「コロコロとりでをこうりゃくしろ!」(第4学年)

1.題材名

コロコロとりでをこうりゃくしろ!

2.学年

第4学年

3.分野

工作に表す

4.時間数

8〜10時間

5.準備物

児童:水彩用具一式 など

教師:杉ぬき板(1m程度)、くぎ(25mm)、ビー玉、木っ端(最大3cm程度にカットされた木っ端をたくさん用意する)、プラスチック段ボール、のこぎり、金づち、ペンチ、木工用接着剤、ボール紙、カラーペン、紙やすり など
※プラスチック段ボールは2cm程度の幅の帯に切って用意しておく(2cm×20cm程度のもの、横長の形で縦筋にカットする)

6.題材設定の理由

 中学年ののこぎり題材として、また、くぎをたくさん打つことができる活動として考えました。ビー玉を転がすフィールドとしての目的で長い板を三つに切り、木工用接着剤とくぎでつないで形を変えることからイメージを広げていきます。ゲームをつくる楽しさを味わいながら、くぎとプラスチック段ボールの壁を組み合わせてビー玉のコースをつくっていきます。くぎが打ちにくくなる段差のある2枚目の板には木っ端を並べたり積み上げたりする「とりで」を設定し、立体的な表現活動になるようにしました。

7.題材の目標

【知識及び技能】
 道具を正しく安全に使いながら、今までの経験を生かし、材料を組み合わせてつくるときの感覚や行為を通して、形の面白さや形の組合せによる感じなどが分かる。
 くぎを打ったり木片を組み合わせたりビー玉を転がしたりしながら試し、表したいことに合わせて形や色、遊び方を工夫してつくる。

【思考力、判断力、表現力等】
 ビー玉の転がり具合やくぎや壁の感じを試しながら、形の変化や面白さを感じ取り、見たこと感じたことから表したいことを見付け、形や色、材料などを生かしながらイメージをもち、つくりたいゲームをどのように表すかについて考える。
 木片やプラスチック段ボールなどを組み合わせてできる形や色や、自分たちの作品の造形的なよさや面白さ、表したいこと、いろいろな表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げる。

【学びに向かう力、人間性等】
進んで材料の形や色などからいろいろなよさや面白さを見付け、楽しく遊べるものを表す活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.評価規準

【知識・技能】
 道具を正しく安全に使いながら、今までの経験を生かし、材料を組み合わせてつくるときの感覚や行為を通して、形の面白さや形の組合せによる感じなどが分かっている。
 くぎを打ったり木片を組み合わせたりビー玉を転がしたりしながら試し、表したいことに合わせて形や色、遊び方を工夫してつくっている。

【思考・判断・表現】
 ビー玉の転がり具合やくぎや壁の感じを試しながら、形の変化や面白さを感じ取り、見たこと感じたことから表したいことを見付け、形や色、材料などを生かしながらイメージをもち、つくりたいゲームをどのように表すかについて考えている。
 木片やプラスチック段ボールなどを組み合わせてできる形や色や、自分たちの作品の、造形的なよさや面白さ、表したいこと、いろいろな表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げている。

【主体的に学習に取り組む態度】
つくりだす喜びを味わい進んで材料の形や色などからいろいろなよさや面白さを見付け、楽しく遊べるものを表す学習活動に取り組もうとしている。

9.指導計画

内容・時間

児童の活動の流れ

教師の指導の手立て

○導入
(道具の扱いと安全指導などを含む)
15分

●題材の意図や手順を知る。
●道具の扱いを学ぶ。
●作品のイメージをもつ。

▼題材の目的やイメージを伝える。
▼材料や道具の説明をする。
▼作例を使って説明する。
・ビー玉が転がりながら「とりで」を通過し、ゴールを目指すゲームであることを児童の関心が高まるように工夫して説明する。
・プラスチック段ボールの帯の端にくぎを通して打つことで壁ができることを例示する。

○フィールドづくり
45分

①板を2か所のこぎりで切り、三つのパーツに分ける。
②三つのパーツを好きな形に組み合わせ、木工用接着剤とくぎでつなぎ合わせる。

・真ん中のパーツは両端のパーツに載るようにする。
・くぎは極端に端にならないように注意する。(材料が割れることがある)
・板の組合せ方を工夫することでゲームのイメージが変わってくることを伝える。

○フィールドの色を塗る
30分

①紙やすりをかけてトゲを取る。
②思い付いたゲームのイメージに合わせた色を絵の具で塗る。

・これからつくるゲームの世界がどんなストーリーになるかをイメージできるように指導する。
・くぎを打ったり木っ端を組み合わせたりする前に全体に色を付ける。

○壁を取り付け、コースをつくる
○中央の板パーツに木っ端を組み合わせて貼り、ビー玉が通り抜ける「とりで」をつくる
270分

①ビー玉を転がしながら全体のコースのレイアウトをイメージする。
②プラスチック段ボールの両端の筋にくぎを通し、板に5mmほど打ち込んで壁をつくる。
③壁の組合せ方を工夫しながらビー玉の通るコースをつくっていく。
④木っ端を使って中央の板パーツの上に木工用接着剤で貼って組み合わせ、壁やトンネルなどをつくっていく。
⑤さまざまな材料を組み合わせて、ゲームが楽しくなるように飾る。

・ゲームのイメージがわくような導入を工夫する。
・プラスチック段ボールの取り付けを例示し、くぎの打ち方の工夫で壁を折り曲げたり複雑な形にしたりできることを示す。
・ビー玉が通り抜けられる幅を確保するように注意する。
・段差をビー玉が乗り越えられるようにボール紙を渡す。
・中央の板パーツは机から浮いていて隙間があるためくぎが打ちにくいので、木っ端の組み合わせでコースをつくるように勧める。
・必要に応じた材料を用意する。

○出来上がったゲームで遊ぶ(鑑賞)
90分

①友だちのゲームを試してみる。自分のゲームを試してもらう。
②修正・追加してつくる。

・友だちのゲームで遊んだり、自分のゲームをやってもらったりすることで感じた新しいアイデアを作品に反映できるようにする。

10.題材を考えるということ

 今回紹介した『コロコロとりでをこうりゃくしろ』は、板にくぎを打ってビー玉を転がすという比較的ポピュラーな題材に、「板をのこぎりで切って組み合わせる」「木っ端を積んだり並べたりして楽しむ」「プラスチック段ボールを壁に使って形を組み合わせて楽しむ」などの造形的な要素をプラスして、くぎを打つだけではない表し方を使って工夫できるようにアレンジしたものです。

↑本題材のアイデアシート。アイデアが浮かんだときに描き止めておくようにしている。

 子どもの感受性や想像力が素晴らしいとはいえ、子どもが今まで見たことや体験したこと、身に付けた知識や技術は大人に比べると非常に少なく、「想像しよう」「工夫しよう」と言うだけではなかなか表現につながっていかないことがあります。そのことからも、子どもが安易に結び付いてしまいがちな日常(例えばゲームやアニメのイメージなど)から題材の魅力を使って子どもを切り離すことによって、新しい見方や考え方と出会えるようにしていく必要があると思います。
 題材は教師と子どもをつなぐ大切なツールです。題材づくりを通して、「世界にはこんなに美しいものや面白いことがあるのだ」ということを目の前の子どもの感受性と重ね合わせながら、提案したり共感したりすることができます。題材をつくるには、大人の価値観の押しつけることなく、子どもがどんなことを感じ、どうしたいのかということを常に考え、使う材料や行為をよく検討し、「なぜこうするのか」「なぜこれを使うのか」ということに確かな必然性をもって取り組みたいです。
 オリジナル題材をゼロから考えることは、子どもと素材や行為に関して十分に検討する必要があるので教師にとってとても勉強になります。「ゼロから考えるのはハードルが高いな」と感じられるのであれば、教科書に載っている題材や既成の題材を基に、そこに自分なりの考えやアイデアを加えたり修正したりしながら取り組んでいくのもよいのではないかと思います。
 子どもの視点で考え、「ここをちょっと変えると楽しんでくれるのではないかな」というアイデアが思い浮かんだら積極的にアレンジしてみると、今後、オリジナル題材を考えていく際に生かされていくと思います。目の前の子どもの気持ちと自身の思いを重ね合わせながら、子どもが見て感じていることに共感する見方・考え方で題材づくりに取り組めば、身近なところに素敵な題材のアイデアが見つかるかもしれません。

※本実践の児童作品は、「みんなの図工ギャラリー」にも掲載予定です。
https://www21.nichibun-g.co.jp/zuko_gallery/3-4nen/

「プレゼント大作戦〜新製品開発プロジェクト〜」(第6学年)

1.題材名

プレゼント大作戦〜新製品開発プロジェクト〜

2.学年

第6学年

3.分野

工作に表す

4.時間数

6〜8時間

5.準備物

教師:紙粘土、木材(板、角、端材)針金、カラーペン、紙(色紙、厚紙、工作用紙)、接着剤(木工用ボンド、グルーガン)、児童のアイデアスケッチに応じて適宜準備

児童:絵の具、色鉛筆、はさみ、のり

6.題材設定の理由

 本題材は、お世話になった人や感謝の気持ちを伝えたい人のことを思い、ものをつくることで、与えられた受け身の活動ではなく、実感の伴う意欲的な活動になることを期待しました。
 大切な人やお世話になっている人、感謝を伝えたい人に向けて、世界に1つしかない新製品をつくりプレゼントする活動です。「プレゼントすることで、思いが伝われば良いよね」という声かけのもと、既習の用具や材料を使い製作活動を行いました。
 材料・用具・加工方法を自分で選択し製作活動を進めるため、今までの図工で培った力を発揮できる題材です。児童自身がプレゼントする相手を決め、相手の状況や性格、好みに適したものを考え、材料・用具を選び相応しい表現をすることは、図工で培った力を総結集させなければ行えない活動です。
 また、本題材は、展覧会に出品するのにも適した題材です。この題材では、思春期に差しかかる6年生という時期に、日頃伝えづらい思いを図工の授業だからこそ表現でき、直接伝えるのは照れ臭いけれど作品としてなら伝えられるという児童の姿が見られます。鑑賞した家族や地域の人に、児童の思いや気持ち、思考の流れが魅力的に伝わる題材でもあります。形や色に加えて、児童の考えや発想を楽しむことができます。

