MERRY PROJECT

子どもたちの笑顔が開くとき、その空間にはメリーな色が加わる。
デザインで世の中の空気を変えること。笑顔でコミュニケーションをデザインすること。MERRY PROJECTを世界中で展開するアート・ディレクター水谷孝次の「思い」は「カタチ」になっていく。その笑顔には持続性がある。

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2008年夏、北京オリンピックの開会式で2008本の笑顔の傘が開く。そのメリー傘には水谷が「メリーってなに?」と問いかけながら撮影した子どもたちの笑顔がプリントされていた。北京で開いた笑顔はMERRY PROJECTの傘になり、今も地球をメリーにし続けている。

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そのメリー傘の中で笑顔を満開にしているのは負の遺産を負わされた子どもたちだ。
阪神大震災、四川大地震、スマトラ沖津波、そして2011年、東北の子どもたち。

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3.11後、水谷は何度も東北を訪れて被災地を支援するメリー・スマイル・アクションを続けている。ミスターメリーがカメラを向けると子どもたちの表情が上を向く。

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いわき、東松島、陸前高田、気仙沼。被災地で撮影され、被災地に届けられた子どもたちの笑顔は復興を後押ししている。

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そして、東北の子どもたちの笑顔は被災地内外の大人たちの笑顔も引き出して行った。
さらに国連持続可能な開発会議(リオ+20)では、「希望と権力の間に子どもたちの笑顔が挟まれている」という痛切なメッセージの号外が発行されている。

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幸せだから笑うのではない、笑うから幸せなのだ。
水谷の言葉は深い。まずは笑顔を開いて、その場に漂う重苦しい空気を一掃していくこと。
子どもたちの笑顔にはその力がある。それは未来そのものなのだから。

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「あなたにとってMERRY(楽しいこと、幸せなこと、将来の夢)とは、何ですか?」
地球がMERRYゴーラウンドになるその日まで、水谷孝次とMERRY PROJECTは問い続けていくことだろう。

水谷にとってのMERRYは「和顔愛語」だという。
何もあげる物がないなら、あなたが笑顔と優しい言葉をあげなさい。そうしたら、あなたに笑顔と優しい言葉が返ってきますよ。
MERRY PROJECTの原点は2500年前にブッダが伝えた言葉なのだ。

※画像はMERRY PROJECT公式サイトで使用されているものです。

■MERRY PROJECT公式サイトico_link
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■宮城県造形教育研究大会(気仙沼)でのメリー・スマイル・アクションの様子(2012.11.12)ico_link


工業の発達とわたしたちのくらし ~みんなに優しいユニバーサルデザイン~(第5学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

「工業の発達とわたしたちのくらし ~みんなに優しいユニバーサルデザイン~」

2.目 標

○態 度
 私たちの生活の中に、ユニバーサルデザイン化された工業製品が増えてきていることを知り、関心をもつようにする。

○理 解
 新しい製品を開発するにあたっての企業の工夫や努力を知り、ユニバーサルデザインの視点が大切にされている理由を考えるようにする。

○能 力
 消費者や生産者の立場をふまえ、身近にある工業製品(文房具)のユニバーサルデザイン化を提案するようにする。

3.評価規準

○社会的事象への関心・意欲・態度
 ユニバーサルデザイン化された工業製品について関心をもち、意欲的に調べ、考えながら追求している。

○社会的な思考・判断・表現
 新しい製品を開発するにあたっての企業の工夫や努力、消費者の願いを考え、ユニバーサルデザインの視点で大切にすべきことを判断することができる。

○観察・資料活用の技能
 ユニバーサルデザイン化された製品を調べたり、ゲストティーチャーから話を聞いたりしたことを活かして、文房具のユニバーサルデザイン化を提案することができる。

○社会的事象についての知識・理解
 生活の中に、ユニバーサルデザイン化された工業製品が増えてきていることを知り、企業の工夫や努力をとらえている。

4.本単元の指導に当たって

 本単元は、学習指導要領の内容「我が国の産業の様子、産業と国民生活の関連」の1つとして、新たに小単元を設けて取り上げるものである。この小単元では、身近にあるユニバーサルデザイン化された製品から、我が国の工業製品が国民生活を支える役割や、工業生産に従事している人々の努力や工夫について理解を深めさせることをねらいとしている。
 我が国では、少子高齢化が深刻な問題となっているが、現在の社会が抱える問題点も多い。その問題の一つとして、お年寄りや障がい者が、生活や行動することに困り感をもつことがあるということである。今後、少子高齢化がさらに進んでいくことで、ますますバリアフリーの考え方は重要になってくる。バリアフリーの考え方は、お年寄りや障がいをもつ方々のみならず、妊娠している人や小さな子どもにとっても重要な考え方であり、近年「みんなが困らないように」するためにユニバーサルデザインという考え方が生まれた。
 この単元で取り上げるユニバーサルデザインはお年寄りはもとより、障がい者、子どもなど、様々な人にとって使いやすいという考え方で成り立っている。また、ユニバーサルデザインと類似した考え方(デザイン・フォー・オール、アクセシブル・デザイン、共用品など)も多く広まっており、考え方やアプローチの仕方は違えども、同じ方向性でものづくりを進めている企業が増えている。ユニバーサルデザインの学習を通じて、我が国の工業生産が重要な役割を果たしていくこと、国民生活にとって重要な意味を持っていることについて理解を深めさせたい。

5.単元の指導計画

学習のねらい

子どもの活動と内容

評価規準の具体例

くらしの中にあるユニバーサルデザインを知る。

○身の回りにあるもので使いにくい、不便に感じた経験を思い出す。
○身近なものにユニバーサルデザインがあることを知る。
(ラップ、シャンプー、リンス、ペットボトル、マジックカットなど)
○ユニバーサルデザインが様々な企業で大切にされていることを知る。
○なぜユニバーサルデザインが大切にされているのか、消費者の視点で考える。

【社会的事象についての知識・理解】
ユニバーサルデザインが様々な企業で大切にされ、ユニバーサルデザイン化された製品が身の回りで増えていることがわかる。

ユニバーサルデザインになった文房具に関心を持つ。

○ユニバーサルデザイン化された文具に触れ、開発者の工夫や願いを理解する。
○なぜユニバーサルデザインが大切にされているのか、生産者の視点で考える。

【社会的事象への関心・意欲・態度】
ユニバーサルデザイン化された文房具に関心を持ち、意欲的にゲストティーチャーの話を聞いている。




本時

ユニバーサルデザインの文房具を提案しよう。

○身近にある文房具を様々な人々にとって使いやすいユニバーサルデザイン化する。
○グループでアイディアを吟味し合い、よりよいアイディアを、消費者の立場をふまえて提案する。

【社会的な思考・判断・表現】
学習した企業の工夫や努力、消費者の願いを考え、ユニバーサルデザインの視点で大切にして文房具のデザインを考えることができる。
【観察・資料活用の技能】
考えたユニバーサルデザイン化された文房具を、工夫したところなどがわかりやすく伝わるように提案することができる。

