ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展―印象派を魅了した日本の美

「名所江戸百景 亀戸梅屋舗」 竪大判錦絵/37.2×24.3㎝/江戸時代 安政4年(1857)11月/ボストン美術館蔵
William Sturgis Bigelow Collection 11.20206
Photograph©2014 Museum of Fine Arts, Boston

 1639年より鎖国状態にあった日本は1850年代に開国します。世界との貿易が始まると、日本の陶磁器、掛け軸、浮世絵、団扇といった輸出工芸品は西洋人の関心をとらえ、流行となりました。その頃の西洋における日本趣味をジャポニスムと呼びます。
 浮世絵の構図や色彩などは当時の西洋の画家に多大なインパクトを与えたことが知られています。特に印象主義の画家たちは大いに影響を受け、自己の作品に生かしました。クロード・モネ(フランス・1840~1926)、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(フランス・1864~1901)、フィンセント・ファン・ゴッホ(オランダ・1853~1890)の作品には、浮世絵の色彩や構図を参考にしたものや、作品の背景に描き込んだもの,模写がいくつも残されています。
 さて、ここで紹介する歌川広重(1797~1858)の「名所江戸百景 亀戸梅屋舗」は開国して間もない1857年に発表されました。近景、中景、遠景と奥行き方向に区分された構図を持ち、近景に画面からはみ出すほど大きく梅の枝を描いているのが特徴です。中景と遠景の対象は小さく描かれており、近景のクローズアップを強調しています。この作品がフランスに住んでいたゴッホの目に留まるのは約30年後のこと。1887年にゴッホはこの作品を油彩で模写しました。
 西洋美術に影響を与えた浮世絵ですが、実は当時の日本美術も西洋美術から影響を受けています。鎖国状態の日本もオランダとは貿易を続けており、海外文化を蘭学として取り入れていました。同時に西洋の絵画技法も伝えられたのです。例えば、蘭学の普及期ともいえる1759年頃、円山応挙(1733~1795)は一点透視図法に従って描いた「三十三間堂通し矢図」を残しています。葛飾北斎(1760~1849)も三つわりの法という、消失点や水平線が複数存在する独自の透視図法を編み出し、北斎漫画に記録を残しているのです。広重も多くの作品で西洋的な遠近法を構図に取り入れています。
 東西の文化が互いに影響し合ってきた歴史を踏まえて、本展覧会を見ると、鑑賞がより深まるはずです。

(編集部)

 

<展覧会情報>

  • ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展
  • 2014年6月28日(土)~9月15日(月・祝)

展覧会概要

  • 19世紀後半から20世紀初頭にかけて日本美術が西洋で流行し、多くの芸術家に影響を与えました。その現象はジャポニスムと呼ばれています。本展ではボストン美術館の所蔵品から、ジャポニスム関連の作品,150点を展示し、西洋美術に日本美術が何をもたらし、何が生まれたのかについて迫ります。

世田谷美術館ico_link

  • 所在地 世田谷区砧公園1-2
  • TEL 03-3415-6011
  • 休館日 月曜日(7月21、9月15日は開館、7月22日は閉館)

<次回展覧会予定>

  • 松本瑠樹コレクション ユートピアを求めて
  • 2014年9月30日(火)~11月24日(月)(予定)

その他、詳細は世田谷美術館Webサイトico_linkでご覧ください。

ルドルフ・シュタイナー展 天使の国

 ルドルフ・シュタイナー(1861~1925)はオーストリア帝国(現在のクロアチアのあたり)出身の人物です。哲学博士であった彼は、生前より思想家としてゲーテの研究などで高い評価を得ており、ヨーロッパ各地において数多くの講演を行ったことが知られています。また、自身の開発した教育プログラムを実践する、自由ヴァルドルフ学校を設立し、指導に当たりました。12年一貫方式となる、この教育プログラムは,シュタイナー教育と呼ばれ、現代の日本にも、その理念に基づいた学校がいくつか存在しています。
 シュタイナーは「概念で思考するのと同じように、色彩や形体で思考することができなければならない」と語り、黒板にカラフルなドローイングを描きながら講義を進めました。シュタイナーの弟子は講義内容の記録に努め、約4000の講義録が現存しています。初期の講義録は速記官が講義中の発言を文字に直した形式が主ですが、やがて、弟子の一人が、講義の直前に黒板に黒い紙を張り、板書をそのまま保存することを思いつき、実行しました。晩年の約6年間に描かれた、およそ1000点の黒板絵が保存されています。
 ここで紹介する黒板絵には、弓状の黄色い形体と6つの赤い流線形が描かれています。以下は、ある講義でシュタイナーが月について語った言葉です。この言葉と黒板絵とを結び付けて、シュタイナーがどのような思想を持っていたか考えてみてはいかがでしょうか。
 「月を眺めるときには、こう言えなければなりません。今見ているこの月は、宇宙の進化の中で、みんなが非個人的な知識を個人的な課題にすることを忘れたり、個人的な欲求を愛に変えて社会生活の中で全人類の一般的な課題にすることを忘れてしまったりしたら、人類がそういう人ばかりになったら、地球がどんな存在になってしまうかを示しているのだ。 いわば地球存在のカリカチュア(※)を示しているのだと。」

