境回る丸と三角と星と花

お花畑お化けのパーティ

永遠に走る車

「ダンボールにおえかき」(第1学年)

1.題材名

ダンボールにおえかき

2.学年

第1学年

3.分野

絵に表す・鑑賞する

4.時間数

2時間

5.準備物

児童:クレヨン

教師:段ボール(いろいろな大きさの四角い形に切ったもの)、台紙になる白ボール紙(四つ切)、木工用接着剤(グループに一つ)、題名カード、ポリ袋 など

6.題材設定の理由

 小学校に入学したときに児童が絵をかく材料として手にするクレヨン。私は子どもの頃、細かいところまで表現することが難しいクレヨンがあまり好きではなかった。しかし、児童と活動する中で改めてこの材料を手にし、クレヨンの発色のよさ、重ねると色が変化すること、指やティッシュなどでこすってぼかすとふんわりとした感じになること、力の強弱で雰囲気が変わることなどの材料の面白さを感じ、そのよさを児童と共有したいと強く感じた。そのことを踏まえ、児童がクレヨンという材料を「クレヨンっていいよね!」「クレヨン大好き!」と感じられるものにしたいという思いから、この題材を設定した。
 この活動は、小さく切った段ボールにクレヨンで自分の表したいことを絵に表す活動である。段ボールにクレヨンでかくと、画用紙にかいたときとは違う少し弾力のあるかき心地を感じられたり、クレヨンを動かす方向によって思いがけない模様が現れたりする面白さがある。そのことからも児童が試す中でさまざまなことを感じたり発見したりすることができると考えた。試しながら表したいことを見付け、新たな形や色を生み出す面白さを十分感じ取りながらクレヨンのよさ、絵に表す楽しさを味わわせたい。

7.題材の目標

【知識及び技能】
 段ボールにクレヨンでかくときの感覚や行為を通して、できるいろいろな形や色などに気付く。
 クレヨンの扱いに十分に慣れるとともに、手や体全体の感覚などを働かせ、表したいことを基に表し方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】
 段ボールにクレヨンでかく活動を通して、感じたこと、想像したことから、表したいことを見付け、好きな形や色を選んだり、いろいろな形や色を考えたりしながら、どのように表すかについて考える。
 自分たちの作品の造形的な面白さや楽しさ、表したいこと、表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げる。

【学びに向かう力、人間性等】
 楽しく段ボールに絵をかいたり鑑賞したりする活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しい生活を創造しようとする。

8.評価規準

【知識・技能】
 段ボールにクレヨンでかくときの感覚や行為を通して、できるいろいろな形や色などに気付いている。
 クレヨンの扱いに十分に慣れるとともに、手や体全体の感覚などを働かせ、表したいことを基に表し方を工夫して表している。

【思考・判断・表現】
 段ボールにクレヨンでかく活動を通して、感じたこと、想像したことから、表したいことを見付け、好きな形や色を選んだり、いろいろな形や色を考えたりしながら、どのように表すかについて考えている。
 自分たちの作品の造形的な面白さや楽しさ、表したいこと、表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げている。

【主体的に学習に取り組む態度】
 つくりだす喜びを味わい楽しくクレヨンで段ボールに絵をかいたり鑑賞したりする学習活動に取り組もうとしている。

9.指導計画

内容・時間

児童の活動の流れ

教師の指導の手立て

【第1次】
導入

5分

●活動内容について知り、活動の見通しをもつ。
T「今日はいつもと違うものに絵をかくよ。それは…」

C「ぎざぎさができた!」
C「音がするよ」
T「本当? 聞いてみよう」

T「色を重ねてみるね」

C「色が混ざってきれい」
C「他の色だとどうなるかな?」
T「やってみてね」

T「生き物や乗り物など好きなものをかいてもいいし、模様でもいいよ」

▼実際に児童の前でやって見せ、話をしながらクレヨンで段ボールにかいたときの音や、模様が生まれること、色を重ねたときの変化などの面白さや驚きを共有する。

☆「ぐいぐい」(濃く塗る)、「さらさら」(弱い力で薄く塗る)、「色混ぜ」、「ぼかし」、「てんてん」は確認する。

・あまり具体的にならないよう、シンプルに短時間で話す。

・次回、段ボールの台紙に組み合わせて貼ることを伝える(最後までの見通しをもつ)。

・どこに何があるかなども含めて導入時に分かりやすく伝えておく。

展開

70分

●好きな大きさの段ボールを選ぶ。

▼片面白段ボールは、白い面、茶色い面、どちらでも自分の好きな面を選んで使うよう伝える。

▼段ボールは1枚完成してから、次の1枚を取りに行くように伝える。

●段ボールにクレヨンで表したいことを絵に表す。

▼児童のさまざまな発見や表現に共感する。
「すごい模様!ここどうやったの?」
「色を混ぜたんだね!何色と何色?」
「橋をかきたかったから細長い段ボールにしたのかな?」

