投稿者「test202601」のアーカイブ
[特集]創造力ってなんだろう?
人物や風景の絵の指導、どうすれば?~畑本先生と考えよう!図工の時間「気になる」子ども【第5回】~
発想が浮かばず固まっている、手先が不器用でうまくできない、やる気がなく机につっぷしている…。
「気になる」子どもは、なぜそのような言動をしているのでしょうか?
本連載では、現場の先生から寄せられた「気になる」子どもに関するお悩みについて、畑本先生といっしょに子ども目線で考えたいと思います。



まず、
そして、その価値観にとらわれたまま大人になり、また同じように子どもの絵を評価してしまう…ということが、繰り返されているのではないでしょうか。
年齢によって描画も変わる
まず大前提として、
1年生の担任の先生から、こんな相談を受けたことがあります。
「人をかくとき、腕を細い線でかいてしまうんです。棒人間みたいな。線を二本をかいて、その間を塗るってことができないみたいで…」
大人は、腕や体の厚み、立体感、空間の奥行きなどを認識できます。でも、それは子どもの頃からそうだったわけではありません。ましてや絵で分かるようにかくとなるとさらに難しいはずです。
1・2年生は、形の「輪郭」を認識し、それが描画にも表れ始める過渡期に当たります。
(教科書1・2上p.20-21「みてみて あのね」/令和2年度版)
こちらは1年生の絵の題材のページです。クレヨンの色でそのまま形を表している子もいれば、左下の玉入れの作品のように輪郭をとってから中に色をつけている子もいます。
対象や空間の認識能力や描画の発達にはもちろん個人差があります。「この年齢になったら、このかき方ができていないとダメ」ということではありません。
子どもは、いくつもの題材の中で友だちと交流したり、新しい表し方を試したりして、自分の思いに合った表し方をだんだん見付けられるようになっていきます。
★【注】描画の発達段階について
子どもの描画の発達についてはさまざまな研究があり、もちろん個人差があります。時代とともに子どもたちを取り巻く環境も変化するので、一概に「この年齢だったらこのくらいかける」ということはいえません。しかし、実際の子どもたちの絵を研究した資料や書籍がありますので、それを知ることで「なんでかけないんだろう」「どう指導すればかけるようになるんだろう」というお困りや不安が少し楽になるかもしれません。
本ページの最後に参考書籍を紹介しています。Web上で見られるものもありますので、ぜひ参考にしてみてください。
【支援の例】学校の風景をかく絵の指導
「じゃあ、絵の授業で必要な指導ってなんだろう?」と思われた先生もいらっしゃるかもしれません。
6年生のこちらの作品を見てみましょう。みなさんはこの絵を見て、どんなふうに感じましたか?
(教科書5・6下p.26-27「わたしの大切な風景」/令和6年度版)
作者の児童は、この場所をかいた理由を次のように語っています。
毎朝、友だちが登校してくるのを、3階のあの場所からのぞいて待っている時の景色が心に残っていたのでかきました。なるべく遠近感がでるように、近くの右側の手すりの色をこくして、遠くの色をうすくしました(以下略)。
作者の児童にとって、思い入れのあるこの場所を表すために、階段の奥に下っていく感じや友だちとの距離を表すことがどうしても必要なことだったのだと分かります。
では、この絵の作者のように、「階段が下っていく感じ、遠近感をかきたい」という子どもがいたとしましょう。複雑な階段の形や、遠い感じ・近い感じを表すのは、高学年でもとても難しいことです。どのような支援が考えられるでしょうか?
あくまで支援の一例ですが、私だったら
「(一緒に手すりを触りながら)ここまでまっすぐで、ここでガタンって落ちてるね」
「今はここの線をかいてるんだよね?この続きはどうなっているかな?」
「平らなところと、ちょっと出っ張ってるところがあるんだね」
「(子どもがかいた形を見ながら)あ、なんか下っている感じになってきたね」
「手すりの太さをだんだん細く表したんだね」
このように、子どもがかきたい対象とじっくり向き合い、自分の実感とともに形を見付けていけるように支援しましょう。子ども自身が「こんな感じがいいかも」と気付ければ、あとは自分で線や形を見付けてかいていけると思います。
私はいつも子どもたちに、「絵ってあなたにしかできない表し方ができるよ。とってもすてきだね」と伝えています。見たままそっくりなら、写真でもできますよね。
子どもの絵を見るときは、子どもが感じ取ったことや表したかったことなどの
★【参考】子どもの描画の発達に関する書籍
◎「子どもの絵の発達と道筋 子どもの絵の作品と説明」(東山明、清田哲男/著)
https://www.nichibun-g.co.jp/data/education/e-other/e-other013/
幼児期から小学生くらいの時期の描画の発達について解説しています。HP上で全ページ読むことができます。
◎「子どもの絵の世界 絵から読み取る発達の道筋とその指導」(東山明、清田哲男/編著)
https://www.nichibun-g.co.jp/data/books/search/?free_key=子どもの絵の世界
幼児期から18歳ごろまでの描画の発達について解説しています。

