児童が考えを深める道徳授業(3) ―小道具等を使用した教材提示の工夫―(第5学年)

1.主題名

やっぱり親切っていいな  B[親切・思いやり]

2.教材名

くずれ落ちた段ボール箱
(出典:文部省「小学校 道徳の指導資料とその利用 4」昭和56年3月)[一部再構成]

3.主題設定の理由

(1)ねらいとする道徳的価値について
 人間は一人では生活していけない。家族はもちろんだが、家族以外のたくさんの人々と常に関わり合いながら生活している。その中で、よりよい人間関係を築いていくことが大切であり、それがよりよい生き方につながっていく。
 よい人間関係を築くには、相手に対する思いやりが不可欠である。それが、他人に接する時の基本姿勢となる。思いやりとは、相手の立場になって相手のことを考えて、その自分の思いを相手に向けることである。そして、それを具体的に表していくのが親切な行為である。親切な行為にはいろいろあり、場合によって、温かく見守り接することもあれば、相手に対して励まし手助けをすることなどがある。
 そこで大切になってくることは、「自分にとって」ではなく、あくまでも「相手の立場になって」考えることを忘れてはいけないということである。人間一人一人は考えや性格・置かれている環境も違う。それをしっかりとらえた上で考えていかなくてはいけない。また、思いやりの心を伴った親切な行為は家族や親しい友達だけでなく、だれに対しても行っていくことが重要である。そこで自分の行った親切な行為によって、相手が喜び、また、それが自分にとっての喜びとなっていくことを知り、「やっぱり親切っていいな。」ということを考えさせていきたい。

(2)児童の実態について
 本学級の児童は気持ちの優しい児童が多く、学校生活の中でも、自然に友達のことを考えて進んで手助けをしている場面が多く見られる。また、たてわり活動などでの姿を見ても、低学年の児童が戸惑っている様子に気付き、手を添えて近くまで連れていってあげたり低学年の児童の目の高さに合わせて話をしていたりしている。
 さらに、登下校の際におばあさんが道がわからなくて困っていた様子を見て,何人かで声をかけ教えてあげたことで喜んでもらえたことを嬉しく思い日記等で教えてくれた子もいる。
 親切というのは、相手に認めてもらうためにやるものではない。自分のやった親切な行為が困っている人の手助けになり、それが自分にとっても人のために何かできたという喜びとなるものだということに気付かせていきたい。その上で、なかなか勇気がいることではあるが、相手が誰であっても、困っている人がいたら、相手の立場になって考え、そのままにはしていられない、親切にしていきたいという気持ちを考えさせていきたい。

(3)教材について
 小さい男の子が、狭い通路にあった段ボール箱を崩してしまう。男の子は気にも留めずおもちゃ売り場に行ってしまい、一緒にいたおばあさんは片付けたくても男の子が気がかりで困っていた。わたしと友子さんは、その様子を見かねて、自分たちが片付けると言って片付け始めた。しかし、店員さんに誤解され、厳しい口調で叱られてしまう。おばあさんに後でお礼を言われてもすっきりせずにいたが、後日、店員さんからの謝罪とお礼の手紙をもらい、親切にしてよかったと晴れ晴れとした気持ちになるお話である。
 親切にしたにもかかわらず、認めてもらうどころか誤解をされ叱咤され、「こんなことならしてやらなきゃよかった。」という気持ちは子どもだけでなく、大人でもそう思うことがほとんどである。そのような葛藤場面を考えさせ、親切とは何かと深く考えることができる教材である。
 この教材を通して、知らない人であっても困っている人がいたら親切にすることで、相手が喜ぶだけでなく、自分の心も「親切にしてよかった。」という晴れ晴れとしたい気持ちになるということを考えさせたい。

4.教材分析図

場面

わたしの心の動き

発問

①わたしは友子さんと買い物に出かけた。

・とっても楽しみだなあ。何を買おうかな。
・二人でいろいろ選べて楽しいだろうな。
・ワクワクするなあ。

②ショッピングセンターの裏の段ボールが山のように積んである通路を通っていた。

・今日は混んでいていやだな。
・友子さんと離れてしまいそう。
・段ボールがこんなに積んであって倒れてきたら、大変だな。
・段ボールが邪魔だなあ。

③わたしたちの前を男の子とおばあさんが歩いていた。

・おばあさんと一緒に買い物に来て、とても楽しいんだろうな。
・おばあさん一人で小さい子を連れているのは大変。
・男の子、かわいいな。

④男の子が段ボール箱にふれながら歩いていた。

・危ないな。
・倒れないといいな。
・倒れたら、けがをしてしまう。

⑤段ボール箱が通路にくずれ落ちた。

・やっぱり落ちちゃった。
・危ないなあ。
・通れない。困るなあ。
・だれもけがしなくてよかった。
・おばあさんも注意しておけばよかったのに。
・男の子は、叱られちゃうだろうな。

⑥男の子は気にする様子もなく、おもちゃ売り場に行こうとおばあさんの手をひいていた。

・ひどい。ちゃんと片付けなきゃ。
・えっ!そのままにしちゃうの?
・少しは悪いとか思わないのかな?
・小さいから仕方ない。

⑦おばあさんが整理し始めたが、男の子はおもちゃ売り場に行ってしまった。

・おばあさん一人にさせて、男の子はひどい。
・なんでおばあさんの言うことをきかないんだろう。
・男の子は、迷子にならないかな。大丈夫かな。

⑧周りの買い物客は誰も手伝うことをしなかった。

・手伝ってあげないのかな。
・見ているだけなんて、みんなひどいなあ。
・おばあさん一人でかわいそう。

⑨おばあさんの困っている様子を見て、わたしたちも段ボール箱の整理を始めた。

・おばあさんが困っているのに、何もしないのは悪いなあ。
・手伝ってあげよう。
・みんなでやれば早い。
・おばあさんが一人でやるのはかわいそう。

⑩おばあさんは、男の子が気になって、周りを見回していた。

・男の子が心配なんだろうなあ。
・男の子、迷子になっていないといいな。

⑪「わたしたちが整理します…。」とおばあさんに言うと、おばあさんは、お礼を言って男の子の方へ行った。

・これで、おばあさんは、男の子のことを探しに行けるから、安心できるだろう。
・おばあさんの役に立てる。
・おばあさんに喜んでもらえてうれしい。
・ちょっといいことしたかも。

⑫おばあさんのことを話しながら段ボール箱を一生懸命に整理していた。

・もとに戻ってよかった。
・おばあさん、男の子のこと探せたかな。
・いいことをして、気持ちいいな。
・きれいに直せそう。

一生懸命に段ボールを整理していた時、私はどんな気持ちだったでしょうか。(親切をして気持ちがいいことをおさえる)

⑬店員がやってきて、遊んでいて落としたと疑われた。

・えっ?何のこと?
・店員さん、だれかと勘違いをしている。
・わたしたちは悪いことしてないのに。
・おばあさんのかわりやっているのに。
・人違いをしないでほしい。
・話も聞かずに勝手に決めないでほしい。

⑭周りの人に叱られている様子を見られた。

・はずかしい。
・わたしたちでないのに…。

⑮悪いことをしていないと言い聞かせたのだが、言葉にならなかった。

・堂々としていればいい。
・なぜ、こんなこと言われなくてはいけないの。
・なんて言えばいいの。
・男の子のせいと言っても信じてくれないかも。

⑯それでもむしゃくしゃしながら、最後まで片付けていた。

・何で何も悪くないのにこんなふうに言われなきゃいけないの?
・ひどい。
・手伝わなきゃよかった。

⑰整理は片付いた後、店員さんにまたきつい口調で言われた。

・ひどい。
・勝手に疑って!
・最後まできれいに片付けて、何で、こんな風にいわれなきゃいけないの。
・こんなことなら、おばあさんのために片付けなきゃよかった。
・あの男の子のせいだ。
・おばあさん戻ってきて、説明をしてほしい。

①片付けが終わった後になってまでも、店員さんにきびしい口調で注意された時、私はどんなことを考えたでしょうか?

⑱おばあさんが男の子を連れて戻ってきて、お礼を言われた。

・今さらお礼を言われても…。
・今ごろ戻ってきても遅い。
・もっと早く戻ってきてよ。
・男の子が崩さなきゃこんなことにならなかったのに。
・親切にしたことには変わりない。

②「いいえ、いいんです。」と言って、その場を立ち去ったわたしの心の中には、どんな思いがあったでしょうか。

⑲朝会の時に校長先生が、ショッピングセンターから手紙が来たことをお話になった。

・また、文句を言ってきたの…。
・ひどい。学校まで連絡しなくてもいいのに…。
・どんな内容の手紙なんだろう。
・いやだな。聞きたくない。

⑳手紙の内容を聞いた。

・やっとわかってくれたんだ。
・わかってもらえてうれしい。
・おばあさんの手助けをしてよかった。

㉑友子さんも嬉しそうにしていたし、わたしも足取りが軽やかだった。

・やっぱり親切にするっていいな。
・いいことをすると気持ちがいいな。
・あの時、手伝ってよかったな。

③わたしの足取りが軽やかになったのは、心の中がどんな思いでいっぱいになったからでしょう。

5.ねらいに迫るための手立て

(1)座席の工夫
〈教材提示〉教材にじっくりひたらせるために、全員が担任の方を向くように、横の座席の児童は前向きにする。
〈話し合い〉座席をコの字にし、みんなの顔が見て、話し合いができるようにする。
〈振り返り〉前向きの座席の形にし、一人一人がじっくり自分のことを振り返られるようにする。

(2)教材の精選
 各社の副読本で使用されている教材である。内容が、文部省の方が「わたし」の心の様子をより細かく書いてあるので、原作である文部省の教材を使う。ただし、古くから使われている教材なので、現代に合わせるために一部再構成した。

(3)教材提示の工夫
 話の流れがわかりやすい教材なので、教材は手元に渡さずに、場面絵は映像で映したり、実際に段ボールを用意したりし、教師が児童の様子を見ながら範読をする。ねらいに関係なく、今の児童があまり使わない表現のところは少し省いて提示する。手紙は、映像に最初は映さずに読み、主人公と同じようにどんな内容かを考えさせる。

6.本時

(1)ねらい
 店員さんからもらった手紙を聞いて、私の足取りが軽やかになった時の気持ちを考え、だれに対しても思いやりをもち、相手の立場になって考え、困っている人には進んで親切にしようとする心情を育てる。

(2)本時の展開

□学習の流れ ○発問 ・予想する児童の活動

・指導上の留意点


□道徳的諸価値への導入
○困っている人に親切にした後、どんな気持ちになりますか。
・いいことしてよかったなあ。
・喜んでもらえて嬉しかった。
・気持ちがすっきりした。

・児童の言葉をもとに主題につなげる。





□教材を読み、話し合う。

・教材を画像に映しながら、教師が範読をする。横の座席の児童は前向きにする。
・一生懸命に段ボールを整理していた時の気持ちを教師がおさえてから発問に入る。

①片付けが終わった後になってまでも、店員さんにきびしい口調で注意された時、わたしはどんなことを考えたでしょう。
・ひどい。勝手に疑って!
・最後まできれいに片付けて、何で、こんな風にいわれなきゃいけないの。
・あの男の子のせいだわ。
・こんなことなら、おばあさんのために片付けなきゃよかった。

②「いいえ、いいんです。」と言って、その場を立ち去ったわたしの心の中には、どんな思いがあったでしょう。
・今さらお礼を言われても…。
・今ごろ戻ってきても遅い。
・男の子が崩さなきゃこんなことにならなかったのに。
・親切にしたことには変わりない。
・おばあさんには喜んでもらえたからいい。

・お礼を言われても納得いっていないわたしの気持ちと、親切にしたことにはかわらない気持ちが入り混じっている思いを出させ、どちらが強いか考えさせる。
・2人組で役割演技をさせる。