▼活動が停滞している児童が多いときには、友だちの表現を一緒に見て、「やってみたい!」と思う表現を共に見付ける。

片付け

15分

●次回も続きをするので、名前を書いたポリ袋に入れて段ボール箱などの指定の場所に集めて保管する。

【第2次】

5分

●自分以外の作品からさまざまな表現があることを知る。

▼導入で前回の活動での様子や、表現について直接見たり、電子黒板で共有したりする。自分以外の表現を知ることで、「やってみたい!」という思いをもつことにつなげる。

75分

●前回の続き
●絵をどう組み合わせるかを考え、木工用接着剤で台紙に貼り完成させる。

▼最終的な枚数、台紙の大きさなどは児童が自分で決めていくようにする。「自分で選ぶ」、「自分で決める」という経験を低学年のうちから大切にする。

▼台紙の大きさを変えたい児童には、思いに合わせて台紙を切ったり、追加したりする。

振り返り

10分

●みんなで作品を見合う。

▼児童の実態に応じて、この時間を設定できない時は、別の日に廊下掲示を皆で見合うようにする。

10.児童の様子

活動の初めは、段ボールにクレヨンでかいてできる色や形をじっと見つめ、かいたときの感触や色の感じを確かめながら集中して取り組む姿が見られた。時間とともに、試して発見したことから「もっとこうしよう!」と自分の表現を広げていく児童、テーマをもちイメージしたことを楽しみながら絵に表す児童、友だちが発見したことを見て「すごい!僕もやってみる!」と、自分の表現に取り入れる児童などさまざまな取り組み方があった。中には、手のひらをべったりと段ボールに押し付けてこすりつけるようにクレヨンを伸ばす、人差し指を使って色をぼかす、手にクレヨンを直接塗ってかいてみるなど、手を道具のように使いながら、色の変化や材料の感触を楽しむ児童の姿も多く見られた。

活動時間ぎりぎりまで集中して活動する児童もいれば、一通り試してすぐに活動が停滞する児童もいる。第1次の2時間目の初めや、第2次の導入で児童がお互いの表現を見合う時間を設定すると「これいいねえ、やってみよう!!」と友人の表現から新たな発見をし、表現を広げていくよいきっかけになった。

第2次の活動の初めに、「今日これ持って帰りたいな。これはお母さんにプレゼントするんだ」と話している児童がいた。その言葉から、第一次のときは何気なく見ていた、水色と黄緑色のクレヨンを混ぜてできた色の絵と、シンプルな顔がかかれたその絵は、その子にとって特別な形・色、特別な絵になったのだと感じた。

2年生の児童が、立体に表す活動で背景の絵をクレヨンでかいていた。色を混ぜたり、ぼかしたりした表現をしていて「クレヨンを選んだんだね」と、声をかけると、「私、クレヨン大好きだから!」「だってきれいなんだもん!」と話をしていた。その言葉から、1年生のときにクレヨンを使った活動をたっぷり取り入れた中で、子ども自身がクレヨンのよさを見付け、感じていたからなのかもしれないと感じた。児童と材料の出会わせ方をこれからも大切にしていきたい。

11.児童作品

「天気のつながり」「かわいいランド」

「みらいのてんじかい」「アートのよう」

※「ダンボールにおえかき」の作品は「みんなの図工ギャラリー」からもご覧になれます。
https://www21.nichibun-g.co.jp/zuko_gallery/1-2nen/37/

「ならべて 見つけて」(第2学年)

1.題材名

ならべて 見つけて

2.学年

第2学年

3.分野

絵に表す・鑑賞する

4.時間数

4時間

5.準備物

児童:ボンドタッチ(一人1本)

教師:段ボール(いろいろな大きさに切ったもの)、段ボール(一つひとつの作品を貼る台紙になるもの)、木工用接着剤(共同で使用・グループに一つ)、木【枝/校庭で児童と拾ったもの、他学年の活動で残った木っ端、木の枝スライス、マッチ棒、木製アイススティックなど(カタログで購入)】

6.題材設定の理由

 コロナ禍を経て学校での「一人1台端末」の環境が整い、便利になったことやできることが図画工作の時間にも増えた。一方、PCの画面上では学ぶことができない、「本物の材料」と直接たっぷりと触れ合いながら学びを得ることができる図画工作の活動の大切さも改めて感じる。そのことからも、さまざまな形、色、木目、触り心地、香りなどを感じられる「木」を材料とし、児童が自分の目や手で木に触れ、よさを感じ取りながら表現できる活動について考えてみたいという思いからこの題材を設定した。
 この活動は、小さな段ボールの上に、いろいろな形や色の木を並べたり組み合わせたりしながら表したいことを発想し、工夫して絵に表す活動である。クレヨンや絵の具とは違い、組合せを何度でも試しやり直せるよさや、小さな画面に何枚も表現できるよさがあるので、児童も安心して活動することができると考えた。一つひとつが小さな木のかけらであっても並べ方や数、組合せを工夫すると新しい形ができること、想像してみると見方が変わることを児童が発見し、楽しく発想や構想をしたり、表し方を工夫したりしながら自分にとって意味や価値のあるものをつくりだすことにつなげたい。
 また、私たちの生活を豊かなものにしてくれる木と低学年の児童との出会いを大切にし、中学年・高学年の木を使った活動、日々の生活にもつなげていきたい。

7.題材の目標

【知識及び技能】
 自分の感覚や行為を通して、木の形や色、触った感じ、並べたり組み合わせたりしたときにできる形や色などに気付く。
 手や体全体の感覚などを働かせ、表したいことを基に木の組合せ方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】
 木の形や色を見たり、並べ方や組合せ方を試したりすることを通して、感じたこと、想像したことから、表したいことを見付け、どのように表すかについて考える。
 木の形や色、自分たちの作品の造形的な面白さや楽しさ、表したいこと、表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げる。

