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月別アーカイブ: 2024年3月
もりたSDGsプロジェクト(中学校でPBL⑥)
中学校における探究活動の実践を、前回に引き続き、福井市森田中学校(以下、森田中学校)の木下慶之先生の取り組みを通して見ていきましょう。今回は、2022年度に木下先生が学年主任を務めた第2学年が取り組んだ、公⺠館と共同プロジェクト「もりたSDGsプロジェクト」の実践です。
1.「SDGsとwell-being」に取り組む
2022年3⽉に「森⽥推し隊プロジェクト」の⽣徒たちが卒業し、赴任4年⽬となる4⽉からは再び第2学年の学年主任を務めることになりました。
この学年では、昨年度から公⺠館と共同プロジェクトとして「もりたSDGsプロジェクト」に総合的な学習の時間を中⼼に取り組んでいました。
4⽉最初の学年会では、学年メンバーに昨年度の取り組みについて説明してもらう時間を設け、今年度はどのような実践をデザインしていこうかみんなで構想を練り合いました。本校では5⽉に校外学習が計画されており、早速4⽉最初の職員会議で計画書を出さなければなりませんが、そう簡単に年間の計画が⽴てられるものではありません。「そもそも何のための校外学習なのか。」「もりたSDGsプロジェクトをどう展開していきたいのか。」「⽣徒たちの様⼦や思いは?」最初の学年会は波乱のミーティングでした。
そんなとき最年少担任の先生は「福井県SDGsパートナー企業リストの企業を訪問してはどうか」と提案しました。さらに、議論を重ねる中で県内にある4つの⼤学を訪問し、「そもそも探究とは何か」を学びに⾏こうというアイデアも⽣まれました。
早速、福井県⽴⼤学や福井⼤学などの研究室を教員チームで訪問し相談に⾏きました。その中で「well-beingの⾒⽅や考え⽅」を学びました。そして、「SDGsとwell-being」を今年度の教育実践のキーワードにしていこうとなっていきました。

5⽉校外学習のしおり 新学期が始まり、⽣徒たちの実⾏委員が結成されました。⼤きな構想については教員から提案しますが、実際の内容は⽣徒たちと⼀緒に考えてつくっていきました。まず実⾏委員の⽣徒たちが⽴てた校外学習のテーマは、「MISSION CHANGE THE MORITA 〜深めよう愛郷⼼〜」でした。「1年⽣の頃は、世界や⾝近なSDGsを調べました。2年⽣では、さらに深く学ぶために⼤学や会社、⼯場などでヒントをもらい、この森⽥地区を変えようという気持ちでこのスローガンを⽴てました」という実⾏委員⻑の⽂がしおりに添えられました。
校外学習当⽇を迎えました。前半は「探究」の仕⽅を学ぼうというテーマで⼤学訪問です。福井県⽴⼤学の⾼野翔准教授からは「well-being」、福井⼯業⼤学の坂崎貴彦教授、船越達也准教授からは「スポーツとまちづくり」、仁愛⼥⼦短期⼤学の澤崎敏⽂教授からは「国際的な視点からのまちづくり」、福井⼤学の⽊村優教授からは「well-beingとOECDの BLI(betterLifeindex)の視点」、同じく福井⼤学⼯学部の桃井良尚准教授、⻄本雅⼈講師からは「建築からみたwell-being」などを、講義やワークショップを通して⽣徒たちは学びました。研究者の取り組みや視点を学び、新しい発想や考え⽅に気づく機会になりました。⽣徒からは「⼤学に初めて来た。大学に行くことを考えてみようかなあ。」というつぶやきも聞こえてきました。
SDGsパートナー企業訪問 そして、その後は各グループに分かれて公共交通機関を使って県内のSDGs企業を訪問しました。どの企業もあたたかく迎えてくださり、地球環境や地域活性化や貢献活動について各企業の取り組みを教えてくださいました。
学校へ戻り、それらをCANVAにまとめて、学んだことを学年内でプレゼンテーションし合い共有していきました。さらに、9⽉の学校祭における⽂化祭で学校全体や保護者に発信していこうと企画されていきました。
2.⽂化祭でまちづくりワークショップ
ただ調べたことを発表するのではなく、参加者に何か体験してほしいという実⾏委員の声が出てきました。各教室で「SDGsの視点からまちづくりについて考える」体験型のワークショップを開催することになりました。
実⾏委員たちがみんなにとったアンケートや学級での話し合いの内容をもとに、5つのテーマが設定されました。
⽂化祭での教室デザインワークショップ はじめのチームは「新しい学校づくり」です。森⽥中学校は令和8年度から九頭⻯中学校という新しい学校に変わります。新校舎建築に携わる⽊下設計の⽅々とのコラボレーションで、「新しい教室」を参加者とデザインするワークショップを企画しました。
別のチームは「障害者スポーツでまちづくり」、さらに別のチームは「⽜乳パックでSDGsかるたづくり」に取り組んでいきました。当⽇は1年⽣や3年⽣、保護者の⽅に体験を通して、SDGsやwell-beingの視点からまちづくりについて考えてもらう場をつくることができました。