6.本時の学習

①目 標
 グループで意見交流することで自分の考えたアイディアを吟味し、よりよいユニバーサルデザインの商品を提案する。

②学習展開

主な学習活動・内容

指導の工夫と教師の支援

資料

学習課題 ユニバーサルデザインにした文房具を提案しよう

①文房具を使って困った経験を発表する。
・セロハンテープを使う時、はさみがなくて切りにくかった。

○教師の体験談を話し、イメージをふくらませるようにする。


②どのような文房具をUD化するのかを考える。
・えんぴつ、消しゴム、スティックのり、ステープラー、ノート、ものさし など

○大切なポイント(K社)を参考にUD化された文房具を考えるようにしたい。
○デザイン上の問題点も考えさせるようにさせたい。
○必要に応じてグループで考えるようにする。

○UDの文房具のポイント(K社)
①性能がしっかりしている
②五感で伝わる(色・音など)
③安心・安全
④使い方が簡単
⑤少ない力でここちよく

③考えた製品を提案する。
「ホチセロテープ」
「フィンガーイレイサー」
「じゃくちスティックのり

○消費者や生産者の立場、工夫した点を説明できるようにする。
○商品開発にあたってのポイントや工夫した点を提案者に質問するようにさせたい。

○可能ならゲストティーチャー(開発者)からアドバイスをもらう。

④ユニバーサルデザインの学習を振り返る。

○今までの学習を振り返りながら、学習の感想を書くようにする。


〔論考〕子どもの興味を高める算数・数学的活動を喚起する単元導入

冊子表紙

1.十八番(おはこ)

 算数・数学を教える教師の多くは、新しい単元の学習の最初には、子どもの興味を引く導入をしようとするでしょう。そして、この成否はその後の単元展開に大きな影響を及ぼします。
 このような単元導入をくふうして、「この単元なら、この導入」という、いわば十八番を持っている方も多いはずです。筆者自身、小学校で算数を教えていたとき、例えば6年生の比例・反比例の導入では、「変われば変わるものなあに?」というなぞなぞを必ず使っていました。

2.子どもの興味を高める

 このような導入をしていたのは、なぞなぞを使うことによって子どもの興味を高めようという意図があったからです。
 松尾(2001)は、導入について児童の意識から考察し、導入問題が持つべき10の要件を次のようにまとめています。

①児童が「おかしいぞ」と思うもの
②児童が「これはむずかしそうだ」とはじめは困った顔をするもの
③児童が「いろいろに考えられるな」と思えるようなもの
④児童が「おもしろそうだ、自分なりの方法でやってみよう」という気持になるもの
⑤児童が「こうすればできそうだ」という気になるようなもの
⑥児童が「ちょっとむずかしそうだ、できそうかな, あれとにているな」と思うようなもの
⑦児童が「あ!このあいだのだ、なあんだ」と親近感のもてるもの
⑧児童が操作をしているうちに「あれ,こうすればいいのか」など解決の糸口のえられるもの
⑨児童が「あれとにているな、~のようだ、続きをやってみたいな」と思うようなもの
⑩児童が「できたぞ、わかったぞ、やっとできた」などよろこびの声をあげられるようなもの

 筆者の十八番であったなぞなぞは、これらのうち、③④⑤の要件を備えていたと考えられます。

3.算数・数学的活動を喚起・促進する

 筆者が比例・反比例の導入になぞなぞを用いたのは、子どもの興味を高めるためだけではありません。それだけでは、単なるパフォーマンスになってしまいます。身の回りにある関数関係に気付かせ、さらに、その中から比例や反比例の関係にあるものに注目させたいという目的を持っていました。ですから、「増えれば増えるものなあに?」「増えれば減るものなあに?」というようななぞなぞに発展していきました。
 つまり、興味が高まったことによって喚起された子どもたちの活動が、算数・数学的活動になっていることが必要です。重松・日野・牧野(1999)は、多くの先行研究を整理した結果、数学的活動が喚起・促進されるような「よい問題」の特徴として、次の3つの数学力の育成を挙げています。

①筋道を立てて考える力
②一般化する力
③日常生活に活用する力

 筆者のなぞなぞは、③を意識しながら、導入後の単元の学習で①②を育成する契機になる問題だったといえるでしょう。

4.単元導入の開発

 さて、単元全体の学習を有意義に進めるために、教師はこれまでに述べた2つの要件、つまり、

●子どもの興味を高める
●算数・数学的活動を喚起・促進する

を備える導入を各単元で準備しなければなりません。そのために、多くの場合、教師はさまざまな資料を参考にすることになります。これに関して、松尾(2001)は、教材開発の観点として、次の8つを挙げています。

①教科書の中から楽しく学べる教材を工夫する。
②過去の文献・先行研究を探る。具体的には、算数の教育雑誌、学会誌などから情報を得る。
③数学史から資料を得る。
④子ども向けのクイズ・パズルから資料を得る。
⑤数学の本から問題を見つける。
⑥教具から教材を考える。
⑦研究グループで教材を吟味する。
⑧子どもの生活や実態から教材を考える。

 これらは、広く教材開発を対象としているため、①で教科書を参考にすることが挙げられています。しかし、これまでの教科書には単元導入の内容が掲載されていることは、それほど多くありませんでした。
 また、単元展開の成否を左右しかねない導入は、教科書に頼らない教師自身のオリジナルで臨みたいという教師の意気込みもあるでしょう。さらに、単元導入を成功させるために、担当する子どもたちの環境や実態に合わせた内容にしたいという教師の願いもあると考えられます。

5.教科書における単元導入

 しかし最近は、教科書にも単元導入に使える内容が多く掲載されています。
 そこで、『小学算数』(平成23年版)の単元導入を見てみましょう。その内容は、次の3つの型に分類できます。

①操作型
 単元の学習内容に関わりがある作業や体験といった算数的活動を通して、単元の学習内容への意識を高めます。

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操作型の例(『小学算数』2年上P.76)
「水のかさ 水のかさをはかろう」

②身の回り型
 ふだんの生活の中で目にしている事例や事象について算数の目で捉え、単元の学習内容に関わる疑問点や問題点を見つけます。

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身の回り型の例(『小学算数』3年上P.88)
「大きい数 10000より大きい数を表そう」

③ふり返り型
 単元の学習内容に関連する既習事項を提示しながら、最終段階で未習内容を提示し、未習内容をどのように解決するかについての関心・意欲を高めます。

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ふり返り型の例(『小学算数』6年上P.34)
「分数のかけ算 分数をかける計算のしかたを考えよう」

 教師の意気込みや願いとともに、このような教科書の内容も参考にして、子どもたちの興味を引きつける単元導入を開発してください。

【引用文献・参考資料】
松尾吉陽(2001) 算数科学習における導入指導 東京学芸大学附属学校 研究紀要.28集、p.49-56
重松敬一 日野圭子 牧野浩(1999) 中学校数学教科書にみる「よい問題」の研究 奈良教育大学紀要.48巻 1号、p.21-35