【学びに向かう力、人間性等】
 楽しく木の形や色、感触を味わいながら絵に表したり鑑賞したりする活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しい生活を創造しようとする。

8.評価規準

【知識・技能】
 自分の感覚や行為を通して、木の形や色、触った感じ、並べたり組み合わせたりしたときにできる形や色などに気付いている。
 手や体全体の感覚などを働かせ、表したいことを基に木の組合せ方を工夫して表している。

【思考・判断・表現】
 木の形や色を見たり、並べ方や組合せ方を試したりすることを通して、感じたこと、想像したことから、表したいことを見付け、どのように表すかについて考えている。
 木の形や色、自分たちの作品の造形的な面白さや楽しさ、表したいこと、表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げている。

【主体的に学習に取り組む態度】
 つくりだす喜びを味わい楽しく木の形や色、感触を味わいながら絵に表したり鑑賞したりする学習活動に取り組もうとしている。

9.指導計画

内容・時間

児童の活動の流れ

教師の指導の手立て

【第1次】
導入

5分

●学習内容を確認し、学習の見通しをもつ。
●活動時間と、最後に台紙に組み合わせることについて知り、見通しをもつ。

●材料や用具の場所について知る。

▼児童を集めて「木を並べたり組み合わせたりして絵に表すこと」、「同じ木でも並べ方を工夫するとさまざまなものになること」を実際にやって見せながら伝える。

・導入の話の中で材料の置き場所や取り方、接着についても伝える。
・「積む」場合の高さについて明確に伝える(「このくらいの高さまででやってみよう」)。

展開

85分

●「まずはバイキング☆」
木のコーナーに行き、使いたい木を選ぶ。使いたいものを、お皿や小さな容器にのせる。

▼児童が木の形や色をよく見ることができるように木のコーナーを広くつくる。
「選ぶ」という行為の中で、「見る」ことを楽しんだり見方を広げたりすることにもつなげる。

●必要な材料・用具を準備する。

▼木の組合せの面白さを味わわせたいので、支持体になる段ボールは1枚ずつ取るように伝える(「1枚できたら次の1枚を取るよ」)。

▼段ボールやボンドなどの材料・用具も見やすく取りやすいように用意しておき、児童がスムーズに活動することができるような環境を設定しておく。

▼小さな木をボンドで付けるのにボンドタッチが便利なので、一人1本使えるように準備しておく。

●「並べてみよう!」
段ボールの上に組み合わせて絵に表す。

●木を組み合わせながら表したいことをイメージし、組合せ方を工夫して絵に表す。並べて決まったらボンドで段ボールに貼り付ける。

「部屋をつくろう!」
「薄い木を選んで並べて…タブレット
のキーボードにしよう!」
「ヘビをつくりたいから細長い棒を並べてみよう!」
「形を長い順に並べてみよう」

▼児童の発見や、ひらめきを認めたり、共感したり、共に楽しんだりしながら次の活動へつながるような声かけをする。

▼活動が停滞している児童には、友だちの表現を紹介したり、一緒に考えたりしてイメージを広げられるように声かけをする。

●作品に題名を付ける。

▼作品の題名は、「一つひとつに付ける」、「全体で一つ付ける」ということを児童自身が決められるようにする。

▼台紙は全員同じ大きさの段ボールを渡すが、つくった枚数や児童の思いに合わせて台紙を小さく切ったり足したりする。

【第2次】

70分

●活動の続き。
最後は段ボールの台紙の上で組合せを考えながら、ボンドで貼り完成させる。

振り返り・鑑賞

20分

●活動を振り返る。
・ワークシートに自分が活動したことを書き、学んだことを振り返る。

・みんなで作品を鑑賞する。

▼見ることを楽しみ、見方を広げられるように支援する。
・廊下の床に作品を置き壁に立てかけ、立たせた状態で見合えるようにする。
・「触ってみてもいいいね」と伝え、作品を「見て感じる」と共に、本物の木の凸凹に触れ「触って感じる」ことを促す

10.児童の様子

【まずはみんなでバイキング☆木を選ぶ場面】
 並べられたさまざまな形や色の木を、バイキングのように選ぶ場面では、児童がどんな形や色の木があるのかをよく見て選ぶ姿が見られた。中には、「鳥みたい!」「本当だ! 飛行機にも見えるね」と見立てを楽しんだり、「これ、いいにおい!」と香りを確かめたりと、友だちと共に見ることを楽しみ見方を広げる姿も見られた。児童が互いにゆっくりと木を見ることを楽しむ時間を大切にした。

【ならべてみよう!☆表す場面】
 初めから表したいイメージをもっている児童、手を動かしながら表したいことを見付ける児童、並べて絵のようにする児童、木の形や色から並べ方を工夫する児童などさまざまな表現があった。手を動かしながら理解できることが多かったのか「次はこうしてみよう!」と、児童の表現が時間と共に広がっていく様子が見られた。

【みんなでみるみるタイム☆見合う場面】
 みんなで見合う時間を設定したときは、児童が肩を寄せ合い作品を手で触り、凹凸を感じながら鑑賞する姿が見られた。

【コロナ禍で失われていた大切な経験】
 この活動を初めて実践したのはコロナ禍による休校期間が明けてすぐの頃。児童が木を触りながら選ぶ姿、試しながら表したいことを見付ける姿、友だちと顔を近付けて発見を共有する姿、互いの作品を手で触り木の凹凸や感触を共に感じ取る姿に、「本物と触れ合うっていいな」、「皆で一緒に同じ空間で活動することができて幸せだな」と感じた。当たり前の日常が戻った今、そのような図画工作の時間を児童と共に大切にしていきたいと改めて思う。