(編集部)

 

※カリカチュア:事物を簡略な筆致で誇張したり,滑稽化したりして描いた絵。

 

<展覧会情報>

  • ルドルフ・シュタイナー展 天使の国
  • 2014年3月23日(日)~7月27日(日)

展覧会概要

  • ルドルフ・シュタイナーはゲーテ研究家、思想家、哲学者、教育者として知られた人物です。本展では彼の講義の板書をそのまま記録した黒板ドローイング、残された建築やデザインなどから、その考えや実践に迫ります。

ワタリウム美術館ico_link

  • 所在地 東京都渋谷区神宮前3-7-6
  • TEL 03-3402-3001
  • 休館日 月曜日(7/21は開館)

その他、詳細はワタリウム美術館Webサイトico_linkでご覧ください。

特別展示 再発見 歌麿「深川の雪」

「深川の雪」 紙本著色/199×341cm/江戸時代・19世紀初頭/岡田美術館蔵(神奈川県)

 喜多川歌麿(1753頃―1806)の肉筆画の大作として、存在は知られていたものの、1948年(昭和23年)の銀座松坂屋での展示以来、行方不明になっていた「深川の雪」が発見され、修復のうえ、66年ぶりに一般公開されています。掛け物として表装された本作は、歌麿による肉筆画としては最大級の縦約2m、横約3.5mというサイズです。
 歌麿はこの作品で深川にあった花街の、とある料亭の二階座敷を舞台に、総勢26人の女性を華やかに描き出しています。さまざまな年代の女性を色とりどりの衣装、髪型、化粧、しぐさなどでしっかりと描き分け、それぞれを巧みに配置して安定した構図に練り上げているのが特徴です。全体を捉えても細部を追っても見どころのある、非常に充実した作品といえるでしょう。
 この作品には落款がありません。そこで、研究者は描かれた女性の髪型や化粧などを、形や色から分析し、歌麿の生きていた時代における、そのときどきの流行と照合して、制作年を絞り込みました。髪型としては、髪を薄く伸ばし、櫛目をつけて内側が透けるように結う灯籠鬢が多く描かれており、下唇が緑色に着色されているのも大きな特徴です。これは、笹色紅という江戸時代の一時期に流行した化粧法を表します。こういった特徴と江戸風俗研究との照らし合わせから、この作品は歌麿の最晩年となる19世紀の初頭に描かれたものと判断されました。
 18世紀後半に老中、松平定信は寛政の改革を発令します。改革では出版統制が行われ、浮世絵は風紀を乱すものとして、厳しい取り締まりを受けました。歌麿の重要なパトロンで版元の蔦谷重三郎は財産の半分を没収されるという重い罰を受け、1804年には歌麿自身も禁制の題材を描いた罪で捕縛の憂き目にあったことが明らかになっています。
 寛政の改革以降、江戸での弾圧を逃れるように歌麿はたびたび栃木を訪れ、この「深川の雪」以外にも「品川の月」(1788頃|フリーア美術館蔵[アメリカ])「吉原の花」(1791頃|ワズワース・アセーニアム美術館[アメリカ])という大作の肉筆画を描きました。これらは「雪月花」の三部作と呼ばれており、栃木の豪商であった善野伊兵衛の依頼により制作されたと伝えられています。

(編集部)

 

<展覧会情報>

  • 特別展示 再発見 歌麿「深川の雪」
  • 2014年4月4日(金)~6月30日(月)