安全なくらしを守る「ふせごう交通事故や盗難事件」(第4学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

安全なくらしを守る「ふせごう交通事故や盗難事件」

2.単元目標

(1)交通事故や犯罪から人々の安全を守るために、関係諸機関が地域の人々と協力して事故や事件の防止に努めていること、相互に連携して緊急に対処する体制をとっていることを理解できるようにする。(理解に関する目標)

(2)地域の安全は互いに協力したり、助け合ったりして守っていることや、自分も地域社会の一員として自分の安全は自分で守ることが大切であるという自覚を育てるようにする。(態度に関する目標)

(3)交通事故や盗難事件から人々の安全を守る警察署の見学をし、そこにある様々な施設・設備の観察や、そこで働く人々から聞き取り調査をして、人々の安全を守るための関係諸機関の働きとそこに従事している人々の工夫や努力を考える力、調べたことや考えたことを表現する力を育てるようにする。(能力に関する目標)

3.単元評価基準

○社会的事象への関心・意欲・態度
 地域社会における事故から人々の安全を守る工夫に関心をもち、意欲的に調べることを通して、自分も地域社会の一員として、地域の人々の安全な生活の維持について考えようとしている。

○社会的な思考・判断・表現
 地域社会における事故から人々の安全を守る工夫について学習問題や予想、学習計画を考え、表現している。また、人々の安全を守るための関係諸機関の働きとそこに従事している人々の工夫や努力を考え、調べたことや考えたことを適切に表現している。

○観察・資料活用の技能
 関係諸機関が相互に連絡を取り合いながら緊急に対処する体制をとっていることを、警察署などの関係諸機関を見学したり、調査したりして具体的に調べ、見学・調査した過程や結果をノートや作品にまとめている。

○社会的事象についての知識・理解
 事故から人々の安全を守るために、関係諸機関が相互に連絡を取り合いながら緊急に対処する体制をとっていることをとらえている。

4.本単元の指導にあたって

 『つかむ』の過程では、自動車事故の写真や京都府内や木津警察署管内、笠置町などの交通事故や盗難事件の件数の推移等の資料をもとに、「事故や事件が減少している」ということを読み取らせる。そして、「どうして事故や事件は減少しているのに子どもや高齢者の事故が多いのだろうか。」という学習問題をつくり、そのことについて単元全体を通して解決していく中で、警察や関係諸機関の対応の仕組みや働き、人々の工夫や努力について考えさせるという流れで単元指導計画を作成した。
 『調べ・まとめる』の過程では、京都府警察本部の見学や駐在所の方に話を聞く活動、地域の安全施設について調査する活動を通して、「110番」の仕組みや、事件や事故を防ぐための取組を調べたり、地域の安全を守るために活動されている方に活動への思いや願いを聞いたりして、自分たちが様々な人たちの工夫や努力によって守られていることに気付かせたい。さらには、自分で自分の命や財産を守るためにしなければならないことを考え、日常生活での態度形成につながるようにしていきたい。さらに自分たちのことだけではなく、笠置町に多く住んでおられる高齢者のことにも考えを巡らせたい。
 『広げ・深める』過程では、地域の交通安全にかかわる安心マップづくりをすることにより、地域に潜む危険についてより具体的に理解し、自分たちの安全を自分たちで守ろうという意識を深め、安全なくらしについて地域に発信できるような取組について考えさせたい。

5.単元の指導計画

学習のねらい

子どもの活動と内容

評価規準の具体例

○交通事故が起きた時の警察の活動について考える。

○交通事故が起きた時の警察の活動について調べる計画を立てる。
(資料活用の活動)

○交通事故が起きたときの警察の活動について考え追究している。
(関心・意欲・態度)
〈観察・発言・ノート〉



○警察署の仕事や働きを理解する。

○京都府警察広報センターに見学に行く。
(体験的活動)

○京都府警察の見学を通して警察署の仕事や働きを理解するとともにそこで働く人たちの努力や工夫をとらえている。
(観察・技能)
〈観察・発言・ワークシート〉

○交通事故が起きた時に素早く対処する通信指令のシステムについてとらえる。

○交通事故が起きた時の110番通報の仕組みをとらえる。
(資料活用の活動)

○交通事故が起きた時に素早く対処する通信指令のシステムについてとらえている。
(知識・理解)
〈観察・発言・ノート〉

○交通事故の原因をもとに交通事故を防ぐために警察がどのような取組をしているのかを考える。

○交通事故を防ぐための警察の取組を考える。
(資料活用の活動)

○交通事故の原因をもとに交通事故を防ぐために警察がどのような取組をしているのかを考えている。
(思考・判断・表現)
〈観察・発言・ノート〉

○警察による交通事故を防ぐための取組についてまとめる。

○交通事故を防ぐための警察の取組をまとめる。
(表現活動)

○警察による交通事故を防ぐための取組について分かりやすくまとめている。
(観察・技能)
〈観察・発言・ノート〉



10

○通学路の交通事故を防ぐための安全施設や地域の人々の取組について調べる。

○通学路での交通事故を防ぐ取組について調べる。
(体験的活動)

○通学路の交通事故を防ぐための安全施設や地域の人々の取組について意欲的に調べている。
(関心・意欲・態度)
〈観察・発言・ノート〉

11

○交通事故防止のための工夫や努力、自分たちにできることについて考える。

○交通事故防止のために自分たちがしなければならないことを考える。
(表現活動)

○地域の安全施設や人々の取組について調べたことをもとに交通事故防止のための工夫や努力、自分たちにできることについて考えている。
(思考・判断・表現)
〈観察・発言・ノート〉

12

○交番(駐在所)の警察官の仕事に関心をもつ。

○自転車の盗難事件について話し合い交番(駐在所)の仕事に関心をもつ。
(資料活用の活動)

○自転車の盗難事件をきっかけに交番(駐在所)の警察官の仕事に関心をもち、調べ追究している。
(関心・意欲・態度)
〈観察・発言・ノート〉

13

○警察官は人々の安全なくらしを守るために様々な仕事をしていることをとらえる。

○交番(駐在所)の警察官の仕事について調べる。
(資料活用の活動)

○警察官の1日の仕事について調べることで交番(駐在所)の警察官は人々の安全なくらしを守るために様々な仕事をしていることをとらえている。
(知識・理解)
〈観察・発言・ノート〉

14

○警察官の仕事をまとめる。

○交番(駐在所)の警察官の仕事についてまとめる。
(表現活動)

○警察官の1日の仕事について調べたことをもとに分かりやすくまとめている。
(観察・技能)
〈観察・発言・ノート〉

15
本時

○地域の安心マップを作成する。

○地域の安心マップを作り自分たちのくらしを見直す。
(表現活動)

○地域の安心できる場所や危険な箇所を書き入れた安心マップを作成し、話し合うことにより、安全なくらしについての自分の考えを深めている。
(思考・判断・表現)
〈観察・発言・ノート〉

