投稿者「test202601」のアーカイブ
いっしょに考えよう図工のABC
鈴木康広展「近所の地球」
鈴木康広(1979-)の大規模な個展である。水戸芸術館の現代美術ギャラリーに、これまでに制作してきた代表作および、本個展のために制作した新作が数多く展示されている。また、中心市街地活性化事業として水戸市街の24の店舗に各2冊ずつパラパラマンガを設置する、「パラパラマンガ商店街in水戸」も同時に開催しており、地域と連動した展覧会にもなっている。
代表作の展示として「ファスナーの船」の関連資料があった。これは2002年に鈴木が飛行機で移動している際、上空より、水上を進む船の後ろに発生するハ字型の波(引き波、ケルビン波などと呼ばれる)を見て、そこから着想を得た作品である。このハの字に広がる波をファスナーが開かれる様に見立て、船をファスナーの持ち手と考えれば、地球をファスナーで開いているイメージにつながる、と鈴木は発想したのである。2004年にはファスナーの持ち手部分のラジコン船を制作し発表。このときは公園の池で実演した。2010年には実際の漁船を改造し、人間が乗船可能な全長約11mの船舶を現実のものとする。これは第1回瀬戸内国際芸術祭において、来場者を乗せて瀬戸内海を渡った。そのほかにも代表作として「遊具の透視法」(2001)「まばたきの葉」(2003)などが体験型のインスタレーションとして展示されている。
また「パラパラマンガ商店街in水戸」は水戸市街を散策しながら、多彩なパラパラマンガを鑑賞できるのが特色である。鈴木のパラパラマンガはメタモルフォーゼによる形の変化の不思議さ、単純な動きの面白さ、短時間で完結するシュールな物語性、見たての妙など、さまざまな技法を一冊ずつ端的に凝縮してある。より多くの作品を見るほどに、「この手があったか!」と感心の度合いが深まるので、水戸市街を散策しながら、なるべく多くのパラパラマンガを鑑賞することをお勧めしたい。
(編集部)
<展覧会情報>
- 鈴木康広展「近所の地球」
- 2014年8月2日(土)~10月19日(日)
展覧会概要
- 2001年に公園の遊具を用いた映像インスタレーション作品で脚光を浴び、その後、美術館での作品発表のみならず、地域や空間を意識した活動や奇想天外なアイデアを紹介する著作などを発表し続ける鈴木康広の大規模な個展。これまでの代表作と新作を一挙に体験できる内容となっている。
■水戸芸術館
- 所在地 茨城県水戸市五軒町1-6-8
- TEL 029‐227-8111
- 休館日 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
<次回展覧会予定>
- ヂョン・ヨンドゥ 地上の道のように
- 2014年11月8日(土)~2015年2月1日(日)
その他、詳細は水戸芸術館Webサイト
でご覧ください。
ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展―印象派を魅了した日本の美

「名所江戸百景 亀戸梅屋舗」 竪大判錦絵/37.2×24.3㎝/江戸時代 安政4年(1857)11月/ボストン美術館蔵
William Sturgis Bigelow Collection 11.20206
Photograph©2014 Museum of Fine Arts, Boston
1639年より鎖国状態にあった日本は1850年代に開国します。世界との貿易が始まると、日本の陶磁器、掛け軸、浮世絵、団扇といった輸出工芸品は西洋人の関心をとらえ、流行となりました。その頃の西洋における日本趣味をジャポニスムと呼びます。
浮世絵の構図や色彩などは当時の西洋の画家に多大なインパクトを与えたことが知られています。特に印象主義の画家たちは大いに影響を受け、自己の作品に生かしました。クロード・モネ(フランス・1840~1926)、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(フランス・1864~1901)、フィンセント・ファン・ゴッホ(オランダ・1853~1890)の作品には、浮世絵の色彩や構図を参考にしたものや、作品の背景に描き込んだもの,模写がいくつも残されています。
さて、ここで紹介する歌川広重(1797~1858)の「名所江戸百景 亀戸梅屋舗」は開国して間もない1857年に発表されました。近景、中景、遠景と奥行き方向に区分された構図を持ち、近景に画面からはみ出すほど大きく梅の枝を描いているのが特徴です。中景と遠景の対象は小さく描かれており、近景のクローズアップを強調しています。この作品がフランスに住んでいたゴッホの目に留まるのは約30年後のこと。1887年にゴッホはこの作品を油彩で模写しました。