展覧会概要

  • 喜多川歌麿の大作「深川の雪」の66年ぶりとなる一般公開を中心に,歌麿の肉筆画「芸妓図」,「三美人図」,葛飾北斎や上村松園などの女性を描いた作品を展示し,近世から現代にいたるまでの美人画の変遷の一端を展観します。

岡田美術館ico_link

  • 所在地 神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1
  • TEL 0460-87-3931
  • 休館日 会期中無休(臨時休館あり)

<次回展覧会予定>

  • かわいい生き物たち(仮称)
  • 2014年7月4日(金) ~ 9月30日(火)(予定)

その他、詳細は岡田美術館Webサイトico_linkでご覧ください。

栄西と建仁寺|<高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸)

①「風神雷神図屏風」 紙本金地着色 二曲一双/各154.5×169.8cm /江戸時代・17世紀 京都・建仁寺蔵 京都国立博物館寄託


②「風神雷神図屏風」 紙本金地着色 二曲一双/各166×183 cm/江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵

 俵屋宗達の「風神雷神図屏風」は日本絵画の名宝として、広く知られた作品です。中央に大きく空間をとり、右に風神,左に雷神を配置した印象的な構図、二神のとる力強いポーズやたなびく衣、墨のにじみを活用するたらし込みの技法で描かれた雲などから、いまにも動きだしそうな迫力を感じることができます。二神は風や雷・雨という、人間にとって畏怖の対象でもあった自然現象を神格化したものですが、どことなく親しみやすい、ユーモラスな表情を浮かべているのも特徴です。

 宗達は伝記などの記録が少なく、生没年を含め、不明なことの多い画家といえます。とはいえ、16世紀後半から17世紀前半に京都を中心に活躍したということは間違いないようです。俵屋という屋号で絵画工房を率いていたとされ、扇絵を中心に屏風絵なども手掛けたと伝えられており、「風神雷神図屏風」における二神の配置は扇絵の構図を基にしているという説もあります。
 一方、尾形光琳の「風神雷神図屏風」は宗達のものより約100年後に描かれた作品です。光琳の曽祖父が、宗達と共作を手掛けるなどと関係の深かった書家、陶芸家の本阿弥光悦の姉と結婚していたことから、尾形家には宗達の屏風などがあったと考えられています。光琳はそういった作品に触れ、やがて宗達に私淑するようになったのではないでしょうか。
 光琳はこの作品を描くにあたって、宗達の「風神雷神図屏風」を実際に見て、深く研究し、制作にあたったと考えられています。比較すると、光琳が宗達の描いた構図やポーズ、筋肉の描線までをかなり正確にトレースしていることが分かるでしょう。とはいえ、光琳が独自の解釈を加え、描き変えている個所もあります。例えば、二神の衣や太鼓で、宗達が画面よりはみ出るように描いていた部分を、光琳は屏風のサイズを大きくして、画面に収めるように描いているのです。また、宗達では下を向いている雷神の目線が、光琳では右の方を向いている、という違いもあります。それ以外にも、注意深く見ることで雷神の腰布の色や雲の表現に違いがあることに気づくことができるでしょう。
 東京国立博物館では4月8日~5月18日の間、この二作品を同時に展示します。光琳が参考にした宗達のオリジナルを見て、光琳の表現の工夫を確認し、自分であればこう描く、などと想像しながら鑑賞するのもよいのではないでしょうか。

(編集部)

 

<展覧会情報>

  • 栄西と建仁寺
  • 2014年3月25日(火)~5月18日(日)

展覧会概要

  • 日本に禅宗(臨済宗)を広め、京都最古の禅寺である建仁寺を開創した栄西。その栄西および建仁寺ゆかりの宝物を多数公開する特別展です。海北友松、長谷川等伯、伊藤若冲、曽我蕭白、長澤芦雪、白隠らの作品を展示します。

東京国立博物館ico_link

  • 所在地 東京都台東区上野公園13‐9
  • TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
  • 休館日 月曜日(4月28日、5月5日は開館、5月7日は休館)

<次回展覧会予定>

  • 「キトラ古墳壁画」
  • 2014年4月22日(火)~5月18日(日)

その他、詳細は東京国立博物館ico_linkでご覧ください。

森美術館10周年記念展 アンディ・ウォーホル展:永遠の15分

①「マリリン・モンロー(マリリン)」

①「マリリン・モンロー(マリリン)」 紙にスクリーンプリント/91.4×91.4 cm /1967 アンディ・ウォーホル美術館蔵
© 2014 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Artists Rights Society (ARS), New York Marilyn Monroe™; Rights of Publicity and Persona Rights: The Estate of Marilyn Monroe, LLC marilynmonroe.com