6.本時の学習

 地域の安心できる場所や危険な箇所を書き入れた安心マップを作成し、話し合うことにより、安全なくらしについての自分の考えを深めることができるようにする。(思考・判断・表現)

主な学習活動・内容

指導の工夫と教師の支援

資料

○登校の様子を考える。

○地域の安全のために活動している人を考えることができるよう見守り隊の方のことに触れる。

○写真

○通学路で交通事故の起きやすい狭い道路や交通事故を防ぐ設備・施設について具体的に発表する。

○校区内で交通事故が起きやすい場所や交通事故を防ぐための安全設備・施設を、見学の写真をもとに思い出させる。

○写真

○子ども110番の家など安全設備カードを校区地図に貼る。

○安心マップを作って、安心な箇所、不安な箇所について確認させる。

○校区地図
○カード

○できあがったマップを見て自分が特に気をつけなければならない場所を発表する。
☆考えた事柄を、分かりやすく伝えることができるように、ノートに書く。
☆日常生活を振り返り、自分の生活と関連付けて考える。

○完成した安心マップを元に話し合い、自分たちのくらしについて見直しをさせる。



○安全なくらしについての考えを出させる。
・交通事故がない。
・だれもけがをしない。
・歩行者や自転車に乗っていても危険な場所がない。


○安全なくらしを呼びかけるために自分たちにできることを考える。
・ポスター
・地図掲示
・新聞作り
・呼びかける(防災無線)

○老人クラブの作った「交通安全宣言(無理な横断はしない)」も参考にさせる。


○本時の学習を振り返る。



図形の面積:面積の求め方を考えよう(第5学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

「図形の面積:面積の求め方を考えよう」

2.本時の位置づけ

本時 第10時/全14時間

3.本時のねらい

 本単元は、図形を分解したり合成したりする具体的な操作(等積変形や倍積変形)を通して,平行四辺形、三角形、台形、ひし形の面積の求め方を考え、それらの公式をつくるとともに、その公式を用いて面積を求めることができるようにすることがねらいである。
 台形の面積を求める時間としては、前時と本時の2時間を使う。前時では、台形を等積変形や倍積変形して平行四辺形や三角形に帰着させ、面積を求めていく。本時では、前時の中から平行四辺形を用いた倍積変形の考え方をもとにして、どの部分の長さが必要なのかを明確にしながら公式を導くことが大切である。
 この2時間では、既習の考えや経験をもとに台形の面積の求め方を考えたり,公式をつくったりする過程を重視したりすることで、自らの力で新しい公式を導き出せるんだということを体験させたい。このことを通して、その後に学習するひし形や一般四角形、不定形の面積、また、円の面積など、新しい図形に出会っても既習の図形の求積方法を基にして自分の力で解決できるのではないかという意欲につながると考えられる。

4.本時の評価規準

○数学的な考え方
平行四辺形を用いた倍積台形をもとにして、面積を求めるために必要な長さはどこになるのかを考え、公式をつくる。
○知識・理解
台形の求積公式の意味が分かる。

5.単元の指導計画

主な学習内容

○花壇など身の回りのいろいろな形の面積が求められるかを考える。

○平行四辺形の面積の求め方を考える。

○平行四辺形の面積を求める公式をつくる。

○高さが外側にある平行四辺形の面積を求める。
○平行四辺形の面積と,底辺と高さの関係について考える。

○三角形の面積の求め方を考える。

○三角形の面積を求める公式をつくる。

○高さが外側にある三角形の面積を求める。

○三角形の面積と,底辺と高さの関係について考える。

○台形の面積の求め方を考える。

10
本時

○平行四辺形を用いた倍積変形の方法をもとに、台形の面積を求める公式をつくる。

11

○ひし形の面積の求め方を考える。
○ひし形の面積を求める公式をつくる。

12

○一般四角形の面積の求め方を考える。

13

○方眼を使って不定形の面積を求める。

14

○練習問題や発展問題をして、学習の定着をはかる。

6.実践紹介

(1) 前時の指導
 前時は、図のような問題場面から、台形の面積の求め方を図や式を使って説明できることがねらいとなる。このとき、1つの式でまとめて記述するという視点が必要である。これは、本時に公式へと導く際に重要な指導である。すべての考え方の式を1つにできなくても、特に、下図「イ」の平行四辺形を用いた倍積変形の考え方の式は、必ず1つの式で表すようにしておきたい。

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(2) 本時の指導

学習活動

指導のポイント

1.台形の面積を求める公式を考えるという学習課題に気づく

(1)本時の学習課題を気づく。

・前時の終末に児童に伝えたように、本時は「台形の面積を求める公式を考えよう」という学習課題であることを確認する。

(2)前時の考えのうち、平行四辺形を用いた倍積変形の方法を利用することを知る。

・前時に考えた方法すべてから公式を導けないことはないが、方法によっては式を変形しなければならないこともある。式の変形は児童によっては困難な課題であり、混乱を招くことが考えられる。そこで、前時に考えた方法の中から、平行四辺形を用いた倍積変形の方法をもとにして考えていくことを知らせることで学習課題を焦点化し、公式へと導きやすいようにする。

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2.台形の面積を求める公式をつくる見通しをもつ

(1)台形の面積を求める公式をつくる見通しをもち、必要と思われる部分の長さに記号をつける。

・平行四辺形や三角形の公式をつくった経験と台形の面積を求めた経験をもとにして、公式にはどの部分の長さが必要かを考えさせる。このとき、上底と下底にあたる部分の長さが必要であることは、前時の学習から推測するであろう。「高さ」についても必要になることに気づくであろう。また、高さについては、前時の学習でも平行四辺形に倍積変形し、そこで「高さ」という用語が発表の中で出されることになる。そこで、「高さ」の用語は、用いてよいことにする。斜めの辺の長さについての発表についても取り上げるが、必要か必要でないかは、解決後に話し合うようにする。

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3.見通しにしたがって公式を考える

(1)台形の面積を求める公式を考える。

・前時の図や式をもとにしながら、公式を考えさせる。このとき、前時に1つの式にまとめた方法があったことを、必要に応じて助言する。

(2)考えた公式を発表し話し合う。

・(①+③)×高さ÷2になっていることを確認する。
・(①+③)や(③+①)とは、どちらも変形した平行四辺形の底辺の長さにあたることを確認する。
・高さは、平行な2辺の間の垂線の長さであることを確認する。
・②や④の長さは必要なかったことを確認する。

