学び!とPBL

2026.04.20 <Vol.97>

外部人材との協働はどのようにすれば上手くいくのかを考える

千葉 偉才也(ちば・いざや)

外部人材との協働はどのようにすれば上手くいくのかを考える

 新年度が始まるこの時期、学校では様々な関係づくりも始まります。教員と児童・生徒はもちろん、人事異動に伴う教員間、さらには保護者や地域住民など、学校に携わる様々なプレイヤー同士の関係構築は、学校運営上とても重要な要素であり、探究学習を進めていく上では、その重要性はさらに増すのではないでしょうか。

 近年、学校には実に多様な人たちが関わるようになっています。地域住民や企業人、NPO職員、大学関係者など、その背景も専門性も様々です。探究学習やPBLに焦点を当てるのであれば、こうした外部人材との協働の機会はものすごく増えてきていると思います。それは、実社会を題材に取り扱うことの多い学習の場合、当然ではある一方で、「授業において誰が何を担うのか」や「外部人材がどんな価値を学びにもたらしてくれるのか」といった悩みを教員から耳にすることは少なくありません。

 私はこれまで各地の学校で教員と外部人材の協働を軸にした探究学習を設計し、実践をしてきました。一つ具体的な事例を挙げると、福島県飯舘村立飯舘中学校(現いいたて希望の里学園)では、総合学習にガチャガチャやおもちゃを商品化するクリエイターや地方創生分野のコンサルタント、映像作家やラジオパーソナリティなど、多様な職業人が学びの伴走をしました。当時の飯舘中学校では、総合的な学習の時間を分野別で設定し、それぞれに教員と外部人材を配置して取り組みました。担当教員と外部人材は密に連携し、それぞれの役割を明確にして生徒たちと向き合っていました。この協働の文化はその後も続き、人事異動で教員が替わっても未だに飯舘村の学校の文化として残っています。特徴的だったのは、東京2020パラリンピックに向けて中学校のみならず小学校も巻き込んだ応援の取り組みの際に、学校現場から過去に連携した外部人材との協働の希望が上がり、全校児童・生徒でアートプロジェクトを実施したことでした。外部人材をその場限りの資源として捉えるのではなく、何かあれば頼れる存在として捉えることは、学びを豊かにする大切な姿勢でもあると感じました。

 それでは、外部人材との協働はどのようにしたら上手く機能するのでしょうか。この答えは一つではなく、携わるプレイヤー同士がコミュニケーションを取りながら関係性を構築し協働を機能させる以外はないのですが、私は二つ重要なポイントがあると考えています。

 一つ目は、ビジョンの共有です。外部人材の活用は、学校の中だけの資源ではつくれない学びを、学校外との協働により共に創り出すことが目的になります。その際には、学校内では通じていた当然の表現や言語、さらには学校や教員が持っている文化を外部人材と共有する必要があります。授業のねらい、探究の問い、児童・生徒の実態、さらには外部人材に期待をすることなどを言語化することが不可欠です。これは、ビジネスの(あえて言うなら民間的)表現を使うのであれば、「プロジェクトマネジメント」に当たると思います。

 二つ目は、外部人材を「教員ではない人」としてではなく、「ひとりの職業人」として見ることです。教員は教育や指導のプロフェッショナルであるのは確かですが、外部人材もまたその分野のプロフェッショナルです。そこでは教員免許を持っているかどうかは本質ではなく、それぞれの現場で仕事をし、社会の中で役割を担っている職業人として理解をすることが重要です。その人がどんな仕事をし、その仕事が社会の中でどんな意味を持っているのかに関心を寄せることが、外部人材の活用と同時に探究を豊かにするのだと思います。

 他方で、出会ったこともない、それまで知らなかった職業や職業人をどのように理解していくことができるのでしょうか。私は、その状態で一緒に児童・生徒と探究を進めていくこともとても探究学習的でよいと思いますし、生成AIなどを活用して予備調査をするなどすればより充実した連携が取れると考えています。一度の人生で複数の職業を経験し、多様な職業観を持つことが難しいのは当然です。しかし、そうした機会を教員自身が楽しめるかどうかが、外部人材を活用した学習の実践ではとても重要です。そのためには、頼れるものはAIも含めて大いに頼り、協働の相手に寄り添うことや、理解すること、リスペクトすることが大切です。業務も大変な新年度かもしれませんが、様々な資源やツールに頼りながら、クリエイティブな学びに挑戦してみてはいかがでしょうか。