西洋美術に影響を与えた浮世絵ですが、実は当時の日本美術も西洋美術から影響を受けています。鎖国状態の日本もオランダとは貿易を続けており、海外文化を蘭学として取り入れていました。同時に西洋の絵画技法も伝えられたのです。例えば、蘭学の普及期ともいえる1759年頃、円山応挙(1733~1795)は一点透視図法に従って描いた「三十三間堂通し矢図」を残しています。葛飾北斎(1760~1849)も三つわりの法という、消失点や水平線が複数存在する独自の透視図法を編み出し、北斎漫画に記録を残しているのです。広重も多くの作品で西洋的な遠近法を構図に取り入れています。
東西の文化が互いに影響し合ってきた歴史を踏まえて、本展覧会を見ると、鑑賞がより深まるはずです。
(編集部)
<展覧会情報>
- ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展
- 2014年6月28日(土)~9月15日(月・祝)
展覧会概要
- 19世紀後半から20世紀初頭にかけて日本美術が西洋で流行し、多くの芸術家に影響を与えました。その現象はジャポニスムと呼ばれています。本展ではボストン美術館の所蔵品から、ジャポニスム関連の作品,150点を展示し、西洋美術に日本美術が何をもたらし、何が生まれたのかについて迫ります。
■世田谷美術館
- 所在地 世田谷区砧公園1-2
- TEL 03-3415-6011
- 休館日 月曜日(7月21、9月15日は開館、7月22日は閉館)
<次回展覧会予定>
- 松本瑠樹コレクション ユートピアを求めて
- 2014年9月30日(火)~11月24日(月)(予定)
その他、詳細は世田谷美術館Webサイト
でご覧ください。
文字の大きさと配列 「実りの秋」(第5学年)
※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。
1.単元名
文字の大きさと配列 「実りの秋」
2.目 標
○漢字と平仮名の文字の大きさや配列に気をつけて書く。
○漢字と平仮名の文字の大きさや配列に気をつけて,半紙におさまりよく書く。
○筆順と字形との関係に気をつけて,漢字を書く。
○既習の字形や行の中心,文字の大きさに気をつけて書く。
3.評価基準
関心・意欲・態度
○自分のめあてを見つけようとしている。
○漢字の平仮名の大きさに気をつけて,配列よく書こうとしている。
思考・判断・表現
○毛筆で学習したことを硬筆で確かめながら書いている。
技能
○文字の大きさや配列に気をつけて書くことができる。
知識・理解
○配列よく書くための方法を理解している。
4.本単元の指導にあたって
本単元では,漢字は大きく,平仮名は小さく書くと読みやすいことを取り上げ,定着を図る。
画数の少ない平仮名を漢字と同じ大きさに書くと,平仮名が大きく見えてしまい,読みにくいことを理解して書くことができるようにする。
1学期は「組み立て方と字形」について学習してきた。どのような形で書いたらよいのか,全体のバランスはどうかを考えながら書くことを練習してきた。子どもたちは,初めは,ただ単に「手本の通りに書く」ことを目標として黙々と練習していたため,評価をしても「○○さんよりうまい」「○○さんのようには書けない」といった他人との比較しかできておらず,自分の字に自信の持てる児童は多くなかった。そこで,ためし書きをし,「自分の書いた字を添削し,交流する」ことをすべての学習で行うようにした。すると,自分の字の直すところが明確になり,まとめ書きでは,手本を意識して見るようになった。さらに,「自分は~が手本のように書けるようになった」と自分自身の成長を評価できるようになっていった。また,ためし書きを交流する際には,筆の動きを確認しやすくするため,「筆てぶくろ」を使った。穂先の向きや筆の回転の仕方など,筆だけで確認するより,児童には分かりやすかったようである。
本単元では,これらの学習を生かして,漢字と平仮名の交ざった4文字を大きさや配列に気をつけて書く。漢字は画数が多いので,画の太さや長さにも十分意識して,半紙におさまりよく書けるようにもしたい。平仮名では,点画のつながりや丸みを意識して書けるようにもしたい。さらに,毛筆で学習したことを今後の硬筆でも生かすことができるようにしたい。
5.単元の指導計画(全2時間)
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時 |
主な学習活動・内容 |
指導の工夫と教師の支援 |
準備物 |
|---|---|---|---|
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1 |
漢字と平仮名の大きさと配列に気をつけて毛筆で書く。 |
