世界の果ての通学路

(c)2013 – Winds – Ymagis – Herodiade

 ケニア、片道15㎞、2時間。アルゼンチン、片道18㎞、1時間30分。モロッコ、片道22㎞、4時間。インド、片道4㎞、1時間15分。いったい何の距離、時間だろうか。
 これは、まだ幼い子供たちが学校まで通う距離と時間だ。ケニア、サバンナの大地を駆け抜けて通学する兄妹。アルゼンチン、パタゴニア平原を馬に乗って通学する兄妹。モロッコ、アトラス山脈を越えて通学する少女たち。インド、弟たちに押してもらった車椅子で通学する少年。映画「世界の果ての通学路」(キノフィルムズ配給)は、このような子供たちの通学風景、学校での勉強、支える家族の様子を、淡々と描いたドキュメンタリーだ。
 幼稚園から中学校まで、自宅から歩いて10分ほどの通学しかしていなかった身から思えば、なんとも大変な距離、通学時間だ。広い世界には、ただ学校に通うだけで、たいへんな苦労を重ねている現実があることにまず驚く。

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 ケニアのジャクソンは11歳。家事の水汲みや洗濯、炭作りなどを手伝いながら、妹のサロメを連れて早足で学校に通う。ゾウやキリン、シマウマなどがサバンナにいて、ゾウが子供たちを襲うこともあり、ギャングが出没したりもするからだ。両親は子供が無事であるよう、毎朝祈っている。ジャクソンの夢は、パイロットになって空を飛ぶこと。

 アルゼンチンのカルロスは11歳。羊飼いの息子で、まだ6歳の妹ミカイラと一緒に馬で通学する。パタゴニアの美しい平原では、誰とも出会わない。石ころだらけの道を、馬のキベリトが進む。天気が急変する。賢いキベリトのおかげで、無事に学校に着く。カルロスは故郷のパタゴニアが大好き。夢は故郷に残って、獣医になること。

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 モロッコのザヒラは12歳。アトラス山脈の辺境の村に住んでいる。冬には零下20度にもなる。祖母や両親は字が読めないが、ザヒラが医者になるのを応援している。毎週、月曜の夜明けに友人ふたりと22㎞も歩き全寮制の学校に向かう。金曜日の夕方、3人の少女は同じ道のりを歩いて村に帰る。
 インドのサミュエルは13歳。未熟児のサミュエルは歩行が困難で、学校に行くのは弟たちが押すおんぼろの車椅子だ。川では車輪が砂にはまって動けない。広い道路では車輪がはずれたりする。それでも3人兄弟は明るい笑顔だ。サミュエルは、自分と同じ障害を持つ子供のために医者を目指している。
 日本でも僻地では似たような通学事情があるのかも知れないが、映画に登場する子供たちは通学の困難な現実に正面から立ち向かっている。日本では、いじめや教師による暴力などが取り沙汰されているが、本作の場合、子供たちは大げさにいえば、命を賭けて必死に通学している。しかも、4組の子供たちの瞳は輝き、表情は豊かでいきいきとしている。両親たちは、必ず子供たちの通学の無事を祈り、学校ではしっかり勉強するよう励ましている。今日も、ケニアの、アルゼンチンの、モロッコの、インドの子供たちは、将来の夢の実現に向けて学校に通う。
 フランスの教育に関わるドキュメンタリーや劇映画には、2009年の「パリ20区、僕たちのクラス」を始め、優れた作品が多い。本作もまた、その伝統を継ぐ一作と思う。監督のパスカル・プリッソンは、テレビのドキュメンタリー畑の出身。本作での4つのエピソードは、やはり通学に苦労している子供たちの60ものエピソードから絞り込んだという。
 日本では、教育に関わるいろんなことが充実している。あまりにも恵まれているとは思う。なのに、いじめ、校内暴力、教師の不祥事などが後を絶たない。充実し、恵まれているせいでの不祥事かもしれない。もし小学校の校長だったら、「世界の果ての通学路」を、教師、生徒全員に見せ、みんなで話し合いたいところである。

2014年4月12日(土)、シネスイッチ銀座ico_linkほか全国順次ロードショー!