③わたしの足取りが軽やかになったのは、心の中がどんな思いでいっぱいになったからでしょう。
・やっぱり親切にするっていいな。
・いいことをすると気持ちがいいな。
・あの時、手伝ってよかったな。

・疑いが晴れてすっきりしたというような発言が出た場合は、みんなに投げかけ、話し合う。





□自分を振り返る
○相手のことを考えて親切にしたり、自分のことを考えてもらって親切にされたりして、「やっぱり親切っていいな」。と思ったことはありますか?その時のことを書きましょう。
・電車に乗っていて、おばあさんに席を代わって、お礼を言われた時。
・下校の時に転んで困っていたら、近くを通った子が、大丈夫と言ってハンカチを貸してくれた時、とてもうれしかった。

・ワークシートに書く。
・発表したい児童がいれば、発表させる。


○教師の説話をする。(手袋の話)

(3)評価
・親切にしたことを後悔していたが、店員さんからもらった手紙を聞いて、「やっぱり親切っていいな。」と思った主人公の気持ちを考えることができたか。(③の発言)
・誰に対しても思いやりの気持ちをもち、相手の立場を考え、親切にしていくことの大切さに気付き、「やっぱり親切っていいな。」、これからも親切にしていきたいなという心情になったか。(ワークシート)

(4)板書計画

(5)ワークシート

児童が考えを深める道徳授業(2) ―教材提示を工夫して―(第6学年)

1.主題名

自分の役割と責任に誇りを  C[よりよい学校生活、集団生活の充実]

2.教材名

海の勇者(出典:文部省「小学校 道徳の指導資料 第2集 第6学年」1965年)[一部再構成]

3.主題設定の理由

(1)ねらいとする道徳的価値について
 人は社会的な存在であり、家族や学校をはじめとする様々な集団や社会に属して生活を営んでいる。それらの集団や社会の中で生活していく上で大切なことは、集団や社会の中で一人一人が尊重して生かされるとともに、一人一人が主体的にその集団や社会に関わっていくことが大切である。そのためには、各自が役割をもち、その責任を果たしていくことが必要になってくる。しかし、人は大きな集団になればなるほど「誰かがやってくれる。」「自分がやっても大して変わらない。」といった無責任な気持ちで集団に関わり、自分の役割に責任をもとうとせず、責任転嫁してしまうこともある。しかし、これは個にとっても集団にとってもマイナスでしかなく、いずれはその集団のまとまりを壊してしまうことにもつながる。また、人は逆に自分の役割を自覚しているものの、その責任の重さに耐えられずその役割を投げ出してしまいたくなる弱さをももっている。
 いろいろ大変なことや自分の力だけではどうにもならないことが起こったとしても、集団や社会の中で自分の役割を自覚しその責任を果たしていくことをしていかなければ、よりよい集団や社会をつくっていくことはできない。そのように自分の役割を果たす経験を重ねる中で、「集団を支えている一人なんだ。」ということに気付いたり、集団の中で主体的に協力することの大切さを知ったりすることができる。自分の役割をしっかり果たすことで、所属する集団がよりよく向上していくことをじっくり考えさせていきたい。そして、集団の中で役割をもつことが大変なことと思うのではなく、自分が責任をもってやったことが集団に影響を与えることを考えることによって、自分に与えられた役割と責任を自分の誇りとしてどんなことがあっても最後まで責任を果たしていこうとする心情を育てたい。

(2)児童の実態について
 自分に与えられた仕事は責任をもってやろうとする児童が多い。普段の学校生活でも、係や委員会の仕事に責任をもち、その仕事の中でも全校に対して先頭にたってやらなくてはいけない時など、隙間の時間まで原稿に目を通していたり、練習に励んでいたりしている。また、6年生だからこそ頼まれた仕事や先生から自分を見込んで頼まれた仕事などは、生き生きと誇りをもって仕事をしている姿に頼もしく感じることもある。また、真面目に取り組んだり、責任感を強くもつ気持ちが強かったりすればするほど自分の責任に対して重く感じていることもある。
 責任をもつということは大変なことではあるが、自分の責任を重く感じるのでなく、自分が責任をもってやったことが集団の支えになっていることに気付かせ、自分に与えられた役割と責任を自分の誇りとして、どんなことがあっても最後まで責任を果たしていくことの大切さを考えさせたい。

(3)教材について
 1951年12月26日に実際に大西洋で起こった出来事の話である。突然の大嵐の中、船長のクルト=カールセンは必死に船と乗客、船員を守ろうとしていた。しかし、自然の驚異には勝てず、船がだんだん傾き、航海を続けることができなくなった。クルト=カールセン船長は乗客の命を守るために細かに避難の指示を出す。乗客、船員がボートに移った。しかし、クルト=カールセン船長は、船員の再三の呼びかけにも応じず、船を守るという自分の船長としての責任を果たそうとする。
 乗客が無事救助され、クルト=カールセン船長のもとにも救助船が向かい、とうとう船が沈んでしまうというところでクルト=カールセン船長も救助された。その最後まで乗客と船を守ろうとした船長の姿をたたえた内容である。
 何社かの副読本にもこの教材は掲載されている。原作である文部省「小学校 道徳の指導資料 第2集(第6学年)」を読み、その時の情景がよく描写され、クルト=カールセン船長の自分の責任に対する思いがよく分かるので、原作をもとにねらいとするところに着目して再構成をした。
 この教材を通して、クルト=カールセン船長が船長として、乗客と船をまもろうと最後の最後まで自分の責任を果たそうとした姿を通して自分の役割に責任をもち、また、それを誇りとしてどんなことがあっても最後まで責任を果たしていくことが集団の大きな支えとなることを考えさせていきたい。

4.教材分析図

場面

主人公の心の動き(内面)

発問

①船長と船員たちが必死に船を守っていた。

・早く嵐が静まってほしい。
・こんな嵐は初めてだ。
・このままではまずい。
・どうにかして、船と乗客を守らなくては…。

②船は、左に大きく傾いていった。

・もうだめなのか。
・これでは、乗客の命が守れない。
・誰か助けてくれ。
・奇跡が起きてほしい。

③じっと夜のように暗い薄気味悪い空の一角をにらんでいた。

・嵐は止んではくれなさそうだ。
・これからどうしたらいいのだろう。
・船と乗客を守るにはどうしたらいいのだろう。
・どうすることもできないのか。

④やがて、静かにしかし強い声で命令した。

・とにかく乗客だけは助けなければならない。
・この嵐の中を救助ボートで逃げるのは大変だが、このまま船に残っていても助からない。

⑤「お客様を先にお乗せしろ。風は冷たいぞ。毛布、セーター、ありったけお着せしろ。」と声をあげていた。

・乗客を無事に港に避難させなければ。
・この嵐の中、ボートで避難するのも大変だ。最善のことをしなければならない。
・どうにか港まで行ってほしい。

⑥「船長、早く乗ってください。」と、船員たちが口ぐちに叫んだ。

・ありがとう。
・よい船員に会えた。

⑦「船を最後まで守り通すのは、私の責任だ。きみたちの責任は、お客様の命を守ることだ。さあ、早く。」と船長は言った。

・船員たちの言っていることはわかる。でも、私の責任を果たしたい。
・船を守ることは船長の責任だ。乗客を守ることも私の責任だ。
・乗客のことは任せた。お願いだから、乗客を無事に守ってほしい。

⑧遠ざかるボートを、じっと見つめながら船長はつぶやいた。

・この嵐の中で無事にいけるだろうか。
・お願いだ。みんな素晴らしい船員だ。きっと船員は自分たちの責任を果たしてくれるだろう。
・自分の判断に間違いはない。
・自分はこの船を絶対に守るぞ。

○遠ざかるボートをじっと見つめながら、クルト=カールセン船長はどんなことを考えていたでしょう。

⑨傾きかけたエンタプライズ号は、救助船ターモイル号に引かれ、イギリスのファルマス港に向かって進んでいた。

・よかった。これで、船を守ることができる。
・あきらめなくてよかった。
・乗客も無事でよかった。

⑩1週間の後、エンタプライズ号は、その大きな体をぶくぶくと海の中へ沈め始めた。

・あと少しだったのに、ほんとうに残念だ。
・頑張ってきたのに…。
・嵐が憎い。
・ここまで頑張ったんだから仕方ない。
・船を守れなかったから、船長としては失格となるかも。

○クルト=カールセン船長は、どんな思いでフライング=エンタプライズ号が沈み始めるのを見ていたのでしょう。

⑪ファルマス港に入っていくと、人々は船長をほめたたえた。

・みんながこんなに喜んでくれて嬉しい。
・船は残念だが、乗客が無事だったことが何よりだ。
・乗客を守れてよかった。

⑫乗客と船員がみな無事に助かり、しかも、二代目のエンタプライズ号が、船長のために用意されていた。

・乗客も船員の命を救うことができて本当によかった。
・大変だけれど、責任を果たすことができてよかった。
・また、船長として頑張ることができる。
・さらに良い船長になろう。
・今度こそ、船も守りたい。
・自分のやったことが認められた。

◎乗客と船員が無事であり、さらに二代目のエンタプライズ号が用意されていることを知って、クルト=カールセン船長は、どんな思いだったのでしょうか。

5.ねらいに迫るための手立て

(1)座席の工夫
〈教材提示〉教材にじっくりひたらせるために、全員が担任の方を向くようにする。
〈話合い〉座席をコの字にし、みんなの顔が見て話し合いができるようにする。
〈振り返り〉前向きの座席の形にし、一人一人がじっくり自分のことを振り返られるようにする。

(2)教材提示の工夫
 実際にあった映像を教材提示の中で提示し、臨場感あふれるよう工夫する。他にも、場面に応じた写真をパワーポイントで映しながら、教師が範読する。

(3)話合い活動の工夫
 ハンドサインを活用し、児童の考えを把握し、多様な意見が出るようにする。中心発問では、ドキワク発言(手を挙げた児童以外でも教師が意図的に指名された児童が発言する)を活用し、話し合いを深めていくようにする。

6.本時

(1)ねらい
 乗客と船員の命を守り、また新しい船で船長ができることを知った船長の気持ちを考え、自分の役割の責任を果たすことが集団の支えとなることを自覚し、どんなことがあっても最後まで責任を果たそうとする心情を育てる。

(2)本時の展開

□学習の流れ ○発問 ・予想する児童の活動

・指導上の留意点
☆ねらいにせまるための工夫


□価値への導入
○6年生として責任をもってやってきたことはどんなことがありますか。また、その時はどんな気持ちでしたか。
・1年生のお世話…言うことを聞いてくれなくて大変だった。でも、かわいかった。
・委員会の仕事…みんなの前で言う時はちゃんと言わなきゃとドキドキした。

・全員に発言させる。展開に入る前に、「その責任が重いなあと思うことはあったか。」と問いかける。





□教材を視聴し、話し合う。
①遠ざかるボートをじっと見つめながら、クルト=カールセン船長はどんなことを考えていたでしょう。
・この嵐の中で無事にいけるだろうか。
・お願いだ。みんな素晴らしい船員だ。きっと船員は自分たちの責任を果たしてくれるだろう。
・自分の判断に間違いはない。
・自分はこの船を絶対に守るぞ。

☆パワーポイントで映しながら、教師が範読する。
・ここでは、乗客を助けるという責任だけでなく、船長は、船を守るという責任があることをしっかり考えさせる。

②クルト=カールセン船長は、どんな思いでフライング=エンタプライズ号が沈み始めるのを見ていたのでしょう。
・あと少しだったのに、ほんとうに残念だ。
・頑張ってきたのに…。くやしい。
・嵐が憎い。
・船を守れなかったから、船長としては失格となるかも。
・ここまで頑張ったのだから仕方ない。
・帰ったら、船を守れなかったことを責められるかもしれない。

☆ハンドサインを活用し、多様な意見が出るようにする。
・船を守れず、船長として責任を果たせてないという意見と、乗客の命は守っているし、ここまで守ろうとして守れなかっただけだから船長としての責任は果たせたという意見の両方を出させ、「船長としての責任」に着目させて話し合わせる。どちから一方の意見しか出なれば、補助発問によって、他方の意見も出るようにする。

