クロスロード

(C)2015「クロスロード」製作委員会

 ボランティア活動については、いろいろな人の多様な考えがあると思う。古今東西、世界中で、さまざまな形のボランティア活動が歴史として残っているし、現在もまた、進行中である。映画「クロスロード」(フレッシュハーツ配給)は、問いかける。「あなたにとってのボランティア活動とは?」と。

(C)2015「クロスロード」製作委員会

 映画の主人公は、「ボランティアなんて偽善だ」と考えているカメラマンの沢田(黒木啓司)と、ボランティア活動に熱心な若者、羽村(渡辺大)。沢田は、売れっ子カメラマンのアシスタントとしての日々の仕事に、いまひとつ充足感がない。ふと、青年海外協力隊に志願する。海外に派遣される前に、訓練がある。とにかく海外に行きたいと軽く考えている若者や、羽村のように、とにかく困っている人たちを助けたいと思う若者がいる。沢田と羽村は、ボランティアについての考え方に大きな違いがある。ことあるごとに、ふたりの意見は対立する。協力隊には、多くの分野があって、助産師隊員を志願している志穂(TAO)が、いつもいがみあう沢田と羽村の仲介役になる。
 訓練が終わる。沢田はフィリピン観光省のバギオ支局に配属され、観光案内の資料作成や、写真撮影を教える。まったくやる気のない若い役人がいる。沢田の指導は空振り、物足りない日々である。沢田に世界遺産のマヨヤオ撮影の依頼が入る。マヨヤオには、2000年以上の歴史のある棚田がある。
 「天国への階段」と呼ばれるほどの美しい地域で、ルソン島の北、マニラからはバスを乗り継いで10時間もかかる。最近では、青年海外協力隊の指導で、ドジョウの養殖が行われている。マヨヤオは羽村の任地であった。当然ふたりは、ここでも反発し合う。なぜこれほどふたりは反発しあうのかの理由が、ここで少し明かされることになる。

(C)2015「クロスロード」製作委員会

 沢田はバギオに戻る。もともと、社会性のある報道写真を撮りたいと思っている沢田は、町のあちこちを歩く中で、貧しい少年ノエルと出会う。ノエルは小学校にも行けず、物売りをしている。ある日、沢田は、不良少年たちに脅されている少年を目撃する。カメラを構えると、その少年がノエルだと気づく。あわてて駆け寄ろうとすると、不良少年に腹を刺され、入院する。そこに志穂が見舞いに来る。沢田は、羽村の活躍ぶりを知ることになる。まだまだ、多くの出来事が沢田と羽村にふりかかる。そして、ふたりの人生が交差していく。
 映画は、青年海外協力隊のリアルな姿を描く。青年海外協力隊は、創設50年という。かつては大勢の青年たちが海外に出向いて行った。いまは、応募者が減少しているという。さまざまな理由があると思うが、協力隊の実像があまり報告されていないことがその理由のひとつかもしれない。すでに、アジア、アフリカ、中南米などの88もの国で、120以上の職種に隊員を派遣している。映画ではフィリピンが舞台となるが、広がりは世界規模である。
 若い人たちが、それぞれの理由から、海外でのボランティアに従事する。映画は、ほんの一例かもしれないが、カメラマンの沢田がいう「ボランティアなんて偽善だ」の言葉の意味を、見た人それぞれに考えてほしいと思う。
 監督は、すずきじゅんいち。自らも青年海外協力隊に参加し、モロッコに赴任した経験がある。日系アメリカ人の歴史を描いた3部作「東洋宮武が覗いた時代」、「442日系部隊」、「二つの祖国で」は、傑作ドキュメンタリーで、「マリリンに逢いたい」は大ヒットした作品だ。沢田役に、EXILEの黒木啓司。羽村役に、「るろうに剣心 京都大火編」などに出た渡辺大。志穂役のTAOは、世界のトップモデルで、来年の3月25日公開の映画「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」に出演するほどの逸材。主題歌は、大好きな中島みゆきの「ヘッドライト・テールライト」が流れ、余韻たっぷり。
 世界のさまざまな動きを日本で知る。沢田は「一枚の写真が世界を変える」、羽村は「現地の人が自立できる世界を作る」、志穂は「産まれてくる命を救う」と考えている。青年海外協力隊の果たす役割は、ますます増えていると思う。

2015年11月28日(土)より新宿バルト9ico_linkほか全国ロードショー!