その後の10⽉に⾏った職場体験では、校区の森⽥⼩学校で⽣徒たちはリトルティーチャーとして、「SDGsについて」の授業を⾏いました。中には将来教員を⽬指している⽣徒もおり、指導案やワークシート、スライドなどを作成し、児童が楽しく参加できる45分間の授業を成功させました。学習活動の中には⽂化祭で作成した「⽜乳パックSDGsかるた」も活⽤されました。
3.福井ふるさとの学び特別賞の受賞
その後3年⽣への進級を控えた⽣徒たちは、「⽴志のつどい(⽴志式)」を2⽉に実施する準備に⼊っていきました。早速実⾏委員が結成されました。今回は「学年の歌」をつくってみようという案が提案されました。⾃分たちで0から歌詞をつくり合唱曲を校内で発表しようというものです。⾳楽科の先生や地元の作曲家⾕⼝薫さんの⽀援をいただきながら、3ヶ⽉かけて作成していきました。これまでの探究での学びや仲間との⽣活を振り返り、未来に向けたオリジナルの学年の歌「陽のさす未来(あした)へ」が完成しました。この合唱曲は福井市の連合⾳楽会でも発表し、他校の⽣徒にも⾃分たちの学びを発信する経験にもなりました。
YouTube動画 福井市連合⾳楽会
福井市森⽥中学校「陽のさす未来へ」
https://youtu.be/0VBsVGfJ00s
マイプロジェクト啓発録の発表 ⽴志のつどいでは、学年訓「尊敬される⼈になる」が発表され、またこれまでの「もりた SDGsプロジェクト」の実践報告が⾏われました。その後は各教室に分散して、もりた未来フォーラムが開催されました。⽣徒⼀⼈⼀⼈が⽴てた⽬標や展望を「マイプロジェクト啓発録」にまとめ、ラウンドテーブル形式で少⼈数グループの中で語り合い、読み合いました。
この活動には、「森⽥推し隊」学年でもお世話になった⼀般社団法⼈BEAUの⽥川裕⼤さんがアドバイザーとして実⾏委員の活動をサポートしてくださいました。⽣徒たちはファシリテーションや聴き合うこと、対話することの⼤切さを学んでいきました。また、当⽇は各グループに1⼈ずつ地域の⼤⼈の⽅や学⽣の⽅々が⼊ってくださり、⽣徒たちの活動をあたたかく⾒守り、アドバイスしてくださいました。
このような活動をもっと発信しようと、野球部の⽣徒たちが「ふるさとCMコンテスト」に応募しました。公⺠館とのもりたSDGsプロジェクトの活動を中⼼にしたCM「ホームラブ」を作成しました。
Youtube動画
福井市森⽥中学校「ホームラブ」
https://youtu.be/1mBJK67GZmw
2年間の地域と連携した活動が認められ、令和4年度福井県「ふるさとの学び特別賞」を受賞することになりました。
また、2⽉に開催された福井⼤学での福井ラウンドテーブルの⽣徒ポスターセッションにも⽣徒たちは参加し、エジプトから来⽇している研修⽣の⽅々にパンフレットを使って活動を紹介していました。
ふるさとの学び特別賞 表彰式
福井ラウンドテーブルでのポスター発表
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/gimu/furusato-tokubetushou/furusato-tokubetushou_d/fil/morita-chu.pdf
公⺠館と⼀緒に今年度の活動を冊⼦にまとめて森⽥地区全⼾に配布し、SDGsの啓発や「もりたSDGsプロジェクト」の探究のストーリーを発信していきました。活動誌を作成することを通して、⾃分たちの学びを省察し、これからの実践の展望を⾒出すことができました。これは⽣徒たちだけでなく、教員、保護者にとっても成⻑や学びを実感するものになっていきました。
Webマガジンまなびと:「学び!とPBL」Vol.72
Webマガジン:「学び!とPBL」Vol.72 “もりたSDGsプロジェクト(中学校でPBL⑥)”を追加しました。
高等学校 情報:副教材訂正のご案内
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語研・小学校外国語教育委員会 第12回 オンライン講習会
語研・小学校外国語教育委員会 第12回 オンライン講習会を追加しました。
my実践事例:小学校 社会 No.044
my実践事例:小学校 社会 No.044 “「健康なくらしを守る仕事 ごみのしょりと活用」(第4学年)”を追加しました。
「健康なくらしを守る仕事 ごみのしょりと活用」(第4学年)
1.単元名
「健康なくらしを守る仕事 ごみのしょりと活用」(第4学年)
2.目標
地域のごみの種類や適切な分別方法、リサイクルの重要性など、ごみの処理と活用に関する基本的な知識を身につける。地域で発生するさまざまなごみの種類を理解し、それぞれがどのように処理・活用されるかを学ぶ。また、ごみの分別方法やリサイクルについて、具体的な技能を習得する。
環境への影響や持続可能性について深く理解し、思考する力を養う。ごみの処理やリサイクルの重要性を考えることで、持続可能な社会を築くための思考力を培う。さらに、地域のごみ問題について適切な判断を行うために、情報収集や分析を行うこと。また、自分の考えや意見をクラスや地域の人たちと共有し、表現することで、コミュニケーション能力を養う。
地域の環境問題に対して興味をもち、自らの意欲をもって調査やフィールドワークに取り組むことで、学ぶ喜びを感じる。さらに、クラスや地域の活動に参加し、自分の考えを積極的に発信する姿勢を養うことで、社会への参加意識や責任感を育む。