富山県富山市生まれ。図工専科教諭として、神戸市の図工教育に長年に渡り貢献。これまでに、神戸市立小磯記念美術館教育普及担当指導主事、神戸市小学校研修図工グループ研究部長、第71回兵庫県造形教育研究大会神戸大会研究局などを務める。初任校は肢体不自由の養護学校であった。特別支援教育コーディネーターも勤め、通常学級における特別支援教育の実践に取り組んでいる。一人一人の育ちの中で幼稚園・小学校・中学校の造形教育のつながりを大切にしている。好きなことは、季節の料理と電車。
思いはあるのに技能が追いつかない…。不器用な子どもにどう指導する?~畑本先生と考えよう!図工の時間「気になる」子ども【第4回】~
やりたいことが思い浮かばず固まっている、手先が不器用でうまくできない、やる気がなく机につっぷしている…。
「気になる」子どもは、なぜそのような言動をしているのでしょうか?
本連載では、現場の先生から寄せられた「気になる」子どもに関するお悩みについて、畑本先生といっしょに子ども目線で考えたいと思います。

表したい思いはあるのに、手先や指先が不器用で、技能面で追いつかずいら立っている様子の子どもがいます。どのように支援すればよいでしょうか。

用具の使い方を言葉や映像だけで伝えようとしていませんか?
「ちょうどいいぐらい」が分からない
大人も同じだと思うのですが、用具を使うときの体の動かし方や感覚は、実際にやってみて「なるほど、こういう感じか」と分かるものです。「ちょうどいい力加減」を言葉だけで説明するのは難しいです。
子どもたちも同じで、特に初めて出会う用具であれば
例えば彫刻刀であれば、持ち手と反対の手を添えて刃を押し進める感覚や、彫りやすい「深さ」というのがありますが、自分でやってみないとその感覚はなかなか分かりません。
彫る角度が深すぎて刃が前に進まないと、無理に彫ろうとして力を入れすぎてしまうことがあります。反対に、刃が怖くて力を入れられずうまくいかない、という場合もあります。
そうなると
そんなときは、
「ほら、できたね!」
「いい音で彫れたね」
「さっきと比べてどう?」
「きれいな彫り跡になったね」
…と声かけしながら、「ちょうどいい角度で彫れば、力を入れなくてもちゃんと前に進むんだ」ということが分かるように伝えましょう。
そうすれば子どもたちは、「そうか、この感じでいいんだ」と分かり、今度は自分でやってみよう、と安心して活動へ進むことができます。
左右の手の使い方と力加減
図工で使う用具は、右手と左手が違う動きをするものが多くあります。
例えばはさみやカッターを使うとき、
例えばはさみで紙を切るとき、はさみを切りたい方向に動かして切ろうとしている子どもがいます。でも実は、紙を動かしながら切ったほうがスムーズに切ることができます。
また、カッターで紙を切るときは、カッターを持っていないほうの手で紙をしっかりと押さえることが大切です。
このように、
また、
「カッターはやさしく軽く持つといいよ」「しっかり材料を押さえるといいよ」など、左右の手の使い方や力加減、意識が向きづらいほうの手に注目させる声かけも大切です。
6年間を通して繰り返し使う
用具は繰り返し使うことで、感覚を体で覚えていくことができます。
一つの題材で終わりではなく、