『クロスロード』公式Webサイトico_link

監督:すずきじゅんいち
脚本監修・脚本:福間正浩
脚本:佐藤あい子(青年海外協力隊創設50周年記念映画シナリオコンテスト大賞作品)
エグゼクティブ・プロデューサー:吉岡逸夫
プロデューサー:香月秀之 櫻井一葉
出演:黒木啓司〈EXILE〉、渡辺大、TAO、アローディア、飯伏幸太〈DDTプロレス/新日本プロレス〉、山本未來、加藤雅也(友情出演)、榊原るみ、長塚京三
主題歌:中島みゆき「ヘッドライト・テールライト」《ヤマハミュージックコミュニケーションズ》
製作・配給:フレッシュハーツ
後援:国際協力機構(JICA)
宣伝:東映エージエンシー 
(C)2015「クロスロード」製作委員会(青年海外協力協会/フレッシュハーツ)

【情報の流儀】神奈川県立茅ケ崎北陵高等学校 三井栄慶教諭 ほか

Web限定コンテンツ 授業用スライド >>>(8.9MB)

Web限定コンテンツ

三井先生の準備室+

神奈川県立茅ケ崎北陵高等学校

茅ヶ崎市北部の丘陵地帯にあり,西に富士山,北に丹沢を望む。1963年創立,52年の歴史を持ち,神奈川県の上位進学校として,広域から生徒が通う。創立当初から「人づくり」を教育理念に掲げ,「学習・部活動・学校行事」を3本柱に,大学卒業後を見据えた教育を行う。平成26年度からは国立教育政策研究所の研究指定校となり, 授業改善や積極的な外部教育力の活用など,先進的な取り組みの開発・実践を行っている。ちなみに,宇宙飛行士の野口聡一さんは同校の卒業生でもある。

シラバス
データベースと問題解決

(画像:左上)
三井先生は,データベースの指導にあたって「何を身に付けさせるか」という観点から,以下の4点に留意する。
 1 統計データの扱い方を理解する。
 2 問題解決にデータベースを活用する。
 3 実際にデータベースを作成する。
 4 データベースのリスクを体感する。
「好きなコンビニ商品」という身近な題材をもとに,情報収集からはじめ,リレーショナルデータベースの作成・正規化の理解→データの入力演習→検索という一連の流れで,上記4点を踏まえた指導を行う。

(画像:右上)
「問題発見と分析」の指導において,ブレーンストーミングを行う際に用いるワークシート。「学食をよりよくするために」というテーマで指導されている。

三井先生のワークシート

アルゴリズム
(10KB)

プログラミング(解説シート)
(139KB)

プログラミング
(19KB)

モデル化とシミュレーション1
(164KB)

モデル化とシミュレーション2
(11KB)

データベース(データ収集)
(15KB)

データベース(検索手順)
(394KB)

データベース(分析シート)
(18KB)

RICSにおけるアダプティブラーニング(適応学習)の実現と工夫

立命館守山中学校高等学校の取り組み

 一人ひとりに最適化した学習コンテンツを提供する、アダプティブラーニング(適応学習)が注目され始めています。アダプティブラーニングとは、各生徒の学習進行度に合わせて、適切な問題を適切な方法、タイミングで提供する教育手法のことです。
 電通国際情報サービスの研究開発部門であるオープンイノベーションラボでは、2011年度からICTが教育にもたらすイノベーションの可能性を模索し、研究してきました。中でも、アダプティブラーニングとSNSの併用による学習環境向上に着目し、プロトタイプ作成と実証実験を重ねています。その実践的な取り組みとして、2014年度から、立命館守山中学校高等学校と共にRICS(Ritsumeikan Intelligent Cyber Space)の開発に取り組み、現在もご利用いただいています。
 RICSは、各生徒の知識レベルに応じた効率的な学習を可能にするアダプティブラーニング機能と、ネオデジタル世代に影響を与える、SNSによるリアルな教師・友人との学び合いの環境を提供するシステムです。RICSには複数の教材会社から提供された問題が登録されており、生徒自身が自学自習用の問題として活用するのはもちろん、教師から生徒へ、授業中の課題、宿題用として、問題を一斉・個別に配布することが出来るようになっています。