 アンディ・ウォーホルは、1920年代のアメリカに生まれ、消費社会と大衆文化の時代を背景に活躍した20世紀後半を代表する作家の一人です。1950年代に商業デザイナー/イラストレーターとして成功を収めた彼は、1960年頃からアーティスト活動を開始しました。おりしもアメリカは大衆文化花盛りの時代です。ウォーホルは大量生産や大量消費される商品やタレントなどのイメージを作品として制作し、ポップ・アートの旗手として頭角を表していきます。
 ここで紹介する「マリリン・モンロー(マリリン)」や「キャンベル・スープⅠ:チキン・ヌードル」は彼の代表作と言われる作品です。スクリーンプリント(シルクスクリーン)の技法を用いて量産されたこれらの作品は、世界中のさまざまな美術館に所蔵されており、大量消費者社会におけるイメージの反復を象徴的に表現しています。マリリン・モンローの作品は、彼女の死に触発されて制作されたと言われており、版が同じで、色の違うバージョンが多く存在します。また、キャンベル・スープをモチーフとして選んだきっかけは、自分が毎日食べるものだからとのことです。この展覧会にはこの二点と同様に、イメージの反復を用いた作品が数多く展示されています。そこからはウォーホルの一貫したテーマが感じ取れるでしょう。

②「キャンベル・スープⅠ:チキン・ヌードル」

②「キャンベル・スープⅠ:チキン・ヌードル」 紙にスクリーンプリント/88.9×58.7 cm/1968アンディ・ウォーホル美術館蔵
© 2014 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Artists Rights Society (ARS), New York

 ウォーホルはニューヨークの東47丁目231番地にあったスタジオ(通称ファクトリー)で作品制作を行っていました。そこは当時のニューヨークアンダーグラウンド・カルチャーのサロンでもあり、ミュージシャンやモデル、アーティストなど、さまざまな人間が出入りしていたことが知られています。そのファクトリーの内装の一部を美術館の中に再現しているのも、今回の展示の特徴です。また、ウォーホルは坂本龍一のポートレイトなど、日本人をモチーフとした作品をいくつか手掛けています。そういった作品から当時の文化的な交流を感じ取ることができるのも、この展覧会の魅力の一つと言えるでしょう。

※今回紹介する作品は厳密には教科書掲載作品と同じものではありませんが、シルクスクリーンで大量生産された同じシリーズの作品です。

(編集部)

 

<展覧会情報>

  • 森美術館10周年記念展 アンディ・ウォーホル展:永遠の15分
  • 2014年2月1日(土)~5月6日(火)

展覧会概要

  • 初期から晩年までのウォーホルの作品と資料を包括的に紹介する、日本では過去最大級の回顧展です。作品と資料をあわせて約700点を展示、作家の主要シリーズをほぼ網羅しつつ、日本初公開の作品も多数展示しています。

森美術館ico_link

  • 所在地 東京都港区六本木6−10−1 六本木ヒルズ森タワー 53F
  • TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
  • 休館日 会期中は無休

<次回展覧会予定>

  • 「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」
  • 2014年5月31日(土)~8月31日(日)

その他、詳細は森美術館ico_linkでご覧ください。

被災地からのことばのハンカチ展

アンケート記入風景(宮城県七の市商店街)

 やさしいハンカチ展は東日本大震災復興支援のために企画された展覧会で、今年で第三回目を迎えます。第一回展では現役で活躍するグラフィックデザイナーの作品が、第二回展では岩手・宮城・福島の小学生の絵を基にデザイナーがデザインした作品が展示・販売されるなど企画の幅が広げられています。第三回展のテーマは「ことば」です。同3県の商店街で復興に関わる方々の「ことば」を基にデザインした作品が展示・販売されます。
 商店街で今なお復興に携わる人々がどのような言葉を紡いでいるでしょうか。今回つくられたハンカチは326種類。前向きなもの、明るいばかりではない現実を直視するものなど言葉はさまざまでそれ自体読み応えがありますし、その言葉に反応し与えられた色や形が実に多様であるのを見ても驚かされます。