7.題材の目標

【知識及び技能】
 材料や用具を生かして表すときの感覚や行為を通して、造形的な特徴を理解する。
 発想したことに合わせて形や色、材料の組合せ、用具を選択し、工夫して表すことができる。

【思考力、判断力、表現力等】
 プレゼントする相手のことを考え、どのような人なのか、どのような生活をしているのか、その生活の中で困っていることはあるか、もらったら嬉しいものはどのようなものなのかを段階ごとに考え、世の中には存在しない新製品を発想することができる。
 自他の作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の工夫などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めることができる。

【学びに向かう力、人間性等】
プレゼントをする相手のことを考え、意欲的に活動することができる。発想したものを粘り強く取り組み作ることができる。

8.題材の評価規準

【知識・技能】
 材料や用具を生かして表すときの感覚や行為を通して、造形的な特徴を理解している。
 発想したことに合わせて形や色、材料の組み合わせ、用具を選択し、工夫して表している。

【思考力・判断力・表現力】
 プレゼントする相手のことを考え、どのような人なのか、どのような生活をしているのか、その生活の中で困っていることはあるか、もらったら嬉しいものはどのようなものなのかを段階ごとに考え、世の中には存在しない新製品を発想している。
 自他の作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴,表し方の工夫などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】
プレゼントをする相手のことを考え、意欲的に活動している。発想したものを表すために、粘り強く取り組もうとしている。

9.指導計画(○児童の活動 □教師の指導の手立て)

①誰に、何を、どのようにつくるか考える(1〜2時間目)

プレゼントを贈る相手を想定します。
相手のことを考えます。何が好きなのか、日頃困っていることは何なのかなど、ワークシートで整理します。
どのようなものをつくるのか、相手の生活が豊かになるものや貰って嬉しいものは何か考えます。
考えたことを基にアイデアスケッチをかいて、材料やどのような思いからつくるのか教員と打ち合わせをします。
教員は「相手の状況→どのようなプレゼントが嬉しいか」という発想の流れが本題材では重要であること意識し、声かけ・打ち合わせをします。
世の中にない、世界に一つしかない新製品を開発しようと全体に共有します。

②アイデアスケッチを基につくる(2〜7時間目)

アイデアスケッチを基に材料を選び、手順を検討し計画的につくっていきます。紙粘土を使うなら芯材を用意するところから、箱型のものなら大きさを考えて材料を切るところから進めていきます。
教員は児童の思いを大切にし、アイデアスケッチを基に既習事項と材料や用具、製作時間を踏まえて実現可能な新製品開発のアドバイスを行います。
制作を「大きいところ→細かいところ」に意識して進めていくこと、用具・接着剤の使い方を全体に伝えつつ、児童それぞれに合った声かけを行います。



③展示準備・展示をする(8時間目)

作品が完成した際に、名札とメッセージカードを準備します。メッセージカードを書くことで相手への思いや作品に対する考えがより伝わる鑑賞になることが期待できます。メッセージカードは、日頃の感謝の気持ちや、なぜ本作品をつくったのかという想いが相手に伝わるように書きます。
展覧会や公開授業で作品を展示することで、作品を通じて作者の思いが伝わります。

時間に音楽が流れ、頑張って早起きできるアイテム取りづらいものをとってくれる、ものとりくん

毎日の献立を考えるのに迷っているお母さんへ、献立を決めてくれるうさぎパソコン仕事を代わりにやってくれる、まんまるくん

掃除をしてくれるお掃除ロボットおじいちゃんのやっているお店にお客さんが来るように手招きをしている像

ゲーム好きな弟がいつでもゲームができる運転セット展覧会で展示する様子、メッセージカードをじっくり見て鑑賞を楽しむ場ができた

10.おわりに

想いが伝わる鑑賞の場
 本題材を鑑賞した保護者や地域の人からの感想に「子どもの思いが作品やメッセージカードから伝わりました」「メッセージカードを読んで感動して泣きそうになりました」といったものがありました。作品の出来栄えや色や形を楽しむのに加え、作品に込めた児童の思いが伝わる鑑賞の場になりました。

活動と動機
 6年生が主体的に活動するための動機として「プレゼント大作戦」は、自然で無理のないものになりました。誰かのためにつくるという設定があったからこそ、最後まで粘り強く製作できた児童もいました。より良くしたいという思いを抱くことで、活動が深まることに繋がりました。自分のためのものづくりとは異なる、誰かのためのもの作りの可能性を感じました。

展覧会での児童の姿
 本題材を展覧会で展示した際に、ほとんどの6年生が自分の作品を同じ学年や他学年の児童にしっかり紹介することができました。また、保護者や地域の人に向け、照れながらも生き生きと作品について語る様子もありました。「誰に→何を→どのようにつくるか」という製作活動の中で、自分で考え、自分の思いをのせて取り組むことができたからこそ、それを他者に向けて語ることのできる作品に仕上げることができました。

「並べ方で見えてくる○○な感じ」(第6学年)

1.題材名

並べ方で見えてくる○○な感じ

2.学年

第6学年

3.分野

絵に表す

4.時間数

1時間(45分)

5.準備物

児童:はさみ、のり、木工用接着剤 など

教師:画用紙(10cm四方の正方形)、帯状の色画用紙(黒色幅1cm、長さ10cm)、丸シール(赤色1cm径と2cm径の2種類)、マスキングテープ(さまざまな色柄で幅5mmのもの)

6.題材設定の理由

 高学年の造形活動は、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じを考えながら、自分の表したいことを形にしていくものである。ジャンルを問わずさまざまな造形活動において、材料や要素の配置、組合せ方を考える力は必要で、自分の思いや意図をより豊かに表すことにつながる。そこで、【形や色、それらの組合せによる造形的な特徴】を、構成の美しさを切り口にイメージ化し理解を深めて学級で共有することができれば、今後の活動でも児童がどのように表現するかで迷った際の手がかりになるのではないかと考え、本題材を設定した。
 この学習活動では、手のひら大の画用紙に、丸シールと帯状の色画用紙、マスキングテープを切って貼り付けることで、構成の美しさを考えながら【形や色、それらの組合せによる造形的な特徴】について理解することがねらいである。児童はいくつか提示されたテーマの中から一つ選び、テーマに合った材料の並べ方を考えながら、切り貼りしていく。同じテーマを選んでも捉え方や解釈の違いによってさまざまなイメージが生まれるため、作品を鑑賞する際には、「自分はこんな構成にしたけど、あの子のような構成もあるのだな」と、比較しながら交流することができる。交流を通して、児童にとっては感覚的で曖昧だった【形や色、それらの組合せによる造形的な特徴】の理解を深め、知識を共有することが期待できる活動である。

7.題材の目標

【知識及び技能】

  •  丸シールや画用紙の端切れを、配置を考えながら台紙の上に並べるときの感覚や行為を通して、形や色、それらの組合せによる造形的な特徴を理解する。
  •  自分の表したい感じに合わせて、材料の切り方や並べ方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】

  •  材料を切ったり並べたりしながら、形や色などの造形的な特徴を基に自分のイメージをもち、形や色、構成の美しさなどの感じを考えながら、どのように主題を表すかについて考える。
  •  形や色などの造形的な特徴を基に、自分のイメージをもちながら、自分の作品、友だちの作品の造形的なよさや美しさを感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深める。

【学びに向かう力、人間性等】

  • 主体的に形や色の構成によるさまざまな表現をしたり鑑賞したりする活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり、楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.題材の評価規準

【知識・技能】

  •  丸シールや画用紙の端切れを、配置を考えながら台紙の上に並べるときの感覚や行為を通して、形や色、それらの組合せによる造形的な特徴を理解している。
  •  自分の表したい感じに合わせて、材料の切り方や並べ方を工夫して表している。

【思考・判断・表現】

  •  材料を切ったり並べたりしながら、形や色などの造形的な特徴を基に自分のイメージをもち、形や色、構成の美しさなどの感じを考えながら、どのように主題を表すかについて考えている。
  •  形や色などの造形的な特徴を基に、自分のイメージをもちながら、自分の作品、友だちの作品の造形的なよさや美しさを感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • つくりだす喜びを味わい、形や色の構成によるさまざまな表現をしたり鑑賞したりする学習活動に主体的に取り組もうとしている。

9.指導計画


児童の活動の流れ

教師の指導の手立て



5

・学習のねらいをつかみ、材料を選ぶ。

・作品のテーマ(八つ程度)を提示する。
・「材料の切り方や並べ方を工夫して台紙に貼ることで、○○な感じを表せるかな」と投げかける。



30

・テーマに合う構成を考えて材料を貼る。

・できた作品は黒板に貼る。
・表し方を試しながら何枚かつくる。

・テーマに合わせて構成してもよいし、構成したものにテーマを当てはめてもよいことを知らせる。
・黒板をテーマごとに線で区切り、できた作品を貼るように促すことで、自然と交流が生まれるようにする。