(3)「上底」「下底」の用語を知り、公式にまとめる。

・①,③にあたる部分の名前を、「上底」「下底」ということを知らせると共に、長さの長短ではなく、どちらか一方を上底、どちらか一方を下底ということを確認する。

台形では、平行な2つの辺のいっぽうを「上底」、もういっぽうを「下底」といいます。また、上底と下底の間の垂直な直線の長さを「高さ」といいます。

・台形の面積を求める公式として「(上底+下底)×高さ÷2」にまとめられることをおさえる。

4.チャレンジ問題を解決し、学習内容を活かす

(1)別の台形でも、公式が適用できるかどうかを確かめながら、チャレンジ問題をする。

・1辺が高さになっている場合や不安定な位置におかれている場合や高さが図の外側にある場合の問題をすることで、公式の定着や活用を図る。

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(2)次時の課題を知る。

・ひし形の面積の求め方や公式を考えるという課題をつかませる。

「子どもの学力が伸びる」という「言説」

art2_vol3_01 話したいことは山ほどあって、でも筋道立ててまとめる時間がありません。今回も思いつくまま書くことにどうかお許しを。

 今回は、学力の面から考えてみます。自分の経歴を考えれば、学力の面から語ることは避けられないと思うからです。ご存知のように、教育基本法改正を反映し、学校教育法で学力が規定されました。「思考・判断・表現」「知識・技能」「学習意欲」です。これまでは「読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと」「生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと」のようにいくつも示されていました。それをひとつにまとめたのです。
 これはけっこう大事件です。
 このことを法律の安定性と運用の妥当性という観点から考えてみます。
 まず、法律は安定性が必要です。みだりに変わってはいけません。例えば国会で法律が180度変わったらたいへんなことになります。人権や道路交通法で考えればすぐわかるでしょう。「明日から人権変化!」「車は右側通行!」もう大混乱です(※1)。法律は大きく変わらないという安心感が社会を安定させるのです。法律の運用も同様です。行政や国民が拡大解釈してその時々で運用を変えてはいけないのです。では、杓子定規に進めればいいかというと、そうではありません。明治時代にできた法律を当時の考え方のままに運用しても困ります。そこで時代の変遷に応じて解釈し、概ね妥当に運用しなければなりません。学習指導要領が10年に一度改訂されるのも、その一つです(※2)。法的安定性と具体的妥当性、この二律背反を同時に満たしながら進むことが法治国家では大切なのです。
 そんな性格を持つ学校教育法が平成20年に第30条2項として学力条項を示したのです。この改正の意味は大きい。まず百家争鳴だった学力論争を終わらせます。次に学力の質保証の議論が始まります。行政の方策が工夫されたり、議会で学力について議論が行われたりします。何もかも学校まかせだった頃と異なり、予算と執行、その成果が具体的に問われます。図工美術も学力にどう貢献できたのか具体的な証拠が求められます。他の教科とどう関わり合って学力をのばしたのか、相乗効果を出しているかなども視点になるでしょう。教科だけでは考えない。教育課程全体で考える。そういう時代になったのです。

 さて、図工美術で、「思考・判断・表現」に該当するのが「発想や構想の能力」、「知識・技能」に相当する「創造的な技能」です。「鑑賞の能力」は「思考・判断・表現」「知識・技能」を一体としたものです。図工美術は表現と鑑賞を通して学力を育てます。それが最終的に学校教育法の学力に貢献することが求められるのです。
 以上が、学校教育法第30条2項と図工美術の関係です。
 このことをふまえたとき、これから図工美術の時間でどのように学力を伸ばすのか、直接的に他教科と関連するのか(※3)、他教科の学力にどう関われたのかを示していかなければならないということになります(※4)
 しかし国の明確な調査は昭和33年以来、50年ぶりに行われた特定の課題調査のみです。近いうちに実施状況調査も行われるでしょう。しかしこのようなペーパーやパフォーマンスのテストは問題設計や解答の分類が難しく、県などの類似のテストを見る限り、成功例を見ることができません。まだまだこれからの分野です。
art2_vol3_02 一方、現場には興味深い「言説」がたくさんあります。「言説」はコツコツ集めることで何かのヒントになります。実際、私も、これを「うまく証明できればなぁ」と思うことが多くありました。代表的なのが全国の研究指定校の校長先生たちの言葉です。その全員が異口同音に「図工すると学力が上がる」と述べたのです。私は「いや、指定校でみんな先生たちが一生懸命頑張るからですよ」といってにわかに信用しない態度を見せましたが、むこうは真剣でした。

  • 「全国学力調査で地区の底辺だったのに、今トップレベルなんです。特に思考・判断のB問題があがりました。ものをつくるには材質の特徴の把握とか法則の発見とか、けっこう理詰めに考える必要があるから、学力が上がるのは当たり前なんですよ。」
  • 「生徒同士、認め合いの風土をつくるからですね。毎朝子供の様子を玄関で見てきたけど、最初の頃は家からもってきた材料を隠すように校門に入っていました。でも今は胸張って友達に『これ持ってきたんだ』って話しながら楽しそうに登校してきます。」
  • 「図工の時間は先生たちが子どもそれぞれの良さを褒めるでしょう?それは他教科にも広がるんです。そしていつの間にか学校全体が子どものよさをみとめ称賛するようになりました。」
  • 「学校の雰囲気が変わって、非行が著しく減りましたから。」
  • 「一生懸命取り組むようになるんですよ、だって遅刻が激減しました。」

など様々ですが、確かに訪問するたびに子供の目が穏やかになったり、髪型や服装に変化が出ていたりしました。保護者や地域と仲良くなるという効果もあり、街で児童画展を始めた学校では、徘徊する子どもを地域の人が連れてきてくれるようになりました。そのような具体的な変化があるのは事実です。自分の現場体験からも、作品が単なる思いつきではつくれないことは知っています。知識、経験、目の前の材料、道具、友達の存在などを駆使して新しい解法を導き出しています。そんな様子は「算数によく似てる」と思っていました。解が一つになるか、一人一人になるかの違いだけでしょう。
 今後、上記のような「言説」をデータとして可視化し、それを保護者に、議会にどう説明していくのかが、課題となっていくのかもしれません。まず、その前に、それぞれの現場でコツコツと「言説」を集めてはどうでしょうか。

※1:ただし、沖縄は復帰のときにそれが起きてしまいました。
※2:10年という期間は子供を取り巻く状況はかなり変わります。
※3:管正隆・奥村高明「子どもの作品を生かした楽しい外国語活動-図画工作と外国語活動の協働-」クレパス、2012
※4:もちろん、図工美術はそういうものではない。質の異なる学力をもとめるべきだという意見もあるでしょう。ここで述べているのはあくまで制度論です。