11.児童作品

「同じしゅるいの木」「しゃしんのせかい」

「しぜんのまち」「アイアイのしゅるい」

※「ならべて 見つけて」の作品は「みんなの図工ギャラリー」からもご覧になれます。
https://www21.nichibun-g.co.jp/zuko_gallery/1-2nen/36/

「○○SIRIUS BOM」~今年の自分や学級をイメージしながら、紙の形や色の組合せを考えて、自分だけの「○○BOM」(学級目標)を表そう~(第6学年)

1.題材名

「○○SIRIUS BOM」~今年の自分や学級をイメージしながら、紙の形や色の組合せを考えて、自分だけの「○○BOM」(学級目標)を表そう~

2.学年

第6学年

3.分野

絵に表す・鑑賞する

4.時間数

5時間

5.準備物

教師:四つ切画用紙(さまざまな色)、折り紙(無地)、はさみ、洗濯のり、手拭きタオル、平皿などの容器(一人一つ)

児童:折り紙(無地)、はさみ、のり

6.題材設定の理由

【学級目標を形や色で表す】
 6年生の4月は、「最高学年になった」という緊張感の中、やる気が高まっている時期である。5年生とのつながりを考え、実行委員を中心に話し合い、学年目標は学校を照らす「輝(ひかり)」と決まった。
 学年目標の要素を取り入れつつ、学級らしさを大切にした6年2組の学級目標をいよいよつくっていくことになり、学級で大切にしたいキーワードを決める学級会を開いた。「自分たちが一番光っている感じにしたいからSIRIUSを入れたいな」「一人ひとりの明るさも大事にしたいよね」「それなら、みんなの個性をバーンと爆発させる感じ」「じゃあ、BOMなんてどうかな」と意見が交わされ、学級目標の合言葉は「個性大爆発」と決まった。そして、学級目標は「SIRIUS BOM!」に決定した。
 学級目標が決まった翌日の朝、「今年の学級目標の掲示はこんな感じにしたい」と、掲示物の案を自主学習ノートにかき、提出した児童が数名いた。流れ星のように爆発したものが星となって散りばめられたもの、光の線をかいて爆発しているもの、あちらこちらで小さな爆発が起きているもの。それぞれの爆発のイメージがとても素敵だったそのイラストを見て、これを図工の題材にし、一人ひとりのイメージする「個性大爆発」を表して欲しいと考えた。爆発という「動き」の表現は、まさに高学年で身に付けさせたい力である。形や色の組み合わせ、前後の配置、動きやバランス、奥行きを実際に動かしながら考えるために、切り紙で表現することにした。思いを形や色で表現し、爆発という「動き」のイメージを考えながら、効果的に表す姿を目指す題材を設定した。

7.指導のポイント

【アンリ・マティスの作品鑑賞からスタートする】
 自分の思いや願いを抽象的な形に表す活動は、これまでに何度か経験している。しかし、形を組み合わせて、バランスや前後感、動きを考えることについては経験が少ない。今回の題材では、言葉から形や色がイメージできること、抽象的な形や言葉から動きや気持ちも想像できることに気付かせたい。
 そこで、アンリ・マティスのジャズシリーズを鑑賞することから始めることにした。感じ方の違いも味わってほしいと考え、アートカードを自作し、かるたのように楽しみながら鑑賞することにした。鑑賞での気付きを自分の表現に生かすことができるよう、掲示物に残し、いつでも見返すことができるようにした。
 この題材で一番大事にしたいところは、第3・4時のどのように爆発させるか考える場面である。爆発という「動き」のイメージをもつことができるように、爆発のさせ方のイメージ図と、裏にテープのりを付け、貼ったりはがしたりできる四角や三角等の簡単な形のパーツ(大中小)を用意した。

 矢印の向きに爆発しているように表すには、大きさをだんだんと大きくしたり、小さくしたりすることや、小さいものは狭く、大きいものは広く間隔を取ると、より動きが出ることに気付かせたい。全体で共有してから、一人ひとりの活動に移し、それぞれが「動き」のイメージについて考えることができるようにした。

8.題材の目標

【知識及び技能】
 親しみのある美術作品を鑑賞したり、紙を切って並べたり構成したりして表すときの感覚や行為を通して、動きや奥行き、バランス、色の鮮やかさなどの造形的な特徴を理解するとともに、紙を折って切る経験や技能を総合的に生かしたり、表現に適した方法などを組み合わせたりするなどして、表したいことに合わせて表し方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】
 形や色などの造形的な特徴を基に、感じたこと、想像したこと、伝え合いたいことから、表したい最高学年として目指したい自分の姿、思いや願いの形や色を見付け、材料の特徴、構成の美しさの感じを考えながら、どのように主題を表すかについて考えるとともに、造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深める。

【学びに向かう力、人間性等】
 主体的に表現したり鑑賞したりする活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、最高学年として目指したい自分の姿、思いや願いの形や色、組み合わせなどに関わり、楽しく豊かな生活を創造しようとする。

9.評価規準

【知識・技能】

  • 親しみのある美術作品を鑑賞したり、紙を切って並べたり構成したりして表すときの感覚や行為を通して、動きや奥行き、バランス、色の鮮やかさなどの造形的な特徴を理解している。
  • 紙を折って切る経験や技能を総合的に生かしたり、表現に適した方法などを組み合わせたりするなどして、表したいことに合わせて表し方を工夫して表している。