『世界の果ての通学路』公式Webサイトico_link

監督:パスカル・プリッソン
原題:‘Sur le chemin de l’école’
2012/フランス/77分/ビスタ/カラー/5.1ch/英語&日本語字幕
字幕翻訳:チオキ真理/G
製作協力:OCS フランス5 ユネスコ エイド・エ・アクション
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協力:ユニフランス・フィルムズ
提供:キノフィルムズ、KADOKAWA
配給:キノフィルムズ
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年度当初に行いたい生徒指導点検

icon_pdf_small「日文の教育情報 No.134」PDFダウンロード(364KB)

■指導点検の基本

 いま、自校の生徒指導における課題は何か。改善が必要なのはどこか。指導点検に関しては、次のことを中心にまずこの確認を大切にしたい。
 ①学校全体の生徒指導の目標・重点が明確になり、全教職員に共有されているかどうか。
 ②指導組織における各担当の役割と、連携・協力して取り組むべき内容。
 ③仮に緊急対応を必要とする事態が発生したような場合、迅速かつ適正に対応できる体制が整えられている
かどうか。
 ④家庭、地域、関係機関等との連携をどう生かし、校内体制のどこにどう位置づけるか。
 最近起こっている子どもの深刻な問題行動には、学校、家庭、地域の対応のあり方や、子どもの成長過程で形成された意識など、様々な要因が内在する。
 困難な問題のほとんどは、個々の教師の力だけでは解決が難しい。効果的な指導・対応には、全教師の共通理解、各担当の連携が欠かせない。さらに、内容に応じて家庭、地域、関係機関等、あるいはスクールカウンセラーなどの専門家との密接な連携の下で対応体制をつくることが重要になる。そうした全校指導体制が整っているかどうかを点検したい。

■子ども理解に基づく指導の点検

 ①実態調査、面談等を通じて、子どもの抱える課題、個々の子どもの悩みや不安を把握する。
 ②把握された子どもの状況に基づき、生徒指導組織、学年・学級における対応内容を確認する。
 ③すべての子どもが自己指導能力、望ましい人間関係づくりの態度を身につけるための、開発的な指導援助体制が整っているかどうかを確認する。
 生徒指導の基盤は子ども理解にある。
 例えば、いじめに関する指導なども、子どもの発する次のようなサインの受け止めが重要な意味を持つ。
 ①諸活動において仲間はずれ、孤立化の感じられる子どもがいないか。
 ②いじめを誘発することば、持ち物隠し、特定の子どもに対する無視やからかいなどが見られないか。
 ③授業中に元気がなく、教師と目をあわそうとしない子どもがいないか。
 ④休みがちな子ども、遅刻や早退が多くなっている子どもがいないか。
 問題があると思われる場合は、把握された状況に応じ、保護者との協力、個別の相談、学級やグループでの話し合いなどを直ちに実施する必要がある。そうした指導を進めることと重ねて、学級等における人間関係づくり、信頼関係の構築を行い、年間を通じて安定した指導が展開できる基盤を構築することが重要である。

■自己指導の力を育てる体制づくり

 子ども一人一人の人間形成の視点を常に大切にしながら生徒指導を進める。その意味からは、全教育活動を通して学校生活が有意義であり、諸活動によって豊かな人間性、自己指導の力を育てるよう配慮されなければならない。その中心に位置づくのが学級である。
 学級は学習のための集団であると同時に、子どもが協働の活動を展開し人間的な発達を遂げる集団でもある。子どもの規範意識を育て、自己指導力を獲得させるために、学級にどのような課題があるか。把握された実態を大事にしながら、指導計画を実行に移すことのできる体制を年度初めに築くことが大切である。
 4月から5月にかけては、学級として、認め合い励ましあう人間関係づくり、よりよい学級づくりに結び付く活動を配慮したい。学級担任教師としては、次のようなことに留意することが求められる。
 ①みんなの相談を受け止め、直ちに親身になっての指導・対応をすることを徹底する。
 ②みんなの力で学級の問題を解決することを徹底する。
 ③友だちを意味ある他者として認め、ともに学び、活動する、協働の学級づくりを徹底する。
 生徒指導体制構築というと、ややもすると問題行動対応が前面に出やすいが、年度当初の取組としては、次のような子どもの自発的、自律的な実践力への働きかけを配慮したい。
 ①子どもに自己存在感を与える。
 ②教師と子ども、子ども同士の人間関係を育てる。
 ③自己決定の場を与え自発性を育てる。