歴史に何を想い描きますか

承前-歴史に向きあいたいもの

 日本と中国の関係は、国交回復40年の現在、政府の尖閣国有に反発する反日デモにみられますように、かってないほどの厳しい状況に追い込まれています。中国政府は、日本の歴史認識の欠落、日本が近代化をめざすなかで中国をはじめとするアジア近隣諸国に何を為したかについて全く認識していないことを問い質しています。この告発は、中国のみならず、韓国政府も共に糾弾していることです。この歴史認識をめぐる問題は、過去の出来事を現在(いま)どのように己の問いとして受けとめ、明日を思い描くかということにかかわることで、日々の判断の根を規定するもとにほかなりません。日本人は、この知的営みが稀薄である、己の歩みを見つめてない、歴史に無知なる民族との烙印をおされたといえましょう。ここには、日本における歴史教育が過去の出来事を歴史事項として教え、その知識を覚えさせることにのみ意を尽し、過去の営みが何を問いかけているかについての眼が欠落していることがもたらした歴史への無知が読みとれます。その無知が露呈したのが今回の「国有化」問題といえましょう。
 国有化を公表するのにあたり、関係者はどれだけ起こりうる問題を検証したのでしょうか。9・18は、柳条湖の爆破にはじまる満洲事変がやがて盧溝橋事件へと、中国との全面戦争となり、中国が「国恥記念日」として民族の誇りを確認し、日本の侵略、列強に支配されてきた自国の歴史を実感し、偉大なる中華の民たる明日を想い描く原器になるものです。中国の民は、このような9・18の前夜に日本の「国有化」を聞いたわけで、「日本帝国」への悪夢、再び「侵略」との感情に火をつけたといえましょう。野田首相はじめ関係閣僚は9・18に想い致していたのでしょうか。全く無知だったのではないでしょうか。
 為政者に問われるのは、歴史への知であり、歴史を知ることで己の統治を検証し、いかなる明日を構築するかに想い致す構想力です。荻生徂徠は、今の世に生まれて数千年の昔のことを読み取り、見聞広く事実を認識する学問が歴史であるとなし、事実をふまえた想像力が為政者には問われていると、為政者が身につけるべき知に歴史への眼を説いております。毛沢東は二十四史を読むことで、その権力を維持しました。昨今の為政者にはこのような歴史に学び、己の統治を検証し、その判断をする人物が見い出せません。たしかに「美しい国」日本を言挙げする人物はいますものの、神話と歴史の区別もなく、神話に酔い痴れているのみの貧困な知性に哀れを感じるだけで、こんな漢に代表される日本に困惑する昨今です。

歴史に遊ぶこころみ

 こんな愚痴をこぼしたくなる昨今だけに、歴史に遊ぶ―時空間を旅し、現在からほぼ一世紀、90余年前の1920年に時代人が見た百年後の世界をながめてみることとします。『日本及日本人』は、「百年後の日本」を各界諸名士に問いかけ、臨時増刊(第780号 1920年4月5日)を刊行。この1920年は、第1次世界大戦による労農ロシア-ソヴィエトの登場による世界秩序の再編下、戦後恐慌がはじまり、労働社会問題が時代をゆるがせるなか、「栄光」の明治を体現した明治天皇を祀った明治神宮が東京代々木に完成し、明治という時代が「神代」になっていく年です。この「百年後の日本」という問いかけは、前代の栄光がもたらした翳にどう向き合うかを問いかけるこころみなのでしょうが、応答者は時代の空気をどのように読み取り、明日を思い描いたのでしょうか。なお、雑誌『日本及日本人』は、1907年に『日本人』と新聞『日本』が合併し、三宅雪嶺が主宰した雑誌。
 ソヴィエト誕生を目にした社会主義者堺利彦、大逆事件後の厳しい冬の時代を売文社によって生きのびた「主義者」の「頭目」には、明るい明日、搾取のない世界が展開しています。

「一百年後の日本」は社会主義の経済的変革が成就されてから、もう余ほど長く立つた頃でせう。愛国主義者や、国粋主義者や、国威国光宣揚主義者や、有らゆるウヌボレ者、偽善者が跡形もなく消えうせてゐるでせう。そして貧富の別もなく、都会と田園との別もない、筋肉労働と脳力労働の別もない、平和な社会が現出してゐるでせう。

 社会主義者は、労農天国と喧伝されるソヴィエト出現に明日の世界を楽天的に謳歌し、現実を見つめることがないようです。それは、山川菊枝が「幸福な男女の生活」を「貧民窟もなければ富豪の城郭もなく、あるものは美しい自然と、簡素な、そして気持ちのいゝ個人の家と、壮麗な会堂や美術館」と、思い描く世界にも見られます。ここには、国家の強権による厳しい監視下に生きる「主義者」にとり、人民の天国を説く社会主義を信仰として生きるしか術がない姿がうかがえます。
 このような「主義者」の信仰に対し、現実を受けとめることで一歩先取りした文学者菊池寛は、「幸福になるか疑問」となし、「人類の真の幸福と云ふものは、社会改造論者などの手で、ヒョイヒョイと生れるものでせうか」と、痛烈な一矢を放っています。この菊池の眼が現在求められます。そのためには、時代を突破する想像力が問われましょう。そのような言説は文学者に読みとれます。詩人である室生犀星は、「明るい女が殖える」と己の想いを投影し、「総ての女性が食物の進化(主として肉類などから)に順つて非常に美しい繊細(デリケート)な明るい女が殖えるだらうと思ひます」「思想的にももつと自由で、もつと肉感的(文明的)な女がふえるだらう」と、現在巷を闊歩しているような女性像を描いています。

現在を手にするために

 百年後を語ることは、現在生きている場から明日を予見する営みだけに、己の信仰や想いが端的に吐露されます。学者では、後に「風土」論で日本を位置づける若き和辻哲郎は「私には解りません」とし、「想像に浮ぶ未来の日本」を「非常に盛大になつた日本と滅亡した日本とが共に想像」できるが、「馬鹿々々しから止します」と。ここには現在をどう読み、いかなる明日をめざすかという想像力の断念がうかがえます。
 このような応答に読みとれる人間の歩みとは何なのでしょうか。人間の歩みは、「人の道は自身によるのではなく、歩む人が、その歩みを自分で決めることができない」(エレミヤ)ことを自覚し、大いなる存在に向きあうなかに過去の営みを見つめ、問い質し、時代を切る裂くことで明日を手にしうる世界ではないでしょうか。それは、「百年後」の語りではなく、己が築くべき明日を歴史に読み解き、現在を手にする営みです。この作法は、混迷の渦に呑込まれることなく、私の場を確かなものとしましょう。


広がる輪(第5学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.単元名

「広がる輪」

2.目 標

○文字の形,組み立て方を考えながら,字配りよく書く。
○自分のめあてを見つけて,ていねいに書く。
○意欲的に書き初めに取り組む。

3.評価規準

関心・意欲・態度
○正しい姿勢や筆の持ち方を意識して,文字を書こうとすることができる。
○既習事項を生かして,丁寧に書こうとすることができる。

思考・判断・表現
○教材の手本を見て,形や点画の正しい方向を考えることができる。
○教材の手本をもとに,自分や友達の良いところや直すところなどを見つけることができる。

技能
○筆の持ち方や使い方に注意して,書くことができる。
○文字の形や書き方などについて気をつけて書くことができる。

知識・理解
○正しい姿勢や持ち方を理解することができる。
○用紙に対する正しい文字の大きさや形を理解することができる。

4.本教材の指導にあたって

①教材について
 この教材は,長半紙に漢字仮名交じり四文字の大きさや配列を考えて書かせることに重点を置いたものである。また書き初め教材として使用できる文言である。書写の教科書にも掲載されていることもあり,「広がる輪」で書き初めを行うこととした。