3.評価規準
○ごみを処理する事業は、衛生的な処理や資源の有効活用ができるよう協力して進められていることや、地域の人々の健康な生活環境の維持と向上に役立っていることを理解できるようにするとともに、見学・調査したり、地図や各種資料で調べたりして、まとめる技能を身につけている。
○ごみの処理のしくみや再利用、県内外のごみの処理に携わる人々の苦労や工夫・協力に着目して、ごみの処理事業の様子をとらえ、その事業が果たす役割について、調べたことや考えたことを表現している。
○学習したことをもとに、自分たちにできることはどんなことかを考え、4Rの視点をもとに新聞やポスターなどの発信方法を使って発信している。
○ごみの処理事業について、学習問題の解決に向けて主体的に問いを作り、それらについて追究しようとしている。
○これまでの生活や学習を振り返り、地域社会の一員としての意識をもち、ごみの適切な処理や再利用に協力しようとしたり、自分たちのよりよい生活を考えたりしようとしている。
4.本単元の指導にあたって
日常生活から出てくるごみは、わたしたちが出しているものである。我が国のごみの排出量は年々増えています。現状のペースでは、世界中で2050年までに120億t以上のプラスチックが埋め立てられたり、自然投棄されたりすることになる。
家庭から出るごみは分別して集積場に出すが、ごみ収集車がごみを集めた後、ごみ処理場へ運ばれて処理されている具体的な様子は普段目にすることはない。このままごみが増え続けるとよくないことはわかるが、それを「自分事」としてとらえることが必要であると考える。本単元を学習することで、現状を理解し、今後どのように考え行動していくのがよいか、考えるきっかけとしたい。
5.単元の指導計画
|
時 |
学習のねらい |
子どもの活動と内容 |
|---|---|---|
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1 |
単元計画を配布し、オリエンテーションを行う。 (単元の見通し) |
○単元計画を確認して、単元全体の見通しをもつ。 |
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2 |
教材と出合い、問い作りを行う。 (本時) |
○ごみ収集車にごみを入れている写真や手作業で分別している写真などを提示し、「見える-思う-引っかかる」の視点で考えを書き出す。 |
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3 |
作った問いをもとに追究したい問いを決定する。 (課題設定) |
○三つの視点で書き出したカードの中から自分が追究したいと思う問いを絞る。 |
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5 |
作った問いに対する予想を考える。 |
○自分たちで仮説を立てることにより、検証しやすくする。 |
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7 |
校外学習でごみ処理場の見学をし、処理している様子や働いている人の思いを聞く。 (情報収集) |
○実際に見学に行って実物を見たり、働く人の話を聞いたりすることで、実生活と結びつける。 |
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9 |
今までの学習を整理する。 (整理・分析) |
○「比較する」「関連付ける」「多面的にみる」などの思考スキルをはたらかせながら、整理する。 |
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10 |
学習したことをまとめる。 (まとめる) |
○整理・分析したことをもとに、文章化し、ポスターや新聞などにまとめることで、自分たちが伝えたいことや取り組みたいことを明確化する。 |
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11 |
新聞・ポスターを作成し、発信する。 (表現する) |
○カリキュラムマネジメントで、国語科、総合的な学習の時間と連動させながら取り組む。 |
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13 |
新たな問いを作っていく。 |
○世の中の環境問題に目を向け、自分たちにできることを考えていく。 |
6.本時の学習(2時間目)
学校や家庭から出てくるごみについてのイメージを話し合うとともに、ごみ収集車でごみを集めている様子の写真から、単元を通して追究したい問いを作ることができる。
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主な学習活動・内容 |
指導の工夫と教師の支援 |
資料 |
|---|---|---|