○作品を見て,漢字と平仮名の大きさの違いを知る。 |
(関)漢字と平仮名の大きさの違いや配列について知ろうとしている。 |
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○ためし書きをし,自分のめあてを見つける。 |
(関)ためし書きから自分のめあてを見つけようとしている。 |
||
|
○交流し,まとめ書きをする。 |
(関)ためし書きから自分のめあてを見つけようとしている。 (技)文字の大きさや配列を意識しながら練習する。 (知・技)漢字と平仮名の大きさの違いや配列について理解したうえで練習している。 |
||
|
○評価をする。 |
(関)自己評価や相互評価でよいところを見つけようとしている。 |
||
|
2 |
漢字と平仮名の大きさと配列に気をつけて毛筆で書き,さらに硬筆で書く。 |
○作品を見て,自分のめあてを見つける。 |
(関)自分の作品から本時のめあてを見つけようとしている。 |
|
○交流し,まとめ書きをする。 |
(関)本時の自分のめあてを見つけようとしている。 (技)文字の大きさや配列を意識しながら練習する。 (知・技)漢字と平仮名の大きさの違いや配列について理解したうえで練習している。 |
||
|
○評価をする。 |
(関)自己評価や相互評価でよいところを見つけようとしている。 |
||
|
○硬筆で書く。 |
(思)毛筆で学習したことを硬筆で確かめながら書いている。 |
6.本時の学習
①目 標
○漢字と平仮名の大きさと配列に気をつけて書く。
②学習展開
|
主な学習活動・内容 |
指導の工夫と教師の支援 |
準備物 |
|---|---|---|
|
1.漢字と平仮名の大きさの違いを知る。 C1.漢字が大きい。 C1.漢字は画数が多いから。 |
○作品を見てそれぞれのよさを発表できるようにする。 ○バランスのとれた作品に共通することを見つけて発表できるようにする。 ○なぜ漢字が大きく,平仮名が小さいとバランスがよいのかを考えられるようにする。 |
児童の作品 |
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漢字は大きく,ひらがなは小さくなるように大きさと配列に気をつけて,ていねいに書こう。 |
||
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2.ためし書きをし,自分のめあてを見つける。 |
○手本は見ずに書き,手本と比べたことを赤ペンで書きこむようにしたい。 |
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3.気をつけるところを交流する。 |
○発表したことを1つずつ確認する。 ○文字の中心を確認する。 |
筆てぶくろ |
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4.まとめ書きをする。 |
○交流したことを生かして,練習できるようにする。 |
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5.評価をする。 |
○ためし書きとまとめ書きを並べて,よくなったところを見つけられるようにする。 |
評価カード |
ルドルフ・シュタイナー展 天使の国
ルドルフ・シュタイナー(1861~1925)はオーストリア帝国(現在のクロアチアのあたり)出身の人物です。哲学博士であった彼は、生前より思想家としてゲーテの研究などで高い評価を得ており、ヨーロッパ各地において数多くの講演を行ったことが知られています。また、自身の開発した教育プログラムを実践する、自由ヴァルドルフ学校を設立し、指導に当たりました。12年一貫方式となる、この教育プログラムは,シュタイナー教育と呼ばれ、現代の日本にも、その理念に基づいた学校がいくつか存在しています。
シュタイナーは「概念で思考するのと同じように、色彩や形体で思考することができなければならない」と語り、黒板にカラフルなドローイングを描きながら講義を進めました。シュタイナーの弟子は講義内容の記録に努め、約4000の講義録が現存しています。初期の講義録は速記官が講義中の発言を文字に直した形式が主ですが、やがて、弟子の一人が、講義の直前に黒板に黒い紙を張り、板書をそのまま保存することを思いつき、実行しました。晩年の約6年間に描かれた、およそ1000点の黒板絵が保存されています。
ここで紹介する黒板絵には、弓状の黄色い形体と6つの赤い流線形が描かれています。以下は、ある講義でシュタイナーが月について語った言葉です。この言葉と黒板絵とを結び付けて、シュタイナーがどのような思想を持っていたか考えてみてはいかがでしょうか。