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発見の喜び

 楽しみにしているネット上の情報の中に、子育て真っ最中のお父さんの記録があります。「丸をうまく描くのとおしゃべりの始まりは影響し合う」「ひらがなを書き出した頃にアンパンマンを描く」など、我が子の成長からいろいろな発見をしています。これが実に勉強になるのです。本稿ではその例を挙げながら、図画工作や美術の役割まで広げて考えてみましょう。

1.子どもの発見

 まず、Aちゃんの発見です。写真1についていたコメントは「ピグマックスとプロッキーを手に取り、じっとみて『いっしょや』」です。これのどこが発見なのでしょう。

写真1

 Aちゃんは、二本のペンを手に持ってじっと見つめています。それは二本を比較、検討していることを示しています。「いっしょや」とは、当初「二本は違う」という意識があったということです。つまり、二本のペンを比べ、考えて、その上で「いっしょ」=「同じ」という結論に達したのでしょう。さらに興味深いのは、Aちゃんが「紫」と言ってないことです。「紫」という色を知っていて、そこに二本を当てはめたのではないということです。子どもは、大人と異なり、全ての色や音などがそのまま入ってくると言われています(※1)。そこから見方や感じ方を身に付けたり、何かに焦点化する方法を学んだりしていきます。その代表が「言葉」です。「言葉」を用いることで、私たちは混沌とした世界を「明確」にとらえます。「色」という概念も、その一つです。国や地域の文化に応じて、世界を「赤」や「青」などに分けています。おそらくAちゃんは、この「色」という概念から目の前の二本のペンを同じ仲間として分類したのでしょう(※2)。その瞬間をお父さんはとらえたというわけです。それは、子どもの発見という育ちを見逃さない温かい親のまなざしだと思います。そんなまなざしで毎日見つめられてるなんてAちゃんは幸せですね。

2.親の発見

 次は、お父さんが子どもの絵から発想の仕組みを発見した事例です。
 ある日、Bちゃんが写真2のような絵を描きます。お父さんは「手の表現が変わったな」と思い、「これは?」と聞きました。Bちゃんは「それ羽根やで」と答えました。お父さんは「なぜだろう?」と思い、「描いた順番」をたどりました 。以下お父さんの分析です。

写真2

 家族4人のバランスが安定していないので、おそらく真ん中の赤い花から描いたのでしょう。次に、ペンを持ち替えて茎と葉。それから左の雲をペンでクルクルと描きます。右にいくにつれ、次第にリズムが出てきています。その後、左から二番目のB子を、顔、髪、髪飾り、服、ヒラヒラの順に描きます。ここで、さっき描いた花の葉っぱが目に入り、じーっと見たのではないかと思います。そして、「あっ」と思ったのではないでしょうか。「これ、羽根の形に似てるわ!」。そこでペンを持ち替え、手の部分に青い羽根を書いたのでしょう。そして、同じ描き方で右隣に花をよけながら「かあちゃん」、そして「とうちゃん」。最後にB子の左の隙間を埋めるように、妹のC子を描いたのだと思います(※3)。
 お見事です。絵を描いた順番をたどることで、Bちゃんが羽根を描いた理由を解明しています(※4)。子どもは描きながら発想し、それをすぐに応用し、また描きます。この連鎖が造形活動です。後から見ると絵や工作なのですが、その最中はその子なりの試行錯誤や相互行為の連続です。お父さんは、その仕組みを何気ない絵から発見したのです。子どもの成長が分かってうれしかったでしょうね。子どもの成長や能力に関わる発見は、親が味わえる最上の喜びだと思います 。