展覧会場風景

 この展覧会が問いかけるのは復興支援のために何ができるかという考え方そのものかもしれません。生活の糧を与えるという支援は簡単ですが、10年先も復興活動は続くであろうことを考えれば、いずれ最前線でそれを担う子供たちには、「何が必要なのか」ゼロから自分たちで考え出す力が必要になるでしょう。第二回展では展覧会の収益金は被災地に贈られ、その使途を考えることも子供たち自身の課題としました。楢葉南北小学校(福島県)では、学校の鼓笛隊を復活させるために楽器を購入することに決めたと言います。第三回展ではさらに、産業をいかに被災地に呼び戻すかを考え復興商店街に焦点を当てたりして経済の問題へと視野を広げるなど、震災の記憶を現在、そしてこれからへと伝えてくれます。

(編集部)

 

<展覧会情報>

  • JAGDAやさしいハンカチ展Part 3 被災地からのことばのハンカチ展
  • 東京展 ~2014年2月23日(日) 東京ミッドタウン・デザインハブ
  • 神奈川展 2014年4月29日(火)~2014年5月5日(月) ヨコハマ創造都市センター3F
  • 広島展 2014年6月14日(土)~2014年6月29日(日) 旧日本銀行広島支店

展覧会概要

  • 岩手県・宮城県・福島県、東北3県の4つの復興商店街で「いまの思い」をテーマにして寄せられた言葉を基にデザインしたハンカチを展示・販売します。販売収益は、各商店街に還元されます。詳細は特設サイトico_linkをご覧ください。

東京ミッドタウン・デザインハブico_link

  • 所在地 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー5F
  • TEL 03-5770-7509(公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会/JAGDA)
  • 休館日 会期中無休

その他、詳細は東京ミッドタウン・デザインハブico_linkでご覧ください。

吉岡徳仁 クリスタライズ

 吉岡徳仁(1967- )は、アート/デザイン/建築など幅広い領域において、自由な着想と実験的な創作から数々の作品を生み出し、国内外で高く評価されています。世界中の美術館に作品が収蔵/常設される、国際的に活躍するデザイナーであり、空間そのものを作品とするアーティストでもあります。自然界の丈夫な蜂の巣(ハニカム)構造を紙の椅子にした「Honey-pop」、柔らかい繊維をパンのように焼いて強靭な構造にする「PANE chair」は、彼のユニークな発想を形にした試みですが、今回の個展で発表される結晶のシリーズは、それらに続く自然構造のプロジェクトです。音楽を聞かせながら形作られた結晶の絵画「Swan Lake」、結晶化した薔薇の彫刻「Rose」は、自然から生み出され「クリスタライズ=結晶化/アイデアを具体化」した作品です。また、鋼鉄より強い自然界のクモの糸から発想した新作「蜘蛛の糸」は、わずか7本の糸で作られた結晶の椅子です。これらの作品が点在する空間を、180万本ものストローによる白い竜巻「Tornado」が、ダイナミックにつないでいます。
 クリスタルプリズムによる虹の教会「Rainbow Church」は、12mのステンドグラスです。画家アンリ・マティスが作ったロザリオ礼拝堂を訪れた時の感動的な「光の体験」を、いつか人々と共有したいと吉岡は考え、光の建築空間を創り出しました。この作品空間は携帯カメラで撮影でき、作品を楽しむ観客の姿がどんどんネット上にも拡散し共有されつつあります。ぜひ、吉岡による作品空間を訪れ、自然と人間の関係や、新たな創作のかたちについて考えてみてください。

(東京都現代美術館 企画係主任 学芸員 森山朋絵)

 

<展覧会情報>

  • 吉岡徳仁 クリスタライズ
  • 2013年10月3日(木)~2014年1月19日(日)

展覧会概要

  • 吉岡徳仁の公立館初の大規模個展。過去の代表作や国内初公開のインスタレーションなど、吉岡が作品へと結実させた、自然が秘める美しさを全身で感じることができる空間を創出しています。

東京都現代美術館ico_link

  • 所在地 東京都江東区三好4‐1‐1
  • TEL 03-5245-4111(代表)
  • 休館日 月曜日(10月14日、11月4日、12月23日、1月13日は開館、10月15日、11月5日、12月24日、12月28日~1月1日、1月14日は休館)

<同時開催の展覧会>

  • うさぎスマッシュ展 世界に触れる方法(デザイン)
  • 2013年10月3日(木)~2014年1月19日(日)