「月を眺めるときには、こう言えなければなりません。今見ているこの月は、宇宙の進化の中で、みんなが非個人的な知識を個人的な課題にすることを忘れたり、個人的な欲求を愛に変えて社会生活の中で全人類の一般的な課題にすることを忘れてしまったりしたら、人類がそういう人ばかりになったら、地球がどんな存在になってしまうかを示しているのだ。 いわば地球存在のカリカチュア(※)を示しているのだと。」
(編集部)
※カリカチュア:事物を簡略な筆致で誇張したり,滑稽化したりして描いた絵。
<展覧会情報>
- ルドルフ・シュタイナー展 天使の国
- 2014年3月23日(日)~7月27日(日)
展覧会概要
- ルドルフ・シュタイナーはゲーテ研究家、思想家、哲学者、教育者として知られた人物です。本展では彼の講義の板書をそのまま記録した黒板ドローイング、残された建築やデザインなどから、その考えや実践に迫ります。
■ワタリウム美術館
- 所在地 東京都渋谷区神宮前3-7-6
- TEL 03-3402-3001
- 休館日 月曜日(7/21は開館)
その他、詳細はワタリウム美術館Webサイト
でご覧ください。
特別展示 再発見 歌麿「深川の雪」
喜多川歌麿(1753頃―1806)の肉筆画の大作として、存在は知られていたものの、1948年(昭和23年)の銀座松坂屋での展示以来、行方不明になっていた「深川の雪」が発見され、修復のうえ、66年ぶりに一般公開されています。掛け物として表装された本作は、歌麿による肉筆画としては最大級の縦約2m、横約3.5mというサイズです。
歌麿はこの作品で深川にあった花街の、とある料亭の二階座敷を舞台に、総勢26人の女性を華やかに描き出しています。さまざまな年代の女性を色とりどりの衣装、髪型、化粧、しぐさなどでしっかりと描き分け、それぞれを巧みに配置して安定した構図に練り上げているのが特徴です。全体を捉えても細部を追っても見どころのある、非常に充実した作品といえるでしょう。
この作品には落款がありません。そこで、研究者は描かれた女性の髪型や化粧などを、形や色から分析し、歌麿の生きていた時代における、そのときどきの流行と照合して、制作年を絞り込みました。髪型としては、髪を薄く伸ばし、櫛目をつけて内側が透けるように結う灯籠鬢が多く描かれており、下唇が緑色に着色されているのも大きな特徴です。これは、笹色紅という江戸時代の一時期に流行した化粧法を表します。こういった特徴と江戸風俗研究との照らし合わせから、この作品は歌麿の最晩年となる19世紀の初頭に描かれたものと判断されました。
18世紀後半に老中、松平定信は寛政の改革を発令します。改革では出版統制が行われ、浮世絵は風紀を乱すものとして、厳しい取り締まりを受けました。歌麿の重要なパトロンで版元の蔦谷重三郎は財産の半分を没収されるという重い罰を受け、1804年には歌麿自身も禁制の題材を描いた罪で捕縛の憂き目にあったことが明らかになっています。
寛政の改革以降、江戸での弾圧を逃れるように歌麿はたびたび栃木を訪れ、この「深川の雪」以外にも「品川の月」(1788頃|フリーア美術館蔵[アメリカ])「吉原の花」(1791頃|ワズワース・アセーニアム美術館[アメリカ])という大作の肉筆画を描きました。これらは「雪月花」の三部作と呼ばれており、栃木の豪商であった善野伊兵衛の依頼により制作されたと伝えられています。
(編集部)
<展覧会情報>
- 特別展示 再発見 歌麿「深川の雪」
- 2014年4月4日(金)~6月30日(月)
展覧会概要
- 喜多川歌麿の大作「深川の雪」の66年ぶりとなる一般公開を中心に,歌麿の肉筆画「芸妓図」,「三美人図」,葛飾北斎や上村松園などの女性を描いた作品を展示し,近世から現代にいたるまでの美人画の変遷の一端を展観します。
■岡田美術館
- 所在地 神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1
- TEL 0460-87-3931
- 休館日 会期中無休(臨時休館あり)
<次回展覧会予定>
- かわいい生き物たち(仮称)
- 2014年7月4日(金) ~ 9月30日(火)(予定)
その他、詳細は岡田美術館Webサイト
でご覧ください。
栄西と建仁寺|<高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸)
俵屋宗達の「風神雷神図屏風」は日本絵画の名宝として、広く知られた作品です。中央に大きく空間をとり、右に風神,左に雷神を配置した印象的な構図、二神のとる力強いポーズやたなびく衣、墨のにじみを活用するたらし込みの技法で描かれた雲などから、いまにも動きだしそうな迫力を感じることができます。二神は風や雷・雨という、人間にとって畏怖の対象でもあった自然現象を神格化したものですが、どことなく親しみやすい、ユーモラスな表情を浮かべているのも特徴です。