例えば6年生の題材「1まいの板から」(5・6下p.32)では、3~5年生で学んできた金づち・のこぎり・電動糸のこぎりの技能を総動員して取り組みます。
描画材も同様で、繰り返し使うことで技能が身に付き、自分の表したい感じに表せるようになっていきます。
例えば高学年の絵の題材で、
- 物語から想像を広げて絵に表す題材(5・6下p.34「言葉から想像を広げて」)
- 生活の中で心に残っていることを絵に表す題材(5・6上p.24「あの時あの場所わたしの思い」)
…のように、
手に取れる場所にあることで、「そうだ、あれが合いそうだな」と自分のイメージに合う表し方を思い付くことにもつながります。
用具と出会うワクワクに寄り添う
私がのこぎりを使った授業をしたとき、子どもたちは「ひし形に切りたい」「ハート形に切れるかな」など、まっすぐ切る以外の切り方にもチャレンジしたいという声がたくさん出てきました。
大人の感覚からすると「それはちょっと難しいんじゃ…」と心配になることもあるかもしれません。けれど、
自分でやってみて、「この用具を使うとこんなことができる。でもこれは難しい」と用具の特性を実感を通して学んでいくことも大切です。
手をかざすだけで水が出たり、ワンタッチで絵の具のフタが開けられたり…。日常生活のさまざまな場面で、両手を使う動作が減ってきています。コロナ禍を経て、その傾向はますます加速したように思います。
また、熱中症対策で外遊びを制限される日が増え、全身を使って遊んだり運動したりする機会も減っています。成長期の子どもたちにはとても重要なことです。
子どもたちの体は、学年が上がるにつれて発達していきます。体の軸が安定していくとともに、肩・ひじ・手首・指先までがスムーズに連動し、左右で異なる動きに対応したり力の入れ具合を調節したりできるようになっていきます。
図工では、低学年ははさみやカッター、中学年は金づちやのこぎり…というように、
実際にやってみることで、子どもたちは「今まで使ったことのない体の使い方」を掴んでいくはずです。

富山県富山市生まれ。図工専科教諭として、神戸市の図工教育に長年に渡り貢献。これまでに、神戸市立小磯記念美術館教育普及担当指導主事、神戸市小学校研修図工グループ研究部長、第71回兵庫県造形教育研究大会神戸大会研究局などを務める。初任校は肢体不自由の養護学校であった。特別支援教育コーディネーターも勤め、通常学級における特別支援教育の実践に取り組んでいる。一人一人の育ちの中で幼稚園・小学校・中学校の造形教育のつながりを大切にしている。好きなことは、季節の料理と電車。
令和7年度 全国学力・学習状況調査 教科書活用のポイント【中学校数学編】
令和7年度 全国学力・学習状況調査 教科書活用のポイント【小学校算数編】
発想が苦手な子どもになんて声をかけたらいい?~畑本先生と考えよう!図工の時間「気になる」子ども【第3回】~
やりたいことが思い浮かばず固まっている、手先が不器用でうまくできない、やる気がなく机につっぷしている…。
「気になる」子どもは、なぜそのような言動をしているのでしょうか?
本連載では、現場の先生から寄せられた「気になる」子どもに関するお悩みについて、畑本先生といっしょに子ども目線で考えたいと思います。



