学び!とICT

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教育現場での生成AIの活用 第3回 ~画像で楽しむ~
2024.08.05
学び!とICT <Vol.15>
教育現場での生成AIの活用 第3回 ~画像で楽しむ~
京都橘大学 池田修

 さあ、第3回目の連載を始めましょう。楽しんでいただけてますでしょうか。興味を持って、生成AIのニュースは、ご覧になっていらっしゃるでしょうか。生成AIの進化は凄まじいですね。毎日のように性能が更新されたとか、新しいサービスができたなどという情報が流れています。
 この連載は、入門を意識していますのでそこには触れませんが、ぜひ、最新ニュースのチェックもおすすめします。

 生成AIによる画像について2回ほど書いてきました。もう一回だけ書いてみます。それは、画像の分析です。今までは、指示の言葉で画像を描きました。指示の言葉を、絵の具のついた絵筆にして、書いたと言っていいでしょう。
 今回は、逆をやります。画像を文字にします。つまり、画像情報を文字情報に変換します。非連続型テキストと、連続型テキストに変えるという言い方もできるかもしれません。

管理栄養士登場

 例えば、皆さんのスマホの中にある食事の写真を使いましょう。それをChatGPTに読み込ませます。

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『質問』このお弁当のカロリーと栄養を計算してまとめてください。
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ChatGPT-4による回答例(*1)

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このお弁当には、小鮎(アユ)と炊き込みご飯が入っていますね。こちらのお弁当のカロリーと栄養素を概算してみましょう。

小鮎(アユ):

  • アユ4尾の重さは約80g(1尾20gとして)。
  • アユのカロリーは、100gあたり約110kcalです。
  • タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル(特にカルシウムとビタミンA)が豊富です。

炊き込みご飯:

  • お米の量はおおよそ200g(炊き上がり)。
  • ご飯200gのカロリーは約280kcal。
  • 炭水化物が主で、ごく少量のタンパク質も含まれます。

合計カロリーと栄養素:

  • アユのカロリー:約88kcal(80g)
  • ご飯のカロリー: 約280kcal(200g)
  • 合計カロリー:約368kcal

主な栄養素:

  • タンパク質:アユからのタンパク質が主で、合計で約18g
  • 脂質:アユは脂がのっている時期によりますが、おおよそ5-10g
  • 炭水化物:ご飯から約60g
  • ミネラルとビタミン:アユからカルシウムとビタミンAが豊富

このお弁当は栄養バランスが良く、特にカルシウムとビタミンAの摂取に良い選択です。カロリーも適度で、ダイエット中でも取り入れやすい内容です。
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 このように細かく分析してくれます。つまり、ある意味、専属の管理栄養士のような働きをしてくれるということです。写真だけでも結構やってくれます。つまり、食材と分量を入れなくとも大体のものは計算されてくるということです。
 他にも、もう少し使い方を工夫してみると…

  1. 朝ごはん、昼ごはんの写真を撮り、年齢、性別、体重を入れて「夕ご飯を提案して」というと、朝、昼に食べたものの内容を踏まえて、栄養バランスを考慮したおすすめメニューを提案してくれます。
  2. 年齢、性別、体重を入れて「2ヶ月後に2キロ痩せたい。それに合わせた基礎的な食事のメニューを提案して」というと、基本的な1日のメニュー例を提案してくれます。
  3. 冷蔵庫にある食材を並べて、写真を撮ります。「この食材から、料理を提案して」と尋ねると、画像に写した食材から作ることのできるメニューを提案してくれます。賞味期限の迫っているものを並べるといいと思います(^^)。

 など、色々なことが相談できますよ。

占い師登場

 画像情報を読み込ませて、分析させて、言葉で出力する。この雛形を使うと、占い師にもなれるわけです。そうです、手相です。
 私が、これを閃いたのは、大学に向かう車の中でした。慌ててコンビニの駐車場に車を停めて、お茶を買って、一息ついて落ち着いてから、自分の手の写真をスマホで撮って、スマホに入っているChatGPTのアプリで「この写真の手相を見て」と指示をしました。
 いやあ、感動でしたよ。本当に占ってくれるのですから。手のひらの写真と占いの結果は個人情報ですので、ここには載せません(^^)。載せませんが、ぜひお試しください(*2)。生成AIは、基本的に、悪いことは言いません。良いことだけを言います。生命線、知能線、感情線ぐらいの占いはしてくれますし、良いことだけ言ってくれます。
 そしたら、もう一つありますよね。思いつきますか?人相です。これもやりました。また、手相と人相を一緒にしてやりました。なかなかでしたよ。
 ただ、一方で思いました。(勝手にやられてもなあ)と。顔の写真さえあれば、人相を見られてしまうわけです。これからは、「勝手に自分の個人情報を分析されない権利」というのも必要になってくるかもしれませんね。

 今回は、教育のことには触れませんでした。(さて、これ、教育ではどう使ったらいいだろうか?)と皆さんに問いを立てて、試していただきたいからです。
 生成AIは、自分で問いを立てて、打ち込まないと始まりません。主体的なまなびです。ぜひ、何かの画像情報を使って、教育でやってみてください。
 続く。

*1:ここでは、ChatGPT利用の成果をわかりやすく説明するために、何度かやりとりした結果を便宜的に載せています。生成AIはその性質上、同じプロンプトを入力しても都度異なる回答が生成されますので、ぜひ試してみてください。
*2:ChatGPTに入力したデータを学習させないようにしたい場合は、オプトアウトを設定することができます。この設定をすることで、ChatGPTに入力したデータを学習・記録させないようにすることができます。

池田 修(いけだ おさむ)
京都橘大学発達教育学部教授。
公立中学校の国語科教員を経て現職。「学級を楽しく経営したい」「作って学ぶ」「遊んで学ぶ」をテーマに研究・教育を行う。著書は『作文指導を変える つまづきの本質から迫る実践法』、『子供の「困った発言」に5秒で返す 教師の「切り返し」』(明治図書)など多数。文部科学省学校DX戦略アドバイザー。生成AI教育的活用の研究開発に取り組む。