宗達は伝記などの記録が少なく、生没年を含め、不明なことの多い画家といえます。とはいえ、16世紀後半から17世紀前半に京都を中心に活躍したということは間違いないようです。俵屋という屋号で絵画工房を率いていたとされ、扇絵を中心に屏風絵なども手掛けたと伝えられており、「風神雷神図屏風」における二神の配置は扇絵の構図を基にしているという説もあります。
一方、尾形光琳の「風神雷神図屏風」は宗達のものより約100年後に描かれた作品です。光琳の曽祖父が、宗達と共作を手掛けるなどと関係の深かった書家、陶芸家の本阿弥光悦の姉と結婚していたことから、尾形家には宗達の屏風などがあったと考えられています。光琳はそういった作品に触れ、やがて宗達に私淑するようになったのではないでしょうか。
光琳はこの作品を描くにあたって、宗達の「風神雷神図屏風」を実際に見て、深く研究し、制作にあたったと考えられています。比較すると、光琳が宗達の描いた構図やポーズ、筋肉の描線までをかなり正確にトレースしていることが分かるでしょう。とはいえ、光琳が独自の解釈を加え、描き変えている個所もあります。例えば、二神の衣や太鼓で、宗達が画面よりはみ出るように描いていた部分を、光琳は屏風のサイズを大きくして、画面に収めるように描いているのです。また、宗達では下を向いている雷神の目線が、光琳では右の方を向いている、という違いもあります。それ以外にも、注意深く見ることで雷神の腰布の色や雲の表現に違いがあることに気づくことができるでしょう。
東京国立博物館では4月8日~5月18日の間、この二作品を同時に展示します。光琳が参考にした宗達のオリジナルを見て、光琳の表現の工夫を確認し、自分であればこう描く、などと想像しながら鑑賞するのもよいのではないでしょうか。
(編集部)
<展覧会情報>
- 栄西と建仁寺
- 2014年3月25日(火)~5月18日(日)
展覧会概要
- 日本に禅宗(臨済宗)を広め、京都最古の禅寺である建仁寺を開創した栄西。その栄西および建仁寺ゆかりの宝物を多数公開する特別展です。海北友松、長谷川等伯、伊藤若冲、曽我蕭白、長澤芦雪、白隠らの作品を展示します。
■東京国立博物館
- 所在地 東京都台東区上野公園13‐9
- TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
- 休館日 月曜日(4月28日、5月5日は開館、5月7日は休館)
<次回展覧会予定>
- 「キトラ古墳壁画」
- 2014年4月22日(火)~5月18日(日)
その他、詳細は東京国立博物館
でご覧ください。
森美術館10周年記念展 アンディ・ウォーホル展:永遠の15分
①「マリリン・モンロー(マリリン)」 紙にスクリーンプリント/91.4×91.4 cm /1967 アンディ・ウォーホル美術館蔵
© 2014 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Artists Rights Society (ARS), New York Marilyn Monroe™; Rights of Publicity and Persona Rights: The Estate of Marilyn Monroe, LLC marilynmonroe.com
アンディ・ウォーホルは、1920年代のアメリカに生まれ、消費社会と大衆文化の時代を背景に活躍した20世紀後半を代表する作家の一人です。1950年代に商業デザイナー/イラストレーターとして成功を収めた彼は、1960年頃からアーティスト活動を開始しました。おりしもアメリカは大衆文化花盛りの時代です。ウォーホルは大量生産や大量消費される商品やタレントなどのイメージを作品として制作し、ポップ・アートの旗手として頭角を表していきます。
ここで紹介する「マリリン・モンロー(マリリン)」や「キャンベル・スープⅠ:チキン・ヌードル」は彼の代表作と言われる作品です。スクリーンプリント(シルクスクリーン)の技法を用いて量産されたこれらの作品は、世界中のさまざまな美術館に所蔵されており、大量消費者社会におけるイメージの反復を象徴的に表現しています。マリリン・モンローの作品は、彼女の死に触発されて制作されたと言われており、版が同じで、色の違うバージョンが多く存在します。また、キャンベル・スープをモチーフとして選んだきっかけは、自分が毎日食べるものだからとのことです。この展覧会にはこの二点と同様に、イメージの反復を用いた作品が数多く展示されています。そこからはウォーホルの一貫したテーマが感じ取れるでしょう。