かたまっている理由を考えよう
- 導入の「楽しかったこと何かあったかな」「そのときどんな気持ちだったかな」という問いかけが漠然としていて、イメージが沸きにくいのかも。
- 表したい思いはあるけど、それを言葉にしたり絵にかいたり、表に出すことが不安なのかも。
- イメージはあるけど、どんなふうに表したらよいのか困っているのかも。
- この子はスロースタートなことが多いから、今はじっくり考えている段階なのかも。
- 材料を触りながら思い付く題材はすぐに動き出していたな。手を動かしながら考えるほうが、表したいことを見付けやすいのかも。
- よく見るとキョロキョロと友だちの様子を見ているな。手がかりを探しているのかも。
- もしかして…忘れ物をしたことを言い出せなくて困っているのかな?
かたまっている理由が違えば、必要な支援も変わってきます。
ここでは、私が実践している支援の例をいくつか紹介したいと思います。
①言葉+具体物で伝える
特に低学年では、言葉だけで何かを理解したり、自分の思いや考えを言葉で表現することが難しい場合が多くあります。また、
材料を実際に操作して見せながら説明する、作品例を見ながらいいなと思うところや気になるところをいっしょに話す、など言葉+○○で伝えることをまずは意識してみましょう。
②具体的な選択肢を示す
長時間かたまっている様子だったら、
このとき気を付けたいのは、
③丁寧に、共感的に聞いてみる
例えば、生活の中で楽しかった、心に残った出来事を絵に表す題材で、「かきたいことがない」と言っている子どもがいたとしましょう。
「楽しかったこと、ある?」という
T「楽しかったこと、最近何かあった?」
C「うーん、別にない…」
T「そうなんだ。
C「教室でなんか、じっとしてる」
T「へぇ。
C「友だちのこと見てる」
T「へ~、そうなんだ!
…これはあくまで一例ですが、こんなふうに、
④お試し紙を用意する
「材料を触って手を動かしながら考えた方が思い付きやすい」
「計画的に見通しをもって進めたい」
「友だちの活動を見て考えたい」
子どもによって、自分に合った学び方はいろいろです。
子どもが自分に合った学び方を選択できるように準備しておくことも大切です。
支援の例として、私はどの授業でも、お試し用の小さめの紙を用意しておいて、使いたい子はすぐ手に取れるようにしています。
子どもによって使い方はさまざまで、
- 大きな画用紙にかく前に、構図などのイメージを確かめたい
- 工作の題材で、つくりたい形や設計図をかいて考えたい
- コンテ、パステルなどの描画材でかいたときの感じを確かめたい
- 切ったり貼ったりしながら考えたい
…など、
写真はいろんな色の紙を用意していますが、題材によっては白い紙だけにするなど、大きさや色を考えるとよいでしょう。
日頃から子どもたち一人ひとりの様子をよく見取って特性や個性を理解することで、その子に合った声かけや支援が徐々に思い浮かぶようになっていきます。
私は、
子どもに「今、何か考えているところ?」と尋ねてみることもあって、「うん」と答えてくれることが多いです。今まさにすてきなことを考えている最中なんだなと分かるので、安心してしばらく見守ります。
何もしていないように見えると心配で、
そのタイミングで声をかけてみたり、また離れたり、
それでも何の動きも見られないときは、困っていることを丁寧に聞くことから始めてみましょう。

富山県富山市生まれ。図工専科教諭として、神戸市の図工教育に長年に渡り貢献。これまでに、神戸市立小磯記念美術館教育普及担当指導主事、神戸市小学校研修図工グループ研究部長、第71回兵庫県造形教育研究大会神戸大会研究局などを務める。初任校は肢体不自由の養護学校であった。特別支援教育コーディネーターも勤め、通常学級における特別支援教育の実践に取り組んでいる。一人一人の育ちの中で幼稚園・小学校・中学校の造形教育のつながりを大切にしている。好きなことは、季節の料理と電車。
お手本を見せるとまねしてしまう…。~畑本先生と考えよう!図工の時間「気になる」子ども【第2回】~
やりたいことが思い浮かばず固まっている、手先が不器用でうまくできない、やる気がなく机につっぷしている…。
「気になる」子どもは、なぜそのような言動をしているのでしょうか?
本連載では、現場の先生から寄せられた「気になる」子どもに関するお悩みについて、畑本先生といっしょに子ども目線で考えたいと思います。