【思考・判断・表現】

  • 形や色などの造形的な特徴を基に、感じたこと、想像したこと、伝え合いたいことから、表したい最高学年として目指したい自分の姿、思いや願いの形や色を見付け、材料の特徴、構成の美しさの感じを考えながら、どのように主題を表すかについて考えている。
  • 親しみのある美術作品や、自分たちの作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • つくりだす喜びを味わい、最高学年として目指したい自分の姿、思いや願いの形や色などを主体的に表現したり鑑賞したりする活動に取り組もうとしている。

10.指導計画


児童:学習活動の流れ
○…主な学習活動

教師:指導上の留意点、評価方法
▽…指導上の留意点 ●…声かけ ◆…評価

1

45

マティスのアートカードで遊ぼう。

○3~4人の班になり、お題に合うアートカードを取る。

お題
空、しゃぽん、ぐにゃり、ドキドキ、キラーン 等。

・青い色の部分が空に見えたよ。
・さっきは友だちと同じだったから、今度は違うカードを取るぞ。
・4人とも違うカードを取ることもあるんだね。

▽マティスの切り紙絵の作品を、カードに小さく印刷したものを班の数分用意する。

ルール
①お題の言葉のイメージに合う絵を「はい」と言って取る。
②友だちにイメージしたことを伝え、「うんうん」と言ってもらえたら自分のものになる。
③同じカードを同時に取ったらじゃんけん。勝った人は②へ。
④班の人がみんな違うカードを取ることもある。

○どの言葉でどのカードを取ったのか全体で共有する。
・この黄色の曲がった形が「ぐにゃり」に見えたよ。
・「しゃぽん」っていう音から、何かが水に落ちた感じがしたから、人が飛び込んでいる形に見えるこのカードがぴったりだと思う。
・人によって音からイメージした形や色が違って面白いね。
・言葉や音から、形や色、動きや気持ちがイメージできるね。

▽言葉とカードにかかれた形や色を結び付けてイメージしたことを友人に伝えているか、活動の様子を見ながら声を掛ける。

◆知識
マティスの切り紙絵を見ることを通して、動きや奥行き、バランス、色の鮮やかさなどの造形的な特徴を理解している(観察、対話)。

○題材名と題材のめあてを知る。
○タブレット端末のクラゲチャートに、なりたい自分や今年の目標を書く。

▽自分がどんな「SIRIUS BOM」(学級目標)にしていきたいのか書けるように、「○○SIRIUS BOM」の○○の言葉を、理想の自分の姿や思いや願いから考えるよう促す。

2

45

最高学年として目指したい自分の姿、思いや願いを形や色を工夫して表そう。

○クラゲチャートを見ながら、自分の表したい気持ちの色を決めて、切っていく。
・やる気を表したいから、黄色で力こぶをつくっている感じにしたよ。
・思いやりはみんながもっているから、中にあるハートの形は同じにしたよ。輪郭は個性を出して全部違う形にしよう。花火みたいに爆発させたいな。

●思いや願いに合う色をまず選ぼう。どんな形にするか考えて切ろう。

▽前時にクラゲチャートで表したい思いを5種類考えているので、それぞれの思いが形になっているか、どんなイメージをしながら紙を切っているかを見ながら声を掛ける。

○どんな思いや願いを形や色に表したのか全体で共有する。
・違う色を組み合わせて一つのパーツにするのも面白いね。
・抽象的な形だけど、みんなが目指したい姿が想像できるよ。

▽形や色に着目して工夫している児童にはあらかじめ声を掛けておき、発表してもらうようにする。

○切ったパーツの色となるべく重ならない色やイメージに合う色の台紙を選ぶ。
・明るい色のパーツが多いから、台紙は暗い感じにしようかな。
・やる気が伝わるように台紙もオレンジにしたいな。

●自分の思いや願いがなるべく引き立つ色はどれかな。「○○SIRIUS BOM」の雰囲気に合う色を選んでもいいね。

▽さまざまな色の四つ切画用紙を用意し、自分で紙をあてながら選べるようにする。

◆技能
前学年までの紙を折って切る技能を生かしながら、自分の目指す姿、思いや願いに合った形や色を組み合わせ、工夫して表している(観察、対話、作品)。

○片付け。

3

4

90

最高学年として目指したい自分の姿、思いや願いを「どのように爆発させるか」考えて工夫して表そう。

○全体で切った紙をどのように置いたら爆発している感じになるか考える。
○代表児童3人に貼ってもらう。
・すごい、爆発しているみたいになった。
・手前になるにつれて大きくするといい。
・だんだん大きくなるように貼っていく。

・小さいパーツは間が狭い方がいいんじゃないかな。
・大きいパーツはもっと間をあけていくほうが手前に向かってきている感じがする。

●どんな感じに置いたら、爆発している感じになるかな。
▽爆発のさせ方のイメージ図と、四角や三角等の簡単な形のパーツ(大中小用意する。裏面にテープのりを付け、貼ったりはがしたりできるようにしておく)を用意する。
①斜め上に爆発してく場合
②花火のように中心から外に向かって爆発する場合
③ぐるぐると渦のように爆発していく場合
の3パターン用意する。

