学び!とPBL

学び!とPBL

展開する「福島市を創る高校生ネットワーク」
2021.07.20
学び!とPBL <Vol.40>
展開する「福島市を創る高校生ネットワーク」
三浦 浩喜(みうら・ひろき)

1.コアメッセージ

図1 ロゴマークをつくる FCN(福島市を創る高校生ネットワーク)のコアメンバーは、自分が所属する高校を対象に高校生フェスティバルに向けてメンバーを募集することになりました。市内の高校で募集するためには、高校に対する説明書類が必要で、それぞれの高校の先生の目を経て、許可を得る必要があります。東北スクールでは、この辺りがとても分厚い壁だったので、念にも念を入れたしっかりとした目的や活動計画をつくらなければなりません。本来であれば、この辺りは、経験のある高校の先生にお願いしたいところですが、残念ながらメンバーの中には現場の先生はゼロで、この点が最後まで致命的な弱点として引きずることとなります。
 自分の学校の先生や生徒にどのように説明するのか、私たちがやりたいことは何なのか、メンバーのそれぞれに話してもらうとバラバラで、思いだけはわかっても、無駄が多く、冗長で、何を言いたいのかわからず、不特定多数の人たちに伝わるようなものではありませんでした。東北スクールの時に、ある有名企業のCSRの方から、人に伝える言葉は10秒以内、会ったそのときに伝えられないと、チャンスに逃げられてしまう、コアメッセージは吟味に吟味を重ねて、シンプルで力強いものにする必要がある、と教えられました。それも、誰が言っても同じように伝わるように統一したものが必要です。

2.FCNのロゴマークをつくる

図2 このアイディアを活かしたい 言葉を練り上げる前に、まず自分たちのチームのロゴマークをつくろう、ということになりました。やりたいことを形に表し、整理することでメッセージのコアが見えてくるのではないかと思ったからです。東北スクールの時も、代表生徒が1日かけてロゴマークをつくりました。とにかく自由に、半日かけて墨や折り紙で形を探し、矢印の形がいいのではないかということとなり、今度は何時間もかけていろいろな矢印の形を生み出し、それを地域チームの数だけそろえ、それが三重の円、すなわち、過去、現在、未来を貫くというものでした。完成したロゴは、まさに自分たちの姿そのものとなり、そのシンボルマークは今でも愛され続けています。

図3 FCNのロゴ図4 OECD東北スクールロゴ

 そのときと同じように、墨や色紙を準備し、頭ではなく手で考え、前提条件をすべて解除して、自由に形を生み出していきます。頭で考えるのはアイディアがまとまってきてからで十分です。いくつかのアイディアがまとまったところで、細長い色紙を縦横に織っていくものに関心が集まりました。福島市の様々な魅力を織り込み、未来の街をつくっていくイメージで、この方向がいい、ということになりました。
 さらに、細長い色紙の色は福島市の10の観光名所などを表し、かつ図3に示すような「10のF」の意味も盛り込み、これで行こうということになりました。

3.地域スクール

図5 大学の施設を使って 二つの中学校から始まったプロジェクトは、メンバーが高校生となり、市内のほとんどの高校に進学し、進学先で仲間を誘い合い、FCNのメンバーは増えていきました。多い時には30人以上が集まり、しかも各高校の特徴を持ち寄りながら、何ができるか話し合いは続けられました。
図6 どんどん仲間が増える 高校生に見られがちなのは、目的が決まらないと実際に取り組む内容を決めることができないという、形式論です。いや、それは正しいことなのかも知れませんが、「正しい目的」が決まってから何をやるべきなのか考えても、どうしても面白いものが生まれるとは思えません。むしろ、本当に自分たちがやりたいことは何なのか、そこから入っていった方がいいのではないかと思っています。福島市を元気づけたいのなら、まず自分たちが元気になること、学校と自宅をただ往復するだけの高校生活ではなく、その間に高校生たちが趣味や特技や、考えを持ち寄って、自分だけではできないことを実現する経験を積める「場」をつくること、そうすることで高校生が元気な街に変えていくことが目的への一番の近道ではないのか、そんなことも話し合いました。
図7 コアメンバーによる話し合いの振り返り また、個別の学校でできることではなく、学校を超えるからできることを考える、地域の高校生がやったとは思えないようなことを市民に披露し、市民を元気づけることも大切です。大人や大学生もそうなのですが、様々なアイディアが出た時に、これはこういう理由でできない、あれはああいう理由でできない、と、できない理由を並べ立てることで、やれることがどんどん萎縮してしまいがちです。東北スクールの教え、「やれない理由を考えるのではなく、どうしたらやれるようになるのか考えるために知恵を使う」ことの大切さが身にしみます。

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