作品例やお手本を見せると引っ張られてしまい、

作品例を見せるときに、
見せることで、何に気付いてほしいのか
活動の見通しをもたせたいときや、発想のヒントにできるように、作品例を見せることが有効な場合はもちろんあると思います。ただ、「今日はこれをつくるよ」と伝わってしまうと、当然子どもたちは「そうか、こういうのをつくるんだな」と思ってしまいます。
「見せる/見せない」が重要なのではなく、
私も、授業のはじめに教科書の作品を子どもたちと一緒に見ることがよくあります。
そのときは、「どんなことを考えながらかいたのかな」「どんな工夫をしているのかな」など、
そうすることで、子どもたちが「こんなことを頑張りたいな」と思えるようにしています。
教科書を例に:「こんなことあったよ」
たとえば、教科書の「こんなことあったよ」(1・2下p.26-27)を例に考えてみましょう。2つくらい作品を取り上げて、子どもたちといっしょに見ながらお話しするといいかもしれません。
T「お友だちのかいた絵を見てみよう。
C「ペンギンだ!私も見たことあるよ」
C「すべり台をすべって水中に飛び込んでる」
T「ほんとだね。
C「ペンギンのいろんな動きが面白かったからじゃないかな」
T「そうかもしれないね。
C「みんなで見ているよ。きっと友だちといっしょに見たんだ」
T「じゃあこっちの絵はどうかな?
C「旅館に泊まって、寝たときが楽しかったから、かいたんじゃないかな」
T「
C「顔がなんだかうれしそうだから」
T「ほんとだね。
C「リュックやかばんだ。旅行に必要ないろんな荷物が入ってるんだ」
T「きっとそうだね。
C「テレビだ!電話もある」
C「知ってる!旅館に泊まったとき、テレビがあったよ」
C「布団にもなにかかいてある。かわいい布団だね」
…こんなふうに、
この題材で大切にしたいのは、「楽しかった」「おもしろかった」「頑張った」といった子どもたちの「気持ち」そのものです。
作品例を見せるときは、
絵を見ながらお話しする中で、子どもたちは自分が実際に体験したあんなことやこんなことを思い出し、
「まね」から始まってもいい
「友だちのまねばかりしている」と不安に思う先生もいらっしゃるかもしれません。まず、
また、なんとなく「まねしている」ように見えても、お花の色だけ変えているとか、ちょうちょをかき足しているとか、
最初はまねから始まってもだんだん変わっていくので、それを見付けてほめる声かけをどんどんするとよいでしょう。
「まね」は、
たとえば、「同じキャラクターばかりかく子どもがいて気になる」というお悩みを抱えている先生もいらっしゃるかもしれません。もしかすると、
図工の時間は、「それいいね」「すてきだね」「そんなこと考えたの?すごい!」と
先生や友だちから認めてもらう声かけをたくさんもらうことで、子どもは

富山県富山市生まれ。図工専科教諭として、神戸市の図工教育に長年に渡り貢献。これまでに、神戸市立小磯記念美術館教育普及担当指導主事、神戸市小学校研修図工グループ研究部長、第71回兵庫県造形教育研究大会神戸大会研究局などを務める。初任校は肢体不自由の養護学校であった。特別支援教育コーディネーターも勤め、通常学級における特別支援教育の実践に取り組んでいる。一人一人の育ちの中で幼稚園・小学校・中学校の造形教育のつながりを大切にしている。好きなことは、季節の料理と電車。
「先生、これでいいですか?」~【新連載】畑本先生と考えよう!図工の時間「気になる」子ども~
やりたいことが思い浮かばず固まっている、手先が不器用でうまくできない、やる気がなく机につっぷしている…。図工の時間、そんな「気になる子ども」はいませんか?次へ進めるような声かけをしたいけれど、ぴったりな言葉が浮かんでこない…。そんな悩みを抱えている先生もいらっしゃるかもしれません。
「気になる」子どもは、なぜそのような言動をしているのでしょうか?現象として見えている子どもの姿の裏側には、
本連載では、現場の先生から寄せられた「気になる」子どもに関するお悩みについて、畑本先生といっしょに子ども目線で考えたいと思います。