3.発見の喜びと図画工作・美術

 本稿のような発見は、図画工作や美術の時間によく見られるように思います。もちろん、図画工作や美術は教科であり、絵と言葉やリズムなどが一体になっている子どもの世界と対応しているわけではありません。でも、現在の教育課程の中では、子どもの一体性や主体性などが存分に発揮されている教科でしょう。そこに関わる人々が、発見の喜びを感じることが多い教科だと思うのです。

 

※1:胎児や0才の段階からフランス語と日本語を聞き分けるという研究もある。
※2:学習の資源としては、少なくとも8色~12色の二種類のカラーペンのセットがあり、それを自在に使いながら絵を描ける環境がデザインされているのだろう。色は、親や兄弟と一緒に描きながら「赤を取って」「青いお花だね」などの対話の中で学習していると思われる。教師としては、この子を有能な子として成立させている資源のネットワークまで考えたい。
※3:この後、本人に聞いたら順番はほぼ同じだったそうだ。でも「妹は『泣いてるねん』。確かに表情が違っている」、う~ん、なるほど。
※4:奥村高明『子どもの絵の見方~子どもの世界を鑑賞するまなざし~』を参考にしている。

「道徳の時間」がなくても、道徳って身につくんじゃないんですか?

今までなかった「どうとくマンガ」!
「道徳教育」についてよく抱かれる疑問を取り上げ、マンガでわかりやすく解説します!
第3回のテーマは,「道徳教育」全体と「道徳の時間」の関係についてです。

【登場人物】

徳田一道(とくだかずみち)

徳田一道
(とくだかずみち)

主人公。新任の中学校教師。悩んでいる。

モモ

モモ

なぜか一道に「道徳」について教えてくれる妖精(?)

ルル

ルル

モモと一緒に「道徳」について教えてくれる妖精(?)

「はなびや」(第3学年)

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「はなびや」

2.目 標

○自分だけの美しい花火を想像し、楽しくかこうとする。
○白色との混色から夜空に輝く花火を工夫する。
○リズム感のある表現になるよう色や形を工夫する。
○自分や友だちの作品のよさに気づく。

3.準備(材料・用具)