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1.生活の中で出てくるごみのイメージを出し合う。 |
○自分たちの生活を想起させるために、教室のごみ箱や、家のごみ箱、イラストなどを活用する。 |
・写真 |
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2.ごみ収集車でごみを集めている様子の写真を提示し、三つの視点で整理する。「見える-思う-引っかかる」 |
○ごみを集めている人が作業着を着ていることから、仕事で行っていることに気づかせたい。 |
・シンキングツール |
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3.三つの視点で考えを出したことの中から、自分が追究したい問いをいくつかに絞る。 |
○同心円チャートで整理することによって、思考の見える化を図る。 |
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4.問いに対する答えを予想する。 |
○生活経験を想起しながら「あのとき〇〇だったから、〇〇だと思う。」など、予想を立てさせることで、発見したことに対して「自分事」とさせたい。 |
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5.作った問いを交流し、「クラス全体で解決したい問い」を作る。 |
○ペアやグループ、立ち歩きなど、さまざまな学習形態をとりながら自分たちの考えを交流させることで、「自己調整スキル」を高め、「個別最適な学び」の実現を図る。 |
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6.次時以降、学習方法、情報集めの方法などを確認する。 |
○学習者が主体的に学びに向かえるよう、学習方法、学習形態、情報収集の手段などを確認する。次時以降、児童が「探究的」に学べる環境づくりをすることで、主体的に学べるようにする。 |
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7.ふりかえりをする。 |
○観点を示すことにより、次時に学習するべきことを明確にすることにつなげたい。 |
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成果と課題
本実践で意識したい学ぶ際の三つの柱は「情報活用スキル」「自己調整スキル」「思考スキル」である。本時(2時間目)に、あえて写真を使って「何が見えるかな?」と問うことにより、思考の可視化を促した。子どもたちは写真内の「見える」もの・ことから、「思う」こと、「引っかかる」ことへ徐々に視点を広げていくことで、自分で追究したいと思う問いを作り出す楽しさや自分事として考えていこうとするきっかけを作ることができた。自分の生活体験と結びつけて考えたり、写真の中身を比較したりする姿は、「思考スキル」がはたらいていたと言える。また、子どもたち自身が作った問いを交流することで、「確かに。」「そういうこともあるな。」「〇〇さんの考えを取り入れていい?」など、対話しながら主体的に自分の考えを再構築したり、付け足したりしていた。1単位時間で、学習者自らが学習形態を選択(個人・ペア・グループなど)したり、その間の学習時間をコントロールしたりする姿は「自己調整スキル」がはたらいていたと言える。しかし、子どもによってはとりかかる際にイメージがつきにくかったり、アイデアが出にくかったりする場面も見られた。しかし、そういう状況に子どもたちが陥ったときに、「ちょっと教えて。」「一緒に勉強しよう。」など、主体的に学びに向かう態度を育成するとともに、安心した学びの環境づくりを教師がつくっていく必要があると感じた。教師から「今日のめあては…。」と提示するのではなく、1枚の資料、写真を皮切りに「あれっ?」「これってどうなの?」と探究サイクル(資料3)をグルグルとはたらかせながら「課題設定→情報収集→整理・分析→まとめ・表現→振り返り…」と学びを進めていけるようにすることで、子どもたちは、より主体的に対話的に学んでいくことができると考える。今後の展開で、子どもたち自ら「情報活用スキル」をはたらかせて自分の考えをより確かなものにしたり、「自己調整スキル」をはたらかせて学びをコントロールしたりしていく姿を期待したい。
【参考文献】
- 樋口万太郎(2020)子どもの問いからはじまる授業! 資料2
- 木村明憲(2022)主体性を育む学びの型
中美特設サイト更新
中学校美術の先生応援サイト「中美 チュービ」:「私の指導計画」Vol.05 さいたま市立大宮南中学校 高藤友輔 先生 “詳しく解説!私の指導計画(2年生編)”
を追加しました。
図工のみかた:「図工のあるまち」更新
図画工作科ブログ「図工のみかた」:「図工のあるまち」第四十五回 “放課後の学校クラブ 第18回 放課後らしさとは”
を追加しました。
機関誌・教育情報:「高校教科書×美術館」No.72
機関誌・教育情報:「高校教科書×美術館」No.072 “サインのない絵画 きらめく原石たち”を追加しました。








