情報科プラス(情報)

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【情報の流儀】品川女子学院 酒井春名教諭 ほか
2014.11.20
情報科プラス(情報) <No.003>
【情報の流儀】品川女子学院 酒井春名教諭 ほか

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酒井先生の準備室+

品川女子学院

「社会で活躍する女性を育てる」という理念のもと,「荏原女子技芸伝習所」として1925年(大正14年)に創立された,中高一貫の私立女子校。女性として自立し,社会に貢献できる人材を育成するための理念「ライフデザイン教育28project」を掲げ,社会と関わりの深い実践的な教育を行う。2014年からは,起業マインドを持つ女性リーダーを育成することを研究テーマに,文部科学省からスーパーグローバルハイスクールに指定されている。生徒数は中高合わせて約1,280名(2014年4月現在)。

正門には,与謝野晶子作詞による校歌の石碑が掲げられる。近代的な校舎が目を引くが,創立89年の伝統を誇る。生徒数の減少により一時は廃校寸前にまで追い込まれるが,第6代校長・漆紫穂子先生による改革により,人気・実力ともに躍進。独自の取り組みを支持し,県外から子どもを通わせる保護者も多い。

酒井先生が情報科として普段の授業で取り組む内容

起業体験プログラムとプレゼン大会への参加

「本来,起業というのは自分の『思い』と『アイディア』から出発し,そのあとに計画や資金面のやりくりをしていくと思うのですが,起業体験プログラムは,在校生やOG,保護者などの限られたマーケットとターゲットを相手に,味方がたくさんいる状態で実施されます。そうすると,どうしても計画や資金面の方法論的な部分に気持ちが入ってしまい,起業に一番大切な『思い』や『アイディア』への意識が弱くなってしまいます」(酒井先生)。そのため,酒井先生は起業体験プログラム終了後,企業理念に重きを置いた指導にも取り組む。その手段として,ソーシャルビジネスで起業を目指す人と,それを応援したい人をマッチングするためのプレゼン大会(*下記)への参加がある。自分たちが社会に向けて行えることは何か,その「思い」と「アイディア」を計る場所として,子どもたちに社会人の前でプレゼンテーションを行わせる。
プレゼンにあたっては起業体験プログラムで立てた企業理念を分析させたうえで,改めて企業理念を考えさせるが,「頭をもっともっとひねって,現状を把握して,自分のやりたいことをクロスさせ,アイディアを出す訓練をさせます。何に対してもその本質を理解し,冷静さと熱意を持ち合わせ,そのアイディアを形にできるようになれれば,どこに行っても通用するだろうと考えています」(酒井先生)。
*社会起業家や NPOリーダーの事業促進をサポートする一般財団法人「ソーシャル・ビジネス・プラットフォーム(SBP)」が主催するプレゼン大会。

起業体験プログラムで生徒が使用するワークシート(一部)
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起業体験プログラム終了後,情報科の授業で起業理念を検証する際のワークシート。ワークシート作成にあたっては,下記のような点に留意したという。

企業とのコラボレーション

企業とのコラボレーションは,現在は中等部(3年生)が全員受ける正課の授業となっているが,特別講座や各教科での取り組みとして行われることも多い。写真はこれまで生徒たちが実現した商品のごく一部。右からポッカコーポレーションとの共同開発による「桃恋茶(ルビ:とうれんちゃ)」(桃の香りの烏龍茶),岩塚製菓との共同によるお菓子「ペパっと」と「乙女ふわっと」,サンヨー食品との共同によるサッポロ一番「トマリアーナ」。