「プレゼント大作戦〜新製品開発プロジェクト〜」(第6学年)

1.題材名

プレゼント大作戦〜新製品開発プロジェクト〜

2.学年

第6学年

3.分野

工作に表す

4.時間数

6〜8時間

5.準備物

教師:紙粘土、木材(板、角、端材)針金、カラーペン、紙(色紙、厚紙、工作用紙)、接着剤(木工用ボンド、グルーガン)、児童のアイデアスケッチに応じて適宜準備

児童:絵の具、色鉛筆、はさみ、のり

6.題材設定の理由

 本題材は、お世話になった人や感謝の気持ちを伝えたい人のことを思い、ものをつくることで、与えられた受け身の活動ではなく、実感の伴う意欲的な活動になることを期待しました。
 大切な人やお世話になっている人、感謝を伝えたい人に向けて、世界に1つしかない新製品をつくりプレゼントする活動です。「プレゼントすることで、思いが伝われば良いよね」という声かけのもと、既習の用具や材料を使い製作活動を行いました。
 材料・用具・加工方法を自分で選択し製作活動を進めるため、今までの図工で培った力を発揮できる題材です。児童自身がプレゼントする相手を決め、相手の状況や性格、好みに適したものを考え、材料・用具を選び相応しい表現をすることは、図工で培った力を総結集させなければ行えない活動です。
 また、本題材は、展覧会に出品するのにも適した題材です。この題材では、思春期に差しかかる6年生という時期に、日頃伝えづらい思いを図工の授業だからこそ表現でき、直接伝えるのは照れ臭いけれど作品としてなら伝えられるという児童の姿が見られます。鑑賞した家族や地域の人に、児童の思いや気持ち、思考の流れが魅力的に伝わる題材でもあります。形や色に加えて、児童の考えや発想を楽しむことができます。

7.題材の目標

【知識及び技能】
 材料や用具を生かして表すときの感覚や行為を通して、造形的な特徴を理解する。
 発想したことに合わせて形や色、材料の組合せ、用具を選択し、工夫して表すことができる。

【思考力、判断力、表現力等】
 プレゼントする相手のことを考え、どのような人なのか、どのような生活をしているのか、その生活の中で困っていることはあるか、もらったら嬉しいものはどのようなものなのかを段階ごとに考え、世の中には存在しない新製品を発想することができる。
 自他の作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴、表し方の工夫などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めることができる。

【学びに向かう力、人間性等】
プレゼントをする相手のことを考え、意欲的に活動することができる。発想したものを粘り強く取り組み作ることができる。

8.題材の評価規準

【知識・技能】
 材料や用具を生かして表すときの感覚や行為を通して、造形的な特徴を理解している。
 発想したことに合わせて形や色、材料の組み合わせ、用具を選択し、工夫して表している。

【思考力・判断力・表現力】
 プレゼントする相手のことを考え、どのような人なのか、どのような生活をしているのか、その生活の中で困っていることはあるか、もらったら嬉しいものはどのようなものなのかを段階ごとに考え、世の中には存在しない新製品を発想している。
 自他の作品の造形的なよさや美しさ、表現の意図や特徴,表し方の工夫などについて、感じ取ったり考えたりし、自分の見方や感じ方を深めている。

【主体的に学習に取り組む態度】
プレゼントをする相手のことを考え、意欲的に活動している。発想したものを表すために、粘り強く取り組もうとしている。

9.指導計画(○児童の活動 □教師の指導の手立て)

①誰に、何を、どのようにつくるか考える(1〜2時間目)

プレゼントを贈る相手を想定します。
相手のことを考えます。何が好きなのか、日頃困っていることは何なのかなど、ワークシートで整理します。
どのようなものをつくるのか、相手の生活が豊かになるものや貰って嬉しいものは何か考えます。
考えたことを基にアイデアスケッチをかいて、材料やどのような思いからつくるのか教員と打ち合わせをします。
教員は「相手の状況→どのようなプレゼントが嬉しいか」という発想の流れが本題材では重要であること意識し、声かけ・打ち合わせをします。
世の中にない、世界に一つしかない新製品を開発しようと全体に共有します。

②アイデアスケッチを基につくる(2〜7時間目)

アイデアスケッチを基に材料を選び、手順を検討し計画的につくっていきます。紙粘土を使うなら芯材を用意するところから、箱型のものなら大きさを考えて材料を切るところから進めていきます。
教員は児童の思いを大切にし、アイデアスケッチを基に既習事項と材料や用具、製作時間を踏まえて実現可能な新製品開発のアドバイスを行います。
制作を「大きいところ→細かいところ」に意識して進めていくこと、用具・接着剤の使い方を全体に伝えつつ、児童それぞれに合った声かけを行います。



③展示準備・展示をする(8時間目)

作品が完成した際に、名札とメッセージカードを準備します。メッセージカードを書くことで相手への思いや作品に対する考えがより伝わる鑑賞になることが期待できます。メッセージカードは、日頃の感謝の気持ちや、なぜ本作品をつくったのかという想いが相手に伝わるように書きます。
展覧会や公開授業で作品を展示することで、作品を通じて作者の思いが伝わります。

時間に音楽が流れ、頑張って早起きできるアイテム取りづらいものをとってくれる、ものとりくん

毎日の献立を考えるのに迷っているお母さんへ、献立を決めてくれるうさぎパソコン仕事を代わりにやってくれる、まんまるくん

掃除をしてくれるお掃除ロボットおじいちゃんのやっているお店にお客さんが来るように手招きをしている像

ゲーム好きな弟がいつでもゲームができる運転セット展覧会で展示する様子、メッセージカードをじっくり見て鑑賞を楽しむ場ができた

10.おわりに

想いが伝わる鑑賞の場
 本題材を鑑賞した保護者や地域の人からの感想に「子どもの思いが作品やメッセージカードから伝わりました」「メッセージカードを読んで感動して泣きそうになりました」といったものがありました。作品の出来栄えや色や形を楽しむのに加え、作品に込めた児童の思いが伝わる鑑賞の場になりました。