教師:絵本、黒画用紙、八切画用紙

児童:絵の具、色鉛筆、はさみ、のり

4.評価規準

造形への関心・意欲・態度
○楽しい作品をつくることに進んで取り組もうとしている。

発想や構想の能力
○自分なりに花火をイメージして表現している。

創造的な技能
○表したいことに合わせて絵の具を使い、表し方を工夫している。

鑑賞の能力
○自分や友だちのよさを感じ取り、楽しく鑑賞している。

5.本題材の指導にあたって

[教材について]
 本学級では絵本を読み聞かせることが多く、子どもたちは絵本から想像をふくらませて楽しむことが大好きである。そこで『ねこのはなびや』(渡辺有一著/フレーベル館,2001年)という絵本を選び、導入することにした。「花火」はどの児童も知っているが、大きな打ち上げ花火を経験している児童ばかりではない。どの児童も自分なりの花火を自由に工夫できるように,また絵本の表現やストーリーをともに楽しむために,この本を導入に活用することにした。絵本の内容は白猫組と黒猫組とトラ猫組が、競って花火の技と度胸を見せるというもので、絵本の絵も素敵で大人が見ても引き込まれてしまう。花火の絵の導入にDVDなどの映像を見せることもできるが、その絵本を読み聞かせることでより楽しく自由に自分だけの花火を打ち上げたいという気持ちを高めることができると考えた。花火は形が決まっているわけではないのでどのようにかいてもよいという自由さと安心感をもたせることができ、楽しみながらかくことができる題材だと考える。また、1学期の短時間題材としても活用しやすい。
 絵本の読み聞かせの後は、各自が花火屋になって「どんな花火を打ち上げたいのか」「どんな色の花火にしたいのか」など、自由に意見を出し合い,交流を深めていくとよい。
 表現活動に際しては、パレットに白色を多めに出しておき、使いたい色に白色を少しずつ混ぜながら塗る色を決めていくようにする。しかし実際に黒の画用紙の上に白の絵の具を混ぜた不透明の色を置いていくと、パレットの上の色とは異なってくる。そこで、黒色画用紙の試し紙を用意し、表したい色を試しながら花火の色の美しさを味わわせながら表現させたい。また、筆づかいは主に点描・線描になるので、点や線の色を工夫させるだけでなく、点の大きさや,線の長さ・太さを考えさせたり、花火全体の大きさや色の広がり方など、自分だけの表現として自由に取り組んだりできるように指導していきたい。子どもたちが「花火屋」になりきって、花火を仕上げるときには「花火に命を吹き込むぞ」と願いを込めて火花をかき込み、花火が開いた時の先端の形まで意識させるようにしたい。
 花火を打ち上げている自分を想像しながら空一面に打ち上げた花火がかけたら、普段は下からしか見上げることができない花火を、見てみたいと思う場所や見る角度など自由にかくことができることを知らせ、子どもたちがさらに楽しい花火の場面をつくっていくようにしたい。花火を見ている人たちを色鉛筆でしっかりとかき、人物を切り取って思い思いの場所に貼っていくことで、中学年らしい自由な発想を引き出すと共に表現することの喜びを味わわせたい。

6.題材の指導計画(全4時間)

学習活動の流れ

指導上の留意点、評価方法

第1次

1時間

○『ねこのはなびや』を読んで花火に興味をもつ。
・自分の打ち上げたい花火をイメージする。

○自分が「花火屋」になって、どのような花火を打ち上げるか。どのような色にしたいのかなど、イメージをもてるようにする。

第2次

2時間

○自分の打ち上げたい花火を表現する。
・白を混ぜることで黒画用紙にきれいにかけることを理解する。

○自分のイメージする花火を表現できるようにする。
・大きさなどを工夫するよう助言する。
・友だちのいいところを紹介し自分の表現したい花火のイメージをふくらませることができるよう助言する。

○花火を見ている自分や友だちをかいて貼る。
・楽しそうに見ている自分や友だちをかく。
・色鉛筆で丁寧に色を塗る。
・かいた絵を切って花火を見たい場所に貼る。

○花火を見ている自分や友だちなどのイメージをもてるようにする。
・それぞれのもつイメージを表現できるよう支援する。

○かいた絵を切り取り、自分のイメージに合うように貼ることができるようにする。
・下からだけでなく横や上など自分や友だちなどが見てみたいなと思える場所に貼っていいことを知らせる。

第3次

1時間

○自分や友だちのよさを鑑賞する。
・お互いの表現のよさや工夫を見つける。

○完成した花火を鑑賞する。
・自分や友だちのよいところが見つけられるよう助言する。

7.本時の学習

①目 標
○白色との混色で美しい花火を表現できることに関心をもってかく。
○「花火屋」になって、自分だけの花火をかく。

②学習の展開

太字…教師の投げかけ

主な学習活動・内容

指導の工夫や教師の支援・評価の留意点

自分だけの花火を打ち上げよう!

1.本時のめあてをつかむ

○本時の活動のめあてをもつ。
・「花火屋」としてどのような花火を打ち上げるのか、簡単な言葉でイメージ化する。

○形や大きさなど自分だけの花火が打ち上げられるよう助言する。
・画用紙を縦にするのか、横にするのか。
・花火をどの位置にかくのか など

2.表現活動をする

○花火を打ち上げる。
・大きさも変えてみたり白色の混ぜる量を変えてみたり工夫しながらかく。
・自分のイメージする花火のかき方を考えがら、楽しくかく。
・一つできたら二つ目三つ目と色を考えながら、自分のリズムでかいていく。