・必要に応じて表現の工夫に着目するような声かけを行い、鑑賞と表現がテンポよく繰り返されるよう心がける。






10

・自分や友だちの作品を鑑賞し、自分の見方や感じ方を深める。

◎児童の作品

・同じテーマでも構成の仕方で印象が異なること、友だちがどのようにそのテーマを表そうとしたのかを話し合えるように留意する。

10.他題材とのつながり

 作品は模造紙に貼って掲示することで、その後のさまざまな題材で表現のヒントとして活用できる。

 例えば「音の絵」(教科書5・6下p.10-13)において、今回の作品を示しながら同じ言葉からでも多様な表現が生まれたことを思い出すよう促したり、「表したい感じに合う構成はあるかな」と尋ねたりすることで、それを手がかりに自分の表し方を考えるだろう。また、ふだんから目に入るところに掲示しておけば、児童同士で製作に生きる交流が自然に生まれることが期待できる。立体に表す題材でも形や色を構成する活動において、必要に応じて振り返ると効果的である。

<つながりが期待できる他題材>

◎5・6上

  • 心のもよう(p.8-11)
  • 消してかく(p.16-17)
  • 糸のこスイスイ(p.18-19)
  • 美しく立つはり金(p.26-27)
  • 言葉から思いを広げて(p.32-33)
  • まだ見ぬ世界(p.40-42)
  • 紙から生まれるすてきな明かり(p.52-53) など

◎5・6下

  • 音の絵(p.10-13)
  • 固まった形から(p.16-17)
  • 墨と水から広がる世界(p.18-19)
  • 言葉から想像を広げて(p.34-35)
  • 感じて考えて(p.52-53) など

※本実践の児童作品は、「みんなの図工ギャラリー」からご覧いただけます。
https://www21.nichibun-g.co.jp/zuko_gallery/5-6nen/42/

「ずっとかく絵」(第6学年)

1.題材名

ずっとかく絵

2.学年

第6学年

3.分野

絵に表す・鑑賞する

4.時間数

4〜10時間(児童により実施差あり)

5.準備物

児童:表したいことに合わせて水彩絵の具 など

教師:

  • パネル:45×45cmベニヤ板、1.8×1.8×43cm 角材4本
  • 描画材:ジェッソ(地塗り剤)、アクリル絵の具、コンテ、水性ニス、メディウム(アクリル絵の具に混ぜると質感などが変わる添加剤)、ペン など
  • 用具:のこぎり、彫刻刀 など

6.題材設定の理由

◎題材のねらい
 6年間で培ってきた知識や技能を用いて、「今」かきたいことを絵に表す。

◎題材観
 「子どもたちが自分のかきたいことをかける場所がいつも図工室にほしい。」
 常々、題材を設定とともに「今かきたい」という気持ちやアイデアが失われる場合があることを、子どもの姿から想像してどうにかならないかと模索していた。題材を手渡すということは、暗に「その題材をやっている間は他のことをしないようにしてね」という意味をもつ。
 図工室に来る子どもが授業単位で自分のやりたいことができたという実感をもつためにどうすればよいか。かきたいと思い立った瞬間を大切にし、子ども一人ひとりの「今かきたい、表したい」気持ちを素直に行動に移せることを保障すれば個々の自己実現を助けることになると考え、この題材を設定した。

7.題材の目標

【知識及び技能】
 絵に表すという行為や感覚を通して、形や色などの造形的な特徴を理解する。
 今までの材料や用具などの経験や技能を生かし、表現に適した材料や用具・技能の効果を考えながら、表し方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】
 表したいことやものを見付けたり行為を繰り返したりするなどして、どのように主題を表すかについて考える。
 表現の意図や表し方について、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深める。

【学びに向かう力、人間性等】
主体的に絵に表したり鑑賞したりする活動に取り組み、つくり出す喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.題材の評価規準

【知識・技能】
 絵に表すという行為や感覚を通して、形や色などの造形的な特徴を理解している。
 今までの材料や用具などの経験や技能を生かし、表現に適した材料や用具・技能の効果を考えながら、表し方を工夫している。

【思考・判断・表現】
 表したいことやものを見付けたり行為を繰り返したりするなどして、どのように主題を表すかについて考え、表している。
 表現の意図や表し方について、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】
つくり出す喜びを味わい、主体的に表したり、友だちの作品を見たりする学習活動に取り組もうとしている。

9.指導計画

全10時間程度(製作期間は子どもによって異なる)

◎1次:導入・パネル作成(1時間)
 導入では、今までやってきた絵画的表現を振り返ったり、使える描画材を確認したりする。

◎2次:思い思いの表し方で絵をかく(かきたいときに)

◎3次:鑑賞する(1時間)

10.活動の様子

 6年生になったばかりの4月。子どもたちに「来年3月までに絵を仕上げること」「製作途中はずっと壁に飾ること」「どの図工の授業でも、休み時間でも、絵をかいていいこと」を提案した。今までの絵に表す題材を振り返り、使用できる描画材も確認した。
 導入では45×45cmのパネルをつくり、下地材を塗った。紙を水張りすることも選択できるようにした。今まで支持体として使ったことのある紙や段ボールなどではなくパネルを使った理由は、長い時間かくこと、何度もかき重ねることが可能なこと、常に展示可能なこと、の3点である。
 子どもたちは4月からの10か月で、何度もかき直したり、ただ絵の具で遊んでみたり、自分なりに今やりたいことを重ねていった。廊下を通る他学年の子どもたちもその絵の変化を見ていた。

 景色や具体物などのモチーフを決めてかく子どももいたが、色をただ塗る、ローラーをコロコロし続けるなどの、絵の具を使った行為を繰り返す子どもがとても多かった。6年生の発達段階においても、意図のない行為や遊んでいるとしか見えない活動が、イメージの種子となっていることを見とることができた。

 他題材と同時に進んでいるので、活動が混在する。彫刻をやっている横で、じっくり絵の具をパネルに伸ばしている子ども。前日に百円ショップで見つけた新しいビーズを持ってきて、貼り付ける子ども。気に入らなくて何度も下地材を重ね、同じイメージをかき続ける子ども。ペンでひたすら点を打ち続ける子ども。さまざまな姿が見られた。しかし、もともと同じ題材の中でも子どもたちは一人ひとり思い思いに表現しているので、混乱は全くなかった。ただ、1時間しかやらない題材や鑑賞の活動では絵をかかないことにした。

11.作品から

 この子どもの作品は、1年間を通して変化していった。「そのときそのとき、季節や気持ちが変わっていったのを板に刻んでいくのが面白かった」と振り返る。
 まず、絵の具のスクラッチ(やってみたかった方法)、そのあと画面を分割したアクリル画(四季をイメージ、季節ごとの思い出やイメージをかいた)、最後は「冬の夜景」という題名を付けた。「都会を囲む夜の闇、メディウムを混ぜた緑で明るい周りをつくることで、真ん中の夜景を際立たせたかった」というその絵は、何度もかき重ねた絵肌に重厚感があり、廊下で思わず近づいて見る子どももいた。

 この子どもは、白い下地材を塗ったあと、興が乗らず、しばらくかかない時期が続いたが、6月の終わりに突然意欲が湧いたようである。「もし、この世界がモノクロになったら空はどんな感じだろう」と授業で思い付き、ほとんど1回でかき切った。最後に水性ニスでつやを全体に出して、全4時間程度で製作を終えた。「筆を回転させる動作が気に入ったし、今作品を見ても、丸いところがかわいい」と振り返った。

12.まとめ

 鑑賞はクラス全員が発表者となり、絵をみんなに見せながら、製作意図、絵がどのように変化していったか、感想などを自由に伝え合った。
 写真の子どもは、赤や緑など単色をローラーや刷毛などを使って画面に塗っていくことを繰り返していた。発表では、「これは、完成していない絵。完成しちゃったらストップする。僕も止まらない、変わり続ける自分でいたい」と語った。色や塗り方などに言語化できるほどの意図はなくても、その行為を繰り返すことが、その子どもにとっては大切な感覚や思考に結び付くための鍵だったのだ。


 このように行為を繰り返す中でできた絵もあれば、イメージをもってかいた絵、何度もかき重ねていった絵、1回でかき終えた絵など、一人ひとりが思い思いに表現していった。子ども自身の特性、境遇、そのときの気持ちなど、人それぞれの違いや自分の中での変化があること、その発露の仕方を学び多様性を受け入れることを最後の鑑賞、最後の図画工作の授業で伝えた。
 この題材を通して、何年か分のわたしへの通知表を、子どもたちの絵から受け取っているような感じがした。うれしかったのは、子どもたちがこの題材に何も抵抗なく、自分のかきたいことを見付けていったことである。描画材や技法などのバリエーションはもっとあってもよかったように感じたので、今後のカリキュラムづくりに生かしていきたい。

13.作品

私が憧れた色と形冬の夜景

鮮やかな水玉噴火

かれない花モノクロの空

※本実践の児童作品は、「みんなの図工ギャラリー」からご覧いただけます。
https://www21.nichibun-g.co.jp/zuko_gallery/5-6nen/41/

「誕生〜身近な段ボールで新しい造形表現に挑戦〜」(第6学年)

1.題材名

誕生〜身近な段ボールで新しい造形表現に挑戦〜

2.学年

第6学年

3.分野

立体に表す

4.時間数

8時間(鑑賞1時間・表現6時間・鑑賞1時間)