活動と動機
 6年生が主体的に活動するための動機として「プレゼント大作戦」は、自然で無理のないものになりました。誰かのためにつくるという設定があったからこそ、最後まで粘り強く製作できた児童もいました。より良くしたいという思いを抱くことで、活動が深まることに繋がりました。自分のためのものづくりとは異なる、誰かのためのもの作りの可能性を感じました。

展覧会での児童の姿
 本題材を展覧会で展示した際に、ほとんどの6年生が自分の作品を同じ学年や他学年の児童にしっかり紹介することができました。また、保護者や地域の人に向け、照れながらも生き生きと作品について語る様子もありました。「誰に→何を→どのようにつくるか」という製作活動の中で、自分で考え、自分の思いをのせて取り組むことができたからこそ、それを他者に向けて語ることのできる作品に仕上げることができました。

ESDと気候変動教育(その17) いかに気候変動教育をカリキュラムに取り入れるか

 「学び!とESD」(Vol.50 & Vol.51)でも紹介した 「ユネスコ教育勧告」では、気候変動教育がESDの一環として位置づけられ、加盟国でさらなる推進が求められるに至りました。気候変動教育の最新情報については、これまでも重ねて説明してきましたが(*1)、本号ではユネスコが体系的かつ具体的にまとめた文書『カリキュラムのグリーン化ガイド』(*2)の概要を紹介します。

『カリキュラムのグリーン化ガイド』誕生の経緯

 この文書は、2022年の「教育変革サミット(Transforming Education Summit)」で生まれた「Greening Education Partnership(以下、GEPと略記)」の4つの柱のうち、「カリキュラムのグリーン化」の成果物として2024年6月に発行されました(「学び!とESD」Vol.47参照)。GEPは、理科や地理の教科内で教えられることが一般的だった環境教育にESDの要素を取り入れ、知識だけでなく技能や価値観も包括的に学び、行動を起こすことのできる学習者の育成を目的としています。この新しい包括的な気候変動教育(Greening Education、以下GEと略記)は、2021年のPre-COP youth eventや2022年のユネスコ報告書『質の高い気候教育を求める若者たち』(「学び!とESD」Vol.36Vol.37参照)などで若者から主張された、教育への要望に対する応答として捉えることもできます。

ガイドの概要と構成

 GEの推進に向けて、GEPでは「世界各国の90%以上のナショナル・カリキュラムに、気候変動が含まれること」を目標として掲げました。その目的を達成するために、国、学校や教員等の教育実践者が現在行っている取り組みを、より活動重視で、包括的で、科学的に正しく、社会的正義を原動力とした、生涯を通した継続的なものにしていくために作成されたのが『カリキュラムのグリーン化ガイド』です。このガイドには長年にわたって培われてきたESDの貢献が随所に見られる内容となっています。章立ては以下のとおりです。

章立て

内容

《第1章》はじめに

背景、目的、GEの主導原則

《第2章》GEのストラテジー

●何を学ぶべきか

  • 認知的、社会的、情動的で、行動を起こすことを促す学び
  • 状況に応じた学び

●どのように学ぶべきか

  • 学習者中心、経験的、省察的に学ぶ
  • 教科の枠を超えて、気候変動の様々な側面を学ぶ
  • 学習者の成長は包括的に評価する

●どこで学ぶべきか

  • 学校等の教育機関における学びは重要であり、若者の意見が意思決定に反映させられるべきであること
  • 地域と共に、または地域の中でのGEは、意義深く、変革をもたらす学びとなること

《第3章》重要概念・トピック・学習目標

●3つの領域―環境・社会・経済
●教育段階ごとの学習目標
●6つの重要概念ごとの各教育段階における認知的、社会情動的、行動的学習目標の一覧

《第4章》カリキュラムのグリーン化の実践

GEを実践するための10ステップ

GEの3つの領域と6つの重要概念

 まず重要概念として、環境的領域(気候・生態系と生物多様性)だけでなく、社会的領域(気候正義・レジリエンス)および経済的領域(脱炭素社会・持続可能なライフスタイル)を包括的に提示しているという点が挙げられます。また、知識だけでなく社会情動的な学びや行動を起こすことも目的に含まれており、知識伝達型の教育からの脱却が期待されていると言えるでしょう。

 では具体的にどのようにカリキュラムに取り入れることができるのでしょうか。それについては第3章で、重要項目ごとのトピックと、学習者の年齢で分類された学習目標が表形式で説明されています。参照してみると、今の実践を未来志向へとシフトしていくヒントが見つかるかもしれません。

 このガイドには、気候変動教育を伝統的な手法に絡め取られることなく、持続可能な未来へといざなう導き手となる知見が散見されます。次号ではそのいくつかを紹介します。

*1:次の16回にわたるシリーズをご参照ください。
Vol.14Vol.19Vol.20Vol.21Vol.22Vol.23Vol.24Vol.25Vol.26Vol.27Vol.36Vol.37Vol.38Vol.46Vol.47Vol.48
*2:『カリキュラムのグリーン化ガイド』(英文)
UNESCO. (2024). Greening curriculum guidance: Teaching and learning for climate action.
https://www.unesco.org/en/articles/greening-curriculum-guidance-teaching-and-learning-climate-action

Webマガジンまなびと:「学び!とESD」Vol.55

Webマガジン:「学び!とESD」Vol.55 “ESDと気候変動教育(その17) いかに気候変動教育をカリキュラムに取り入れるか”を追加しました。