○自分の爆発させたい感じに合わせて工夫して表す。
・一つひとつ、花火みたいに爆発させたいな。
・大きな円見たいに爆発させよう。はみ出した方がいいかな。
・小さいパーツが足りないなぁ。もっと違う大きさのものもたくさんつくろう。

▽だんだん大きくする、遠くに行くほど小さくするなど、見ていた児童に気付いたことを言ってもらい、全体で爆発している感じの動きが何か確認できるようにする。

●爆発している感じになったね。もっと爆発している感じできるよ。3人とも等間隔に貼っているけど、間隔はどう工夫できるかな。

○爆発させたい感じになるように組み合わせていく。
・ぐるぐると大きな円をかくように爆発させたいから、はみ出している感じにしよう。
・キラキラ光っている感じを表すために小さいパーツを上から星屑みたいにかけてみよう。
・小さい花火みたいに爆発させたいから外側に向かって大きくなるようにしよう。

▽今持っているパーツだけでできそうか確認し、新しくもっと切りたいという意欲を高める。

▽自分が爆発させたい感じはどんな動きなのか、指でなぞってみたり、手で動かしてみたりして考えるよう声を掛ける。

◆思考・判断・表現
どのように爆発させるかイメージしながら、作った切り紙を構成する美しさ、動きや奥行き、バランスについて考えている(観察、対話、作品)。

◆主体的に学習に取り組む態度
目指したい自分の姿、思いや願いの形や色などを主体的に表現したり鑑賞したりする活動に取り組もうとしている(観察、対話、作品)。

▽組合せが決まったらのりで貼っていくように声を掛ける。

○のりで貼る。
○片付け。

5

45

未来の6-2へレッツゴー!友だちの○○SIRIUS BOMを楽しく見よう。

○友人の作品を楽しく見て、どんな思いや願い、学級が想像できたかを付箋に書く。
・右から左に向かって爆発しているのが面白い。
・爆発したら大きなロボットみたいな形になっている。強そうだし、成長していく感じがするね。

○友人が書いたカードや自分が見たことから感じたことを考えたことを振り返る。

▽爆発している様子や一つひとつのパーツに着目して見ることができるよう、声を掛ける。

・題材全体の振り返りをする。ロイロノートのカードに自分の考えたことや工夫したことなどを書く。

◆思考・判断・表現
自分たちの作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている(活動の様子、鑑賞カード、振り返りカード)。

11.児童の様子

【第1時】
 最初の鑑賞では、初めて出合うアートカードを眺めながら、「カラフルできれい」「人や鳥がいる」「わかめみたいな形が多いね」等、つぶやいていた。ゲームが始まると熱心にカードを取り、友だちに理由を伝えていた。第1時の最後に題材名を伝えた際は、「学級目標をつくっていいの。やった」とうれしそうだった。ロイロノートのクラゲチャートに最高学年として目指したい自分の姿、思いや願いを書く際もすぐに書き終わり、それぞれの思いの色を考えている児童もいた。

【第2時】
 それぞれの思いや願いの色を決めて、形を考えていく。「1年生のときに折り紙を折って、切って開く図工をやったよね」「やったね、懐かしい」と、1年生のときの経験を話しながら活動をしている児童もいた。折り紙を四つに折って同じ形を四つつくる児童もいれば、1年生のときの経験を思い出し、折った紙の中に穴を開けて細かい模様を入れる児童もいた。

【第3・4時】
 全体での爆発のさせ方を共有したあと、どのように爆発させようか悩む姿が多く見られた。指でぐるぐるとなぞる姿、手を広げ、どこで爆発させるか考える姿も見られた。また、実際に切った紙を画用紙の上に置き、「こっちかな、いや、こっち」と動かしながら考え、いくつかのパターンをタブレット端末で撮影し、バランスや配置を考えている児童もいた。

【第5時】
 友だちの作品を見て、熱心にコメントを書いて手渡していた。互いに目指している姿や、こんな学級にしたいという願いにじっくり向き合い、よさを感じることができていた。

12.作品

「パワー全開SIRIUS BOM!」

 積極的、仲間、面白い、夢、笑顔、それぞれのパーツの形が変わるように工夫しました。
 真ん中から爆発させるか、斜めから爆発させるか悩んだけれど、真ん中の方が周りにもっと付け足せると思ったから、真ん中に決めて爆発させました。最高な学級をイメージしていたらどんどんはみ出す感じになりました。枠に収まらない感じが自分のクラスらしくて気に入っています。

「キラキラ流星群☆個性大爆発SIRIUS BOM!」

 仲良く、男女関係なく他者尊重、メリハリ、楽しく騒ぐ、あいさつ、大事にしたいそれぞれ形を全て表しました。大きな円が渦を巻いている感じをイメージして爆発させました。光っている感じや動き、立体感を出すために黄色の紙を小さく切ってパラパラ散らしたら、イメージ通りになってうれしいです。

13.授業後の児童の様子

 学級目標を図工の題材にして表したことで、学級目標が一人ひとりの心にしっかりとしみ込んでいるように感じる。図工の授業が終わったあと、学級目標の掲示物も投票で決定し、実行委員を中心に中休みに作成した。

 学級会の名前を「SIRIUS BOM会議」とし、じゃんけんも、「SIRIUS じゃんけん」や「BOM BOMじゃんけん」と呼び、学級ならではの活動として楽しんでいる様子が多く見られる。SIRIUSとBOMの学級キャラもつくりたいという意見があり、学級みんなでマスコットを描き、総選挙をして決定した。今では、学級のマスコットキャラクターとなって教室のあちらこちらにいる。