③乗客と船員が無事であり、さらに二代目のエンタプライズ号が用意されていることを知って、クルト=カールセン船長は、どんな思いだったのでしょうか。
・乗客も船員の命を救うことができて本当によかった。
・大変だけれど、責任を果たすことができてよかった。
・また、船長として頑張ることができる。
・さらに良い船長になろう。
・今度こそ、船も守りたい。
・自分のやったことが認められた。

☆ドキワク発言を活用する。
・ただ船をもらって嬉しいという気持ちだけではないことに気付かせる。





□自己を振り返る。
○自分が責任をもってやったことで、みんなが喜んでくれたり、その集団がよりよい方向にいったりして充実感をもち、またその役割を頑張りたいなと思ったことはありますか。
・リレーのキャプテンをやって、みんなが生き生きと楽しくやっていたので、またやりたいなと思った。

・ワークシートに書く。


□教師の説話を聞く。

(3)評価
・乗客と船員が無事であり、さらに二代目のエンタプライズ号が用意されていることを知った時のクルト=カールセン船長の気持ちを考えることを通して、自分の役割を最後まで全うし、責任をもつことの大切さを考えることができたか。(ワークシート)
・自分の役割の責任を果たすことが集団の支えとなることを自覚し、どんなことがあっても最後まで責任を果たそうとする心情をもつことができたか。(発言、ワークシート)

(4)板書計画

画像提供:PPS通信

(5)ワークシート

児童が考えを深める道徳授業(1) ―発言方法の工夫を取り入れて―(第6学年)

1.主題名

まっすぐな心を貫く  C[公正、公平、社会正義]

2.資料名

アンパイアの心(出典:文部省「小学校 道徳の指導資料 第2集 第5学年(1965年)」)

3.主題設定の理由

(1)ねらいとする道徳的価値について
 社会生活の中で、人として公正に判断し行動していくことが、よりよい社会を作っていく中でとても重要である。そしてそれが社会正義でもある。その根底には、相手に対する思いやりの心、善悪の判断が働いてなければならない。しかし、それは決して容易なことではない。人間は、自分とは異なる考え方や感じ方に対して不安になったり、多数ではない立場や意見などに対して偏ったものの見方をしたり、自分より強い相手に恐れを抱き、つい自分の思いや考えを曲げてしまったりしてしまう弱さをもっている。また、自分より弱い存在があることで優越感を抱きたいがために偏った接し方をする弱さももっている。それが、差別や偏見につながっていくのである。
 社会に所属する一人一人が確かな自己実現を図ることができる社会を実現するためには、そのような人間の弱さを乗り越えて、自らが正義を愛する心を育むようにすることが不可欠である。しかし、それは簡単にできることではない。人間誰もが弱さをもっており、それに打ち勝つには強い意志が必要である。そのためには、自他の不公正を許さないという姿勢と共に、一時的な周囲の雰囲気や感情、人間関係に流されることなく自分の考えをしっかりもつことが重要である。自分の心に迷いがあったり、周りに流されて自分の心と反した行動をとったりすれば、他人を傷つけるだけでなく、自身の心が納得することはないということをじっくり考えさせていくことが大切である。
 誰に対しても、一時的な自分の感情に惑わされることなく、公正、公平な態度で、正しいことを迷わずに堂々と行っていこうとする心情を育てていきたい。

(2)児童の実態について
 本学級の児童は、人としてよくない行動は許してはいけないと思っている児童が多い。いじめの事件など人として許せないような話をすると、「そんなひどいことあるの。」と心を痛めている。また、相手のことを思いやる気持ちをもっている児童が多く、クラスで意見が対立した時などでも、対立する意見に対しても、相手の意見をうまく取り入れたり、相手に気を遣ったりしながら自分の意見を表出していることが多い。
 6年生の2学期になり、思春期に入っていく時期である。友達との関係も今までとは違ってくる。それでも、相手のことを考えることのできる心を大切にしながら、たとえ、状況が自分にとって不利であっても、また相手が誰であったとしても一時的な自分の感情に惑わされることなく、公正、公平な態度で、正しいことをやっていくことの大切さを考えさせていきたい。

(3)教材について
 この教材は、文部省「小学校 道徳の指導資料 第2集 第5学年(1965年)」の中の「アンパイアの心」の一部である。
 いつも公平な審判をするので「公平君」とあだ名で呼ばれるほどの主人公「公一」が、頼まれて引き受けた野球の試合の話である。
 公一は野球の審判をしていた。キリンクラブの友だちの広は調子が悪く、苦しい局面になっていた。相手チームのバッターは、感じが悪い。広のチームの味方をしたい気持ちに傾くが、公平な判断をすることを曲げず正しい審判をする。試合が進んでいくうちに、ライオンクラブの道男の打った球がギリギリのところでファールになる。1点を争うゲームの中での出来事で、ライオンクラブの応援団の中学生2人に「ホームランだ。」と殴られるかと思うほどの勢いで言い寄られる。しかし、判断は曲げなかった。結果は、ライオンクラブが負けてしまう。「負けたのはおまえのせいだ。」と帰り際にまた中学生に言われ悔しい思いになる。
 しかし、二週間後、公一は公平な判断をした公一の行動をたたえたスミ子の書いた校内新聞の記事を読み自分の判断の正しさを再確認する。また、その記事を読んだライオンクラブの道男と文句を言った中学生が自分たちの行動を謝罪し、また審判を公一に頼むというお話である。
 この教材を通して、自他の不公正を許さないという姿勢と共に一時的な周囲の雰囲気や感情、人間関係に流されることなく、公正、公平な態度で正しいことを迷わずに堂々とやっていくことの大切さを考えさせていきたい。

4.教材分析表

場面

主人公(公一)の心の動き・内面

発問

①広投手が力いっぱい投げた球はボールだった。

・残念。
・にらまれてもなあ。
・にらむことないのに。
・ボールに間違いない。
・くやしい気持ちはわかる。

②友だちの広は、今日は調子が悪い。

・どうしたのかな?
・体の調子がわるいのかな?
・ずっとボールが続いてつらいだろうな…。
・ストライクと言ってやりたいのはやまやまだが…。

③公一はえこひいきせず、公平な審判をするので審判を頼まれている。

・審判は公平にするべきものだ。
・友だちが苦しんでいるのを見ていると友だちに肩入れしたくなるが、ここは審判として我慢しなくてはいけない。
・みんなに公平な審判を認められていることは誇りだ。

④ライオンクラブの打者は感じが悪い。

・あんな失礼な打者にはいい思いをさせたくない。
・広がかわいそうだ。広の味方になってあまく審判をしてやりたい。
・でも、審判は公平でなくてはいけない。でも、相手があんな態度なのになあ…。

⑤満塁の後、広が投げた第一球もボール。続く球もボールで押し出しの1点になってしまった。

・広が不満そうにしている。辛いのはよくわかるが間違ったことは言えない。
・とうとう1点が入ってしまった。広は辛いだろうな。
・友だちだとしてもどうもしてあげられない。

⑥投手が代わり、広がぼくをうらめしそうににらんだ。

・ぼくが悪いわけではない。
・広、悔しいんだろうな。
・ぼく、恨まれているのかな…。
・ぼくは正しい判断をしただけだ。

⑦同点のまま7回を迎えた時、よい音がして、球がレフトの上を超え、ホームランかと思われたが、「ファール」と公一が叫んだ。

・あれは、ファールだ。
・確かにギリギリのラインだが、ファールだ。
・みんながホームランと勘違いするのも分かる。
・ぼくはずっと見ていたんだ。間違いない。

⑧ライオンクラブの選手や応援団が、「ホームランだ。」と騒ぎ出した。

・ほんのちょっとだから、そう思いたいのだろう。
・分かりにくいのは確かだが、ファールだ。
・間違っていないはずだが…。
・ぼくは、しっかり見ていたんだ。

⑨体の大きな中学生2人が詰め寄って、「ホームランだと言いなおせ。」となぐるような勢いで言ってきたが、ファールだと言い切った。

・ちょっとこわいな。
・なぐられてしまうかな?
・でも、ぼくは間違っていないから、堂々としていよう。
・きちんとここで言わなければ!公平な審判をすることで認められているんだから。
・負けないぞ。

⑩ライオンクラブは、負けてしまって、「さっきのホームランで勝っていたのになあ。」と悔しがっていた。

・負けたのはかわいそうだ。
・悔しいのは分かる。
・ホームランだとまだ言っているのか。
・正しい判断をしたとしても、うらまれてしまうのだろうな。
・悔しさも分かるけれど、ぼくは間違っていない。

⑪先ほどの中学生がまた公一のところに来て、「負けたのはおまえのせいだ。」と怒鳴り、公一はだまったまま唇を噛んでいた。

・ぼくの判断は間違っていない。それなのになんでこんなにまで言われなくてはいけないんだ。
・これでは、ぼくが悪いみたいだ。
・悔しいからって、ぼくのせいにするのはおかしい。
・こんなに言われるのなら、ホームランと嘘でも言えばよかった。
・みんなにぼくの判断が間違っていると思われているのかな?
・よく見ていたつもりだが、ホームランだったのかな?
・もう、アンパイアなんてしたくない。

①中学生の2人に「負けたのはおまえのせいだ。」と言われ、だまったまま唇を噛んでいた公一はどんなことを考えていたのでしょう。

⑫校内新聞を見て、ちゃんと見ていてくれた人がいたことが分かった。

・ぼくの判断は間違っていなかったんだ。
・負けないで、正しい判断をしてよかった。
・あそこで自分の信念を曲げなくてよかった。
・あの中学生に負けなくてよかった。
・中学生にもわかってほしいな。

②自分が正しかったと認めてくれた校内新聞を読んで、公一は、どんな気持ちだったでしょう。

⑬公一の家にライオンクラブの主将の道男と応援団の中学生2人が来た。

・また、文句を言いに来たのかな?
・怖いな。また、何か言われるのかな…。
・何の用事なんだろ。

⑭ライオンクラブの道男や中学生に謝られ、次の試合にもアンパイアになってほしいと言われた。

・どんなことがあっても正しい判断をすることが大事だ。
・いろいろあったけれど、分かってくれてよかった。
・公平にやったことで、またアンパイアを任せられた。嬉しい。
・正しいことはいずれ分かってもらえる。
・中学生にも分かってもらえて、すっきりした。

③公一に詰め寄ってきた中学生たちに、「次の試合にもアンパイアになってほしい。」と言われて、どんな思いになったでしょうか。

5.ねらいに迫るための手立て

(1)座席の工夫
〈教材提示〉教材理解にじっくりひたらせるために、全員が担任の方を向くようにする。
〈話合い〉座席をコの字にし、みんなの顔を見て、話し合いができるようにする。
〈振り返り〉前向きの座席の形にし、一人一人が集中してじっくり自分を見つめられるようにする。

(2)アンケートの活用
 児童に「公平にしたくても、その時の状況に負けて、公平にできなかった時はどんな時ですか。」というアンケートを事前にとっておく。導入では、アンケートに多く出てきた事例をもとに、その時の気持ちを児童に考えさせることで、具体的にねらいとする価値項目について考えられるようにする。また、振り返りの時に、なかなか思いつかない児童に対して、活用できるようにする。

(3)表現活動の工夫
 主人公がいろいろな考えで揺れている第2発問の場面で、役割演技を行う。役割は交替して、「何を言われてもゆるがない」という気持ちと、状況に負けてしまいそうな気持ちの両方の思いについて考えられるようにする。

(4)発言方法の工夫
 児童一人一人に考えを深めさせたい場面で、ドキワク発言を行う。ドキワク発言とは、手を挙げていない児童でも教師の意図的な指名をし、発言を促すものである。