5.準備物

児童: 段ボール
教師: 段ボールカッター、水で薄めた木工用ボンド、お椀、刷毛、バインダークリップ、洗濯用たらい、PEテープ、ブルーシートなど

6.題材設定の理由

 さいたま市では芸術家をゲストティーチャーとして迎えて授業を行う「アート・イン・スクール(ゲストティーチャー派遣事業)」を実施している。将来の文化芸術の担い手である児童に対して芸術家や本物の作品に触れる機会を提供することで、感性と想像力を育み、豊かな情操を培い、文化芸術を愛する児童を育成する取り組みである。本校では、埼玉県在住の造形作家、玉田多紀さんをゲストティーチャーとしてお迎えし、段ボールを使って6年生を対象に「立体に表す」題材を設定した。
 ネットショッピングの需要が増加する中、段ボールは生活の中でとても身近な素材の一つとなっている。また、とても丈夫で厚みがあり、立体表現に適している。さらに、水で濡らすと柔らかくなり、張り子のように紙を張り重ねながら形をつくったり、粘土のように丸めて伸ばしたりすることも可能である。段ボールは、高学年にとってより手応えのある素材であると考える。そんな段ボールを自分で集めて思う存分に使い、普段なかなかつくれない大きさの立体に表すことで、より達成感が得られるのではないかと考えた。
 そこで、本題材は、チームで共同して活動する時間にしたいと考えた。友人との交流によって、さまざまな発想や構想、アイデア、表し方などがあることに互いに気付き、表現や鑑賞を高め合い、共に活動をつくりだしている実感がもてるような時間にしていきたい。また、高学年では自分なりの見通しをもつことで表現の質をより高めることができるようになるので、アイデアスケッチをかいたり、画像を検索したりして、グループの中でつくりたいもののイメージが共有できるような時間も設定していきたい。

7.題材の目標

【知識及び技能】

  • 段ボールを扱うことを通して、形や色などの造形的な特徴を理解する。〔共通事項〕
  • 表現方法に応じて段ボールを活用するとともに、段ボールカッターなどについての経験や技能を総合的に生かしたり、表現に適した方法などを組み合わせたりするなどして、表したいことに合わせて表し方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】

  • 形や色などの造形的な特徴をもとに、自分のイメージをもちながら段ボールを扱い、感じたこと、想像したこと、伝えたいことから、表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じを考えながら、どのように主題を表すかについて考える。
  • 自分たちの作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて、感じ取ったり考えたり、自分の見方や感じ方を深める。

【学びに向かう力、人間性等】

  • 主体的に段ボールを使って表したり鑑賞したりする活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.題材の評価規準

【知識・技能】
 段ボールを扱うことを通して、形や色などの造形的な特徴を理解している。〔共通事項〕
 表現方法に応じて段ボールを活用するとともに、段ボールカッターなどについての経験や技能を総合的に生かしたり、表現に適した方法などを組み合わせたりするなどして、表したいことに合わせて表し方を工夫して表している。

【思考・判断・表現】
 形や色などの造形的な特徴をもとに、自分のイメージをもちながら段ボールを扱い、感じたこと、想像したこと、伝えたいことから、表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じを考えながら、どのように主題を表すかについて考えている。
 自分たちの作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて、感じ取ったり考えたり、自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】
主体的に段ボールを使って表したり鑑賞したりする活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとしている。

9.指導計画(全8時間)

造形作家の作品を鑑賞し、造形的な美しさ、表現の意図や特徴を感じ取ったり考えたりする。(1時間)
チームに分かれ、表したいものを決める。
表したいものに合わせて、段ボールで土台をつくる。(2時間)
段ボールを水で柔らかくして薄くはがし、それを重ねたり丸めたりして表現方法を工夫する。(4時間)
自分や友だちの作品を鑑賞し合う。(1時間)

10.活動の様子

造形作家と出会い、作品を鑑賞し、造形的な美しさ、表現の意図や特徴を感じ取ったり考えたりする。(1時間)
 造形作家や作品との出会いは、児童にとって一期一会、特別なものにしていきたい。その特別な出会いを演出するためには、場の設定がとても重要である。図工室の机を廊下に出し、広い空間をつくる。児童の視線が作品に集中できるよう棚には布を掛ける。児童が図工室に入ってきた時の驚く姿を想像しながら、児童の動線、光の入り具合など考え合わせて作品を置く場所を決め、図工室を美術館のようにする。
 作品鑑賞の際は、本来作品に触れることはないが、玉田さんの提案により、作品に実際に触れ、ボンドで固められた段ボールの硬い質感を味わうことができた。初めは一人でじっくり見たり、友だちと会話をしながら見たり、自由に作品を味わう時間を設定した。その後、玉田さんと児童が対話をしながら作品の謎解きをしていく時間を設定した。作者の思いを聞くことで作品の見え方が変わってくるという、最後までワクワクが止まらない素敵な時間となった。

チームに分かれ、表したいものを決める。
表したいものに合わせて、段ボールで土台をつくる。(2時間)

 チーム分けは児童にとっても教師にとっても重要である。教師によって意図的につくられたチームの場合、最後まで自分の意見が言えずに、相手に合わせてしまうケースも見られる。児童一人ひとりの力が発揮されないチーム分けは、チームで活動する意味がない。「自分がしっかり輝けるチームづくりをすること。チームで活動するよさを感じてほしいので、学級の中で仲間はずれがいたり、二人だけで活動したりすることがないようにチームをつくること」という条件を児童に提示し、チームづくりを委ねる。児童に委ねる理由としては、普段遊んでいる友だちだと意見が言いやすかったり、自然体でのびのび活動できたりするよさがあるからである。
 チームが決まったら、表したいもののアイデアを出し合った。見る人に何を伝えたいのか、テーマや思いを話し合いながら、イメージスケッチをしたりパソコンで画像を検索したりしながらチームのメンバーとイメージを共有していった。具体的なイメージが共有できたら実際に段ボールで土台となる形づくりに取りかかった。段ボールの特徴を捉えて形づくり、大きくなればなるほど段ボールの重さも加わってくるので、全体のバランスを考えながら丈夫に立体にしていくことが求められる。何度も試行錯誤しながら取り組み、どんどん作品が大きくなっていき、授業の最後に作品を運ぶ姿には笑顔が見られた。朝や休み時間、放課後にも図工室に作品を見に来る児童の姿もあり、次の時間を心待ちにしている様子が見られた。

段ボールを水で柔らかくして薄くはがし、それを重ねたり丸めたりして表現方法を工夫する。(4時間)
 段ボールを洗濯用たらいにひたして柔らかくすると、3層になっていた段ボールが綺麗にはがれる。水を含んだ段ボールは、児童が知っている段ボールとは違った質感に変化し、表現の幅がさらに広がっていく。柔らかくなった段ボールは張り子のようでもあり、粘土のようでもある。また、児童に、段ボール箱の表面に出ている部分には色の加工がされていて、内側の部分には色の加工がされていないことも伝え、仕上がりの色を考えながら表していくことを提案する。その際、玉田さんの作品は黒板前に置き、色の違いや表現方法など自分が必要とするタイミングで作品を見ることで、鑑賞と表現が行き来できるようにしている。
 水で濡らすことで段ボールの素材の面白さを感じながら、児童はより夢中になり没頭する姿が見られた。自分たちが表したいことに合わせて、はがした段ボール1枚1枚にボンドを塗ってぴったり貼り付けたり、丸めたり、ふさふさした毛並みを表現したりして工夫する姿が見られた。また、乾いた後の色を想像しながら段ボール箱の色を使い分ける姿も見られた。

自分や友だちの作品を鑑賞し合う。(1時間)
 いよいよ、最後の鑑賞の時間。題材の最後に鑑賞の時間を1時間設定することはほとんどないが、アート・イン・スクールでは6時間で完成させた6年生の作品、32点を図工室に展示し、1時間の鑑賞時間を設定した。児童がどのように展示したいのかを確認しながら、図工室の箱いすや棚の上に乗せたり、テグスで吊るしたりして展示した。まずは自由に鑑賞し、その後、全体で作者の発表を聞いたり感想を伝えたりする時間を設定した。作品カードは、作者の伝えたいことを全て記入せず、見る人が謎解きをしながら作品を見ることができるようなタイトルや文章にしている。
 人数が多ければ多いほどチームで出る意見が多くなる。作品カードを作成する時にも意見を出し合いながら、思いを伝えるための短い言葉を真剣に考え、お互いに折り合いをつけて作品カードを完成させていた。6時間の中で、意見が合わずに言い合いになる姿や、リーダーシップを発揮する姿、チームで黙々とつくる姿など、共同する活動を通して普段見られない姿も見ることができた。何度も意見を対立させながらつくり上げたチームも、終始お互いを褒め合うチームも、作品発表の時間の達成感は格別なものとなったはずである。

《児童の作品カードより》

『ここはどこ…?』
あなたは龍が存在すると思いますか?かつての龍を想像し、現実とつなげました。この龍は一体どこからきたのでしょう…?

『20XX年〜現状〜』
海洋ゴミがどんどん多くなり、20XX年には、海の生き物を食べることが全くできない状態に。生き物たちもゴミにからまったり、間違えて飲みこんで死んだりと苦しい生活になった。こんな未来を救うことができるのだろうか…。

《振り返りカードより》

段ボールを水でぬらしてはがしてみると、色が違うところが段ボールのいいところだと思いました。段ボールでこれだけの表現ができるのはすごいと思いました。玉田先生の服やイヤリングなどのように小物もつくれるのはとてもすごいなと思いました。

みんなと協力して誰が何をやるか分担しながらやっているうちに、途中で崩れてしまい安定しなくなりました。でも、下に土台をつくることで安定させることができました。大量の皮(段ボールを水で濡らしてはがしたもの)をつくって貼るのは大変だったけど、楽しくつくることができました。完成したあと気付いたのですが、私たちがつくった作品は乗ることができます!