アダプティブラーニングとSNSによる学び合い

 試験範囲を復習しようと問題集を開いたものの、1問目から順に解くのは簡単すぎてつまらない。いきなり最後のページを開くと難しすぎてわからない。誰か今の自分にぴったりの問題を教えてほしい―そんな経験は誰にでもあることと思います。それを実現するのがRICSのアダプティブラーニングです。
 知識レベルに応じたアダプティブラーニングでは、生徒一人ひとりの習熟度にあわせて、「学力・理解度」と「学ぶ対象」をシステム上で紐付ける必要があります。RICSでは、生徒の解答状況ログから予想される理解度と、RICSに登録された全問題の内容や難易度を、独自のアルゴリズムで紐付けて、「RICSからのおすすめ」として提示しています。「数学は基本的に得意だけど図形だけは苦手」といった、気がつきにくい単元ごとの得意・不得意にも対応しており、各生徒へのきめ細やか自学自習サポートを実現しています。

 アダプティブラーニングのような効率的な学習教材が用意されていても、ひとりきりで黙々と学習を続けるのは大人でも難しいものです。そこで、RICSでは継続的な学習を支援するための工夫をしています。
前号(Vol.20)でも紹介した学習マップは、生徒のモチベーションアップのための仕組みを盛り込んだ機能です。
 学校では机を並べて勉強している生徒たちも、家ではひとりです。学習マップには、難易度などの問題情報のほか、各問題につけられたコメントや、誰が解答したかなどがわかるSNS機能があります。学習マップを通して、家でも他の生徒の状況がわかることで、「解答前にコメントを読むとどんな問題かわかって良い」「難しい問題を友達が解いているから自分もチャレンジしてみようと思う」と互いに刺激を与え合っているようです。
 また、アダプティブラーニングを提供開始したところ、「勉強がどれくらい進んだのかがわからなくて不安」という声があがりました。そこで、単元ごとに、どれくらい学習が進んだのかを色分けで表示して、ひと目でわかる画面をつくりました。進捗率によって赤、黄色、緑と信号のように変わっていき、単元をマスターしたら金メダルになります。この金メダルが特に好評で、「早く金メダルにしたい」「金色で埋めつくしたい!」と学習を進めるモチベーションになっているようです。

単元をマスターしたら金メダルになる学習マップ

問題ごとにコメントや解答した人がわかるSNS機能

RICS利用ログの分析・活用と今後

 RICSの機能は、アダプティブラーニングによる効率的な学習と、SNSによる学び合いの併用による学習環境の向上という仮説を立てて開発し、運用しています。今後は、蓄積された膨大な利用ログを分析して、各機能の有効性を検証するほか、生徒の学習傾向を把握・分析して学習指導に役立てていくこともできるのではないかと考えています。
 アダプティブラーニングで効率よく知識を身につけ、知識を活用し、グローバル人材として必要とされる課題解決力をアクティブ・ラーニングで習得する、そんな教育・学習スタイルがこれからのスタンダードになるのではないでしょうか。より短期間で深い知識を習得できるよう、さまざまな教材会社や学年、さらには教科や校種の垣根を超えて、生徒一人ひとりの学びに最適な一問を提示できるようなシステムの構築を目指していきたいと考えています。
 オープンイノベーションラボでは、RICSを通じてICTを活用した教育の可能性を検証するべく、立命館守山中学校高等学校と共に2016年度も継続してRICSを運用していく予定です。

 

河野 碧(こうの みどり)
株式会社 電通国際情報サービス オープンイノベーションラボ所属。
2015年度よりRICS開発プロジェクトに参加、検証およびUIデザインに従事。保護者用スマートフォン向け画面や学習マップのデザインを手掛ける。

RICSの取り組み紹介ico_link

児童画コンクールQ&A

 秋は児童画のコンクールが行われるシーズンです(※1)。読者の中には審査や出品に携わる人や児童画の審査に興味のある人がいると思います。今回は児童画コンクールについてQ&A形式で考えてみます。

Q1:児童画のコンクールって必要ですか?