*他にも、たけのこ発言(教師が指名を行わず、児童が自主的に立ち、発言する)、ドキドキ発言(挙手はなく、教師が意図的に指名する)などがある。

6.本時

(1)ねらい
 自分に詰め寄ってきた中学生たちにも正しい判断を認められた時の公一の気持ちを考え、その時の一時的な思いや状況に負けず、誰に対しても公正、公平な態度で接していこうとする心情を育てる。

(2)本時の展開

□学習の流れ ○発問 ・予想する児童の活動

・指導上の留意点


□価値への導入
○「仲の良い友だちが試合をしていた時の審判」
「自分より強い人に自分とは違うことを言われた時」などに公平にできない経験がある人が多かったのですが、このような時、どのような気持ちになるでしょうか?
・あとで、何か言われたら嫌だなあ。
・すっきりしないけれど、怖いから言えない。
・モヤモヤして、本当のこといいたいなあ。

・児童に事前に「公平にしたくても、その時の状況に負けて、公平にできなかった時はどんな時ですか。」というアンケートをしておく。





□教材「アンパイアの心」を視聴し、話合う。

・野球の簡単なルールを説明してから、教材の範読を行う。教材提示は、パワーポイントを使い、効果音を入れ、臨場感あふれる提示をする。
・公一が「公平くん」とあだ名をつけられるほど公平な判断をし、それを誇りとしていることや、最初はいくら中学生に詰め寄られても正しい判断を通したことをおさえてから第1発問に入る。

①中学生の2人に「負けたのはおまえのせいだ。」と言われ、だまったまま唇を噛んでいた公一はどんなことを考えていたのでしょう。
・ぼくの判断は間違っていない。それなのになんでこんなにまで言われなくてはいけないんだ。
・これでは、ぼくが悪いみたいだ。
・悔しいからって、ぼくのせいにするのはおかしい。
・こんなに言われるのなら、ホームランと嘘でも言えばよかった。
・みんなにぼくの判断が間違っていると思われているのかな?
・よく見ていたつもりだが、ホームランだったのかな?
・もう、アンパイアなんてしたくない。

・役割演技を2人組で行う。公一の「正しいことを貫く。」という気持ちと、状況に負けてしまいそうな気持ちの両方の思いについて考えられるようにする。役割交替をする。

・第1発問の後で、「何を言われてもゆるがない」という気持ちと、状況に負けてしまいそうな気持ち)どちらの気持ちが強いと思いますか。」と児童に補助発問をする。

②自分が正しかったと認めてくれた校内新聞を読んで、公一はどんな思いになったでしょうか。
・ぼくの判断は間違っていなかったんだ。
・負けないで、正しい判断をしてよかった。
・あそこで自分の信念を曲げなくてよかった。
・あの中学生に負けなくてよかった。
・中学生はわかってくれるのかな?

③公一に詰め寄ってきた中学生たちに、「次の試合にもアンパイアになってほしい。」と言われて、どんな思いになったでしょう。
・どんなことがわっても正しい判断をすることが大事だ。
・いろいろあったけれど、分かってくれてよかった。
・公平にやったことで、またアンパイアを任せられた。嬉しい。
・正しいことはいずれ分かってもらえる。

・ドキワク発言にし、教師の意図的指名を行う。





□自分を振り返る
○いろいろな思いや状況に負けずに、公平にできたことはありますか。その時、どんな気持ちでしたか。
・給食の時に友達に「減らして。」と言われたけれど、みんなと同じように配った。「えー。」とか言われたけれど、ずるいことはしたくなかったからしなかった。

・座席を全員前に向かせる。
・ワークシート(B6)に書かせる。
・なかなか思いつかない児童には、アンケートをもとに助言をする。


□教師の説話を聞く。

(3)評価
・自分が正しかったことを認めてくれた校内新聞を読んだ時の公一の気持ちを考えることができたか。(③の発言)
・誰に対しても自分の弱さに負けることなく、公正、公平な態度で接していこうとする心情をもつことができたか。(ワークシート)

(4)板書計画

(5)ワークシート

「一人一人が自分を語れる」道徳の授業を目指して(第3学年)

はじめに

 私が道徳の授業でいつも目指しているのは、子どもたち一人一人が「自分を語れる授業」である。そのために、特に展開前段に力を入れている。前段でいかに道徳の内容項目に迫れるか。児童が物語の世界に入り込めるような教材提示、登場人物に照らして思わず自分自身のことを語ってしまうような発問、みんなの考えが見える板書等、様々な工夫をします。これらで前段がうまく運べば、後段とスムーズにつなぐことで振り返りも必ず充実したものになると考えている。

授業実践

1.主題名 つながる命  D[生命の尊さ]

2.教材名 「いのちのまつり ヌチヌグスージ」(出典:サンマーク出版)

3.指導の工夫
(1)教材提示
 登場人物のイラストを用いて、黒板シアターによる教材提示を行う。全員が教材の内容を正しく理解できるように、登場人物によって声色や体の向きを変えながら読む。また、間を取りながらゆっくりと範読する。
(2)BGMの活用
 児童がワークシートに記述をする間中、小さな音量で沖縄の音楽を流しておく。ワークシートの記述は、児童によって書き終わる時間に差がある。BGMを流しておくことで、早く書き終わった児童も教材の余韻に浸りながら待つことができる。なお、早く書き終わった児童は近くの友達と静かに意見交流をしてよいと話している。
 普段は教材提示にBGMを流すことが多いが、BGMと範読が合っていないと効果が得られにくく、毎回の授業で活用することは難しい。今回の教材提示では、授業者が黒板シアターの操作に集中したかったため、BGMの使用は控えた。
(3)説話
 主題、ねらい、教材に合った教師の経験がある場合は、説話が非常に効果的であると考えている。今回は授業者が、子供の誕生、義母の死を通じて、主人公のコウちゃんと同じように命のつながりを感じた経験を話す。

4.本時
(1)本時のねらい
 先祖の数を数え、命のつながりに感謝するコウちゃんの気持ちを考え、生命は過去からつながっていることに気付き、自分の命や人の命を大切にしようとする道徳的心情を育てる。
(2)展開

学習活動

○教師の働きかけ、主な発問
・予想される児童の反応

指導上の留意点

1 沖縄のお墓の写真を見る。

○写真のものは何だと思いますか。
・石 ・家 ・お墓

・沖縄のお墓の写真を提示し、教材への導入を図る。

2 「いのちのまつり ヌチヌグスージ」を読んで話し合う。

○教材提示

☆黒板シアターによる教材提示。十分に間を取りながらゆっくりと範読する。

(1)「ぼうやに命をくれた人はだれ?」と聞かれたと
き、コウちゃんはどんなことを考えたでしょう。
・お父さんとお母さん?
・数えきれないよ。
・たくさんの人がぼくに命をくれたんだ。

・コウちゃんが命のつながりを意識し始めていることを捉えさせる。

(2)「ぼくの命ってすごいんだね」と言ったとき、コウちゃんはどんなことを考えたでしょう。
・たくさんの人のおかげでぼくが生まれた。
・ご先祖様の誰か一人が欠けても、ぼくはいなかった。
・ぼくの命は、たくさんの命とつながっている。
・ぼくの命は、ぼくだけの命ではないんだ。

・命のつながりに感動するコウちゃんに共感させる。

(3)「いのちをありがとう」と言ったコウちゃんの気持ちは,どうだったでしょう。
・ぼくに命をくれてありがとう。
・たくさんの人にもらった命を大切にしよう。
・ぼくも命をつないでいくぞ。

・命のつながりに感謝するコウちゃんの気持ちに共感させる。
・命のつながりへの気付きを通して、命の大切さを感じたコウちゃんの気持ちを捉えさせる。
☆ワークシートに記入する。

3 自分の生活や経験を振り返る。

○「命」について考えたことを発表しましょう。どんなときにどんなことを考えましたか。

4 教師の説話を聞く。

○「先生も『いのちをありがとう』と思ったことがあります。」

・児童が生命の「連続性」についての考えを深められるようにする。

(3)評価
・命のつながりに気付き、感動するコウちゃんに共感し、自分の命や人の命を大切にしようとする気持ちをもつことができたか。
・指導の工夫を通して、児童が「命のつながり」に関する自分の考えを深めることができたか。
(4)板書計画

5.考察
○中心発問「『いのちをありがとう』と言ったときのコウちゃんの気持ちはどうだったでしょう。」で用いたワークシート記述の一部を紹介する。

・コウちゃんの命はきれい。なぜかというとずーっと続く楽しいものだから。
・命を大切にしないとご先祖様が悲しむから、大切にしよう。
・命が一つしかないから、自分の命を守ると私は思いました。
・ご先祖様の命もぼくの命も一つしかないから、大切にする。
・命は一つしかないから、お父さんやお母さんはぼくの命を大切にしてくれたんだった。
・命をくれてありがとう。ぼくも結婚したら大事な可愛い子供を育てるね。
・産んでくれてありがとう。
・ぼく、生まれてきてよかった。

 ワークシートを見ると、「コウちゃんの気持ちを考える」という発問に対して、児童が“思わず”自分自身の気持ちを記述していることがわかる。書き出しの主語が「私は」に変わっている児童もいた。
 教材提示も、児童は集中して聴き、お話の世界に入り込んでいる様子があった。黒板シアターによる教材提示は、中学年の児童にとても有効であった。ワークシート記述中も、ゆるやかなBGMの中で、早く書き終わった児童が近くの児童と穏やかに意見交換をする姿が見られた。

○振り返りの発問「『命』について考えたこと。どんなときにどんなことを考えましたか。」に対する発言の一部を紹介する。

・家でお母さんと話したことがあります。お母さんは「自分の子供の命が自分よりも大切」と思って、私が生まれてから仕事をやめたそうです。
・僕のおじいちゃんは、僕が生まれてすぐ亡くなりました。僕を待っていてくれたのかなと思いました。
・会ったことのないご先祖様に会ってみたいと思いました。

 本時は命の「連続性」に焦点を当てた授業であり、展開前段ではそれに関する発言がほとんどであったが、振り返りでは「命」に関して、多様な考えが出た。一人一人の児童がそれぞれの経験に合わせて、「命」に関する考えを深めることができたのではないだろうか。
 また、説話で余韻を残して授業を終えた後、何人もの児童が授業者の周りに集まり、「命」に関するエピソードを話しに来た。説話が児童の心に響いた実感があった一方、これらのエピソードを授業の中で児童が発言しよう、したいと思えるようにするために、今後、さらに後段の発問を検討したい。

確かな学力を培い、たくましく生きる力を育む道徳授業の創造 ~主体的に考え、話し合える授業を目指して~(第3学年)

絵:戸井李名

1.主題名

心の美しさ  D[感動、畏敬の念]

2.教材名

「花さき山」 (出典:日本文教出版『新・生きる力』)

3.主題設定の理由

(1)ねらいとする価値について
 美しいものや気高いものに感動することは、豊かでありながらも謙虚さを大切にした人間らしい生き方をしていく上で大切なものである。また、感動したり、畏敬の念をもったりすることは、想像する力や感じる力を育み、自身の心を豊かにしてくれる。
 この期の子どもたちは、認識能力の発達に伴って、想像する力や感じる力が増してきている。しかし、美しいものや気高いものに触れても、それらの素晴らしさに気付くことができない児童や、人の心の美しさなど内面的な美しさや気高さに対して気付いたり、感動したりするなどの能力が、まだ発達の途上にある児童もいる。
 そこで、本主題では、一人一人が想像する力や感じる力を働かせ、日常生活における行為の気高さやその背景にある心の美しさに気付き、素直な気持ちで感動することの素晴らしさを感じ取るようにさせたい。