みんなの作品のクオリティーが高くてびっくりしました。特に、『ここはどこ…?』の作品は、マンホールからりゅうがでているものだそうですが、りゅうが今にも動き出しそうなくらいリアルで鼻すじや歯などの細部までこだわっていてすごいなと思いました。自分たちの作品は皮(段ボールを水で濡らしてはがしたもの)にすごくこだわりました。そして、つくり上げたものを見ると結構リアルで、つくった自分もびっくりしました。

トロトロ、カチコチ・ワールド「○○○の世界をつくろう」~ひらめきシート・カードを活用して~(第4学年)

1.題材名

トロトロ、カチコチ・ワールド「○○○の世界をつくろう」

2.学年

第4学年

3.分野

立体に表す・鑑賞する

4.時間数

6時間

5.準備物

児童: 身辺材、タオルや布、絵の具、接着剤など
教師: 液体粘土、板ダンボール、自然材、ペットボトル、身辺材、ひらめきシート・ひらめきカード(「10.指導の手立てと児童の様子」を参照)など

6.題材設定の理由

 本題材は、布や身辺材を組み合わせた形を液体粘土で固め、組み合わせた形から想像した世界を立体に表す創造活動である。液体粘土は石膏のように固まるが、乾燥が遅いため児童にも扱いやすい。また、絵の具を溶かし込んだり、乾燥後に着色することもできるので、表現の可能性が広がる材料である。さらに、立体に表現することで、高さ・幅・量・塊など多様な側面から捉えながら空間を楽しむよさがあり、児童の多様な創造性を引き出すことができる。
 そこで、本題材では液体粘土の特徴を生かし、液体粘土に浸した布と身辺材を組み合わせながら、感じたことや想像したこと、見たことから、表したいことを見付けたり、考えたりしながら、自分の思いを表現することをねらいとしている。また、児童の発想を促すために、導入時にはアニメーションや映画の一場面などの画像を鑑賞する活動を取り入れたり、表現活動中に活動が止まってしまっている児童には、材料と触れ合う時間をつくったり、「ひらめきシート」や「ひらめきカード」を活用したりして、児童の思いが十分に発揮できるようにした。

7.題材の目標

【知識及び技能】

  •  布を固めた形から想像を広げて表すときの感覚や行為を通して、形の感じ、色の感じ、それらの組合せによる感じなどが分かる。
  •  液体粘土や身近な材料を適切に扱うとともに、前学年までの材料や用具についての経験を生かし、手や体全体を十分に働かせ、表したいことに合わせて表し方を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】

  •  布の形を変えたりいろいろな向きから見たりして、感じたこと、想像したことから、表したいことを見付け、形や色、材料の特徴などを生かしながら、どのように表すかについて考える。
  •  布を固めた形や身近な材料を組み合わせてできた作品の造形的なよさや面白さ、表したいこと、いろいろな表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げる。

【学びに向かう力、人間性等】

  • 進んで布を固めた形から想像を広げて表す活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.題材の評価規準

【知識・技能】

  •  布を固めた形から想像を広げて表すときの感覚や行為を通して、形の感じ、色の感じ、それらの組合せによる感じなどが分かっている。
  •  液体粘土や身近な材料を適切に扱うとともに、前学年までの材料や用具についての経験を生かし、手や体全体を十分に働かせ、表したいことに合わせて表し方を工夫して表している。

【思考・判断・表現】

  •  形の感じ、色の感じ、それらの組合せによる感じなどを基に、自分のイメージをもちながら、布を固めた形から想像を広げて表したいことを見付け、形や色、材料などを生かしながら、どのように表すかについて考えている。
  •  形の感じ、色の感じ、それらの組合せによる感じなどを基に、自分のイメージをもちながら、自分たちの作品などの造形的なよさや面白さ、表したいこと、いろいろな表し方などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げている。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • つくりだす喜びを味わい進んで布を固めた形から想像を広げて表す学習活動に取り組もうとしている。

9.指導計画(全6時間)

液体粘土の特徴を生かして、布や身辺材を使って立体に表す。(1/6、2/6)(90分)
表現しようとしている「○○○の世界」を発表し、中間鑑賞を通して、自他の作品の表現を造形的な視点で捉えてよさや面白さを見付ける。さらに、思いをより造形的に実現するために着色したり、必要な身辺材を組み合わせたりして、工夫を加える。(3/6、4/6)(90分)
表現したい「○○○の世界」を完成させる。また、作品鑑賞を通して、自他の表現のよさや面白さに気付き、自分の思いを造形的に表すよさを味わう。(5/6、6/6)(90分)

10.指導の手立てと児童の様子

①第1次(1/6、2/6)

ア 知識や経験を引き出す導入
 導入では、題材名の「ワールド」に着目させ、児童は、どんな世界を表現したいかを考えた。児童がこれまでそれぞれ獲得している知識や経験を引き出したり、広げたりするために、世界遺産やアニメーション、映画の一場面などの画像を鑑賞することにした。実際の風景だけでなく、アニメーションや映画の非現実的な画像を取り入れたことにより、児童は、「ワールド」が現実にある景色の再現を目指すものではなく、自分なりの世界を創造していくという活動のイメージをつかむことができた。

イ 発想の元となる構造物の製作
 導入で自分が表現したい「ワールド」をある程度イメージできた児童と、まだ思いを強くもてていない児童が混在している状態で、作品の原型を製作した。児童は、予め様々な形に切断されたダンボールの板を選び、その上に身辺材を組み合わせ、それを芯材にして、液体粘土に浸した布を掛けるなどして製作した。児童は、新たな材料体験を楽しみながら、布の大きさやしわの感じなどから、意図的だったり、偶然できたりした形をいろいろな方向から見て、想像を膨らませて表現活動への意欲を高めていた。このようにしてできた形を元に発想し、思いを明確にしていく児童の様子が多く見られた。

②第2次(3/6、4/6)

ウ イメージマップの活用
 第1次から1週間後の第2次では、液体粘土が固まり、それぞれの作品の原型と対話することから始まった。原型から表したい世界を発想し、思いを広げるために、イメージマップを活用した。児童は、自分の思いを中心にして、思い付いた事柄や形、色、イメージなどを自由に連想して書いていた。連想することにより、児童それぞれの物語や場面の設定ができていく様子が見られた。

エ 中間鑑賞
 原型とイメージマップを元に、グループでそれぞれが考えていることを伝え合う中間鑑賞を行った。友人が着目した造形的な視点や、それによる考えを聞き、感想を伝え合う中で、互いに新たな気付きや共感を得ることができていた。

オ 思いと表現との関係性を問う発問
 児童は、表現する中で形や色を感覚的に選択し、その意味については、深く考えていないことがある。そのため、児童に自分の思いを造形的に実現していくために、形や色を選択していることに気付かせることが重要になる。そこで、活動への児童の思いに共感し、表現を認めながら、思いと表現との関係性を認識しているか形成的に評価し、その思いと表現との関係性を問う発問を繰り返していくことを指導の中心とした。それにより、児童は、自らの表現を造形的な視点で捉え、思いと表現を関連付けて意味付けしながら活動に取り組むことができた。

③第3次(5/6、6/6)

カ 新たな発想につながる材料コーナー
 「共有材料コーナー」と、様々な形の発泡スチロール片や麻紐、自然材の小枝など児童が思い付かないような材質や形の材料を「こんなのもあるよコーナー」として設置した。児童は、自分で準備してきた身辺材を使いながらも、時折材料コーナーを覗いては材料を持ち帰り、様々な組合せを試して活動を進めていた。

共有材料コーナー「こんなのもあるよ」コーナー

キ 「ひらめきシート」と「ひらめきカード」の活用
 活動が止まってしまった児童に発想を促す手立てとして、「ひらめきシート」と「ひらめきカード」を作成した。ひらめきシートは各グループに1枚ずつ準備し、いつでも参考にできるようにした。それにより、児童が自発的に発想の手掛かりを探ることができる。「ひらめきカード」は、ひらめきシートをカードにしたものである。カードは、教師が持っていて、児童がどうしてもアイデアが浮かばず困ったときに、1枚ずつ引かせ、カードに書かれている言葉に従って考えてみるよう伝えた。児童はその視点をきっかけにして新たに発想し、思いを基にしてアイデアを広げていた。新たな視点によって生み出された表現のよさや面白さを感じ、自分なりに意味付けや価値付けをして、喜ぶ顔も見られた。

「ひらめきシート」…「ひらめきスイッチ大全」(知的創造研究会,2018,日本経済新聞出版)を参考に、図画工作科の活動内容に適した言葉を考え、筆者が作成したもの。

ひらめきシート
※クリック or タップでPDFが開きます。

「組み合わせてみよう」のひらめきカードを見ながら考えている様子。

ク 作品鑑賞
 作品が完成し、全体で作品鑑賞を行った。活動の中心となっていた思いや、思考したこと、言語活動の記述などを残してきたワークシートと作品を並べて置き、造形的な視点に着目しながら鑑賞活動をした。自分の感想を友人のワークシートに残し、自分の表現のよさも、たくさんの友人に見付けてもらうことにより、自らの創造性の発揮を実感し、表現するよさを味わっている様子が見られた。

11.実践を終えて

 児童の表現は、教師の想定をはるかに越えてそれぞれに広がり展開していった。「思ってもみなかった面白い作品ができた。」と喜ぶ顔が見られることがなによりも嬉しい。
 本実践では、活動が止まってしまった児童への手立てとして、「ひらめきシート」と「ひらめきカード」の活用を試みた。「ひらめきシート」と「ひらめきカード」を活用した児童は、31人中11名だった。そのうち、ひらめきのきっかけになったという児童は10人おり、「とりあえずやってみる」ことで、創造性を発揮させたり、思いとつなげたりすることに効果的であったという児童の様子が見られた。「ひらめきのきっかけにならなかった」と回答した児童は、使ってはみたものの、自分の作品との対話により、既に思いを表現することができていたことによる回答だった。これらのことより、「ひらめきシート」や「ひらめきカード」を使って、「とりあえずやってみる」ことは、発想を促すために効果的であることが分かった。一方、「とりあえず」だけの行為では、児童にとって意味のある表現はできず、思いをもって材料に関わりながら自分なりの工夫を加えた表現活動に、それぞれの価値を創造していくことが重要であることも分かった。
 したがって、「ひらめきシート」や「ひらめきカード」を初めから使って製作しようとしたり、活動全般を通して活用したりするのではなく、「思い」を大切にして、自ら思考し表現することを促した上で、思いがけない見方を提案するツールとして活用することが望ましいと言える。また、多様な視点で自らの表現を捉える見方や考え方は経験として身に付き、その後の表現活動や生活の中で生かされていくものだと考える。