 コンクールという制度自体は、すでに100年以上前から批判されています。「概念を生成、固定化するのがコンクールだ」というわけです(※2)。教育界でも「一人一人描いたその子らしい作品に賞を与えること」の是非について論争がありました。また、なぜ四つ切画用紙なのか、なぜ学年別なのかなどの意見もあります。
 これらを踏まえた上で、筆者は児童画コンクールが必要だと考えています。それは子どもをよりよく育てようとする社会的な仕組みだからです。まず児童画コンクールには、子どもだけでなく親や先生など、その応募作品数の数倍の人々が関わっています(※3)。さらには展覧会を主催する会社や官公庁など、様々な組織が連携しています。この仕組みは「子どもの育ちを可視化する場」であり、「大きな学校」と呼べるでしょう。児童画コンクールがなくなったら、それらが全て消えるわけですから、教育的な損失だと思うのです。海外ではあまり行われていないので、公教育の水準が全国的に保障されている日本のよさかもしれません(※4)。

Q2:児童画コンクールの現状は?

 大きく見れば縮小傾向にあります(※5)。「児童数の減少」「学校の多忙化」「図画工作・美術の時間の減少」「費用対効果による予算削減」など複数の原因が考えられます。一方で、60年以上続けている地域のスケッチ展(※6)や、10年以上かけて数千点から20万点まで出品者を増やしたコンクールもあります(※7)。新聞社や地域のスーパーを中心に活動を続け、50万点以上の出品数を誇る展覧会(※8)もあります(※9)。共通するのは、児童画を通して地域の社会関係の維持、発展に貢献している点です。コンクールは単純に子どもの育成の場だけではないのです。先生にとっては、児童画コンクールは大事な教員研修の場です。審査しながら子どもの発達について考え、指導法の妥当性を検討します。そこでは都道府県や市町村の教育研究会や造形教育研究会のような教育団体が重要な役割を果たしています(※10)。

Q3:何人くらいで審査するのですか?

 出展数が多い場合は一次審査、二次審査などが行われますが、最終審査では概ね4、5人の審査員が話し合いながら、半日から一日かけて審査を繰り返します(※11)。複数による審査は「偏った見方にならない」「一人の価値判断に流れない」という点で安心です。他の審査員の推薦理由を聞いて、気づかなかった子どものよさを発見することがよくあります。
 審査員は、教育関係者だけの場合もありますし、アーティストや会社役員など教育関係者以外が含まれることもあります。教育関係者はQ4をおさえてくれますが、教育関係者以外は新鮮な視点や感じ方を示してくれます。筆者も漫画家や宇宙飛行士の方などと一緒に審査していますが、その新鮮な見方、子どもを見抜く目、社会的な批判精神などに多くを学んでいます。

Q4:審査にポイントはありますか?

 欠かせないのは子どもの発達です。「クレヨンがしっかり持てるのは何歳か」「スクリブルの後に、丸を描き始めるのは何歳ごろか」「男女にはどのような違いがあるのか」「絵の具を使いこなすのは何年生か」「写実的に描写したい欲求が生まれるのはいつか」などです。発達を考慮に入れることによって、単純に上手な絵ばかり選ぶことを防ぎます。「どの子どもにも受賞のチャンスを開く」ことが保障されると言い換えてもよいでしょう(※12)。
 また、指導方法も大切なポイントです(※13)。教育系の審査員は「図画工作や美術の指導技術」「教科書に掲載されている作品」「現行学習指導要領のねらい」「新しい教育課程の改訂の方向性」などを知っています。そこから「子どもに描かせた先生の作品」と「主体的に子供が描いた作品」を見分けることができます(※14)。「教育的に妥当な作品」は児童画コンクールでは大事な要素でしょう(※15)。他には「児童画成立の歴史」「昭和と平成の児童の描画の変化」などの歴史的な観点、「海外の児童画」「地域固有の表現」「学校と塾」など地域や場所の観点も大切です(※16)。

図1 結晶を描いている

図2 粉雪、風の向きも分かる

図3 東京四谷の大雪、雪が玉になっているのが分かる

図1、2は北海道の雪の絵、図3は東京の雪の絵。北海道では氷点下なので固まり合わず結晶のまま降る。そのため子どもはよく粉雪や星形のように描く。ノルウェーなどの北欧でも雪を星のように描くケースが見られる(※17)。

Q5:どのように審査するのですか?