 「消しゴムはんこにして、ノートに押してほしい」という要望があり、夏休みに作成した。

 ノートに押し、コメントを添えることでより意欲ややる気につながっている。また、学級で頑張ったときには、丸シールを貼り、学級の成長や頑張りを見えるようにしている。その丸シールにも学級キャラクターを自分でかくようになった。

 前期の終わりには、成長した自分たちを励まし、後期も頑張るために、「SIRIUS BOMセレモニー」をした。

 互いにメッセージを書き、今の自分の切り紙とシリウスの星も一緒に風船に入れた。風船を持ちながら、学級の好きなところを一人ひとり話していき、「SIRIUS BOM!」の合図で一斉に風船を割った。割った風船から出てきた自分あての手紙を読み、大切に特活ノートに貼っていた。自分の切り紙を学級目標に追加し、学級目標の掲示も子どもたちとともに成長した。

 節目ごとに自分自身で成長を実感し、学級として高まっている。卒業までにあとどのくらい輝き、個性を爆発できるか楽しみだ。

「桜の咲くとき-わたしの心と重なる桜-」(第6学年)

1.題材名

桜の咲くとき-わたしの心と重なる桜-

2.学年

第6学年

3.分野

絵に表す

4.時間数

全8~9時間扱い

5.題材の概要

 校庭の桜の幹と枝、桜の花の色、桜の花が咲いたり舞い散ったりする様子を見て感じたことや、自分の感覚、行為を通して感じたことを基に表したいことを見付け、自分の思いと重なるように、画面の切り取った構成の面白さや美しさなどの感じを考えながら、材料や用具などを活用して、自分の主題を楽しみながら工夫して表し、自分や友人の表したもののよさや美しさについて感じ取る。

6.準備物(材料・用具)

児童:絵の具セット、新聞紙

教師:黄ボール紙、胡粉、アクリル絵の具、凧染料、刷毛、スポンジ、細筆、竹串、今まで経験のある(使ってみたい)描画材・用具

7.題材の目標

【知識及び技能】
 絵の具や描画材の特徴を生かしながら、黄ボール紙に表すときの感覚や行為を通して、桜を表す中で変化していく画面上の形や色、バランスの感じなどを理解する。
 自分の表したい感じに合わせて筆や使ってみたい描画材や用具で表し、前年度までの材料や用具の経験や技能を活用し、表現に適した方法を組み合わせて自分の表したいことに合わせて表し方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】
 筆や描画材などで変化していく画面上の形やその色、その組合せ、切り取ったバランスの感じを基に、自分のイメージをもち、画面の変化を見て感じたこと、想像したこと、見たことから表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じなどから主題をどう表すかを考える。
 自分や友人が表した作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて感じ取ったり考えたりし、作品などから自分の見方や感じ方を深めたりする。

【学びに向かう力、人間性等】
主体的に描画材(絵の具や材料、用具など)に関わり、形や色のもつよさや美しさを感じ、自分の思い付いたことを表現することや鑑賞したりする活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.評価規準

【知識・技能】
 絵の具や描画材の特徴を生かしながら、黄ボール紙に表すときの感覚や行為を通して、桜を表す中で変化していく画面上の形や色、バランスの感じなどを理解している。
 自分の表したい感じに合わせて筆や使ってみたい描画材や用具で表し、前年度までの材料や用具の経験や技能を活用し、表現に適した方法を組み合わせて自分の表したいことに合わせて表し方を工夫して表している。

【思考・判断・表現】
 筆や描画材などで変化していく画面上の形やその色、その組合せ、切り取ったバランスの感じを基に、自分のイメージをもち、画面の変化を見て感じたこと、想像したこと、見たことから表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じなどから主題をどう表すかを考えている。
 自分や友人が表した作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて感じ取ったり考えたりし、作品などから自分の見方や感じ方を深めたりしている。

【主体的に学習に取り組む態度】
つくりだす喜びを味わい、主体的に描画材(絵の具や材料、用具など)に関わり、形や色のもつよさや美しさを感じ、自分の思い付いたことを表現することや鑑賞したりする学習活動に取り組もうとしている。

9.本題材の指導にあたって

(1)教材について
 さまざまな学校で、4月の最初に取り上げられている桜を見て表す題材です。中学年での実践が多いかもしれませんが、今回は高学年で取り上げました。「桜の花はピンク色、幹と枝は茶色」と、実際に桜の花や木を見ないで概念的に表すのではなく、見て感じたことから画面の切り取りや構成を意識して表すこと、(最近は桜の花は3月に咲いてしまうので)花や花びらは自分の思いと重ねて絵をつくる意識で表すことを本題材は大切にしています。自校の最高学年になった春、ある意味、自分のこれからの未来に対して、具体的な言葉としては表れてはいませんが、子どもたちが希望や決意も込めて表していってほしいと考えています。桜の絵を表しながら、その桜を自分自身と重ねて思いを表すことが大きなねらいとなります。今までの5年間の図画工作で経験したこと、表現した感じを想起しながら、その感じを自分で再構成していきます。