○色の混ぜ方や形を工夫できるよう助言する。
・白い色をパレットに多めに出し、試し紙を用いて、白色を加えていきながら色のちょうどよい発色を工夫させる。
・花火の広がり方、どの部分を線で塗るか、点で表現するとよいのかを考えならかく。

3.自分や友だちの工夫しているところを紹介する

○できあがったところまでの鑑賞をする。
・自分や友だちの表現のよいところを見つけ、紹介し合う。

○花火の広がり方や色の混ぜ方、塗り方などに目を向けて意見を交流させる。

栄西と建仁寺|<高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸)

①「風神雷神図屏風」 紙本金地着色 二曲一双/各154.5×169.8cm /江戸時代・17世紀 京都・建仁寺蔵 京都国立博物館寄託


②「風神雷神図屏風」 紙本金地着色 二曲一双/各166×183 cm/江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵

 俵屋宗達の「風神雷神図屏風」は日本絵画の名宝として、広く知られた作品です。中央に大きく空間をとり、右に風神,左に雷神を配置した印象的な構図、二神のとる力強いポーズやたなびく衣、墨のにじみを活用するたらし込みの技法で描かれた雲などから、いまにも動きだしそうな迫力を感じることができます。二神は風や雷・雨という、人間にとって畏怖の対象でもあった自然現象を神格化したものですが、どことなく親しみやすい、ユーモラスな表情を浮かべているのも特徴です。

 宗達は伝記などの記録が少なく、生没年を含め、不明なことの多い画家といえます。とはいえ、16世紀後半から17世紀前半に京都を中心に活躍したということは間違いないようです。俵屋という屋号で絵画工房を率いていたとされ、扇絵を中心に屏風絵なども手掛けたと伝えられており、「風神雷神図屏風」における二神の配置は扇絵の構図を基にしているという説もあります。
 一方、尾形光琳の「風神雷神図屏風」は宗達のものより約100年後に描かれた作品です。光琳の曽祖父が、宗達と共作を手掛けるなどと関係の深かった書家、陶芸家の本阿弥光悦の姉と結婚していたことから、尾形家には宗達の屏風などがあったと考えられています。光琳はそういった作品に触れ、やがて宗達に私淑するようになったのではないでしょうか。
 光琳はこの作品を描くにあたって、宗達の「風神雷神図屏風」を実際に見て、深く研究し、制作にあたったと考えられています。比較すると、光琳が宗達の描いた構図やポーズ、筋肉の描線までをかなり正確にトレースしていることが分かるでしょう。とはいえ、光琳が独自の解釈を加え、描き変えている個所もあります。例えば、二神の衣や太鼓で、宗達が画面よりはみ出るように描いていた部分を、光琳は屏風のサイズを大きくして、画面に収めるように描いているのです。また、宗達では下を向いている雷神の目線が、光琳では右の方を向いている、という違いもあります。それ以外にも、注意深く見ることで雷神の腰布の色や雲の表現に違いがあることに気づくことができるでしょう。
 東京国立博物館では4月8日~5月18日の間、この二作品を同時に展示します。光琳が参考にした宗達のオリジナルを見て、光琳の表現の工夫を確認し、自分であればこう描く、などと想像しながら鑑賞するのもよいのではないでしょうか。

(編集部)

 

<展覧会情報>

  • 栄西と建仁寺
  • 2014年3月25日(火)~5月18日(日)

展覧会概要

  • 日本に禅宗(臨済宗)を広め、京都最古の禅寺である建仁寺を開創した栄西。その栄西および建仁寺ゆかりの宝物を多数公開する特別展です。海北友松、長谷川等伯、伊藤若冲、曽我蕭白、長澤芦雪、白隠らの作品を展示します。

東京国立博物館ico_link

  • 所在地 東京都台東区上野公園13‐9
  • TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
  • 休館日 月曜日(4月28日、5月5日は開館、5月7日は休館)

<次回展覧会予定>

  • 「キトラ古墳壁画」
  • 2014年4月22日(火)~5月18日(日)

その他、詳細は東京国立博物館ico_linkでご覧ください。