高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)
高校教科書×美術館
(高等学校 美術/工芸)
2013.05.09
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高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸) <No.047特別号 教科書の作品に出会える展覧会>
LOVE展:アートにみる愛のかたち―シャガールから草間彌生、初音ミクまで
「両親」デイヴィッド・ホックニー作
「高校美術1」P.23掲載 テート・ギャラリー蔵
「両親」デイヴィッド・ホックニー作
「高校美術1」P.23掲載 テート・ギャラリー蔵
現在、六本木ヒルズ・森美術館の開館10周年記念展が開催中です。人間の根源的な心の働きである愛をテーマに集められた、古今東西の多彩な作品が「愛ってなに?」「恋するふたり」「愛を失うとき」「家族と愛」「広がる愛」の5つのセクションに区分されて展示されています。
ホックニーの『両親』は「家族と愛」セクションにあります。長年連れ添った両親の、何気ない日常の一瞬を、愛情あふれる眼差しで描き出した作品です。ホックニーは自分に近しい人をモデルとした作品を数多く描いており、これ以前にも父親を描いた作品が幾つか存在します。また、この作品は母親の入院をきっかけにして制作されたものです。
作品を見てみましょう。母親は作者であるホックニーをまっすぐに見据えていますが、父親は目を落として手許にある本を眺めています。この本は『Art and Photography』(エアロン・シャーフ著)という本だと言われています。ホックニーは絵画制作に写真を導入しており、この作品のためにも60枚以上ものカラー写真を撮影しています。写真撮影によって構図を決め、個々の人物を観察して制作にあたったのです。作品に描き込まれている本には,そういった写真を基にした絵画制作のヒントが記されていたのかもしれません。また、両親の間に置かれたカートの下段にはホックニーが青年期に影響を受けた『失われた時を求めて』(マルセル・プルースト著)のペーパーバックや、絵画技法を研究した18世紀の画家シャルダンの画集が置かれています。
この作品には、両親に対する愛情のみならず、ホックニーに影響を与えたものなども描き込まれているのです。
(編集部)
<展覧会情報>
- LOVE展:アートにみる愛のかたち―シャガールから草間彌生、初音ミクまで
- 2013年4月26日(金)~9月1日(日)
展覧会概要
- 愛をテーマに時代や地域を超えて選ばれた、美術史を彩る名作、意欲的な新作を含む約200点を通して、複雑で変化に富んだ愛の諸相を考察できます。絵画、立体、彫刻、インスタレーション、映像メディア表現、パフォーマンスなど多彩な表現を一度に体験できるのも特徴です。
■森美術館
- 所在地 東京都港区六本木6?10?1 六本木ヒルズ森タワー53F
- TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
- 休館日 会期中は無休
<次回展覧会予定>
- 「アウト・オブ・ダウト展 ― 来るべき風景のために(六本木クロッシング2013)」
- 2013年9月21日(日)~2014年1月13日(月)
その他、詳細は森美術館Webサイトでご覧ください。