「ここに咲く花」(第6学年)

1.題材名

ここに咲く花

2.学年

第6学年

3.分野

絵に表す

4.時間数

6~7時間

5.準備物

児童:
絵の具セット
教師:
共用絵の具、液体粘土(タルク+ボンド+水)、黄ボール紙、ボンド、コンテ・パステル

6.題材設定の理由

 6年生の4月は、最高学年としての1年間に期待を膨らませていたり、まだふわふわと落ち着かない気持ちだったりする時期でもある。この時期の子どもたちの気持ちに沿った題材を設定することによって、今この時期だからこその自分の思いを引き出し、表現する過程でそれがより具体的なものとなり、造形表現を通して児童が自分の気持ちと向き合えるのではないかと考えた。
 題材名「ここに咲く花」の「ここ」とは、この1年間でその時々の自分がいる場所や状況、「花」は自分のことである。花は人の心を明るくする存在でもあったり、どんな場所でも力強く咲いていたりする。子どもたちには花を絵に表すことを通して、今までの自分の成長を振り返ったり、どんなことを大切にして1年間を過ごしたいかを考えたりしながら、花と自分のイメージとを重ねてどう表すか考えていく。また、黄ボール紙をやぶってから再構成して自分画用紙をつくったり、液体粘土を使ったりして身体の感覚を伴いながらかいていけるようにした。新たに表す方法の幅を広げたり、今まで使った方法を使ったりしながら、一から自分の手でつくり上げていく感覚をもち、自分なりの表し方を追求してほしい。

7.題材の目標

【知識及び技能】

  •  自分の感覚や行為を通して、支持体の形や絵の具の感じや色の特徴を理解する。
  •  自分の表したい感じに合わせて、液体粘土や絵の具などの材料や用具を工夫して表す。

【思考力、判断力、表現力等】

  •  支持体の形や絵の具の色などの造形的な特徴を基に、自分のイメージをもちながら、考えたこと、感じたこと、想像したことから、表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどを考えながら、どのように主題を表すかについて考える。
  •  花や周りの様子の形や色などの造形的な特徴を基に、自分のイメージをもちながら、自分たちの作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深める。

【学びに向かう力、人間性等】

  • 主体的に自分の姿を花のイメージと重ねて表現する活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.題材の評価規準

【知識・技能】

  •  自分の感覚や行為を通して、支持体の形や絵の具の感じや色の特徴を理解している。
  •  自分の表したい感じに合わせて、液体粘土や絵の具などの材料や用具を工夫して表している。

【思考・判断・表現】

  •  支持体の形や絵の具の色などの造形的な特徴を基に、自分のイメージをもちながら、考えたこと、感じたこと、想像したことから、表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどを考えながら、どのように主題を表すかについて考えている。
  •  花や周りの様子の形や色などの造形的な特徴を基に、自分のイメージをもちながら、自分たちの作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • つくりだす喜びを味わい主体的に自分の姿を花のイメージと重ねながら表現する学習活動に取り組もうとしている。

9.指導計画(全7時間)

活動について知る。自分の支持体をつくる。(90分)
液体粘土や絵の具などでかく。(90分)
絵の具やコンテなどを重ねるなどして仕上げる。(90分)
題名を付ける。作品を鑑賞し合い、振り返りをする。(45分)

10.指導の手立て

  • 実態に合わせてワークシートをつくるなどして、花から受けるイメージについて話し合ったり、自分の今までの成長や自分のこれからの1年間についてイメージをもったりできると、自分の気持ちを絵に表そうとする意欲や表したいイメージにもつながりやすくなる。
  • 液体粘土でかく際には、手のひらでかいたり引っかいたりなど様々な表現方法ができることに気付けるようにするとよい。
  • 絵の具と液体粘土は混ぜて使ってもよいが、白と混ざり似たような色調になるので、乾燥したあとに重ねたときの色合いの感じの違いにも注目するよう促し、自分の表したい感じに合わせて試行錯誤できるようにする。

11.児童の様子

 黄ボール紙を破く行為が楽しそうであり、絵をかくことに苦手意識のある児童も心を解放することにもつながったように思う。液体粘土を何度も重ねて形を変えたり、場所によって盛り上げたりするなど、かきながら試行錯誤していた。

※本実践の児童作品は、「みんなの図工ギャラリー」からご覧いただけます。
https://www21.nichibun-g.co.jp/zuko_gallery/

「さくらの木の物語」(第4学年)

1.題材名

さくらの木の物語

2.学年

第4学年

3.分野

絵に表す

4.時間数

6時間

5.準備物

児童:
絵の具セット
教師:
共用絵の具、黄ボール紙、チョーク、コンテ・パステル

6.題材設定の理由

 本校には正門のそばに桜の木が1本だけある。子供たちが毎日目にしている風景の一部の木ではあるが、その木を今回の図工の「主人公」として見つめることで、より自分なりの見方が深まるのではないかと考えた。いつもとは視点を逆にし、「自分が見る木」でなく「自分たちを見つめる木」として擬人化しその気持ちを考えてみたり、木から見える季節の移り変わりや出来事などの想像を膨らませたりすることを通して、自分の思いをもち、絵に表す。
 最初は木を見たり触ったりして簡単にチョークやコンテなどでスケッチをし、その後は共同絵の具や自分の絵の具を主材料として描く。自分の手や身体の感覚、今までの絵の具の経験を生かしてかき、個々の必要に応じて、コンテやパステルなど今まで使ったことのある材料を使えるようにした。視点を変えることで心に浮かんだ物語や、描きながら気付いたことを基に、自分らしいイメージを広げて描いてほしい。

7.題材の目標

【知識及び技能】

  •  自分の感覚や行為を通して、絵の具で表した形や色の感じが分かる。
  •  絵の具などの材料や用具を適切に扱うとともに手や体全体を十分に働かせ、自分の表したい感じに合わせてそれらを工夫して使って表す。

【思考力、判断力、表現力等】

  • 絵の具の色などの感じを基に、自分のイメージをもちながら、考えたこと、感じたこと、想像したことから表したいことを見付け、形や色、材料などを生かしながら、どのように表すかについて考える。
  •  桜や周りの様子の形や色などの感じを基に、自分のイメージをもちながら、自分たちの作品の造形的なよさや面白さ、表したいこと、いろいろな表し方などについて感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げる。

【学びに向かう力、人間性等】

  • 進んで自分のイメージした桜を表現する活動に取り組み、つくりだす喜びを味わうとともに、形や色などに関わり楽しく豊かな生活を創造しようとする。

8.題材の評価規準

【知識・技能】

  •  自分の感覚や行為を通して、絵の具で表した形や色の感じが分かっている。
  •  絵の具などの材料や用具を適切に扱うとともに手や体全体を十分に働かせ、自分の表したい感じに合わせてそれらを工夫して使って表している。

【思考・判断・表現】

  • 絵の具の色などの感じを基に、自分のイメージをもちながら、考えたこと、感じたこと、想像したことから表したいことを見付け、形や色、材料などを生かしながら、どのように表すかについて考えている。
  •  桜や周りの様子の形や色などの感じを基に、自分のイメージをもちながら、自分たちの作品の造形的なよさや面白さ、表したいこと、いろいろな表し方などについて感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を広げている。

【主体的に学習に取り組む態度】

  • つくりだす喜びを味わい進んで自分のイメージした桜を表現する学習活動に取り組もうとしている。

9.指導計画(全6時間)

活動について知る。桜を見たり触ったりしながらイメージを広げる。(45分)
さくらをスケッチする。(45分)
絵の具で自分がイメージしたことをかく。(135分)
題名をつける。作品を鑑賞し合い、振り返りをする。(45分)

10.指導の手立て

 桜の木を見に行く前に、「桜はいつもどんな景色を見ているのだろう。何を考えているのだろう。」などと投げかけ、桜を主人公としたときの視点をもつようにすると、桜を見たときに親近感が湧いたり、かきたいイメージをもったりしやすいように思った。
 桜の木がある場所に行き、A4サイズほどの画用紙にスケッチしながら、かきたいイメージを膨らませられるようにした。

11.児童の様子

 絵の具は共用絵の具も使ったことで、たっぷりとした絵の具で表したい児童はどんどん絵の具を重ねながら、表したい感じを探っていた。初めからはっきりとした表したいイメージがあった児童もいて、一部の枝だけをかいている児童もいた。見た桜をきっかけにそれぞれのイメージの世界に繋がっていった。

※本実践の児童作品は、「みんなの図工ギャラリー」からご覧いただけます。
https://www21.nichibun-g.co.jp/zuko_gallery/

「光の形」(第6学年)

1.題材名

光の形

2.学年

第6学年

3.分野

立体に表す

4.時間数

4時間

5.準備物(材料・用具)