(2)児童の実態について
 本学級の児童は、物語に触れることが好きで、国語の授業や読み聞かせで新しい話に出会うと目を輝かせてその話を心から楽しむ様子が伺える。また、子どもらしく素直な子が多く、自分の感じ方を大切にしたり、感じたことを素直な表現で言葉にしたりしようとする。2学期に行った「しあわせの王子」では、美しい心にも触れ、目に見えないものの美しさを自分たちなりに感じようとする姿は見られた。しかし、ほとんどの子どもたちが普段の日常生活で感じている美しさの対象は、海、花、星、宝石など目に見えるものばかりである。したがって、人の行為や心情に対して美しさを感じられる機会がそれほど多くもなく、またそのような場面でも、その美しさに気付かずに過ごしてしまうことがほとんどである。
 そこで、本教材を通し、目に見える美しさに感動する心を大切にしながらも、目に見えないものにまで美しさを感じられる心情を育てていく。そして、誰もが美しい心をもっていることを実感させながら、それらに気付いたり、見つけたりしようとする心情へとつなげていきたい。

(3)教材について
 主人公あやは、ある時道に迷い、花さき山に一人で住んでいるやまんばと突然出会う。やまんばは、あやが人知れずに行うけなげさや優しさを認め、褒めてくれる。花さき山の花は、自己犠牲という心の美しさを象徴している。これを支えるつらさ、辛抱、涙は、花が咲くことで癒され、明日への希望となっている。花に象徴されるあやの心の「美しさ」を大切に扱っていきたい。

絵:戸井李名

4.研究主題(本タイトル)との関連

(1)ブラックシアターを活用した教材提示
 教材の世界観に浸らせるために、教室全体を暗くし、ブラックシアターを活用した教材提示を行う。登場人物を物語に合わせて出入りさせたり、花さき山のきれいな花を演出したりして、子どもたちがその物語の世界にいるような雰囲気を作り上げる。また、BGMを活用し、演出をより引き立てるようにする。

(2)協同的探究学習を意識した話し合い
 協同的探究学習とは、町田市で取り組んでいる、主に概念的な理解・思考を広げ深めるための学習形態のことである。一時間の授業時間の流れを、「①導入問題(限定された問題)」→「②自力解決(個別探究1)」→「③集団検討(協同探究)」→「④展開問題(個別探究2)」として、様々な教科に取り入れながら、児童の学力向上をねらいとして取り組んでいる。
 本授業では、中心発問を協同的探究学習の「導入問題」、後段の自分への振り返りを「展開問題」と位置付ける。導入問題では、子どもから出た意見を整理したり、関連付けを行ったりするための時間を十分に確保するために、発問を精選する。また、板書を計画的に活用し、子どもたちが自分たちの考えを整理する手立てとなるようにする。展開問題では、子どもたちが自分たちで広げたり深めたりしたことを元に、それぞれの心に返って自己を見つめる活動となるよう、以下(3)のように工夫する。

(3)一人一人の心の美しさに気付かせる展開後段・終末の工夫
 展開後段や終末で使用するための、「3年1組の花さき山」のボードを用意しておき、教室の中に用意しておく。
 展開後段で、みんなの前で発表することができる児童がいた場合、一人が発表するごとに一つの花をボードに咲かせていき、花を増やしていく。そして、終末の説話では、教師が感じていた3年1組の「美しい心」をいくつかを紹介し、花を咲かせていく。また、そのボードを今後も引き続き掲示しておくことを伝え、それらの花をさらに増やしていきたいという実践意欲につなげていく。

(4)多面的・多角的な思考を深める話し合い
 中心発問の話し合いでは、「あや」の気持ちを考えながらも、「そよ」や「母」の視点からも話し合いを深めていくことで、多面的な思考を深めさせる。また、自分のことよりも人のことを思う優しい心(思いやり・親切)や、そよやお母さんを大切に思う心(家族愛)など、様々な価値が関連した児童の考えが出てくる。それらを一つ一つ大切にし、複数の角度から「美しい心」について考えを深めさせることで、多角的な思考を深めさせていく。

5.教材分析

場面

登場人物の心の動き

関連する内容項目

考えられる発問

児童の心の動き

山菜取りに行ったあやが、道に迷って、やまんばと出会う。

・やまんばは何でも知っている。不思議だな。
・きれいな花だな。なんでこんなきれいな花が咲いているのだろう。

D[感動、畏敬の念]

あやは、やまんばと出会って、どんなことを思っているのだろう。

・やまんばはなんだか怖そうだな。
・あや、大丈夫かな。
・これから何が始まるのだろう。

あやが、花さき山の花がなぜ咲くのかを聞き、自分が我慢している気持ちが花を咲かせたことを知る。

・人の優しさが花になるなんてすごい。
・妹のそよのために、本当は欲しかったけれど我慢したな。
・私が我慢すれば、お母さんは困らないだろう。
・私の我慢が花を咲かせたんだ。
・なんてきれいな花なんだろう。嬉しいな。

D[感動、畏敬の念]
A[節度、節制]
A[善悪の判断、自律、自由と責任]
C[家族愛、家庭生活の充実]

あやは、どんな気持ちで「そよさ買ってやれ。」と言ったのだろう。
※あやのどんな心(気持ち)が赤い花を咲かせたのだろう。(中心発問)

・あやは優しいな。
・妹想いだな。
・お母さんは助かっただろうな。
・あやの優しさで花が咲いてよかったな。
・あやが我慢したことを、ちゃんと気づいてもらえてたんだ。よかった。

あやが、青い花が咲こうとしている理由を知る。

・小さな赤ん坊でも我慢しているんだな。
・弟想いで優しいお兄さんだな。

D[感動、畏敬の念]
B[親切、思いやり]
C[家族愛、家庭生活の充実]

あやは、双子のあんちゃんが咲かせた小さい青い花を、どんな思いで見ていたのだろう。

・あやよりもっと小さい子が、こんなに我慢しているなんて、えらいな。
・そんなに小さい子でも花を咲かせることができるんだ。

花さき山一面の花が、みんなこうして咲いたことを知る。

・我慢しているのは自分だけじゃなかったんだ。
・優しい人がこんなにいるんだ。すごい。

D[感動、畏敬の念]

花さき山に咲く一面の花を見て、あやはどんな気持ちになっただろう。

・つらいことがあっても、我慢するといいことがあるんだな。
・人のために我慢するって、やっぱりいいことだったんだ。
・素敵な話だな。

山から帰り、みんなにやまんばから聞いた話をする。しかし、信じてもらえず、確かめに再び山へ行く。

・素敵な話を聞いたから、みんなにも聞いてほしい。
・信じてほしい。
・もう一度会うことはできなかったけれど、花さき山は絶対にある。
・これからもつらいことがあっても花さき山のことを思い出して頑張ろう。
・もっともっときれいな花を咲かせたいな。

D[感動、畏敬の念]

山から帰ったあやは、どんな気持ちで、しんぼうすることを続けているのだろう。
「やさしいことをすれば花が咲く。」ということについて、あなたはどんなことを考えましたか。

・みんなに信じてもらえなくて、あやがかわいそう。
・なぜもう一度やまんばや花さき山に出会うことができなかったんだろう。残念だな。
・花さき山ややまんばは、あやの心の中にあるから会えなくなったんじゃないかな。
・花さき山ややまんばに会えなくても、がまんを続けるあやはえらいな。
・やさしいことをすると花が咲くことを知って、あやはもっと頑張ろうと思っていると思う。

6.本時のねらい

心の美しさや気高さに触れ、それを大切にしていこうとする心情を育てる。

7.展開の概要

学習活動(○主な発問 ・予想される児童の考え)

◇指導上の留意点 ●評価


1 森林の緑や紅葉、山々などの美しい写真を見て、感想を発表し合う。

○写真を見て、どのようなことを感じましたか。
・きれい。
・すごい。
・美しい。
・自分も見てみたい。行ってみたい。

◇「きれいなもの、美しいもの」への興味や関心を高め、目に見えない「美しい心」について考えることを話し、ねらいとする内容項目に方向付ける。


2 教材「花さき山」を読んで話し合う。
○この話を聞いて、どんなところが心に残りましたか。
・あやが、自分も着物が欲しい気持ちを我慢したところ。
・あやの花が咲いたところ。
・花がたくさん咲いていたところ。
・小さな赤ちゃんでも、我慢をして、花を咲かせたところ。
・最後、もう一度花さき山を見つけることはできなかったけれど、それでもあやがよいことを続けていたところ。

◇物語の世界に子どもたちが引き込まれやすいよう、ブラックシアターやBGMを活用した教材提示を行う。
◇あやが出てくる場面だけでなく、双子のお兄さんや花さき山一面の花を咲かせた人みんなの心の美しさが感じられる場面に、触れられるようにする。
→ホワイトボードに場面絵を掲示していく。

◎あやはどんな気持ちで「そよさ買ってやれ。」と言ったのだろう。★協同的探究学習<導入> ※ワークシート
・優しい心。
・美しい心。
・そよに喜んでほしい。
・お母さんを悲しませたくない。
・自分も本当は着物がほしいけれど、我慢しよう。
・自分はお姉ちゃんだから、我慢しなくちゃ。

◇あやの母や妹へのやさしさと辛抱をとらえられるようにする。
◇みんなでとらえたあやの美しい心が、赤い花を咲かせたことをもう一度確認する。
●美しい心は、我慢したり、辛抱したり、つらいことを乗り越えたりすることだととらえられたか。

○花さき山一面の花を見て、あやはどう感じただろう。
・こんなにたくさんの人が人のことを思っていたんだ。
・優しい人がたくさんいる。きれいだ。
・優しいだけでなく、がまんや辛抱をしているんだ。
・わたしも、もっと花を咲かせたいな。

◇花さき山の花の美しさと涙、辛抱、つらさとのつながりをとらえられるようにする。

3 「心の美しさ」について考える。

○みんなの周りにも、花さき山の花を咲かせているなと思う人がいますか。★協同的探究学習<展開>
・友達が順番をほかの人に譲っていた。
・遊ぶことよりも当番の仕事を優先して、クラスのために働いていた子がいる。
・給食のおかわりの時に、他の人のことを考えて量を調節したり、譲ったりしていた人がいる。
・妹が、自分が遊んでいたおもちゃを欲しがっていたから、使わせてあげた。

◇心の美しさは、人が誰かのために我慢したり、譲ったり、尽くしたりすることだということをもう一度確認する。また、人のことだけではなく、自分のことでもよいことにする。
◇一人一人が考えることを大切にする。一つ発表したごとに、終末で使用するボードに一つずつ花を咲かせていく。
●美しい心を探したり、触れたりすることができたか。


4 ボードに、クラスの花さき山を作っておき、その一部を紹介していく。

◇その後も日常的に花さき山を掲示しておき、児童の花を咲かせることで、美しい心を大切にしようとする意欲をもてるようにする。

7.板書計画

8.ホワイトボード

9.ワークシート

10.考察

 ブラックシアターやBGMを用いた教材提示は、子どもの心を惹きつけ、物語の世界に入り込ませる上で、とても効果的だった。物語の美しさを視覚的・聴覚的にもとらえることができた。
 また、中心発問で、多面的・多角的に話し合いを進めていくことで、子どもが考えた全ての思いが「心の美しさ」につながっていく、ということをとらえさせることができた。
 当日、展開前段から後段に移る際に、『「花さき山」はどこに行ってしまったのだろう。』という補助発問を行った。すると、子どもから、「一人一人の心の中。」という反応が見られ、ねらいとする価値の深まりを実感することができた。
 展開後段で、「自分が我慢をして…」ということにこだわって授業を進めてしまったが、「心の美しさ」をもっと広くとらえさせることで、さらにねらいに迫ることができたのではないかと感じている。一人一人の心にどのように働きかけていくか、さらに模索を重ねていくことが今後の課題である。

自我関与を深める役割演技の工夫 “パネルシアターを活用して”(2) ―パネルシアター授業実況―(第2学年)

教師の発問・児童の反応

パネルシアター

留意点
(パネルシアターの動き)

T:教師 C:児童)
T:さあ、これは山です。季節はいつでしょう?
C:秋。
C:だって、下のほうが少し色がついていて、上の方に雪がつもっているよ。
T:そう、山の上の方に雪が積もってるね。このころ、動物たちはどうしてるかな。
C:食べ物を探してる。
C:冬が来ると、寒くなって、食べる物がなくなっちゃうから。
T:そうだね。冬は寒くて、食べる物がほとんどないから動物たちは冬眠したり、食べ物を蓄えたりして、寒い冬を乗り越えなきゃいけないんだよね。
 今日はそんな冬になる前の、動物たちのお話です。

