小学校 図画工作
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![「プレゼント大作戦〜新製品開発プロジェクト〜」(第6学年)](https://www.nichibun-g.co.jp/data/wp-content/uploads/2024/07/cs_zuko059_eye.jpg)
1.題材名
プレゼント大作戦〜新製品開発プロジェクト〜
2.学年
第6学年
3.分野
工作に表す
4.時間数
6〜8時間
5.準備物
6.題材設定の理由
本題材は、お世話になった人や感謝の気持ちを伝えたい人のことを思い、ものをつくることで、与えられた受け身の活動ではなく、実感の伴う意欲的な活動になることを期待しました。
大切な人やお世話になっている人、感謝を伝えたい人に向けて、世界に1つしかない新製品をつくりプレゼントする活動です。「プレゼントすることで、思いが伝われば良いよね」という声かけのもと、既習の用具や材料を使い製作活動を行いました。
材料・用具・加工方法を自分で選択し製作活動を進めるため、今までの図工で培った力を発揮できる題材です。児童自身がプレゼントする相手を決め、相手の状況や性格、好みに適したものを考え、材料・用具を選び相応しい表現をすることは、図工で培った力を総結集させなければ行えない活動です。
また、本題材は、展覧会に出品するのにも適した題材です。この題材では、思春期に差しかかる6年生という時期に、日頃伝えづらい思いを図工の授業だからこそ表現でき、直接伝えるのは照れ臭いけれど作品としてなら伝えられるという児童の姿が見られます。鑑賞した家族や地域の人に、児童の思いや気持ち、思考の流れが魅力的に伝わる題材でもあります。形や色に加えて、児童の考えや発想を楽しむことができます。
7.題材の目標
知 材料や用具を生かして表すときの感覚や行為を通して、造形的な特徴を理解する。
技 発想したことに合わせて形や色、材料の組合せ、用具を選択し、工夫して表すことができる。
発 プレゼントする相手のことを考え、どのような人なのか、どのような生活をしているのか、その生活の中で困っていることはあるか、もらったら嬉しいものはどのようなものなのかを段階ごとに考え、世の中には存在しない新製品を発想することができる。
鑑 自他の作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の工夫などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めることができる。
プレゼントをする相手のことを考え、意欲的に活動することができる。発想したものを粘り強く取り組み作ることができる。
8.題材の評価規準
知 材料や用具を生かして表すときの感覚や行為を通して、造形的な特徴を理解している。
技 発想したことに合わせて形や色、材料の組み合わせ、用具を選択し、工夫して表している。
発 プレゼントする相手のことを考え、どのような人なのか、どのような生活をしているのか、その生活の中で困っていることはあるか、もらったら嬉しいものはどのようなものなのかを段階ごとに考え、世の中には存在しない新製品を発想している。
鑑 自他の作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴,表し方の工夫などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。
プレゼントをする相手のことを考え、意欲的に活動している。発想したものを表すために、粘り強く取り組もうとしている。
9.指導計画(○児童の活動 □教師の指導の手立て)
○プレゼントを贈る相手を想定します。
○相手のことを考えます。何が好きなのか、日頃困っていることは何なのかなど、ワークシートで整理します。
○どのようなものをつくるのか、相手の生活が豊かになるものや貰って嬉しいものは何か考えます。
○考えたことを基にアイデアスケッチをかいて、材料やどのような思いからつくるのか教員と打ち合わせをします。
□教員は「相手の状況→どのようなプレゼントが嬉しいか」という発想の流れが本題材では重要であること意識し、声かけ・打ち合わせをします。
□世の中にない、世界に一つしかない新製品を開発しようと全体に共有します。
○アイデアスケッチを基に材料を選び、手順を検討し計画的につくっていきます。紙粘土を使うなら芯材を用意するところから、箱型のものなら大きさを考えて材料を切るところから進めていきます。
□教員は児童の思いを大切にし、アイデアスケッチを基に既習事項と材料や用具、製作時間を踏まえて実現可能な新製品開発のアドバイスを行います。
□制作を「大きいところ→細かいところ」に意識して進めていくこと、用具・接着剤の使い方を全体に伝えつつ、児童それぞれに合った声かけを行います。
○作品が完成した際に、名札とメッセージカードを準備します。メッセージカードを書くことで相手への思いや作品に対する考えがより伝わる鑑賞になることが期待できます。メッセージカードは、日頃の感謝の気持ちや、なぜ本作品をつくったのかという想いが相手に伝わるように書きます。
○展覧会や公開授業で作品を展示することで、作品を通じて作者の思いが伝わります。
10.おわりに
想いが伝わる鑑賞の場
本題材を鑑賞した保護者や地域の人からの感想に「子どもの思いが作品やメッセージカードから伝わりました」「メッセージカードを読んで感動して泣きそうになりました」といったものがありました。作品の出来栄えや色や形を楽しむのに加え、作品に込めた児童の思いが伝わる鑑賞の場になりました。
活動と動機
6年生が主体的に活動するための動機として「プレゼント大作戦」は、自然で無理のないものになりました。誰かのためにつくるという設定があったからこそ、最後まで粘り強く製作できた児童もいました。より良くしたいという思いを抱くことで、活動が深まることに繋がりました。自分のためのものづくりとは異なる、誰かのためのもの作りの可能性を感じました。
展覧会での児童の姿
本題材を展覧会で展示した際に、ほとんどの6年生が自分の作品を同じ学年や他学年の児童にしっかり紹介することができました。また、保護者や地域の人に向け、照れながらも生き生きと作品について語る様子もありました。「誰に→何を→どのようにつくるか」という製作活動の中で、自分で考え、自分の思いをのせて取り組むことができたからこそ、それを他者に向けて語ることのできる作品に仕上げることができました。