②「キャンベル・スープⅠ:チキン・ヌードル」 紙にスクリーンプリント/88.9×58.7 cm/1968アンディ・ウォーホル美術館蔵
© 2014 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Artists Rights Society (ARS), New York
ウォーホルはニューヨークの東47丁目231番地にあったスタジオ(通称ファクトリー)で作品制作を行っていました。そこは当時のニューヨークアンダーグラウンド・カルチャーのサロンでもあり、ミュージシャンやモデル、アーティストなど、さまざまな人間が出入りしていたことが知られています。そのファクトリーの内装の一部を美術館の中に再現しているのも、今回の展示の特徴です。また、ウォーホルは坂本龍一のポートレイトなど、日本人をモチーフとした作品をいくつか手掛けています。そういった作品から当時の文化的な交流を感じ取ることができるのも、この展覧会の魅力の一つと言えるでしょう。
※今回紹介する作品は厳密には教科書掲載作品と同じものではありませんが、シルクスクリーンで大量生産された同じシリーズの作品です。
(編集部)
<展覧会情報>
- 森美術館10周年記念展 アンディ・ウォーホル展:永遠の15分
- 2014年2月1日(土)~5月6日(火)
展覧会概要
- 初期から晩年までのウォーホルの作品と資料を包括的に紹介する、日本では過去最大級の回顧展です。作品と資料をあわせて約700点を展示、作家の主要シリーズをほぼ網羅しつつ、日本初公開の作品も多数展示しています。
■森美術館
- 所在地 東京都港区六本木6−10−1 六本木ヒルズ森タワー 53F
- TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
- 休館日 会期中は無休
<次回展覧会予定>
- 「ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界」
- 2014年5月31日(土)~8月31日(日)
その他、詳細は森美術館
でご覧ください。
吉岡徳仁 クリスタライズ
吉岡徳仁(1967- )は、アート/デザイン/建築など幅広い領域において、自由な着想と実験的な創作から数々の作品を生み出し、国内外で高く評価されています。世界中の美術館に作品が収蔵/常設される、国際的に活躍するデザイナーであり、空間そのものを作品とするアーティストでもあります。自然界の丈夫な蜂の巣(ハニカム)構造を紙の椅子にした「Honey-pop」、柔らかい繊維をパンのように焼いて強靭な構造にする「PANE chair」は、彼のユニークな発想を形にした試みですが、今回の個展で発表される結晶のシリーズは、それらに続く自然構造のプロジェクトです。音楽を聞かせながら形作られた結晶の絵画「Swan Lake」、結晶化した薔薇の彫刻「Rose」は、自然から生み出され「クリスタライズ=結晶化/アイデアを具体化」した作品です。また、鋼鉄より強い自然界のクモの糸から発想した新作「蜘蛛の糸」は、わずか7本の糸で作られた結晶の椅子です。これらの作品が点在する空間を、180万本ものストローによる白い竜巻「Tornado」が、ダイナミックにつないでいます。
クリスタルプリズムによる虹の教会「Rainbow Church」は、12mのステンドグラスです。画家アンリ・マティスが作ったロザリオ礼拝堂を訪れた時の感動的な「光の体験」を、いつか人々と共有したいと吉岡は考え、光の建築空間を創り出しました。この作品空間は携帯カメラで撮影でき、作品を楽しむ観客の姿がどんどんネット上にも拡散し共有されつつあります。ぜひ、吉岡による作品空間を訪れ、自然と人間の関係や、新たな創作のかたちについて考えてみてください。
(東京都現代美術館 企画係主任 学芸員 森山朋絵)
<展覧会情報>
- 吉岡徳仁 クリスタライズ
- 2013年10月3日(木)~2014年1月19日(日)
展覧会概要
- 吉岡徳仁の公立館初の大規模個展。過去の代表作や国内初公開のインスタレーションなど、吉岡が作品へと結実させた、自然が秘める美しさを全身で感じることができる空間を創出しています。
■東京都現代美術館
- 所在地 東京都江東区三好4‐1‐1
- TEL 03-5245-4111(代表)
- 休館日 月曜日(10月14日、11月4日、12月23日、1月13日は開館、10月15日、11月5日、12月24日、12月28日~1月1日、1月14日は休館)
<同時開催の展覧会>
- うさぎスマッシュ展 世界に触れる方法(デザイン)
- 2013年10月3日(木)~2014年1月19日(日)
その他、詳細は東京都現代美術館
でご覧ください。