コの字型の机配置。
児童は椅子を持ち寄り真ん中に座る。
(山の絵を貼る)

 この山にももうすぐ冬がやってきます。冷たい北風がピューピューと吹き始めました。
 きつねは食べるものを探しに出かけました。

(北風を出す)
(きつねを出す)

きつね:ああ、寒いなぁ、もうすぐ冬だ。食べるものを探さなくちゃ。お腹すいたなぁ。
 するとうさぎに会いました。
うさぎ:あら、きつねさん、食べるものを探しに行くのですか?
きつね:そうです。うさぎさんも?
うさぎ:ええ、たくさん見つかるといいですね。
 そう言って二匹は別れました。

(うさぎを出す)
(うさぎをはずす)
(山と北風もはずす)
(どんぐりと落ち葉を並べる)

 しばらく行くと、きつねはどんぐりがたくさん落ちているのを見つけました。
きつね:あ、どんぐりだ!おいしい!あっちの方にもある。こっちにもある。ああ、お腹いっぱいだ。まだたくさんあるな。そうだ、後で食べられるようにここに隠しておこう。良かった~。これでこの冬は安心だ。

(一つ食べる)
(いくつも食べる)
(落ち葉を手に持ちどんぐりを隠す)
(どんぐり落ち葉をはずす)

 帰る途中で、また、うさぎに会いました。
うさぎ:あ、きつねさん。どうでしたか?
きつね:(うつむいて)えっと。何にも見つからなくて…。
うさぎ:それはかわいそうに…。

(山と北風を出す)
(うさぎを出す)

 うさぎはしばらく考えていました。
うさぎ:やっと2つ見つけたの。1つ差し上げましょう。
 そのくりのみを見ているうちに、きつねの目から、ポロリとなみだが落ちてきました。

(手にくりを2つ持たせ、1つきつねにあげる)
(なみだをはる)

T:…というお話です。(パネルシアターを移動させ、黒板に「くりのみ」と書く。)
2匹とも食べるものを探しに出かけたんだね。お腹を空かせた狐さんは、どんぐりを見つけて、たくさん食べました。残りは…。隠したんだね。

【発問1】この時きつねはどんなことを考えたでしょうか。

C:これでもう大丈夫。
T:何が大丈夫だと思ったの。
C:もう寒い冬がきても、たくさん食べるものがあるから、心配いらない。
C:たくさん見つかって、あーよかった。安心だ。

T:きつねが「何も見つからなかった」と言いました。本当は見つかったけど、うさぎはそのことは知らないよね。うさぎはしばらく考えました。

【発問2】どんなことを考えて、2つしかないくりのみを1つ差し出したのでしょうか。

C:きつねさんがかわいそう。1つあげよう。
C:えー、どうしよう。1つになっちゃうよ。でも、しょうがない、1つあげよう。
C:2つあって良かった。
T:そのくりのみを見つめているうちに、きつねの目から涙がポロっとこぼれました。
 涙って、気持ちがいっぱいになった時に出るよね。

【中心発問】きつねのどんな気持ちがあふれてきて涙になったんだろうか。近くの人と、きつねがどんな気持ちだったのかを話し合ってください。(話合い活動)

 ではそのきつねの気持ちを、きつねになってつぶやいてくれる人いますか。(パネルシアターを使って役割演技)
C:ぼく、どんぐりを隠さなければ良かった。隠しちゃってごめんね。
C:嘘ついちゃったな。後で、うさぎさんにどんぐりをあげよう。
C:うさぎさんは2つしかないのに、1つくれたんだ。すごく優しいなぁ。
T:うさぎさんの優しい気持ちとか、どんぐり隠して悪かったなぁという気持ちとか、やらなきゃよかったなぁっていう気持ちとかがいっぱいになって涙が溢れちゃったんだね。
T:きつねさんはいじわるでどんぐりを隠したんじゃないんだよね。でも自分のことしか考えられなかった。うさぎさんは、自分だってお腹がすいているのに、2つしかないくりのみを1つあげちゃったんだよね。みんなだったらどう?
 うさぎさんのように大変だったけど、困っている人に親切にしたことありますか。もしあったら、それはとても素敵なこと。ぜひ教えてください。親切にしたこと、思いつかないなぁという人は、親切にしてもらって嬉しかったことを書いてください。どっちも思いつかないなぁという場合は、誰かがやっていていいなぁと思った親切を書いてください。(ワークシートに記入)

T:では、発表してください。
C:妹に遊ぼうと言われて、最初はあんまり遊びたくなかったけど、一緒に遊んであげた。でも最後は楽しくなった。
C:食べちゃいけないお菓子を食べちゃって、怒られそうになったら、おばあちゃんが「私が食べたよ。」と嘘をついてかばってくれた。優しいなと思った。
C:小さい子が公園で、水を飲もうとしていたけど、高くて飲めなかったから手伝ってあげた。
C:お父さんとお菓子を分けたとき、大好きなお菓子だったけど、お父さんに大きい方をあげた。「優しいなぁ」と言われて嬉しかった。

T:本当に困ったときに親切にしてもらえると嬉しいよね。先生はそんな風に親切にできる人になりたいなと思います。

 

※パネルシアターについては、パネルシアター研究会「TEP」のHPもご参照ください。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~panel-TEP/

自我関与を深める役割演技の工夫 “パネルシアターを活用して”(1)(第2学年)

1.はじめに

 「特別の教科 道徳」の実施に向けて多様な実践が行われている。今回は教材提示の1つとして、パネルシアターを使った実践を報告したい。パネルシアターとは、不織布でできた紙の絵人形を操作して、フランネル布に張り付けて行う人形劇のことで、その絵人形の動きで様々な気持ちや様子を表すことができる。パネルシアターを使うことで、子どもたちは教材の世界に浸り、登場人物に感情移入することができる。
 パネルシアターを使ったことで、子どもたちは嬉しそうに目を生き生きさせて教材の世界に浸ることができた。
 きつねは、あえて表情を優しくすることにより,決してうさぎに意地悪しようとしたわけではなく、「つい自分のことしか考えられなかった。」「思いやりが足りなかった。」そういうことって誰にでもあるよね、ということに気付かせたかった。
 きつねの目を優しく表現しより感情移入しやすいように工夫すると、役割演技でパネルシアターを使った時も、「どんぐりあげたらよかったなぁ。」「うさぎさんは本当にやさしいね。ぼくは悪いことをした。ごめんね。」など、やさしい言葉かけとなり、よりねらいとする価値にせまることができた。授業後も、「きつねさん、かわいいね。ばいばーい。」「また会おうね。」など、きつねに対する同情や共感もみられた。
 うさぎの行為は尊いが、それと同様に、自分の過ちに気付き、行いを正すことができたきつねも尊い存在として扱い、ねらいとする価値にせまれると考えた。

2.主題名

困っているから助けたい  B[親切、思いやり]

3.資料名

「くりのみ」(出典:日本文教出版「新・生きる力」)

4.主題設定の理由

(1)ねらいとする価値について
 よりよい人間関係を築くためには、相手に対する思いやりの心をもち、親切にすることが基本姿勢として必要である。思いやりとは、相手の気持ちや立場を自分のこととして推し量り、相手に対して、よかれと思う気持ちを相手に向けることである。親切とは相手の気持ちを想像することを通して、励ましや援助をするなどの思いやりが行為となって表れたものである。
 自立した人間として、他者と共によりよく生きる児童を育てるためには、自分の考えや利益のみを優先するのではなく、相手の気持ちや置かれている状況を自分のこととして想像し、そのうえで相手にとってよかれと思う行為を選択する力を身に付けるとともに、自ら進んで親切な行為をしようとする心情を育てることが大切である。

(2)児童の実態
 2年生の児童は、友達と仲良くし、助け合うことをよいこととして認識しているが、相手の立場を考えて、相手のために行動すること、相手の喜びを自分の喜びとして受け入れることのよさに気が付いていない児童もいる。
 自分自身を振り返った時、うさぎのように困った人を助けた経験を思い起こすことのできる児童は多い。そのような親切な行為のよさや、そのような行動をとった自分自身のよさに気付くことができるだろう。一方で児童は、きつねのように身勝手な行動をとってしまうこともある。自分自身を多面的に捉えることで自己理解や人間理解を深め、思いやりの価値理解と実践意欲を高めたい。

(3)教材について
 本教材は寒い冬が近づき、食べ物を探しに出かけたきつねが、自分の蓄えとしてどんぐりを隠したが、うさぎはたった2つのくりのみのうち1つを差し出した。そのやさしさに触れたきつねがポロリと涙を流すという話である。場面設定からきつねの気持ちに共感し、餌が見つからないことは生死に関わることに気付かせたい。それでも友達を助けようとしたうさぎのやさしさやその行動の尊さにきつねは気が付き、我が身を振り返り、自分のことしか考えられなかったことを後悔するのである。
 この教材を通して、困った時はお互い様であり、それでも相手を思って行動できるか、自分自身を振り返ることを通して自己理解や人間理解を深め、道徳的実践意欲を高めたい。

5.学習指導過程

(1)本時のねらい
 きつねがうさぎからくりのみをもらって涙を流した気持ちを考え、相手の状況を推し量り、親切にしようとする道徳的実践意欲を養う。

(2)展開

主な発問と予想される
児童の反応

パネルシアター

※指導上の留意点


◆動物たちは冬になる前にどうしてると思いますか。
・冬眠する。
・寒いから食べるものがないのでじっとしている。

※寒い冬の前に、食べ物をたくさん食べたり、蓄えたりして冬に備える。

深める①

◆パネルシアター「くりのみ」を見て、話し合う。
○どんぐりを隠したきつねの気持ちを考える。
・これで安心だ。誰にも見つからないぞ。
・お腹いっぱい食べられて嬉しいな。

※きつねはいじわるなきもちではなく、自分のことでいっぱいだった。

○うさぎはどんな思いで2つしかないくりのみを、2つあげたのだろうか。
・きつねさんがかわいそうだなぁ。
・2つしか見つからなかったけど、1つあげよう。
・分けっこしよう。2つあってよかった。

※うさぎのとった行動には思いやりの気持ちがあった。

◎そのくりのみを見て涙を流したきつねは、どんな思いだったでしょう。
・やさしいなあ。ありがとう。
・どんぐりを隠してごめん。
・自分のことしか考えてなかった。

※うさぎのやさしさときつねのとった行動を対比させ、そのやさしさに気が付いたきつねの気持ちに共感させ、役割演技を行う。

深める②

◆自分自身を振り返って考える。
○うさぎのように、困っている人に親切にすることは簡単だと思いますか。難しいことだと思いますか。その理由も考えよう。

※実際親切にすることは自分にとって簡単か難しいか、その理由も合わせて考える。ワークシートに記入する。
※話合い活動を通してお互いの考え方の違いから、人間理解を深め、親切にすることの大切さや難しさに気付く。

終末

◆教師の説話を聞く。

「自分の子どもを自転車で保育園に預けて仕事に行こうと思っていたら、保育園に向かう途中で自転車がパンクしてしまった。仕事に向かえなくなりとても困っていたらその保育園の先生が、自分の自転車を貸してくれた。仕事が終わり子どもを迎えに行くと、私の自転車のパンクも直しておいてくれて、その優しさに感激した。いつか自分も困っている人にやさしくしたいと思った。」

※親切な行為は、相手が困っていることを他人事にせず、親身になって寄り添って考えた結果の行動であることが分かるような説話がよい。

(3)評価
○きつねが涙を流す気持ちを通して、相手を思う行動について考えることができたか。(中心発問)
○自分自身を振り返り、困っている人に優しくすることのよさや難しさに気付き、価値理解と人間理解を深めることができたか。(展開後段)