その他、詳細は東京都現代美術館ico_linkでご覧ください。

「印象派を超えて ゴッホ、スーラからモンドリアンまで」

 本展覧会は、単に点で描かれた作品を紹介するのではなく、「分割主義」という理念に着目しています。スーラは、純粋色の点で描く「分割主義」という手法を考案し、色の組み合わせがもたらす視覚的効果を探求しました。こうして色彩は、何かを再現するための手段であることを超えて、独立した一つの表現へと自立していったのです。純粋色へと「色を分割する」という新たな発想には、20世紀に隆盛する抽象絵画の萌芽が秘められていました。本展は、色という観点で、スーラからゴッホ、そしてモンドリアンまでを検証するという、美術史的にも重要かつ、斬新なコンセプトに基づいています。
 今回の展覧会には、ゴッホがアルルに移った1888年以降の作品も何点か出品されています。中でも最も有名な作品が「種まく人」です。ミレーの「種まく人」にインスピレーションを受けて描かれたこの作品は、厚い絵具で丹念に塗り込められ、色彩の強烈な力にあふれています。
 印象派にせよスーラにせよ、その目的の一つは、光をいかに表現するかにありました。しかしゴッホの場合、光を目に見えるように表現するというよりは、むしろ艶やかな光を放つ絵具そのものの力が前面に押し出されています。
 「種まく人」でも、黄色に緑を散りばめて塗られた太陽と、オレンジ色と青色の絵具を力強く敷き詰めた地面の表現が、ことさら私たちの眼を惹きます。一つ一つ、ぐいぐいと力強く置かれた青とオレンジは、補色の関係にあります。その強烈な効果は、ゴッホの激しい感情のうねりをダイレクトに私たちに伝えています。「種まく人」以外の出品作においても、黄色と青、赤と緑など、補色あるいは補色に近い関係にある色彩の対比が、実に効果的に用いられています。
 ゴッホの絵画は、絵具が放つ艶やかな効果が大きな特徴であり、実物から得られる印象は圧倒的です。

(国立新美術館 主任研究員 長屋光枝)

<展覧会情報>

  • 「印象派を超えて―点描の画家たち ゴッホ、スーラからモンドリアンまで」
  • 2013年10月4日(金)~12月23日(月・祝) 企画展示室1E

展覧会概要

  • 本展は、純粋色へと色を分割する「分割主義」という理念に着目して、スーラからゴッホ、そしてモンドリアンまでを検証するという、美術史的にも重要で斬新なコンセプトに基づいています。色の力に魅了され、その魅力を伝えようと奮闘した画家たちの作品約90点を通して、色そのものが有する豊穣な世界を追求します。

国立新美術館ico_link

  • 所在地 東京都港区六本木7-22-2
  • TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
  • 休館日 毎週火曜日(祝日又は振替休日に当たる場合は開館し、翌平日休館)/年末年始(2013年12月24日~2014年1月7日)

<次回展覧会予定>

  • 未来を担う美術家たち 16th DOMANI・明日展
  • 2013年12月14日(土)~2014年1月26日(日)
    毎週火曜日および2013年12月24日(火)~2014年1月7日(火) は年末年始メンテナンス休館

その他、詳細は国立新美術館ico_linkでご覧ください。

三菱一号館美術館名品選2013 ― 近代への眼差し 印象派と世紀末美術

 19世紀末のパリは、成熟する都市の大衆文化とともに版画芸術が花開いた時代であり、多くの画家=版画家たちが互いに影響し合いながら、様々な技法とスタイルによる個性豊かなオリジナル版画を生み出していきました。とりわけ石版画(リトグラフ)技法は、画家自身が描いた線を石の板にそのまま写し取って大量に複製できるため、芸術作品をより身近なものにしました。パリの歓楽街モンマルトルのダンス・ホール「ムーラン・ルージュ」のポスターや、「ジャヌ・アヴリル」「メイ・ベルフォール」など、モンマルトルのスターたちを宣伝するポスターを制作したアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックは、浮世絵から影響を受けた大胆な構図と色使い、簡潔かつ斬新なデザイン性によって、それまで広告に過ぎなかったポスターを芸術の域にまで高めていると言えます。

