学び!とPBL
学び!とPBL
1.影響を与える側に
8月には定例のクラスタースクールを実施しました。いわき市の生徒たちも「地域で高校生フェスティバルを開催したい」といって参加してきました。影響を受け続けてきた福島市の高校生たちが、外に影響を与え始めたと実感できる出来事でした。
2.本当にフェスティバルが実現するのか
9月になって広報体制が固まりつつありましたが、それでも確約が取れた出演者が「ゼロ」でした。本当にフェスティバルがフェスティバルになるのか、このまま開催できなければリーダーたちと動かないメンバーたちの人間関係に亀裂が入り、チームが解体し、プロジェクトが崩壊してしまうのではないかと、これまでにない危機感を覚えたのは、予定されたフェスティバルのちょうど1ヶ月前でした。
「この半年、自分たちで何とかしようと、生徒たちはこんなに成長しました。かっこいいフェスティバルにならないかも知れませんが、絶対フェスティバルになります。生徒たちを信じましょう!」といってくれたのは、この3年間、福島市チームと歩んできた事務局のコーディネーターでした。不安を残しつつも、コーディネーターと一緒にがんばる学生たち、そして成長した高校生を信じるしかありませんでした。
3.自分たちだけで全部やる!
夏に決めたイルミネーションづくりを実行するために、10月の土日は毎週大学に高校生が集まりました。ああでもない、こうでもないと試行錯誤を重ね、とうとう3週目に完成させることができました。その予想以上の美しさに心が躍り、一気に夢がふくらみました。
3月に訪問した札幌新陽高校から先生と生徒もフェスティバルに参加し、ブースを展示してもらえることになりました。偶然開催日に福島に来る筑波大学附属高校とお茶の水女子大学附属高校の生徒たちとトークショーを開催することも決まりました。生徒たちは各校と連絡を取り合い、トークテーマ「高校生がまちづくりに参加するメリット・デメリット」も決まりました。コーディネーターは当初、大人にお願いしていましたが、開催前日、実行委員長から「コーディネーターは高校生じゃダメですか?ここまで来たら、高校生でやりたいんです!」という力強い申し出があり、土壇場ですべて高校生が運営することとなりました。
フェスティバルを週末に控えた平日も高校生たちは市の施設に集まり、フェスティバルの準備を夜遅くまで続けました。フェスティバル前日には、大学生と高校生が一つ一つの動きを確認し、役割分担をやり直していました。大人と打ち合わせをする実行委員の言葉にすごみを感じるほどでした。誰もがフェスティバルの成功を確信できた1週間だったと思います。
4.スイッチバックを繰り返す生徒たち
生徒たちにとって、試行錯誤できる時間と空間の存在が極めて重要です。
生徒たちの学びは決して直線的に進むのではなく、「スイッチバック」しながら進んでいることがわかります。様々な困難を前にして停滞していると必ず誰かが暴走を始めます。実現可能性の希薄なことを提案したり、一面的な視点だけで解決策を考えたりして、大抵はうまくいかず反省して引っ込めるのですが、その暴走によって停滞していた空気が動き始め、新たな気づきと可能性を見つける、ということが多々あります。
その意味では、暴走を許さない、とか、生徒にすべてを任せる、では生徒の成長に結びつかないということになります。「暴走と反省」の繰り返しが生徒の成長の軌跡なのかも知れません。