子どもが

子どもはなぜ先生に聞いてきたのでしょうか。
作業手順だけを伝えていませんか?
授業中、子どもたちにどんな言葉で活動内容を伝えているか振り返ってみましょう。たとえば「はじめに輪郭線をかいて、次に絵の具で色を塗って、最後に背景を塗りましょう」なんて
もしそうなら、子どもたちは先生に言われたとおりに「作業」をこなすだけなので、当然「これでいいか」を決めるのは先生、ということになってしまいます。
子どもたちが自分の中にある思いに気付き、表したいことを見付けられるように促す声かけを一緒に考えていきましょう。
子どもに問い返し、お話ししよう
もし子どもたちが「これでいいですか」と聞いてきたら、いっしょに作品について話をしてみましょう。
「いちばん好きなところはどこかな?理由も教えてくれる?」
「そのとき、どんなことがあったのかな?」
「こだわったところを教えて?」
「なるほど!○○のイメージを表したかったんだね。それならどんな色や形がいいかな?」
本人も、自分の心の中にある表したいことやイメージをうまく掘り起こせていないときがあります。子どもとお話ししながら「自分はどうしたいのか」という思いを聞き出し、「そうなんだね」と思いを受け止めてあげましょう。そうすることで、子どもは自分の気持ちに自信をもち、次の「やりたいこと」が少しずつ出てくるはずです。
「手順」をやめたら、子どもたちの「言葉」が変わった!
知り合いの若い先生から、「『うごいて楽しいわりピンワールド』(教科書3・4上p.12-13)をやるんですが、どのように授業を進めたらいいか悩んでいて…」と相談を受けたことがありました。
その先生は、「作品例を見せて、割りピンの使い方を説明して、つくり方を説明して…」と手順を示していく授業をイメージしている様子でした。
そこで、「いろいろな大きさや形の紙を用意しておいたらどうかな?」「割りピンを使ってできる動きを試す時間をとったらどうかな?」とアドバイスしたんです。
授業後、その先生が「
「先生、○○を使いたいんだけど、ありますか?」
「先生、ここをこうしたいんだけど…」
「先生、こんなこと思い付いたよ!見て見て!」
実際に動かしたり試したりする中で、それぞれの思いやアイデアが生まれてきたのですね。
その先生は、これまでは「
「手順」で進める授業はたしかに「安心」なのですが、
実は、先生に言われたとおりに作業するだけのほうが
子どもが見付けたことをしっかりと受け止め、応援し、支えていきたいですね。

富山県富山市生まれ。図工専科教諭として、神戸市の図工教育に長年に渡り貢献。これまでに、神戸市立小磯記念美術館教育普及担当指導主事、神戸市小学校研修図工グループ研究部長、第71回兵庫県造形教育研究大会神戸大会研究局などを務める。初任校は肢体不自由の養護学校であった。特別支援教育コーディネーターも勤め、通常学級における特別支援教育の実践に取り組んでいる。一人一人の育ちの中で幼稚園・小学校・中学校の造形教育のつながりを大切にしている。好きなことは、季節の料理と電車。
教科書づくりで受け継がれてきた「思い」 ~過去の教科書を振り返って~
今回は、日本文教出版の70年以上にわたる図画工作科教科書の歴史を振り返ります。変わったこと、変わらないこと、そして、これからの教科書づくりで大切にしたいことを考えます。
◎話す人
K (図画工作科教科書の元編集担当)N (図画工作科教科書の編集担当)U (「学び!と美術」Vol.149担当)
表紙で伝えたかったこと
判型のうつり変わり(昭和38年度版、昭和55年度版、平成23年度版、令和2年度版)。
プロセスの重要性を伝える情景写真
「造形遊び」をどう位置づけるか
子どもの「思い」を大切にしていく
子どもの話が聞こえてくる作品
