②学習過程についてsho002_001
 ちょうど書き初めの作品を毎年,市の展覧会に展示することになっており,どうせならのびのびと大きく書けた方が字の迫力が増すと考えた。そこで字を大きくのびのびと書かせたい思いから体育館にて学年全体で書かせることにした。右の写真のように広い場所で書き初め大会という雰囲気を味わえる良さもあるかと考えて行った。

③指導と評価について
 指導では,全体指導として教師が壇上より,書く上で注意する点について最初に説明を行った。この実践では使用しなかったが,できればプロジェクターを活用し,書画カメラで実際に書いて説明するのも有効的であると後になって考えた。練習段階で個別に声掛けも巡視しながら指導を行った。
 評価では,市の展覧会に出展することもあるが,学校の各教室で展示するので,その際に鑑賞カードを活用したい。誰の作品のどんなところが良かったのかを知ることで,知識・理解の評価にもつながる。

④児童の実態について
 児童の実態は,学年全員89名で3クラス。全体的に優しい児童が多く,やる気もありやりがいがあった。私の担当は1組の30人。そのうち1名が不登校で学校へ来れない状況だったが,この書写指導の時は放課後登校し書き初めを行うことができた。

5.単元の指導計画

※単元中の教材ではないため,省略する。

6.本時の学習

①目標
○文字の形,組み立て方,書き方を考えながら,字配りよく,のびのびと大きく長半紙に「広がる輪」を書くことができる。
○正しい姿勢で,筆の持ち方や使い方を意識しながら,長半紙に「広がる輪」を書くことができる。
○小筆を使い,学年や名前の位置を考え,ていねいに書く。
 
②学習展開

主な学習活動・内容

指導の工夫と教師の支援

準備物

1.体育館での諸注意を教室で聞く。

・体育館で書き初めを行う上での注意事項を伝える。


2.体育館に移動し,準備を行う。

・墨入れのバケツやゴミ袋を用意する。


3.「広がる輪」について聞く。

・学年全体に担当が「広がる輪」の意味や書き方のポイントを説明する。その後,半紙を全員に配布する。

・「広がる輪」手本
・半紙

4.「広がる輪」の練習を半紙で行う。

・各クラス担任が巡視して個別指導を行う。半紙の練習が終わった児童に長半紙を配布する。

・長半紙

5.「広がる輪」の清書を長半紙で行う。

・各クラス担任が巡視して個別指導を行う。


6.小筆で名前を書く。

・小筆の穂をすべておろさないように注意する。


7.一番良いと考える作品を提出する。

・迷っている児童がいたら選ぶ基準のアドバイスをする。


8.後片づけを行う。

・ゴミ,墨,筆の処理の注意をする。

・ゴミ袋,バケツ

※後日,市の展覧会や教室での展示にて作品を見合い,できれば感想も書かせたい。

【2作品紹介】ワンナイト、ワンラブ / ミラクルツインズ

c Sigma Films Limited/ BBC 2011

(c) Sigma Films Limited/ BBC 2011

 最近見た2本のおすすめ映画、まずは「ワンナイト、ワンラブ」(グラッシィ配給)。 
 昔、「手錠のままの脱獄」という映画があった。特殊な状況での人種差別を描いた、スタンリー・クレイマー監督の傑作だった。囚人護送車が事故を起こし、白人のトニー・カーティスと黒人のシドニー・ポワチエが、手錠に繋がれたまま脱走してしまう。ふたりの囚人は、お互いの肌の色に憎しみを抱いている。しかし、手錠に繋がれているため、行動をともにせざるを得ない。やがて、ふたりの間には以前とは異なる感情が芽生えてくる、といった映画だった。

c Sigma Films Limited/ BBC 2011

(c) Sigma Films Limited/ BBC 2011

 「ワンナイト、ワンラブ」は、この「手錠のままの脱獄」と似たシチュエーションだが、舞台は、イギリスのスコットランドで開催されている最大級のロック・フェスティバル。ロック・シンガーのアダム(ルーク・トレダウェイ)は、女性だけのパンクバンドのモレロ(ナタリア・テナ)と、ささいなことから喧嘩となる。ふたりは、通りがかった警備員から、仲良くしろと言われ、手錠をかけられてしまう。
 身勝手なアダムに、気の強いモレロだ。いがみあっているふたりだから、話は合わない。なんとか手錠を外そうと、いろいろ努力をするが、うまくいかない。アダムにはガールフレンドが、モレロにはボーイフレンドがいる。バンド仲間たちも加わっての大騒動になる。やがて、モレロのバンドの出番が近づいてくる。仕方なく、手錠に繋がれたまま、アダムは、モレロのバンドと同じステージに立つことになる。

c Sigma Films Limited/ BBC 2011

(c) Sigma Films Limited/ BBC 2011

 映画は、実際のロック・フェスティバルの開催中に撮影しているので、ドキュメンタリー・タッチ。実際のステージでのロックが聞こえている。まるで、フェスティバルの現場にいるかのように、現実とフィクションが一体になっていく。ステージが始まる。モレロたちの演奏に、アダムが加わる。それがまた、たいへんな盛り上がりを見せる。もちろん、ふたりの手錠は繋がったまま。そして、さらにいろいろな事件が起こる。やがて、アダムとモレロには、今までとは違う感情が芽生えてくる。
 制限された状況でのドラマ展開が、スピーディ。困難に直面しながらも、音楽を介してのふたりの感情の変化が、巧みに捉えられる。ロック音楽に詳しくなくても、じゅうぶんに楽しめる映画だ。

cTwin Triumph Productions, LLC

(c)Twin Triumph Productions, LLC

 もう1本はドキュメントの「ミラクルツインズ」(アップリンク配給)。日本ではあまり知られていないが、子供の遺伝性の難病に嚢胞性線維症(CF)がある。粘度の高い分泌物のせいで、肺や膵臓の機能を著しく低下させるという難病だ。医学の進歩で、なんとか延命は図れるが、決定的な治療は臓器移植しかない。
 一卵性双生児のアナベル・万里子とイサベル・百合子は、1972年、ロサンゼルス生まれ。父はドイツ人、母は日本人である。ふたりは、生まれつき、肺の嚢胞性線維症で、幼いころから、何度も何度も入退院を繰り返していた。しかし、ふたりは厳しい闘病生活に耐え、なんとか大学を卒業する。アナベルは遺伝カウンセラーとしてスタンフォード大学病院に勤務、イサベルは、ソーシャルワーカーとして、アナベルと同じ病院に務める。
 治療には、臓器移植しか方法はない。臓器提供者が現れるまで、手術を待つしかない。イサベルは結婚するが、いつ肺機能が低下するかは分からない。2000年、アナベルの肺機能が低下、なんとか両肺の移植手術を受ける。イサベルもまた、2004年、移植手術を受ける。

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(c)Twin Triumph Productions, LLC