(4)板書

6.授業を終えた感想

 低学年児童にとっては、親切にしてあげることや、やさしくしてもらうことは、身近なことで、当たり前のことだと感じた。自分の示したやさしさや、親切にしてもらった時の嬉しさを思い起こすことで、人と人の繋がりの温かさや、そのよさに気が付くことができた。本授業では、「自分も大変な時に、人に親切にすることの難しさ」という一つ上の段階の親切や思いやりの価値について気付かせたかった。「うさぎさん、やさしいなぁ」と感じながら涙を流すきつねの気持ちに触れることで、その難しさや尊さに気付くことができた。

 

※次回は、「自我関与を深める役割演技の工夫 “パネルシアターを活用して”(2)」として、「パネルシアター授業実況」を掲載します。

自分の心を見つめ、思いを素直に表現できる道徳授業を目指して(第1学年)

「自己を見つめる」とは

 新学習指導要領における「特別の教科 道徳」の目標には、「よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ」(小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編 平成27年7月 文部科学省より抜粋)とある。
 「自己を見つめ」とは、「自分の心(内面的な資質)を見つめる」ことである。では、「自分の心を見つめる」とは、どうすることなのか。私は、自分の心に浮かんだ思いや考えについて、じっくりと自問したり、言葉にしたりしながら表現することで、曖昧なものをより明確にしていくことであると考える。
 しかし、児童に「さあ、自分の心を見つめてみよう。」と呼び掛けたとしても、そう簡単にできるものではない。心は、何かの出来事や出会いをきっかけとして変容していくものであり、その心の変容が自然と言語として表出していくからだ。
 道徳の学習において児童は、教材と出会う。児童は、道徳の時間を通して教材の世界に浸り、その教材の登場人物の気持ちになりきることで、ありのままの自分を語ることができると考える。自分ではない登場人物を通して語ることで、自然と児童の本音や素直な気持ちがあらわれてくるからである。ここでは、児童が教材の世界に浸り、素直に思いを言葉にできる道徳の学習を目指して行った授業の実践を紹介する。

授業実践

1.主題名 ともだちは だいじ  B[友情、信頼]
   教材名 二わのことり  (出典:日本文教出版「新・いきるちから」)

2.児童が教材の世界に浸り、素直に思いを言葉にできるための工夫
(1)ペープサートによる教材提示

 児童がより教材の世界に浸れるよう、黒板全面を舞台として、お話の世界をその場で体感できるような教材提示を行う。みそさざいのぺープサートは、うぐいすの家の方を向いたものとやまがらの家の方を向いたものを裏表に貼り付け、みそさざいの行動と揺れ動く心情を捉えやすくし、板書でも活用していく。BGMも取り入れる。

 ■みそさざい(中に強力磁石を入れ、黒板に貼れるようにする)

(2)役割演技を取り入れた展開
 中心発問で役割演技を行う。お互いを思いながら、仲よくお誕生日会をするみそさざいとやまがらの気持ちに十分共感させたい。また、「二わのことりは、お互いのことをどんなふうに思っているのだろう。」と補助発問を行うことで、友達についてより深い対話ができるようにする。

3.本時
(1)本時のねらい

 仲よくお誕生日会をする二わのことりの気持ちを共感的に受け止め、大切な友だちとさらに仲よくし、助け合おうとする道徳的心情を育てる。
(2)展開

学習活動

主な発問

・予想される児童の反応

指導上の留意点

1.友達とは、自分にとってどういう存在か考える。

みなさんのまわりには、たくさんの友達がいますね。思い浮かべてみましょう。

・児童がこれまでの体験をもとにその時の気持ちを想起し、ねらいとする道徳的価値について意識を高められるようにする。

・一緒に遊ぶと楽しいところ
・分からないことを教えてくれる優しいところ

2.教材「二わのことり」の話を視聴する。

・みそさざいの気持ちを考えながら、聞くよう指示する。
・黒板全面をシアターとして、児童が教材の世界に入り込めるようにする。

①やまがらの家へ行こうか、うぐいすの家へ行こうか迷う、みそさざいの気持ちを考える。

山の奥のやまがらのうちへ行こうか、梅の林の中のうぐいすのうちへ行こうか迷うみそさざいの心の中はどんなだったか。

・役割演技を行い、どちらの家に行くか迷うみそさざいの気持ちを考える。
・役割交代し、どちらの気持ちも味わえるようにする。
・迷いながらも、みんなと同じくうぐいすの家へ行ったことも考える。

<うぐいすのおうちへ行きたいと思う気持ち>
・やっぱりきれいなところがいい
・やまがらさんのおうちは暗いから、うぐいすさんのおうちの方がいいな
<やまがらのおうちへ行かなくちゃと思う気持ち>
・今日はお誕生日だし、行ってあげたい
・誘ってもらったし、行こうかな

②うぐいすの家を抜け出し、急いで山の奥へ向かうみそさざいの気持ちを考える。

うぐいすのおうちを抜け出して、お山の奥の方へ向かって、急いで飛んでいくみそさざいは、どんな思いだったか。

・「時間に遅れているから早く行こう」という考えに偏った場合は、「急いでいるのは、時間のことだけが気になっているのかな。」と問うことで、やまがらのことを思って抜け出したことを思い起こせるようにする。

・さみしがっているだろうから、早く行ってあげたい
・ごめんよ、すぐに行くからね
・やっぱり友達のことが心配だ

③お誕生日会をする二わのことりの気持ちを考える。

二わでお誕生日会をするみそさざいとやまがらは、どんな気持ちになっただろうか。

<補助発問>
みそさざいはやまがらのことをどんな友達だと思っているのかな。やまがらは、みそさざいのことをどんな友達だと思っているのかな。

・二羽だけだけど、とっても楽しい
・うれしそうなやまがらさんを見ることができてぼくもうれしい
・友達といっしょにいてうれしい

3.自分と自分の大事な友達について振り返る。

友達の気持ちを考えて、何かしてあげたことや、友達に何かしてもらったときのことを発表しましょう。

・BGMを流し、じっくりと自分と友達について考えられるようにする。
・一緒に気持ちを問う。

・○さんに鉄棒を教えてもらった。できたとき一緒に喜んでくれてうれしかった。

4.「二わのことり」の話の続きを聞く。

(・友達を大事に思うってすてきだな)
(・友達が困っていたら助けたいな)

・友達とお互いに思い合い、助け合うことのすばらしさをしみじみと味わえるようにする。

(3)評価
・仲よくお誕生日会をする二わのことりの気持ちを共感的に理解することができたか。(発言)
・大事な友達とさらに仲よくし、助け合おうとする心情が育ったか。(発言・ワークシート)

(4)実際の板書

授業を終えて

 低学年においては、ペープサートによる教材提示が特に有効である。指導者の教材提示における語りに聴き入っている様子がうかがえた。また、役割演技を取り入れることで、児童は楽しみながら登場人物の心情になりきり、中心発問では多くの児童がねらいに迫ることができた。
 初めて役割演技を学習活動に取り入れる際には、「演技の上手下手は問題ではないこと」「友達の演技を茶化したり笑ったりしないこと」「友達の考えを真剣に聞くこと」などの約束について指導する必要がある。また、初めから一対一で行うのではなく、学級を二つに分けたり、二対二で行ったりするなど、同じ立場で役割演技する友達が複数いる中で行うことによって、徐々に慣れていく方法もある。学級の実態に合わせて工夫することで、児童は安心して取り組めるようになると考えられる。

これからの自分を考える実践(第5学年)

1.はじめに

 変化の激しい現代社会の中で,特に道徳教育においては,いじめ問題をはじめ「生命の尊さ」について考えることが重要になってきている。
 「小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編」には,「生命を大切にし尊重することは,かけがえのない生命をいとおしみ,自らもまた多くの生命によって生かされていることに素直に応えようとする心の表れと言える。」と書かれている。さらに,第5学年及び6学年においては,「家族や仲間とのつながりの中で共に生きることのすばらしさ,生命の誕生から死に至るまでの過程,人間の誕生の喜びや死の重さ,限りある生命を懸命に生きることの尊さ,生きることの意義を追い求める高尚さ,生命を救い守り抜こうとする人間の姿の尊さなど,様々な側面から生命のかけがえのなさを自覚し生命を尊重する心情や態度を育むこと」と書かれている。
 本校では,「生命の尊さ」の内容項目での学習を年間で2回計画している。1回目は,人と人とのつながりの中で,命がまた新しい命を生む「生命の連続性」を主題とし,2回目は大切な人の死などを通して自己の命について気付く「精一杯生きる」ことを主題とした。年間での内容項目の位置づけを明確にし計画的に取り組むことで,児童の生きる基盤となる道徳性を養うことができるであろう。

2.授業展開について

 本教材は,じいちゃんの余命が3か月と知り毎日病院へ通う大地と,孫(大地)の誕生日を間近にひかえ,病気に苦しみながらも孫に手紙を残したじいちゃんの話である。じいちゃんへの思い,家族の死に触れて成長していく大地の心情を共感的に捉え考えていく発問構成にしていく中で,最期のときも孫を思う愛情を知り,児童は,人の死,命の尊さに気付くことができるであろう。「あなたは精一杯生きていますか」と導入と展開の後段で二度問うことで,自己の命を見つめ,命を大切にして生きていこうとする心情をさらに高めたいと考えた。児童の「今生きていることに価値がある。」「家族へ感謝。」「友達の命も大切である。」といった発言や,命の尊さについて深く学び合う姿が印象的である。

3.展開例

■主題名:精一杯生きる
■内容項目:D〔生命の尊さ〕
■教材名:その思いを受けついで(日本文教出版)
■ねらい:じいちゃんの余命を知り,毎日病院へ通った大地や,じいちゃんからの手紙を読んだ大地の思いに共感することを通して,命の大切さに気付き,精一杯生きようとする心情を育てる。

学習活動
(◎中心発問,○発問,・予想される児童の反応)

◇指導上の留意点
◆指導上の工夫 ★評価


1 価値を意識する。

「あなたは精一杯生きていますか」
○命とは何だろう。
・なくてはならないもの。
・必ず死があるもの。
・親からもらった宝。
・一人にひとつしかないもの。

◆「あなたは精一杯生きていますか」を提示し,児童が自分の命について価値を意識できるようにする。
◇命とは何かについて問い,価値への導入とする。


2 「その思いを受けついで」を読んで話し合う。

○「じいちゃんの命はあと三か月」と知らされた時,大地は,どんな気持ちだったでしょう。
・信じられない。
・うそであってほしい。
・もっと早く知りたかった。

◇初めてじいちゃんの余命を聞いた大地の思いに共感できるようにする。

○大地は,どんな気持ちから毎日じいちゃんのもとに通ったのでしょう。
・時間を大切に過ごしたい。
・少しでもそばにいたい。
・生きる力をつけてほしい。

◇じいちゃんのところへ毎日通う大地の思いに共感できるようにする。

◎じいちゃんの手紙を読んだ大地はどんな気持ちになったでしょう。
・これからも頑張るよ。
・ずっと,ぼくを見ていてね。

◇じいちゃんからの手紙を読んだ大地の思いに共感できるようにする。
◆じいちゃんからの手紙を提示し,手紙の中に込められたじいちゃんの大地への思いにも気付かせることで,双方に思いがあることを感じ取らせる。

3 自分の生活を振り返る。

○今日の学習から,命についてどんなことを考えましたか。
・命がある(生まれてきた)ことに感謝。
・今を大切に生きていきたい。
・夢に向かってがんばりたい。

★命について考え,精一杯生きようとする思いがもてたか。

「あなたは精一杯生きていますか」

◆導入で使用した言葉「あなたは精一杯生きていますか」を提示し,自己を振り返る場とする。


4 教師の説話を聞く。

◇教師が精一杯生きようと思った経験を話す。

ルーブリック的な評価を使った実践「もりのゆうびんやさん」(第2学年)