教師:
ペットボトル・セロハンテープ・きり・リサイクルばさみ・LEDライト・タブレット・モニター
児童:
ペットボトル・はさみ

6.題材について

 本題材は、ペットボトルを主な材料とし、材料とともに変化する光の様子をとらえながら、自分の思いに合う「光の形」をつくるものである。様々な光の表現が考えられるため、試行錯誤しながら、自分の思いに合う表現を追求し、自分なりの美しさを見付けていくことができると考えた。
 学級には、自分の思いのままに表現を追求していくことができる児童がいる一方で、失敗すること(やり直しができないこと)を心配してなかなか表現に取り組めない児童もみられる。そのため、たくさん準備しやすいペットボトルを材料とすることで、児童が、何度でも新しい材料で試行錯誤し、安心して自分の思いを追求できるのではないかと考えた。また、光の表現には偶然性が大きく関わるため、積極的に試しながら表現していく姿も期待した。
 数人の児童は、生活科でペットボトルを使用した経験があったが、図画工作科としてペットボトルを扱うのは初めてである。形や光り方に注目して表現できるよう、ペットボトルの色は透明のみとした。

7.題材の目標

【知識及び技能】

  • 光を当てると美しく見える形をつくるときの感覚や行為を通して、動き、バランスなどを理解する。
  • 前学年までの経験や技能を総合的にいかしたり、表現に適した方法などを組み合わせたりするなどして、表したいことに合わせて表し方を工夫して表す。

【思考力・判断力・表現力等】

  • 感じたことから表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じを考えながら、どのように主題を表すかについて考える。
  • 自分たちの作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深める。

【学びに向かう力・人間性等】

  • つくりだす喜びを味わい、主体的に光を当てると美しく見える形をつくる学習活動に取り組もうとする。

8.題材の評価規準

【知識・技能】
 光を当てると美しく見える形をつくるときの感覚や行為を通して、動き、バランスなどを理解している。
 前学年までの経験や技能を総合的にいかしたり、表現に適した方法などを組み合わせたりするなどして、表したいことに合わせて表し方を工夫している。

【思考・判断・表現】
 感じたことから表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じを考えながら、どのように主題を表すかについて考えている。
 自分たちの作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の変化などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】
態表態鑑 つくりだす喜びを味わい、光を当てると美しく見える形をつくったり、鑑賞したりする学習活動に進んで取り組もうとしている。

9.題材の指導計画

光の美しさを味わい、表現の見通しをもつ。
ペットボトルの切り方、組み合わせ方について発想を広げる。
材料の組み合わせによる光の変化に気付く。(1時間)
ペットボトルを切ったり組み合わせたりしながら、光を当てると美しく見える形をつくる。(2時間)
作品を見て、感じ取ったり考えたりしたことを伝え合いながら、自分の見方や感じ方を深める。(1時間)

10.指導にあたって

 材料集めの段階では、指導者側が、事前に様々な形、模様のペットボトルを集めておき、それらを順にLEDライトの上に置いて見せることで、光を当てたペットボトルの美しさや、ペットボトルの形や模様による光の見え方の違いに気付くことができるようにした。それにより、児童は、ペットボトルの形や模様にも注目しながら材料集めができていた。
 導入段階では、児童がペットボトルを使用した表現が初めてだったため、どのような形の変え方ができそうか、組み合わせ方にはどのようなものがありそうかについて、アイデアを伝え合う交流の時間を設け、活動の見通しをもたせた。
 また、光り方の発見には偶然性も大きく関わるため、試す活動を十分に行いたいと考えた。暗室を準備し、常に光り方を試しながら製作できるようにした。さらに、適宜、児童の気付きや工夫を紹介し、様々な表現への気付きをうながした。
 接着にはセロハンテープを使用し、組み合わせ方などを試行錯誤しやすいようにした。
 振り返りの段階では、自分の思い付いたことや、表したいと思っていることを話したり聞いたりする場を設定し、自分の表現を振り返り伝え合うことで、自分の思いと言葉を繋げられるようにした。
 硬いペットボトルを加工する際には、切り口が鋭くならないようにリサイクルばさみを使用し、けがをすることがないように配慮した。また、柔らかいペットボトルをはさみで加工する際にも、切り口には十分に注意するよう児童に伝えた。

11.活動の様子

 本題材では、材料の形や組み合わせ方の違いによる光の変化をとらえ、自分なりの美しさを追求することをねらいとした。児童が光の変化をとらえながら試行錯誤して活動した2時間目の実践を主に紹介する。

本時の指導(2時間目/全4時間)

①目標
 材料の形や組み合わせ方の違いによる光の変化をとらえ、思い付いたものを表すことができる。

②展開


学習活動

指導上の留意点


1.本時の活動の見通しをもつ。
・前時の活動を想起する。
・光の効果を確かめながら、発想を広げる。

前時の意見交流で確認した形の変え方のアイデアを黒板に残し、参考にできるようにした。

光を当てると美しく見える形を考えてつくろう。

・前時までの作品を学級全体で振り返りながら、表現の工夫に気付くことができるようにする。
・気付いたことを共有することで、活動の見通しをもてるようにする。

教師のタブレットをモニターと接続し実物投影機のように使用した。児童の作品を大きく鮮明に映し、学級全体で表現の工夫を共有した。


2.表現活動を行う。
・ペットボトルを切ったり組み合わせたりしながら、自分のイメージに合う形をつくる。
・つくる、光らせて試す、また考えてつくるを繰り返す。

中に入れるペットボトルのかけらの大きさを試行錯誤している様子

・思いに合わせて表現を工夫している児童、効果的に光らせることができている児童の作品を紹介し、イメージを広げることにつなげていく。
・接着は主にセロハンテープを使用し、何度も組み合わせ方を試せるようにする。
・光らせて試す場として、暗室(図工準備室)を準備する。

暗室の中で自然な会話が生まれ、よい鑑賞の場となった。

評価
感じたことから表したいことを見付け、形や色、材料の特徴、構成の美しさなどの感じを考えながら、どのように主題を表すかを考えている。
【思考・判断・表現】


3.学習を振り返る。
・自分の表したかったものや、そのために工夫したこと、気付いたことを振り返る。

グループで自分の作品の気に入っているところを伝え合い、自分の表現を振り返った。

・自分の表したかったものや、そのための工夫、活動から気付いたことなどを振り返り、伝え合うことで、イメージと言葉をつなげられるようにしていく。

完成した児童の作品

※「 」は児童のコメント

【作品例①】
 「ペットボトルをそのまま中に入れて二重にしようとしたが入らなかったので、折り曲げて入れたら、意外と光が反射してきれいだった。中にペットボトルを小さく切ったものを入れたら、さらに光が反射して、とてもきれいに光った。中身が出ないように蓋をつけ、全部四角の中におさまっている形が気に入っている。暗いところで見ると、きれいな光に癒される。」

 友だちの作品を見て、ペットボトルの中に別のペットボトルを入れることで光がさらに美しくなることに気付き、どのような大きさのペットボトルをどのような方法で入れるかを試行錯誤していた。自分の気に入っている四角の形の中になんとかおさめようと工夫し、折り曲げて入れていた。さらに光の反射を強めようと、細かく切ったペットボトルを量の調節をしながら中に入れ、自分の気に入った光り方になるようにしていた。

【作品例②】
 「ペットボトルをボコボコに潰してから大きめに切って中に詰めた。中がきらきら光っているのが気に入っている。最初は、セロハンテープを使っていたけれど、光を当てた時に、セロハンテープが見えてしまったので、セロハンテープを使わずにつくった。」

 最初は、ペットボトルに模様を付けようと、表面を傷付けたり、切ったペットボトルをセロハンテープで表面に貼り付けたりしていた。しかし、自分の気に入った光り方ではなかったようだった。その後、ペットボトルを潰した友だちの作品からヒントを得て、潰したペットボトルを切って中に詰め、光を当てた際に余計な影が出ないよう、セロハンテープを使わずに仕上げていた。

【作品例③】
 「ペットボトルの下の部分に、ペットボトルの上の部分を入れてみた。中で柱みたいになって、強く光った。その周りに、大きめに切ったペットボトルの破片を入れたら、ぼんやりと光った。白くぼんやりと光るところが気に入っている。」

 ペットボトルの組み合わせ方を試行錯誤していた。ペットボトルの上部と下部を組み合わせて光らせてみたところ、中に入れた上部が強く光り、とても気に入ったようだった。もう少し光を強めようと、中にペットボトルの破片を入れていた。透明度が少し低いペットボトルを大きめに切って中に入れたことで、白くぼんやりとした光になった。

【作品例④】
 「ペットボトルをりんごの皮みたいに切って、もう一つのペットボトルに巻き付けた。巻き付いてぐるぐるしている形が気に入っている。下の部分は、ペットボトルを重ねたので、きらきらしていて、上の方は、そのまま透き通った感じに光っているのがいい。」

 ペットボトルをりんごの皮のように切った後、それをどのように生かすか考えていた。別のペットボトルに巻き付けた後は、巻き付いているペットボトルの間隔をそろえながら、自分の気に入ったバランスになるよう試行錯誤していた。ペットボトルの重なった部分と重なっていない部分の光り方の違いにも気付いていた。

12.実践を振り返って

 導入の交流活動で、ペットボトルの形の変え方や組み合わせ方についてアイデアを伝え合ったことで、児童は、様々な形の変え方や組み合わせ方を考え出し、発想が広がった。また、材料をペットボトルに限定したことで、様々な表現を組み合わせて新しいものを生み出そうという意欲が高まった。
 暗室を準備したことで、鑑賞と表現を繰り返しながら、主体的に製作に取り組む姿が見られた。また、暗室では、お互いの作品を見ながら「透き通った光がきれいだね。」「白っぽい、淡い光の感じが雪みたいでいいね。」など、よさを認め合う自然な会話が生まれ、よい鑑賞の場となった。
 接着にセロハンテープを使用したことで、組み合わせを試行錯誤しながら追求することができた。一方で、セロハンテープの影を気にする児童もおり、接着せずに、組み合わせだけで表現しようと工夫する姿もみられた。
 今回は、LEDライトを使用したため、試行錯誤の段階では、縦、横、様々な方向に表現が広がり、形も様々だったが、光の美しさを追求していく過程で、光がよく通る縦方向の表現が多くなっていった。光源を変えることで、また違った美しさを追求していくこともできたかもしれない。