 映画は、アナベルとイサベルの幼い頃からの闘病生活と、その周辺を丹念に描く。ふたりは、常に呼吸困難である。常に病院での生活である。臓器提供を受けるまで、死と向き合って、手術を待ち続ける生活である。
 しかし、ふたりはくじけない。ひたすら、生き抜こうと考える。そして、見事に生き延びる。
 臓器移植をめぐっての考え方は、アメリカと日本では、いささか異なっている。臓器を提供することについては、日本ではなかなか浸透していない。脳死か心臓停止かの死の定義についても、日本では考え方はさまざまだ。映画は、臓器提供や臓器移植についての、幅広い理解を訴えるが、果たして、日本ではどのような展開になるのか、まだまだ議論が続くことと思う。
 健康保険証の裏面を見てみた。「脳死後及び心臓が停止した死後のいずれでも、移植の為に臓器を提供します」とあり、「心臓が停止した死後に限り、移植の為に臓器を提供します」ともある。どちらが「死後」なのか、明確ではない。臓器提供を承知したとしても、提供したくない臓器が選べることになっている。心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球、である。眼球だけは提供するとした友人がいるが、日本全体では、臓器提供を承知する人は、まだまだ絶対数が少ないという。

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(c)Twin Triumph Productions, LLC

 映画は、ことさら、臓器移植を訴えたりはしない。ふたりの、ひたすらに生きていく気力、姿勢が示される。アメリカでは、手術費用など、経済的に困っている場合でも、救済基金のプログラムが用意されていたりの道は開かれている。静かな表現だが、ふたりの肯定的な生き方に、ときめく。

 映画「ワンナイト、ワンラブ」と「ミラクルツインズ」は、人生の困難に対して、どう対処するかの生き方を問いかけている。つまりは、与えられた人生をどう生きていくか、ということだろう。まだまだ、映画から学ぶことは多い。

『ワンナイト、ワンラブ 』渋谷シネクイントico_linkほか全国順次公開中
『ミラクルツインズ』2012年11月10日(土)より、渋谷アップリンクico_linkほか全国順次公開

■『ワンナイト、ワンラブ』

監督:デヴィッド・マッケンジー
プロデューサー:ジリアン・ベリー
撮影監督:ガイルズ・ナットゲンズ
音楽監督:ユージン・ケリー
出演:ルーク・トレダウェイ、ナタリア・テナ、マシュー・ベイントン、アラステア・マッケンジー、ルタ・ゲドミンタス、ソフィー・ウー
2011年/イギリス/82分
配給:グラッシィ

『ミラクルツインズ』公式Webサイトico_link

監督:マーク・スモロウィッツ
出演:イサベル・ステンツェル・バーン、アナベル・ステンツェル
2011年/アメリカ・日本/94分/英語・日本語
原題:The Power of Two
配給・宣伝:アップリンク


若い先生たちに言いたいこと

■ その1 パソコンではなく先輩に相談しよう

 小学校の女性教頭さんが言いました。
 「先生、この頃の若い先生はパソコンから指導案を引っぱり出してきてスマートにまとめる人が多いんです。先輩に聞こうとしないんですよ。」「授業というのは生き物だから、子どもたちのことを知っている先輩と相談して、きっとこんな反応が返ってくるよ、とか、これはあの子はわかってくれるかな? とか想像しながら指導案って作るものですよね。」「パソコンの通りにいかなくなって、授業がうまくいかない若い先生が多いんです。」
 そこで私は、「あんたの学校には、若い先生たちが相談したくなるような先輩がおらんのと違うか?」とは言わずに、「この頃の若い先生は、すぐ情報機器に頼るよね。人とつながるコミュニケーションをとるのが面倒くさいのか、パソコンと相談するのが気楽でいいと思っているんやろね。」と答えました。
 そこで一言 「若い先生たち、パソコンでなく先輩から学べよ!」

■ その2 名刺ぐらい持っとけ!

 大阪のある幼・小・中連携に取り組んでいる中学校区の先生たち5人が、大学の私の部屋に講演の打ち合わせに来てくれました。
 「一中の○○です。」「××小の○○です。」「△△小の□□です。」「○○幼稚園の××です。」「××幼の○○です。」
 一人ずつ立ったまま自己紹介してくれました。
 私は自分の名刺をそれぞれに渡したあと、「5人もいっぺんにおぼえられへんなあ、名刺ぐらい持っとけ!」と言ったあと、「どうぞ、まあ座って…。先生というのは名刺持ってない人多いなあ、社会人になったらたいていの人は名刺持ってるやろ、これは先生という立場の人たちのう・ぬ・ぼ・れ・と思うで。
 “どうぞよろしくお願いします”という気持ちで名刺を出してご挨拶する習慣がないからなあ。“先生である俺の名前ぐらいおぼえとけ”と思ってるから名刺作らんのかねえ。『教師の常識は世間の非常識』と言われることのひとつやろ。それでは地域の人たちと謙虚につながって開かれた学校づくりなんて、できっこないよ。」
 「幼小中連携の一番大切なこと何か知ってる? 幼小中連携と言えば、①段差の解消、②学力向上、③地域とのつながり、とか普通は言うやろ? そんなの立て前や。一番大事なことは先生どうしが仲良くなることやで。小学校の先生が道で中学校の先生に出会った時、
“○○ちゃん、この頃ちゃんと学校に行ってますか?”
“大丈夫ですよ、元気に来てますよ!”
“よかったあ。よろしくお願いします。”
というような、気になる子どもの話がいつでもできる先生どうしの関係をつくることが連携やで。教育は人なりって言うやろ、一度幼小中の5校園の先生が集まって、名刺の交換会から始めたらどうですか。」と言いました。
 そこで一言 「若い先生たち、名刺ぐらい持っとけ!」

■ その3 教育は「熱と涙」

 若い先生たちの感度は良好です。
 この夏休みの終わり頃、若い先生たちに講演する機会がありました。私は以下のような話をしました。

・教育は「熱と涙」学校なんて「教師次第」。
・子どもは環境によってつくられる。人は環境を変えることができる。
・受け身でなく、攻めの仕事を。
・子どもが心から血を流しているかどうかは心でしか見えない。教師がそれを感じとれる人権感覚を。
・たくさんの人が集まる行事やセレモニーよりも、一人の困っている子どもを支える家庭・学校・地域の取り組みが大事。

 真面目だけど言われたことだけ、受け身、無理しない内向きな若者が増えていると言われている。
 学校の先生たちも例外ではない。目の前の仕事をこなすのに精一杯の多忙な生活を送っている人も多い。
 若い先生たちが、前向きに熱い思いをもって、子どもたちと一緒に涙できるように、必死で取り組んで欲しいと願って語った。
 後日、先生たちが一枚のポスターを持って来てくれた。
 「先生の言われたフレーズを、写真入りのポスターにして、皆が目につく場所、印刷室の壁に貼っています。」
 「やる気をだして、頑張ってます。ありがとうございました。」
 そこで一言 「教育は熱と涙やで!」

著者経歴
元 大阪府堺市教育長
元 大阪府教育委員会理事 兼教育センター所長
元 文部省教育課程審議会委員

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