1.はじめに

 「特別の教科 道徳」の実施にあたり、「評価」について様々な実践や案が出ています。評価は子どもの実態や成長を把握し、それに合わせて指導をしたり保護者と連携したりして教育効果を上げるためにあります。どの教科・領域においてもその意義は変わりません。今回は評価基準を用いるルーブリック(注1)評価を参考にした実践を紹介します。児童一人一人がどのような考え方をしたのか分析することで、授業中の声掛けや事後の指導に生かすことができると考えました。先生方の実践のご参考になれば幸いです。

2.実践

(1)主題名 働くことのよさを感じて C[勤労、公共の精神]
(2)教材名 「もりのゆうびんやさん」(出典:「小学校道徳読み物資料集」文部科学省)
(3)主題設定の理由
A.ねらいとする道徳的価値について(指導観)
 自立した人間として、他者と共によりよく生きるためには、自己の能力を発揮し働く必要がある。変化の激しい現代社会においても、社会の維持向上に積極的に努める価値の尊さは社会の形成者である以上揺るがない。その手段である勤労、職業につながるような教育が求められている。
 小学校では、児童が自己中心的な考えから視野を広げ、他者や集団、社会に愛着をもつように指導を重ねていく。その中で、多くの人々の支え合いや助け合いを実感し、自分もそれに応えようという意欲につなげる。そして、実践する場所を与えていくことで、社会の維持向上に積極的に努めようとする態度を育てることができる。
 働くことの意義については多様な考えがあり、これからの社会を生き抜くためには様々な考えに触れることも大切である。本研究では、様々な考え方の中でも、社会の維持向上に積極的に努める価値を中心におく。低学年の発達段階を考慮して、集団を限定したものにせず「みんなの役に立つ」ことを中心に働くことのよさについて考えさせる。目の前にいる先生、友達、家族等見える相手から、少しずつ集団という見方ができるように視野を広げさせる。自分のしている仕事は誰かの役に立ち相手の喜びにつながることを実感させ、みんなの役に立とうとする心情を育てたい。

B.児童の実態(児童観)
 掃除や給食当番等、意欲的に取り組む姿が見られる。その動機としては、その作業が楽しかったり、新鮮だったりするところが大きく、また、先生や家の人に褒められるという基準で動いている様子が窺える。
 普段の生活ではその実態に合わせて、様々な仕事に触れさせ、教師の声掛けから価値観を広げることを意識して指導に当たっている。その結果、学級内で様々な仕事があることを理解しつつある。また、自分の役割がみんなに影響を与えることも経験してきている。
 6月の生活科「商店街探検」の学習では住んでいる町の人々の仕事についても学ぶ機会となった。目の前の自分たちの仕事と直接結びつけることは難しかったが、職業を知る、仕事を知るという部分で学びがあった。
 7月の特別活動「多田小祭り」の学習では、縦割り班活動で、任された簡単な仕事を楽しく、責任をもって行うことができた。遊びの中でも、仕事として認識する機会になった。
 9月の道徳「のぶくんはポスター係」の教材を使った学習では、「楽しいから、褒められるから」という喜びから、「ありがとう」等の周りの人が喜んでいることが分かった時に喜びを感じるという価値観に気付く時間となった。自己の振り返りの活動では、学級内で他の人の仕事で嬉しかったことの経験を書いた。そして、終末では教師の説話で、自分も人に喜んでもらえるように仕事ができるといいねと生活につなげた。
 本時では、指導をより一層深めるために、自分のしている仕事は、自分が楽しむだけでなく周りの人も嬉しい、周りの人の役に立っていることのよさを感じられるようにする。そして、これからもみんなの役に立とうとする道徳的心情を育てたい。

C.教材について(教材観)
 くまさんは森の郵便屋さんである。ある雪の日のこと、やぎじいさんへ小包を届ける仕事が入る。くまさんは鞄の中に小包を大切に入れてやぎじいさんの家に向かった。やぎじいさんに心温まる小包を無事に届けるとやぎじいさんは感謝の気持ちを伝えた。くまさんは、それを聞いて次に配達する家に急いだ。一日の仕事を終え家に帰ると、くまさんに一通の手紙が届いていた。森のこりすから、くまさんが仕事をしていることに感謝する内容の手紙だった。
 本教材は、勤労について「した方がいい、でも辛いこともある」といった人間理解を深められる場面や、価値について多面的、多角的に考えられる場面が見られる。そのことから、くまさんに共感し心情や判断を話し合うことで、勤労についての価値理解を深めることができる資料だといえる。くまさんの気持ちを通して、自分の仕事が誰かの喜びにつながっていることや相手の役に立っているという、働くことのよさを学ばせたい。

場面

価値に関わる心情

①くまさんが森のみんなに郵便をわたす。

喜んでくれてうれしい。

②くまさんは、郵便が無い日でも森のみんなと話したり、他の森の様子を伝えたりする。

みんなを喜ばせたい。
みんなに会いたい。

③ある雪の日に小包が届く。

雪で届けるのが大変だ。
雪でもやらなくちゃ。
明日にしようかな。
やぎじいさんは喜ぶだろうな。

④くまさんがカバンの中に小包を入れて出かける。

やることに決めた。
頑張ろう。
必ず届けるぞ。

⑤やぎじいさんの家が見え、急ぎ足で歩く。

つらいな。
もう少しだ。
やぎじいさんは喜ぶかな。
喜んでほしいな。

⑥やぎじいさんに郵便を渡す。

やっとついた。
やってよかった。
仕事を最後までできた。
よろこんでくれた。
役に立てた。

⑦次に配達する家に急ぐ。

次も頑張ろう。
また喜んでほしい。
他の人にも役立ちたい。

⑧家に帰り、手紙を読む。

みんな喜んでくれているんだな。
いいことをしているんだな。
今までやってきてよかった。
これからも続けていこう。

(4)評価について
 一人一人の学習状況についての評価の観点は「みんなのために働くことのよさについて、自分の経験に照らし合わせながら考えることができたか」とする。
 評価方法は、自己の生活を振り返る活動の場面でワークシートを活用する。ワークシートを活用することで、じっくりとねらいとする価値について自己を振り返るとともに、一人一人がどのように価値について考え、深めたのかをみとれるようにする。
 事前に行ったアンケートの結果とねらいとする価値についての指導者が評価した簡単な所見を用意しておく。

(はたらくことのよさについてかんじたことを書きましょう)

仕事ができるようになった。

友達の助けになってよかった。

みんなが困らなくなったからよかった。

仕事が楽しい。

友達に「ありがとう」といわれた。

みんなが喜んでくれた。

シールをもらえた。

親に褒められた。

みんなに褒められた。

(5)本時の学習
A.ねらい
 みんなのために働くことのよさを感じ、みんなの役に立とうとする心情を育てる。
B.展開

 

主な発問と児童の心の動き

※指導上の留意点と手立て ☆評価



◆学習のめあてをもつ。
○どのような仕事をしていますか。

※アンケート調査でどのような意見があったかを伝える。
※ねらいとする価値を意識し主体的に学習させるために、学びの視点を提示する。

はたらくとどんないいことがあるだろう



◆「もりのゆうびんやさん」を読んで、話し合う。
1 くまさんは郵便の仕事をどう思っていますか。
 ・しなくちゃいけない。
 ・楽しい。
 ・みんなに会えてうれしい。

※くまさんの気持ちを想像しやすくするために、BGMを流して資料提示をする。
※郵便はくまさんにとって仕事だということをおさえる。

2 やぎじいさんの家に向かいながらくまさんはどんなことを考えていたでしょう。
(なぜ、いそぎ足になったのでしょう。)
 ・つらいな。
 ・もう少しだ。がんばろう。
 ・最後までやりきるぞ。
 ・やぎじいさんは喜ぶかな。喜んでほしい。
 ・責任を果たしたい。
 ・みんなが困ってしまう。

※仕事をすることは時に辛いと感じる人間理解と、それでもがんばろうとするくまさんの動機を考えさせることで価値理解を深めさせる。
※ペアで話し合い後、全体で交流させる。

3 手紙を読みながらくまさんはどんなことを考えていたでしょう。
 ・やってよかった。
 ・やぎじいさんやこりすが喜んでくれてよかった。
 ・他の人も思っているのかな。
 ・責任を果たせた。
 ・みんな喜んでくれているんだな。
 ・みんなのためになっているんだな。
 ・これからもがんばろう。

※やぎじいさんだけではなく、こりすや他の人も同じ気持ちでいることをおさえる。
※多様な考え方が視覚的にわかるように板書する。
※くまさんの心情と学びの視点を照らし合わせながら、課題に対する答えを一人一人がもてるようにする。



◆自己の生活を振り返る。
○はたらくよさをかんじたことを書きましょう。
 ・係活動でがんばったらスターになった。
 ・お手伝いをしてありがとうと言われた。
 ・当番の仕事でみんなの役に立った。

☆みんなのために働くことのよさについて、自分の経験に照らし合わせながら考えることができたか。(ワークシート)

C.板書計画

D.評価の例

児童4
 授業前のアンケートで働くことのよさについて、「何かもらえる」「楽しい」の自己の利益が優位にある回答をしていた。また、普段の生活からは、怠けたり嫌がったりするようなことはほとんどなく、しなければならないことを確実にこなすところを評価していた。授業中の発言はほとんどなかったが、他の児童の発言をよく聞いて取り組んでいた。ワークシートでは、家庭でのお手伝いのことを振り返り、「ありがとう」と言われて、仕事が好きになったことを書いた。この授業では、他者意識の広がりが見られた。

児童8
 授業前のアンケートで働くことのよさについて、「褒められる」「仕事ができるようになる」という回答をしていた。また、普段の生活からは、自分から進んで行うというよりは、指示を受けて仕事を覚えている段階と評価していた。書く活動があまり得意ではなく、本時でも何を書こうか悩んでいたため、「できるようになったことがあるかな」と声掛けを行った。すると、生活班のリーダー活動のことを思い出し、自分の経験と照らし合わせて考えることができた。

児童4のワークシート

児童8のワークシート

児童3
 授業前のアンケートで働くことのよさについて、「何かもらえる」「みんなが困らない」というルーブリックで見るとバラバラな回答をしていた。また、普段の生活からは、周りの大人の様子を見て、褒められそうなことを行う傾向があると評価していた。中心教材のくまさんの気持ちでは、「やぎじいさんの笑顔のために頑張る」と相手を意識した発言をしていた。また、「手紙がもらえてよかった」という気持ちに共感した発言をした。ワークシートでは、「お小遣いをもらえなくても褒められてよかった」と、価値を比べながら相手意識の面で進んだ方に価値を見出していることが見られた。その他に書いていることからも、ねらいとする価値について、多面的・多角的に考えていることが分かる。

児童5
 授業前のアンケートで働くことのよさについて、「何かもらえる」「褒められる」というねらいとする価値についての深さでは低い回答をしていた。また、普段の生活からは、言われたことを確実にこなしていると評価していた。ワークシートでは、家庭で、お風呂掃除をしたときに、兄弟に喜んでもらえたことを思い出し、経験に照らし合わせて考えることができた。この授業では、ルーブリックにおけるねらいとする価値の深まりが見られた。

児童3のワークシート

児童5のワークシート

3.おわりに

 今回は「C 勤労、公共の精神」の「みんなのために働くことのよさ」をねらいとする価値とし、「もりのゆうびんやさん」を中心教材にして授業をしました。ルーブリックはその価値の深まりと相手意識の広がりをベクトルに作っています。このルーブリックのベクトルはどの内容項目でも当てはめられるものでもありません。また、同じ内容項目でもねらいや教材が違えば変わってくるでしょう。大事なのは、指導者が児童にどのような価値観に触れさせたい、気付かせたい、身につけさせたいという願いをもって指導に当たるかです。指導の成果である児童の実態を把握していく手段の一つとして、今回の提案をご参考にしていただけたら幸いです。

 

注1:ルーブリックとは、子どもの学習到達状況を評価するための、評価基準表のこと。