(2)学習過程について
 高学年でもあるので、常に表現と鑑賞が一体的にできるように意識して活動を進めていきます。桜を表現した作家の作品を見て、画面の切り取り・構成に着目して、対象の見方について今までの経験値を広げて表現に向かいます。
 校庭に出て、自分の気に入った桜の木とその切り取るところを決め、外で黄ボール紙と絵の具でかいていきます。色も、絵の具のチューブのままでは表せないと、自分で色を混色してつくることも意識していきます。ここは、6年生の自発的な気付きもひろっていくと、色に変化も見られるようになっていきます。
 最近、桜の花は、新年度の図画工作の授業の始まる時期よりも早く咲いてしまうので、6年生には、必ず、各自で桜の花を見ること、体感することを伝えます。桜の花は、自分の思いや主題と重なるように、図工室に戻って表していきます。
 活動の途中、表現が止まってしまう子どもは、ちょっと離れて見たり、子どもの思いを聞き取ったり、その子どもの状況で個の対応もしていきます。授業全体としては、そのときのクラスの状況・空気感を指導者が感じ取り、自分の絵を見る時間を取りながらライブな感じで対応していきます。

(3)指導と評価について
 どのタイミングで指導・声かけをしていくか、授業の空気を感じながら、指導者が進めていきます。その指導の流れで評価も連動していきます。「主体的に学習に取り組む態度」の評価については、毎時間ではなく、題材全体の中で評価すると、子どものいろいろな活動や行為について、指導者の目が向くのではないでしょうか。

(4)児童の実態について
 本校の児童は、低学年から、一部、図工専科が題材を導入することもありますが、1・2年時は講師(担任)を中心に図画工作を学習し、3年生から完全に図工専科が指導することとしています。今まで、共通の大テーマと材料(さまざまな紙・液体粘土・絵の具など)・行為の中で、自分でテーマを決めて表したり、自分の体ほどもある大きな作品を表したりと、作品の中に、常に自分のテーマを織り込むことを指導の重点としています。本学校の児童は、絵や立体の表現を問わず、いろいろな材料や表現に対して、表出・表現することにあまり抵抗感を示さず、その形や色の変化を喜び、テーマや表現方法などにも興味をもって学習に向かっています。
 また、鉛筆で下書きをして色を塗るような表現方法はとらず、自分の思いを絵の具で直接、基底材に表すことを1年生から行っています。児童は絵の具や用具を使って変わっていく形や色、その組合せから生まれる新たな表現に対し、目の前に見える意図的な形や色の変化として楽しみ、「今の自分の思いの形だ」と思う価値観で選択し、表したいこととして選び、自分のイメージと重ね、更新していきます。これまでの絵の表現など、いい意味での孤独に表現すること(この場合は、自分の世界に入ること)で自分と対話しながら、そして、浸って表す姿も見られるようにもなってきています。高学年でもあるので、今までの思いをもつ経験や自分で考えて生み出す実感を基に、今を生きる自分の思いと、ほどよく力を加えられる対象と表現を重ね、つくりだす喜びを感じながら、体全体の諸感覚からの心地よさを感じ、心地よく自分と向き合える時間となることを大切に確保していきたいと考えています。

10.題材の指導計画(全8時間~9時間扱い)

学習活動の流れ

指導上の留意点、評価方法

第1時

・本題材の内容や表す時間を知る。
・桜を描いた作家の作品を鑑賞する。
※画面の切り取り・構成について気付く。

・今まで表していた感じと今回の表現の違いについて、ポイントをはっきりさせて伝える。
・概念的な幹や枝の形、桜の花はチューブのままから出したピンク色と決めてしまわない気付きにつながるように伝える。

(活動の表れの観察・表情)

・校庭に出て桜の木を見て回り、気になった幹や枝を決める。

・自分個人の気に入った形の桜を見付けられるように伝える。

(活動の表れの観察・つぶやきを聞き取る)

第2時

・黄ボール紙の形を選び、表したい空気感を、胡粉を使って表す。

・見えない空気感を表す意思がもてるように伝える。

(活動の表れの観察・つぶやきを聞き取る)

第3時
第4時

・校庭に出て、桜の幹や枝を表す。

・自分の感じた桜の幹や枝の色をつくって表すことを伝える。
・画面の中に桜の木を押し込めるのではなく、表したいことが画面に構成できるように、画面から外に向かって表す意識を伝える。
※自分の個人の感じ方で、この場所でかきたいという気持ちを大切にする。

(活動の表れの観察・つぶやきを聞き取る)

第5時
第6時

・図工室で表したい思いを、桜の花や花びらに込めて表す。

・記憶の中の桜の花や花びらを思い出し、自分の表したい思いと重ねて、表し方を工夫して表す。

(活動の表れの観察・表情・作品)

第7時
第8時

・画面全体を見て、自分の思いを重ね、表している画面の時間の様子なども組み込んで表す。

・夜や日中、お天気の様子も組み込みながら、そこに隠れている自分の思いも織り込み、工夫して全体を表していく。
・自分の桜の物語をつくりながら、その思いを作品に反映させながら表していく。

(活動の表れの観察・表情・作品)

※主体的に学習に取り組む態度に関しては、全8時間を通して見ていく。

11.作品

まだこれから(54×39cm)夜空に溶ける桜(54×39cm)夜の桜に舞い降りる龍(54×39cm)

ちる桜(39×54cm)上のほうにさくらの花で、下のほうは花びら(54×54cm)

※本実践の児童作品は、「みんなの図工ギャラリー」からもご覧いただけます。
https://www21.nichibun-g.co.jp/zuko_gallery/5-6nen/45/