 審査員の多くは単純な上手下手では選びません(※18)。絵から、そこに表れているその子の能力を見ようとします。部分と全体、クレヨンの重なり、筆のタッチなどまで詳細に見ながら、「こんなことを感じたんだな」「ここに工夫があるな」など絵の作者になりきって考えます。いわゆる「絵から子どもの声を聞く」のです。
 もちろん絵からは先生の声も聞こえてきます。「はい、ここは大きく描きましょう」「近い部分と遠い部分をかき分けようね」などですが、それはそれで必要なことです。「学校に来ましょう」「絵を描きましょう」というのは大人の決めたことですし、何もかも「自由な絵」がよいというわけではありません(※19)。大事なのはバランスです。「子どもの声:先生の声」が「8:2」くらいでしょうか?
 そうやって、子供の声と大人の声を聞き分けながら、子どもの発想や構想、創造的な技能などを評価していくということになります。ただし、絵から何もかも分かるわけではありません。分かるといってもせいぜい1割程度でしょう。いくら経験を積んでも子どもに届かないことは多く、そのことに謙虚になることは大切なポイントです。

 

※1:一口に児童画コンクールといっても、一日だけで行われたり、一年かけて実施したり、その目的や内容も考えればその在り方は様々です。ここではある程度作品数を集めて審査する展覧会を取り上げました。
※2:例えば「児童画らしさ」、あるいは「美術とは」「名品とは」(学び!と美術Vol.33参照)。
※3:10万~50万点規模の展覧会だと50万~200万人くらいが関わっていることになります。
※4:国際的な児童画展の場合、海外からの出品はほとんど画塾で、学校単位は少ない。
※5:数万点規模の全国コンクールが近年、中止や縮小をしています。
※6:第64回所沢市子ども写生大会(2015)。所沢市内在住・在学の幼児・小学生・中学生と高校生・保護者を対象にした写生大会が西武園ゆうえんちで開催されています。
※7:第14回ドコモ未来ミュージアム(2015)。第一回は数千で始まりましたが、2014年に20万点を超えています。
※8:CGC 第34回全国児童画コンクール(2015)。CGCグループは全国のスーパーマーケットで構成する日本最大のコーペラティブチェーンです。地域のスーパーが作品を集めたり、展示したりするなど、地域の教育の場として活動している様子が報告されています。
※9:児童画ではありませんが「ゆうちょアイデア貯金箱コンクール」は毎年80万点以上の作品が出展されています。郵政省時代の貯金箱コンクールでは200万を超え、郵便局員さんが学校と家庭、地域を結んで作品の集荷や返却をしていたそうです。
※10:県単位の児童画コンクールを廃止したことで、造形教育研究会自体が弱体化した例が散見されます。
※11:最終審査では数百点程度にしぼられていることが多いようです。大規模な展覧会だと一次審査から関わる審査員数は数十人になります。
※12:発達が分かると「子どもの描いた線か、それとも大人か」も分かります。中学生になるとそれも難しくなりますが、幼児から小学生では大事です。
※13:文部科学大臣賞など特に教育課程との整合性が問われる場合は、文部科学省の教科調査官が最終的な判断を行うことが多くあります。
※14:題材、構図、塗り方等、最初から最後まで全て先生の指示通りに描かれている絵のことです(学び!と美術Vol.27参照)。教育関係者でも気づかないことがあるので、審査に図画工作や美術教育の関係者が入るのは大事でしょう。
※15:純粋に絵画的な水準を追求する展覧会もあります。「第9回アートクラブグランプリ in SAKAI」(2015)は、堺市が主催する全国中学校美術部の作品コンクールです。美術部の生徒が何十時間もかけた作品を出品し競い合う、まるで美術部の甲子園です。
※16:多様な視点で審査ができますし、Q1で述べた「児童画らしさ」がどのような歴史で構成されたかという問題にも自覚的になれます(学び!と美術Vol.7参照)。
※17:奥村高明『子どもの絵の見方』2010 東洋館出版
※18:幼児の絵に「この絵は絵画的に面白い」「斬新な構図だ」「色が新鮮だ」と大人の価値観を押し付ける審査員もいます。メタ認知しながら、絵画的な面白さや、構図の斬新さを考えて描く幼児が絶対にいないとは思いませんが……。
※19:まったく指導が入らないと「荒れた絵」になります。ほどよい支援や指導は大切です。