「ヒカリの国のなかまたち」(第3学年)

1.題材名

ヒカリの国のなかまたち

2.学年

第3学年

3.分野

立体に表す

4.時間数

5時間

5.準備物

教師:
透明な材料(フードパック、プラスチックカップ、プラスチックスプーン、卵パック、ストロー、緩衝材)、カラーセロハン、段ボール、電球、目玉シール、セロハンテープ
児童:
はさみ、タブレット

6.題材設定の理由

 本題材は、様々な色の光の世界にどんな生き物が住んでいるかを想像し、透明な材料で生き物をつくるものである。光を扱うことで、児童が直感的に美しさを感じ、題材への興味・関心をもち、造形的な見方・考え方を働かせながら学習活動を展開できると考えた。導入では暗い教室で4色の光を映し出し、その美しさに浸る活動からスタートし、児童の意欲を高められるようにした。また、透光性のある材料のみを使用することで、光を通すことで生まれる色の感じ、材料と光の色との組み合わせによる感じ、色の明るさといった造形的なよさや面白さを存分に感じ取ることができるようにした。

7.題材の目標

【知識及び技能】

  • 光を通す材料からヒカリの国に住む生き物をつくる行為を通し、材料や光の色の感じのよさが分かる。
  • 手や体全体を十分に働かせ、材料の組み合わせ方を変えたり、光の見え方を確かめたりして工夫してつくる。

【思考力、判断力、表現力等】

  • 光を通す材料から、ヒカリの国に住む生き物を思い付き、どのように表すか考える。
  • 自分たちの作品や製作過程から、造形的なよさや面白さを感じ取、自分の見方や感じ方を広げる。

【学びに向かう力、人間性等】

  • つくりだす喜びを味わい、進んでヒカリの国に住む生き物を表したり鑑賞したりする活動に取り組む。

8.題材の評価規準

【知識・技能】
 ヒカリの国に住む生き物をつくる行為を通し、光を通す材料や光の色の感じのよさを分かっている。
 手や体全体を十分に働かせ、表したい生き物のイメージをもって材料の組み合わせ方を変えたり、光の見え方を確かめたりして工夫してつくっている。

【思考・判断・表現】
 光を通す材料から、ヒカリの国に住む生き物を思い付き、どのように表すか考えている。
 自分たちの作品や製作過程から、造形的なよさや面白さを感じ取り、自分の見方や感じ方を広げている。

【主体的に学習に取り組む態度】
態表態鑑 つくりだす喜びを味わい、進んでヒカリの国に住む生き物を表したり鑑賞したりする活動に取り組もうとしている。

9.本題材の指導にあたって

 児童が様々な色の光から感情、自然、音、温度などのイメージを広げ、それに合った生き物を発想することができるように、光の色から感じるイメージを膨らませる活動と、生き物に光を当てて見え方を試す活動を十分に行った。
 導入では、指導者が作例として用意した生き物に光を当てて見せることで、素材の特徴を捉え、光を通すことの面白さや美しさを感じることができるようにした。赤・青・黄・緑の4色から児童が直感的に感じた「情熱的だ」「寒そう」「太陽の光のよう」「森の中にいるみたい」といったイメージを発表し合うことで、一人ひとりが色の違いによる面白さを感じられるようにした。児童はさまざまな色の光に興味をもち、「きれい」「次は何色かな」など光の美しさに驚いている様子が見られた。
 表現活動では、毎時間、様々な色の光の空間(「ヒカリの試着室」)に製作中の生き物を置いて、見え方を試すための「旅行タイム」を設定した。

「ヒカリの試着室」(図1)
段ボール箱、電球、プラスチックカップ、色セロハンで作成。白い電球にプラスチックカップ(赤・青・黄・緑それぞれの色セロハンを貼ったもの)を自由に被せることで、箱の中の色を変えることができる。

 教室を暗くし、製作中の生き物を「ヒカリの試着室」の中に置いて見え方を確認することで、材料の組み合わせなど、どんな工夫をすれば自分のイメージに合う生き物をつくることができるのか考えられるようにした。

10.題材の指導計画

光を通す材料に興味をもち、自分の選んだ色のヒカリの国にいたら面白いと思う生き物を考えてつくりはじめる。(1時間)
生き物を光の空間に置いて色の感じを確かめながら、自分のイメージに合うように製作を進める。(3時間)
自分たちの作品を見て、感じとったり考えたりしたことを話し合いながら自分の見方や感じ方を広げる。(1時間)

11.授業の様子

 本題材では、児童が材料の組み合わせや光の色による見え方の違いなどを試すことで、一人ひとりがつくりたいもののイメージをもち、創造的に活動することをねらいとした。児童が初めて材料を光に当て、鑑賞と表現を繰り返しながら試行錯誤して活動する2時間目の実践を主に紹介する。

本時の指導(2/5時間)

①目標
 材料の組み合わせを工夫して光の色に合う生き物をつくることができる。

②展開


学習活動

教師の働きかけ




1.本時の活動の見通しをもつ。
・前時の活動を想起する。

・前時までの学習を振り返りながら、4色のイメージを確認できるようにする。

「どのように材料を工夫してヒカリの国に住む生き物をつくりましたか。」
・工夫したこと、発見したことを全体で共有し、形の工夫の面白さに気付くことができるようにする。

・本時の学習課題を確認する。

自分のすきなヒカリの国にぴったりの生き物をつくろう。

 








2.表現活動を行う。
・製作途中の生き物を4色の光に当ててイメージを確認する。

「それぞれの色の国に合う生き物を考えましょう。」
・同じ生き物でも光の色によって感じるイメージが違うことに気付くことができるようにする。

・自分の使いたい材料を選び、自分の選んだ色のヒカリの国に住む生き物をつくる。

・形や素材、硬さの異なる材料を用意することで、それぞれの特徴を生かしながら表現することができるようにする。

・生き物を様々な色の光の中に置き、見え方を確認する。

・「ヒカリの試着室」を用意し、光の色の違いによる見え方の変化や、材料それぞれの見え方の違いに気付くことができるようにする。また、作品の装飾に使用したカラーセロハンの見え方も、光との組み合わせによって変化する点にも着目するよう伝える。
・見え方を試すことで、さらにどんな工夫をすればよいか発想を広げることができるようにする。

・材料の特徴を生かしながら表現活動を続け、自分のイメージに近づける。

・手が止まっている児童には他の児童の作品を見に行くよう促すなどして友達の表現のよさを見付け、発想を広げることができるようにする。
・表現しながらイメージが変わってきた児童については、初めとは違う色の国に住むことにしてもよいと伝える。

評価

材料の組み合わせを工夫して光のイメージに合う生き物をつくっている。
【思考・判断・表現】(観察・対話・作品)




3.学習を振り返る。
・自分が活動を通して、学んだことを振り返る。

「光の色に合わせてどんな工夫をしましたか。」
・気付いたことや工夫したこと、次の時間にやってみたいこと等を振り返り、次時への意欲を高めるようにする。
・自分の作品を撮影し記録することで、児童が自己の変容を捉えることができるようにする。

完成した児童の作品

【作品例①】緑の国のすし屋の店長
 店長は、お客さんにサービスをする穏やかな性格なので、優しいイメージの緑の国を選んだ。緑の光に緑のセロハンは目立たないので、緑の光に合う青のセロハンを多く使った。色の見え方を何度も確かめながら製作していた。

【作品例②】タイムマシーンにのったペンギン
 黄色の国に迷い込んだペンギンを想像してつくった。未来っぽさを感じる黄色を選んだ。帽子を二重にしてレバーが動くように工夫した。色セロハンをストローの中に入れたり透明カップの内側に貼ったりして光を通したときの見え方を考えていた。

ヒカリの国の鑑賞

 最後には、それぞれのヒカリの国に住む生き物を集め、鑑賞を行った。

12.実践を振り返って

 導入では、赤・青・黄・緑の4色の光から自分の表したいことのイメージを広げる活動を行った。指導者が作例として用意した生き物に光を当てて見せた際には、児童が感じたこととその根拠を確かめながら話し合い、自分がつくりたい生き物のイメージが明確になるようにした。それによって、「ぼくは強い生き物をつくりたいから、やっぱり赤にしよう。」「青い国に住む海の生き物をつくってみたいな。」など、表したいことが具体化され、製作への意欲を高めることにつながった。
 表現活動では、材料の組み合わせや光の色による見え方の違いを試す「旅行タイム」を設定した。「旅行タイム」では、自分の表したいイメージに合うかどうか光の当て方を変えてみたり、別の色との見え方の違いを比べてみたりする児童の姿が見られた。そして工夫したいことを見付けてつくり、また光に当てて見え方を試しさらにつくるというように、鑑賞と表現を繰り返しながら主体的に製作に取り組むことができていた。また、光に当てた生き物を同じグループの友達と見せ合うことで、お互いの作品のよさを自然に伝え合ったり、新たな発想をしたりする児童もみられた。
 様々な工夫をする児童がいる一方で、イメージを広げることができず、材料にあまり手を加えないまま仕上げてしまう児童も見られた。ヒカリの国での暮らしや生き物同士の会話を想像させたり、劇化させたりするなど、生き物やその世界をたっぷり想像するよう促すといった手立ても考えられた。