 ロートレックと同様にパリに生きる人々を主題にしつつ、よりフラットで均一な色の面の効果をさらに追求したのが、フェリックス・ヴァロットンの木版画でしょう。スイスで生まれ、パリで活動したヴァロットンは、ナビ派の画家の一人に数えられますが、その木版画は白と黒のみを用いた独特のスタイルを有しています。ヴァロットンの木版画には、彼特有の風刺的なユーモアが存在すると同時に、現代のわれわれが見ても色あせないデザインセンスが感じられます。このほかにも、ナビ派のピエール・ボナールやモーリス・ドニ、象徴主義のオディロン・ルドンら19世紀末の重要な作家たちによる版画コレクションからは、当時の版画芸術の興隆と広がりを見て取ることができるでしょう。

(三菱一号館美術館 学芸員 杉山菜穂子)

 

<展覧会情報>

  • 三菱一号館美術館名品選2013 ― 近代への眼差し 印象派と世紀末美術
  • 2013年10月5日(土)~2014年1月5日(日)

展覧会概要

  • ルノワールら印象派、そしてルドン、ロートレック、ヴァロットン。19世紀末パリを中心に、美術史上大きな変革期を生きた29人の画家たちの、夢と理想、自由の輝きに満ちた149点の三菱一号館美術館所蔵品を展覧します。

三菱一号館美術館ico_link

  • 所在地 東京都千代田区丸の内2-6-2
  • TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
  • 休館日 月曜休館(但し、祝日の場合は開館し、翌火曜休館/12月24日は18時まで開館)/12月28日(土)~2014年1月1日(水・祝)

<次回展覧会予定>

  • ザ・ビューティフル ― 英国の唯美主義1860-1900
  • 2014年1月30日(木)~5月6日(火・祝)

その他、詳細は三菱一号館美術館Webサイトico_linkでご覧ください。

釈迦十大弟子

 「釈迦十大弟子」は釈迦の十人の弟子に普賢菩薩、文殊菩薩を加えた12の人物を六曲一双屏風に貼り込んだ作品です。1939年に制作し翌年国画会展に出品、1941年に洋画の新進画家に与えられる佐分賞を受賞しました。
 「わだば(私は)ゴッホになる」と、油絵画家を目指して、1924年に青森から上京した棟方は、展覧会で見た川上澄生(1895-1972)の版画にひかれ、やがて自らも版画の制作を始めます。1936年、長編詩を彫り込んだ板画絵巻「大和し美し」で頭角を現し、1938年には第2回文部省美術展覧会(新文展)に「勝鬘譜善知鳥版画曼荼羅(しょうまんふうとうはんがまんだら)」を出品、版画として初の特選を受賞しました。「釈迦十大弟子」も同時期のものです。白と黒の面の対比によって構成された切り絵のような作風で、美しさと力強さを兼ね備えています。
 板木には朴の木を用いており、上から下まで、また横幅もいっぱいに使って制作しています。両面を使用しているので板木は全部で6枚あります。普賢菩薩、文殊菩薩を彫り込んだ一枚は戦火で焼失してしまい1948年に作り直されました。
 戦後、新たに摺った作品を1955年、第3回サンパウロ・ビエンナーレに出品し最高賞を受賞、さらに翌1956年の第28回ヴェネツィア・ビエンナーレでは国際版画大賞を獲得、いずれも日本人初の受賞という快挙を成し遂げました。
 棟方は板の持つ性質を大事にしたい、板の魂を彫り起こすのだという想いから1942年以降、自らの版画を「板画」と呼び表しました。釈迦十大弟子も「板木のもっている力を無駄にせず、むきでるような方法をたてよう」と想いを込めて制作した力作です。

(棟方志功記念館 学芸員 天内敬子)

 

棟方志功記念館ico_link

  • 所在地 青森市松原2丁目1番2号
  • TEL 017-777-4567
  • 休館日 月曜日(祝日及びねぶた期間の8/2~8/7は開館)

<展覧会情報>

  • 秋の展示-「四季の彩り-花鳥風月を描く」
  • 2013年9月10日(火)~12月8日(日)

展覧会概要

  • 棟方の手掛けた四季折々の風物の板画を紹介。「柳緑花紅頌」「大原頌」、倭画「青森頌春夏秋冬図」をはじめ、十二ヶ月の四季の風物、四季を詠んだ短歌を題材に描いた作品を展示します。

<次回展覧会予定>

  • 冬の展示-「海の旅、山の旅-東海道棟方板画と信州油絵シリーズ」
  • 2013年12月10日(火)~2014年3月16 日(日)

その他、詳細は棟方志功記念館Webサイトico_linkでご覧ください。